運命と牙の奏でる協奏曲   作:クレナイハルハ

11 / 19
~Fの戦い/少女の思い~

 

士郎side

 

 

ワタルが出ていってからもう三日も立つ

 

学校に来ているのではないかと思い僅な希望で教室へと入った

 

だが、結果としては教室に1つだけ誰もいない空席があった

 

何時もなら頬杖をして外を眺めているか何らかの本を読んでいるはずのワタルはいなかった

 

朝礼のあと、先生に呼ばれワタルの事を聞かれた

 

俺はワタルの事を話した

 

家出をしたまま帰ってきて居ないことを

 

その事を聞き、担任の先生は俺を教室に帰した

 

取り敢えずワタルは欠席として扱うとの説明と見付かったら報告しろとしか言われなかった

 

「ワタル、お前は何処に行っちまったんだよ」

 

俺は、ふと窓から見える景色を見てそう呟いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

渡side

 

 

グチャア………

 

そんな音と供に拳に何度経験しても慣れなくて、嫌な感覚がした

 

目の前の化け物は僕が殴ったことで少しだけ交代するが殴った箇所からは少し血が流れていた

 

仮面ライダーの、空想の戦いじゃない

 

あんな綺麗な戦いじゃなくて、ずっと手には嫌な感覚と血が着いている

 

目の前のやつは、前のヤツラとは違い何処か僕を煽るような行動をしていた

 

僕が追い出され、新都で戦い続けて何日たったのか分からない

 

新都にヤツラがいる勘にしたがって冬木のホテルを解約し、新都にて勘で見つけたヤツラと戦い続けることをずっとしてきた

 

それが、この世界にヤツラを出現させてしまった僕に出来る唯一の贖罪行為

 

目の前の的に襲いかかってマウントを取り、ひたすらに殴る

 

この戦いはとてもじゃない、僕にはあんな綺麗な戦いはできない

 

だからこんな仮面ライダーらしからぬ戦い方になって

 

手にはずっとあの感覚とソイツから出た血で赤く染まっていく

 

いつの間にか目の前には消えていく化け物

 

そして真っ白だったはずの僕の手が赤く染まっていた

 

俺はその場から離れて変身を解く

 

家を追い出された次の日から寝ずに戦い続けていた

 

ヤツラを勘に従って探し、被害者になりかけた奴を逃がしてファングになってアイツを倒す

 

それしかせず、僕はずっと過ごしてきた

 

先程携帯を確認したところ、今日で二日間戦い続けていることに気付いた

 

ずっと、ただアイツラを倒さないとと考えていたからなのか、時間を気にしていなかった

 

そう思案しながらリュックを背負い、服の内ポケットにファングをメモリモードにして入れて歩き出す

 

外は昼なのか沢山の人が行き来しており、何故か僕を見てヒソヒソと話す人もいた

 

ふと近くの鏡に写っている僕を見ると、目の下に隈が出来ていた

 

「流石に少し、休まないと……」

 

そう思いながら歩き出し、近くの公園のベンチに座り込む

 

このまま眠ってしまおうと考えるが、このままでは補導されることは見えている

 

ホテル等はお金さえ払えば良い

 

何処かで休めるところを探さないと

 

そう考え、僕はスマホで近くネットのネットカフェを探す

 

結構近くにある、それに飲み物が飲めてシャワーもある

 

ここにしよう

 

そう思い、僕は重たい体をどうにか立ち上がらせる

 

「みんな、元気かなぁ」

 

ふとそんなことを呟き、僕はその場を離れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネカフェの個室へと入り、こっそりとノートパソコンのコードを刺して充電しつつ二日ぶりとなる曲の投稿を行う

 

『HATENA』『大切な人たちへ』

 

これは僕への問いかけの曲と、士郎やイリヤ達への曲だ

 

『何のために泣いたんだ、何のために捨てたんだ』

 

僕は家族に迷惑をかけている、本来ならその場におらず、いもしない僕のためにしかってくれているセラさんや母さんがいる

 

そんなみんなの近くに僕がいれば、きっとみんなの居るところにも奴が来る

 

それに巻き込まないため、この世界でヤツラを出現させてしまったから

 

僕は、みんなから離れて、戦い続けている

 

でも、僕も何処かで帰りたいと思っているのかもしれない

 

だからこの曲を投稿する、どうかみんなに届きますように

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???side

 

 

家に帰った、アイツもあの白い奴ももういない

 

私はその事に安堵して妹の悠里(ゆうり)を下ろし、玄関に座り込んだ

 

「大丈夫、ユウリ……………」

 

パチンッ

 

そのとき、私は何が何だか分からなくなった

 

私の右頬が暑くじんじんと痛みが走っている

 

ぶたれた、誰に?

 

悠里に…目の前の妹が普段なら全く表情を出さない悠里が涙を流しながら私を睨んでいた

 

「なに、何よ…………」

 

なんで、私は貴方を思ってアイツから化け物から守って逃げたのに

 

なんで、なんでなんで

 

なんでそんな目で見るのよ悠里!

 

「………お姉ちゃんは、ダメなこと…した」

 

「何よ、ダメな事って!私はあの化け物から貴方を護ろうと」

 

パチンッ、また悠里にぶたれた

 

「気付かない、ダメ。自分で、気付け……」

 

そう言って悠里がトテトテと階段を上がっていく

 

「なんなのよ、私のあの行動の何が悪かったの」…………

 

涙が流れる顔を隠しもせず、少し赤くなった頬を片手で触れて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠里side

 

 

お姉ちゃんの………………バカ

 

悠里は自室にて布団に寝っ転がっていた

 

この少女、悠里は周りよりは聞き分けが良く大人しいが人見知りなところがある少女

 

そんな彼女は毎週日曜日に見る特撮を愛していた

 

そして、親に頼んで昔の特撮の話を借りるほどに

 

そんな少女にとって、今日の出来事は忘れられない日となった

 

何時もならテレビでしか見れない本物の化け物が居ることを知った

 

怖かった、お姉ちゃんとあのお兄さんと逃げて特撮の最初に死んじゃう人みたいに死んじゃうと思った

 

悠里は知っていた、この世界に本当のヒーローは居ない

 

特撮は作り物で、想像物出しかないと

 

だから、あの人のリュックから出てきた小さな恐竜のロボット

 

突如としてお兄さんの腰に巻かれたベルト

 

私は何故か急にドキドキした、先程までのドキドキじゃない

 

ワクワクした、ドキドキ

 

お兄さんがヒーローになる所を見た、悠里は本当にヒーローがいることを知った

 

でも、お兄さんはさっきまで凄く怖がっていた

 

いまもそうだ、私たちを助けようと変身して戦うお兄さんの足が少し震えている

 

その後、お兄さんがM・HEROファングみたいにあの敵を蹴り、倒した

 

私は直ぐにお礼を言わなきゃと思った

 

助けてくれてありがとうって

 

でも、お姉ちゃんは私を抱いてあのお兄さんから逃げた

 

悠里は知っていた、今までの特撮でどのHEROも孤独に戦い続けていること、誰もが本当は暴力を振るいたくないと思っていることを

 

誰から感謝されるわけでもなく、誰から頼まれたわけでもない

 

ただ、人を護るために戦い続けている

 

そんなHERO、そんなあの人にお姉ちゃんはお礼も言わず、あの人を化け物と思い逃げ出した

 

許さない、私はお姉ちゃんを許さない

 

明日、私はあのお兄さんを探しに行く

 

見つけるまで探して、絶対に言う

 

「助けてくれて、ありがとう」って

 

 

 

 

 






ご愛読ありがとうございます

感想、お気に入り登録、高評価

お待ちしています

主人公がFANGであることを家族の誰かにバレた方が良いか?

  • アイリ
  • リズ
  • バレないまま

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。