大変申し訳ありません。
「とりあえず、あの魔獣を倒してから話しましょうか」
そう言うと土煙から現れた沖田と名乗った少女は唖然としている上井にそう言い放つと自身の持っていた刀を抜き勢いよく上井から離れ魔獣に向かって走り出す。
こちらに来るのを察知した魔獣は急いで自身の触手で迎撃し始める。
魔獣が動かしている触手は少女の眉間目掛けて伸びる。
それに対し沖田は
「遅い……はっ!」
少女はそれを寸の所で回避しつつ触手を切り刻み距離を詰め、そして刀の間合いに入ると魔獣の首を一瞬で切り落とした。
完全に魔獣の息の根が止まったことを確認した沖田は直ぐ様上井の所に戻る。
「片付きましたね。お怪我はありませんか、マスター?」
「あぁ…」
何が起きたかいまいち状況を飲み込めていない上井はただ言葉を漏らすことしか出来なかった。
その返事を聞き一瞬安堵を見せた少女であったが上井の腕を見て焦りの色を見せる。
「ちょっとマスター! 全然大丈夫じゃないじゃないですか! その腕はどうしたんです!」
「あっ…」
次の瞬間、上井は安堵と多量出血により意識を闇の中に落とした。
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「マスター、大丈夫ですか?」
暗闇の中誰かの声がきこる。
「………う、ん」
誰かの呼びかけに、上井はゆっくりと目を開く。ぼんやりと気を失う前の状況を思い出そうとしながら上井は声がした方に顔を傾けてみると。
「マスター?」
目に入ったのは髪の色はピンクがかったブロンドの綺麗な少女が正座して待機していた。
自身の置かれた状況がいまいち理解できず呆けている上井に、納得した少女は納得したかのように微笑み丁寧に説明をし始める。
「安心してくださいマスター、先ほど戦っていた魔獣はこの天才剣士こと沖田さんが倒しましたよ!あと先程の場所は危なかったので近くにあった空洞に避難しましたのでしばらくは安全です!」
そのことを聞くのをきっかけに上井は気を失う前の事を思い出し同時に魔獣に切られた腕を確認する。
目に写ったのは応急処置された肘であった。
「この腕の止血をしてくれたのも沖田さんが?」
「はい!」
「沖田さんってあの新選組の?」
「はい!」
上井の質問に対し元気よく答える沖田。その後も上井はいくつか質問をするがそれを沖田は嫌な顔せず満面の笑み答えていく。
(アホ毛…犬の尻尾みたい、可愛い)
「右手の甲を見せて下さ…右腕が無くなってるじゃないですか!」コフッ
自己解決をし興奮した沖田は吐血し倒れる。
「…大丈夫?」
「えっ、えぇ…これぐらい日常茶飯事ですのでお気になさらず」
「えぇ…」
唐突の吐血に引き気味の上井は先ほどやった召喚について考える。
サーヴァント-それは英雄が死後、人々に祀り上げられ英霊化したものを、魔術師が聖杯の莫大な魔力によって使い魔として現世に召喚したもの。魔術師が聖杯の莫大な魔力によって使い魔として現世に召喚したもの。上井はそのことを小説で読んだことがあった。しかしそれらは創作物、この世に無いものだと思っていた。
魔法が存在する世界なら出来るのでは無いかという浅はかな考えでやってみたが
「まさか本当に出来たなんて…」
「どうしましたマスター?」
「何でもないよ。沖田さん、さっき沖田さんが倒した魔獣の近くにたぶん俺の腕があると思う、それで令呪が確認出来ると思うよ」
上井の言葉を聞き先程までとはうってかわり明るい笑顔を取り戻した沖田は顔を勢いよく近づける。
「本当ですか! ちょっと私今から探してきます!!」
そう言って走って探しに行くそ沖田を見送り一人になった上井はこれからのことを考える。
現在、上井の目標は『八重樫との約束を守る』事を第一にしている、そのためには急いで八重樫達の元へ戻らなくてはならない。しかし、現在の力では八重樫達クラスメイトを守れないのを上井は強く痛感していた。どうすれば強くなれるのかどうすれば守れる強さを手に入れられるのか。守るためにはどのくらいの力が技量が経験が必要なのか、上井はいくつも浮かび上がる自身の課題を自問自答を繰り返す。
「マスター、マスターの右腕ちゃんとありましたよ」
沖田が戻ってきたのと同時に上井はこれからの事が決まった。
「沖田さん」
「何でしょう?」
上井の声を聞いて真剣な話だろうと悟った沖田は先ほどまでの笑みを消し真剣な眼差しになる。
「俺はこれからこの迷宮を出ようと思う。でも、俺だけだと絶対に死ぬ。だから、沖田さん…君の力を貸して欲しい」
上井の質問に対し当然と言わんばかりに答える。
「主に斬れと言われれば斬る、それが私ですマスター。マスターがそうすると仰るのならばこの沖田どこへでもお供いたします」
「ありがとう、これからよろしく沖田さん」
「はい、こちらこそよろしくお願いしますねマスター」
「右手の甲を確認したらちゃんと
「よかった…」
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「マスター!モヤシの群生地見つけました!」
「出来した沖田さん!全部刈り取るぞ!」
「了解ですマスター!」
上井が沖田を召喚して二人の体内時間で3日程たった。沖田が見つけた上井の右腕は現状はくっつけられ無いから腐らないよう袋に入れ氷水に付けて冷やしている。
上井は沖田のおかげで片腕を失くしているというデメリットを物ともせず戦うことができている。最初は沖田に「マスターは片腕がないんですから後ろで見とくだけで良いですよ」と言われていたが少女一人に戦わせるわけにはいかないのと自身も経験を積むためにと沖田を説得し片腕ながらも上井は戦闘に参加している。ほとんどの戦闘では上井は沖田よりも戦果を上げる事は出来ていないが共に戦っている内に沖田は最初の頃よりも上井に対しくだけた接し方をするようになってくる。
この3日の間に二人は現在いる階層のほとんどをマッピングし終えている状況であった。それにもかかわらず上井達はいまだ何も見つからない。
いや、見つからないと言うのは少し語弊がある。二人は上の階層への階段らしき建築物を2日目に見つけたのだが地盤の問題があったのだろうかその階段は人並み以上の大きさの岩石によって埋まっていたのだった。かろうじて見えるのは一、二段程度のみであり岩石を退かそうと試みた二人であったがさすがに人並み以上の大きさの岩石は動かすことは出来なかった。
二人は考え、次に行動に移したのは下の階に続く階段を見つけることであった。目的は最下層にたどり着くこと。最下層になら一階層に移動できる手段があるのではないかと考えたからである。
しかし、そこで一つの問題にぶつかる事になる。それは食料問題である。
落下初日は上井が持ってきていた保存食で食いつないでいたがそれも尽きてしまい食糧難に陥ったのである。沖田は出力を落とす事により上井の魔力供給によりしばらくの間は食わなくても問題ないのだが上井は普通の人間だ1日2日は流れている水で耐えることも出来るかもしれないが長くは続かない。上井は食べるものとして魔獣の肉を試しに食べたりしたが口に入れた瞬間全身が拒絶反応を起こし吐くという結果になった。上井は手当たり次第に口に入れては吐き出すを繰り返し偶然喉を通すことが出来たのが先ほど沖田が見つけたモヤシと呼んでいる植物である。その植物は見た目がモヤシのところから上井によってモヤシと呼ばれるようになったのだが、食べてみると魔獣の肉のように拒絶反応を起こすことなくしかもドラゴン◯ールの仙豆のように少量で腹が膨れるという効果もついたかなりやばい植物なのである。
ちなみにこの植物の正体は魔力が何千年もかけて結晶化した【
二人はモヤシと下の階に続く階段を探しながら行動しており今に至る。
「マスター、この量で何日くらい持ちますかね?」
「さぁ、でもこの量なら二人で食べても一ヶ月は持つんじゃないか?」
「本当ですか!しばらくはひもじい思いをしなくって済むんですね。やったー!」
上井がモヤシを収穫しバッグに詰め込んでいる中、沖田は子供のように喜んでいる。
数分程度でモヤシを全てを回収した上井は沖田に移動する旨を伝えた瞬間、まだ探索していない道の方から中型の魔獣が数十匹やって来る。
「沖田さん!」
「はい!速攻で片付けます」
たった一言、名前を呼ばれただけで沖田は刀を抜き、上井もベヒモスの際に使った
魔獣も上井達に気づいたのであろうか上井達に襲いかかる。それらを沖田は避ける形で上井は受け止める形で自身達の最適な行動を取り反撃に移す。
沖田は魔獣の背後に周り切るを繰り返しながら、上井は魔獣が攻撃をした直後の隙に急所を狙い攻撃し確実に魔獣の数を減らしていった。10分も掛からずに数十匹もいた魔獣達はもう数える程度にしか残っておらず自身達の負けを悟った魔獣達は先ほど来た道とは間反対に逃げ出していった。
戦闘が終わり二人は武器を納める。
「片付きましたね。怪我はありませんか、マスター?」
「特に問題はないよ。沖田さんは?」
「私は全然問題ないですよ!何てたって天才剣士ですかr…こふっ?!」
「沖田さん、ハンカチ出そうか?」
「おっ、お願いします」
自身の体調が万全であると言った傍から直ぐに吐血をし上井から貰った布で血を拭う沖田。
最初の方は吐血するたびに病気だの何だのと慌てふためていたが沖田の吐血の頻度のせいか最近ではそこまで驚かなくなっている上井であった。
血を拭いながら沖田は上井にとある疑問を投げ掛ける。
「マスター、さっき戦った魔獣達何か変じゃありません?」
「沖田さんもそう思う?」
「えぇ、先程の魔獣達は何かから逃げてるように見えました」
「下の階層の魔獣がこの階層に出て来たのかな?」
「もしそうだとしたら下の階層への道があるかもしれませんね!早くいきましょマスター!」
「少し休憩したらね」
少し休憩を挟み魔獣達が来た方向に足を進める二人。
上井とハジメの再開は近い
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本当にありがとうございます。
これからも少しずつですが投稿しようと思っているのでこれからもよろしくお願いします。
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