鍛冶屋と錬金術師   作:サバ缶DX

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008

上井はズドンという音と共に地面に叩きつけられ意識が覚醒する。

周りを上井は確認してみると自分と同じ状態の人は多く、メルド団長や騎士団団員、天之川などの一部の生徒達は周囲を警戒している。

上井達がいる場所は先ほどとは違い石橋の上であった。長さはざっと100m程あり天井も20m近くはあり、橋の底は見えず真っ暗な光景が続いていた。

上井は周りを確認してみると両サイドにはそれぞれ上に行くための階段とさらに下に行くための階段があった。

メルド団長もそれを確認したのであろう、メルド団長は険しい顔をしながら指示を飛ばす。

 

 

「お前達! 直ぐに立ち上がって、あの場所の階段まで行け! 急げ!」

 

 

指示にわたわたと動き出すクラスメイト達。しかし大迷宮のトラップはこれだけではなく撤退は敵わなかった。

橋の両サイドに突如魔法陣が現れる、上の階へ続くであろう階段の方にはさっき転移された魔法陣よりかは小さいが夥しいほどの魔法陣があった。下へ続くであろう階段の方には先程の魔法陣と同じサイズの魔法陣があった。

魔法陣は、一度ドクンと脈を打つと、一拍後、魔物を生み出し始める。上への階段の方には数百体の骸骨のような魔物が生み出され、下への階段の方にはトリケラトプスのような巨大な魔物が一体生み出される。

 

誰もが呆然としている中、メルド団長のうめき声が響く。

 

 

「まさか…ベヒモスなのか?」

 

 

いつも余裕があり誰よりもこの世界で生徒達に接してきたメルド団長が冷や汗をかく。

天之川がベヒモスの事について詳細を求めようとするが魔物たちはその時間をくれない。

ベヒモスはおもむろに息を吸うとまるで戦闘の合図かのように大きな咆哮を上げる。

 

 

「ヴェァァッァァァァァァァァ」

 

 

その咆哮で正気に戻ったのかメルド団長はいそいで騎士団員達に指示を飛ばす。その指示に対して天之川達は自分たちも戦うと志願する。

しかしー

 

 

「馬鹿野郎! あれが本当にベヒモスだとしたら、今のお前達には無理だ! さっさと行け! お前達を死なせるわけには行かないんだ!」

 

 

メルド団長の鬼気迫る表情に一瞬怯むも、「見捨てるわけにはいかない!」と踏みとどまる天之川、再度説得しようとする瞬間、ベヒモスが勢いよく突進してくる。このままでは全員圧死してしまうと察した騎士団の人たちが障壁を何枚も貼る。

なんとかベヒモスの攻撃を防げたがその凄まじい衝撃波によってなのか撤退中の一人の生徒が悲鳴を上げ転倒しそれをきっかけにパニックが起こる。隊列が崩れ我先にと階段を目指すクラスメイト達、騎士団の人がそれを抑えようとするがクラスメイト達は一向に聞かずパニックはひどくなる一方であった。

 

女子生徒の一人が他の生徒に突き飛ばされ転倒してしまう。彼女は呻きながら顔を上げると、骸骨の魔物が走りながら女子生徒目掛けて剣を振りかぶっていた。

死ぬ−女子生徒がそう感じた次の瞬間、骸骨の魔物の足元が突如隆起した足場により動けなくなる。魔物の剣は女子生徒の届かず空ぶってしまう。それを見逃さなかったのか一人の男子生徒が魔物を剣で切り倒し奈落に突き落とす。

橋の縁から2mほど手前には、座り込みながら荒い息を吐く南雲が、魔物が奈落に落ちた付近には上井の姿があった。

上井が周囲を警戒している中南雲が女子生徒に魔力を回復させる薬を飲ませ、みんながいる方へ誘導する。

 

南雲が魔物の足元を固めて上井が切り倒すのを二人は繰り返しながら、周囲を見渡すと魔法陣から続々と増援が送られるのが見える。

 

 

「何とかしないと…必要なのは強力なリーダー…圧倒的火力…レイ一緒に来て!」

 

「おい! ハジメどこにいくんだ!?」

 

 

唐突に天之川の方へ走り出した南雲を上井は追いかける。

 

 

 

 

南雲と上井が天之川達がいるところへ着くとそこでは天之川と龍太郎がメルド団長と八重樫の静止を聞かずベヒモスと戦おうとしているところであった。

南雲と上井が来たことに天之川達が驚く。

 

 

「南雲!? 上井!?」

 

「南雲君!!」

 

 

驚く一同に南雲は必死の形相でまくし立てる。

 

 

「早く撤退を! みんなのところに! 君がいないと! 早く!」

 

「いきなり何だ? それより何でこんな所にいるんだ! ここは君達がいていい場所じゃない! ここは俺たちに任せて南雲と上井は…」

 

「そんなことを言ってる場合か!!」

 

 

南雲と上井を言外に戦力外だと告げて撤退するように促そうとする天之川の言葉を遮り南雲は今までにない乱暴な口調で怒鳴り返す。

 

 

「あれが見えないの!? みんながパニックになってる! リーダーがいないからだ!」

 

 

天之川の胸ぐらを掴みながら南雲は指を差す。

 

 

「っでも 「天之川頼む」っ! 上井!!」

 

 

南雲の意見に天之川は反対しようとするが次は上井に遮られる。

 

 

「みんなを導くには天之川、お前が適任なんだ。 あの量の魔物には一撃で斬り伏せる力が必要なんだ。 皆の恐怖を吹き飛ばす力が。 前ばかり見てないで後ろもちゃんと見てくれ…頼む」

 

 

頭を深々と下げているクラスメイトを見て天之川は上井と南雲に頷いた。

 

 

「あぁ、分かった。 直ぐに行く! メルドさんすみませ−」

 

「下がれぇ!!!」

 

 

メルド団長の方を振り向くと同時に騎士団員が貼っていた障壁が砕け散る。続くようにベヒモスの咆哮が響く。咆哮が発せられる瞬間南雲は壁を錬成し近くにいた天之川達を守る。

しかし、技術が未熟だったせいなのか錬成された壁は咆哮によって崩れる。いそいで前を確認しようとするとそこには倒れ伏しているメルド団長と騎士団員が3人の姿があった。

それを見た天之川達はメルド団長達を助けるべく指示を出す。

 

「香織!メルドさん達の治癒を!」

 

「うん!」

 

天之川の指示で白崎が走り出す。南雲はすでにメルド団長達のそばにいる、きっと戦いの余波が届かないように撤退させているのだろう。

八重樫、龍太郎の二人がベヒモスを足止めしている間天之川は自分が今出せる最大の技を放つため詠唱をし始める。

 

 

「神意よ! 全ての邪悪を滅びし光をもたらしたまえ! 神威(カムイ)!!」

 

 

天之川が放った技は真っ直ぐベヒモス目掛けて飛ぶ。足止めをしていた二人は技が放たれる前に撤退している。二人とも体はぼろぼろでだ。

放たれた技はベヒモスに直撃し轟音とともに砂埃がまう。激震する橋に亀裂が走る。

 

 

「はぁ…はぁ…」

 

 

天之川は今の攻撃で魔力を使い果たしたのであろうその場で座り込み荒い息を吐く。背後では治癒し終えたメルド団長が起きあがろうとする。

そんな中砂埃が収まろうとする。

その先には−

 

無傷のベヒモスの姿があった

 

低い唸り声を上げ再び攻撃に移ろうとするベヒモス、メルド団長は自分が戦って時間稼ぎをするとぼろぼろのからで立ち上がる。そんな中上井と南雲が必死の形相でメルド団長に提案する。その案は全員を唯一救う方であるが二人が一番危険を負わなくてはいけない非常に危険な案であった。メルド団長は逡巡(しゅんじゅん)するがベヒモスが再び攻撃に移ろうとしているので時間がない。

 

 

「…やれるんだな」

 

「「やります」」

 

 

二人の真剣な眼差しにメルド団長は少し笑みを浮かべる。

 

 

「まさか、お前らに命を託すとはな。…必ず助けてやる。…だから頼んだぞ!」

 

「「はい!」」

 

 

二人はメルド団長の返事に答えると直ぐ様ベヒモスに向かって走り出す。

上井が自身の武器に魔力を込める、すると先ほどとは違い武器は金色に発光する。それを見たベヒモスはメルド団長達から目標を上井に移したようで上井に目掛けて突進しようとする。しかしそれは叶わなかった、南雲が橋を錬成しベヒモスの足を固定したからだ、だがそれも気休め程度らしくベヒモスは数秒で抜け出してしまう。

だがそれは二人の予想通りであった。

上井はそのまま動かず自身の武器を前に構え自身の魔力の全てを注ぎ込み頭に浮か詠唱を唱える。

 

 

 

 

 

 

 

 

「この剣こそは

 

 

過去・現在・未来を通じ

 

 

戦場に散った全ての兵達の今際の際に抱く、悲しき夢

 

 

その意思を誇りと掲げ

 

 

その信義を貫けと但し

 

 

今、常勝の王は高らかに、手に取る奇跡の真名を歌うだろう」

 

 

 

詠唱と同時に地面から金色の魔力が空中に漂い始め、武器はそれに答えるように光の強さが増す。その光景をみた者全員がその美しさに心を奪われる。

詠唱を最後まで読み終えた上井は光が溜まっている剣を構えながら構えている武器の名前を叫ぶ。

 

 

 

約束された勝利の剣(エクスカリバー)!!」

 

 

 

本来の宝具よりも数段階威力は低いが先ほど喰らった神威よりも威力が高い斬撃を至近距離で喰らったベヒモスは死にはしないが直ぐには動けない程の怪我を負う、そこにすかさず南雲が錬成をする。

すると動けないベヒモスは錬成に巻き込まれ下半身が橋の中に埋まってしまう。

自分たちの案が成功し二人は安堵しながら天之川達の方を確認する。

後ろではすでに大量の魔物を天之川が薙ぎ払いクラスメイト達のパニックを抑えたようでメルド団長達が階段付近で自分たちを待っていた。

二人は急いで皆んなの元に戻ろうとするが後ろから不穏な音がする。後ろをチラッと確認するとベヒモスがもう少しで抜けそうな光景であった。二人の顔は青ざめ全速力で走り出す。それと同時にベヒモスも抜けたようで二人目掛けて走ろうとする次の瞬間、様々な属性の魔法が殺到する。ベヒモスはそれに耐えられなかったのだろうか二人とは間反対の方向に後退りする。

いける!と二人は確信した直後であった、沢山の魔法の中一つの火球の軌道がずれ南雲の方へと向かっていった、明らかに南雲を狙い誘導されたものであった。

 

 

「ハジメ!!」

 

 

上井はそれに気づき南雲を庇うため南雲を横に突き飛ばし自身が火球を喰らう。

 

 

(なんで!?)

 

 

上井は急いで立とうとするが当たりどころが悪かったのであろうか上手く立てず膝をついてしまう。

一番近くにいた南雲は自身を助けてくれた上井を助けようと側によるのであったが…さっきまで無抵抗で魔法を受け続けていたベヒモスが突如咆哮をあげ二人に突進しようとしているのであった。

直後ベヒモスの咆哮によってなのだろうか橋に一気に亀裂が走る、メキメキと悲鳴をあげた橋はついに崩壊し始めた。

 

 

「ヴェァァッァァァァァァァァ」

 

 

悲鳴を上げながら落ちていくベヒモス、南雲も上井を連れて急いで脱出しようと様々な場所にしがみつくが次々と崩壊していく。

 

 

(ああ、これ死んだわ)

 

(ああ、ダメだ…)

 

 

自分の諦めの言葉を胸の中で呟きながら、二人は橋の端で助けようとしているクラスメイト達と一人笑みを浮かべている人を見ながらただただ落ちていくのであった。




今回少し短いですが初の宝具シーンでした。
自分的にはやっとスタートラインに立てた気がします。
次回くらいからはアンケートで決まったサーヴァントも出す予定なので楽しみにしていてください!!

それと評価してくださった方本当にありがとうございます。
正直評価や感想がやる気に繋がっているので評価、感想お待ちしております。



余談ですが魔物の咆哮はごちうさのココアちゃんの叫び声を元にしてます

サーヴァント何体までなら許せる?

  • 1体
  • 2体(二人で一騎のサーヴァントを含める)
  • 3体
  • それ以上
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