ワタルside
あの日、僕はあの化け物。
あの時の僕はとにかく必死だった、目の前の存在が自分と言うイレギュラーな存在が生まれた事で発生した世界が変化しあのような化け物が生まれてしまったのだと。
僕が責任を取らないと、倒さないといけない。それがイレギュラーとしてこの世界に生まれた僕と言う存在の使命であり、化け物に殺された人たちへの贖罪だと。
現実、あいつらはイレギュラーから生まれた敵でも何でもない。元からその世界と繋がりがあった月姫に出てくる敵だった。自分は全く関係がなかった。
でもその時の僕はそんなこと知るよしもなくて、自分が倒さないと、償わないといけない。そう必死で戦った。本物の戦いは、特撮世界のように敵を殴ったり斬り付けて火花が散るような物じゃなかった。
殴って感じるのは硬く、柔らかい殴った相手の身体の感触。斬って散るのは火花ではなく傷口から溢れる赤黒い血飛沫。
そんな現実を見てから、僕は倒すと言う言葉を使わなくなった代わりに、殺したと言う言葉を使うようになった。
人を殺したと言う罪悪感に押し潰されながらも戦った初戦、確かに姉妹を守る事は出来た。でも、守った彼女達の瞳に映る僕は人としての僕じゃない。吸血鬼と言う
そこにいた姉妹は恐れ、泣きながら逃げ出し僕は改めて自信がこの世界に存在してはいけないのだと知った。
そんな始めての戦いを終え、疲れはてた僕は思い身体を引きずるように家への帰り道を歩いた。結果、帰宅時間の門限を破りその日僕は帰るべき家も、頼れる人も、家族も失った。
その時からだろうか?僕の中の何かが消え始め、狂い始めたのは。
音楽で稼いだお金はアパートの家賃と栄養バーのみに使って、それ以外のお金は全て家族だった人たちの口座に振り込んだ。今まで育ててくれた人達へのせめてもの恩返しとして。
食事は栄養バーのみで、借りたアパートに帰り音楽を投稿し眠る。それ以外の時間は全て吸血鬼を探し、殺す事に費やした。
どれだけ戦い続けて傷付き、倒れそうになっても故意に『牙の記憶』を発動することで無理にでも暴れ吸血鬼を殺して来た。
そんは風に過ごしていた僕は、いつのまにか髪はセミロングぐらいまで伸び、黒かった髪は真っ白に変わって、身体は痩せこけ、目には酷い隈ができていた。
振り替えれば、何れだけの物を捨てて来たのかもう分からない。僕に残っているのは身体とファング、そして音楽を聞くためだけのスマホとスマホに繋がれているイヤホンのみ。
どれだけ戦い続けてきたのか、怪我してきたのか分からない。そんな僕の最期は、山奥の吸血鬼との戦いで相討ちになって、誰にも知られず、看取られる事もなく死んでいった。
だから、こんな場所に呼び出されたのは僕に与えられた
僕の瞳に映っているのは、見覚えのある銀色の壁。目の前に佇んでいる僕のマスターである、見覚えのあるオレンジ色と言う明るい髪色の少女と銀髪で、メガネをかけ片眼が前髪で隠れている少女。
「結構、最近の服装だよね?結構私と近い年代の英霊なのかな。」
「そうですね、先輩の話していた携帯端末も持っていらっしゃるようですし」
そんな2人が話す中、自分の服装を見る。灰色のフード付きのパーカーを羽織りフードを被っている。パーカーの中は黒いTシャツで、ズボンも動きやすそうな物を履いている。
確かに英霊はその人が一番強かった時期、つまりは全盛期の肉体で召喚される。恐らくは全てを無くして、ひたすらに吸血鬼を殺していた時の状態で召喚された訳か。
そう言えば、僕の名前はどうしようか。もう僕は衛宮渡でも、エミヤでもない。名乗る名前なんて捨てた、そんな物は戦いに不用だったから。
「こんな弱小なサーヴァントだけど、頑張らせてもらうね?マスター。」
「うん!人理を守るために、頑張ろう!私は藤丸 立香!」
「私はマシュ・キリエライト。よろしくお願いします………ええっと、貴方の真名は?」
「悪いんだけど、名乗れるような名前は無いんだ。そうだな…………」
そうだな、衛宮 渡でも00でも無い、何もない状態で、数字で表すなら0。
「ゼロ、とでも呼んでくれ。クラスはバーサーカーだよ」
そう言って微笑んで、いたら良いな。正直者な所、僕は笑えてるのかは自分の顔を見ないと分からない。でも彼女達の様子を見るに僕は微笑んでいたらしい。
「え”!?ば、バーサーカー!?狂ったり叫んだりしてるようには見えないんどけど……」
「アハハ、一応理性はあるしそれなりに狂喜もないからある程度は頭を使った戦いとかも出来るよ。」
「珍しいですね、えっちゃんさんと同じようなものでしょうか」
「よし、じゃあ早速カルデアを案内するよ!」
立香の提案に頷き、英霊召喚の部屋を出る。すると目の前にはよくFGOで見た廊下の背景絵と同じ廊下の光景が飛び込んできた。
立香の後を歩きながらカルデアの英霊や人理修復の状況を説明される、そんな中でカルデア職員が通路を行き来するのを見れば、本当にFGOの世界でカルデアに、しかもサーヴァントで呼ばれるとは、改めて考えると凄いことなのかな。
そんな事を思い、自室として使って良いと言われた部屋やレイシフトする場所を教えて貰い最後に食堂を案内して貰うことになった。
「ゼロ、ここが食堂だよ。奥にいるエミヤやブーディカに頼めば色々と作って貰えるよ。エミヤ達が作ってくれる料理は美味しいんだ!」
「そっか」
僕には関係ない話だ、食事は栄養バーしか食べずに生活していたからか他の食べ物を食べなくなり、自然と普通の食べ物を受け付けなくなった。だから、僕が食堂を使うことは無いだろうな。
と言うか、入り口に立つだけてここまで注目される立香はやはり主人公なのだと感じる。
「マスター、悪いんだけどさ」
「ん?どうかした?」
「栄養バーってある?」
「栄養バー?たぶん、あると思うけど」
「やはり栄養バーを知ってると言う事は最近の英霊、ゼロさんは先輩と年齢近い英霊なのでしょうか?」
「まぁ、この肉体は16か7の時の物だし間違っては無いよ。」
「やっぱりそうなんだ」
「その年齢で英霊に……一体、どんな偉業を?」
本当に、なんで僕のような化け物が英霊の座なんて場所に招かれたのか。
「アハハ、そんな偉業なんて無いよ。僕はただ………」
贖罪のために化け物の殺しをしていただけ。
「ゼロさん?どうかしました?」
「え?いや、何でもないよ。あと、折角食堂に案内して貰って悪いんだけど、僕の体って栄養バーしか受け付けなくてね。英霊だし、無くても良いんだけど、出来るなら少し貰えるかな?」
「そっか、ドクターやダヴィンチちゃんに相談してみるよ」
「ありがとうマスター、所で僕はこの後どうすれば?」
「一応、新しいサーヴァントだし皆に紹介かなって。一応、明日はゼロの力を見せて貰うのも込みで種火を取りにレイシフトする予定だよ」
「分かったよ。あと、出来れば紹介はしなくて良いよ。目立つのはあまり好きじゃ無いし、貰った自室に居させて貰うよ」
そう話しながら食堂を見回す。何処をみても、凄い英霊ばかりだ。騎士王達やぐだぐだ組、ジャックやナーサリー、ボイジャーと言った子供達。
そして、一つのテーブルを囲んでいる銀髪の少女とその少女とそっくりな褐色の少女に黒髪で大人しそうな少女。そんな少女達を見て微笑んでいる銀髪で白い服に帽子を被っている綺麗な女性と、そんな女性の隣に座る黒い外套を着ておりハンバーガーを食べる男性と、まるで本当の家族のように見える人たち。
「それに、僕にはとってこの場所は………少し眩しすぎるからさ。」
そう呟き、僕は食堂の入り口から自室へと向かう。それにしても、本当にどうして誰一人として救っていないはずの僕がサーヴァンなんかに成ったのかな。
カルデアの自室、家具としてあるのはベットと植木鉢くらい。現代っ子としてはパソコンが無いのは少し辛いかな?
そう思いながら元々持っていたスマホの電源を入れる。そこには、購入時から変わらないシンプルなの壁紙と少しのアプリが広がっている。
そんな携帯の音楽アプリで自信が造り続けてきた音楽を設定しベットに寝転ぶ。
思い出すのは、食堂にいた沢山のサーヴァント達。そんな中でも、みんなはいた。
「僕の事を、覚えてる人はいるのかな」
士郎、イリヤ、父さん、母さん、リズ、セラ。僕は、もう貴女方と会えるような人達と触れ合う事が出来るような人じゃ無くなったんだ。
そう改めて認識をする、なにも変わらない。生きていた時と同じだ、何も思うことはない。
その時だ、自室の入り口の扉がノックされ僕はスマホの音楽を止めイヤホンを着けたまま扉を開ける。
一体誰だ?マスターとは明日に話すこととなっているはず
「急にすまない、君が新しく召喚されたサーヴァントで、会っているか?」
かつての姿から考えられないほどに鍛え上げられた肉体、そして褐色となった肌に色の抜けた髪。恐らくは僕の事など記憶に無いであろう彼はそう僕に問いかけてきた。
「そうだけど、貴方は?」
「俺はエミヤと言う、一応食堂の管理を任されている。」
「どうして、そんな貴方が僕に?」
「サーヴァントの好みや苦手な物を調理をしている者として知っておかなければならなくてね。君の食については知っておかなければならない。それと、今後は共に戦うのだから、挨拶は大事だと思ってね。」
全く、何処まで行ってどんな姿になっても人を気遣うそのお人好しは変わらないな、
「態々来て貰ってありがとうございます。でもごめん、僕の体は栄養バーしか受け付けなくて。あまり食堂の方には行かないと思うけど、よろしくお願いします、エミヤさん」
「栄養バーしか?だがそれだと必要は栄養は接種できるが………。」
そう言って顎に手を当てて考え出すエミヤ。頼む、出来るなら速く、目の前から消えてくれ。
これ以上、僕に関わらないでくれ。僕は貴方と言葉を這わして良いような人じゃない、一つの世界の全てを狂わせたかもしれない化け物なんだ。これ以上一緒にいたら、望んでしまう
あの人達の元へと帰りたいと言う封じていた思いを。近付いてはいけない、気付かれては行けないと言う自身で定めたってルールを。
「所で、飲み物のような物なら大丈夫か?」
「え?そう、ですね。大丈夫、だと思います。」
「そうか、なら明日の朝に食堂に来てくれ。スムージーでも作って置こう、栄養バー以外の物も、少しは体に入れた方が良い。それでは失礼する」
そう言って去っていくエミヤ、取り敢えず明日の朝には食堂に向かわなければ成らなくなった事に、少し憂鬱に感じた。せめて、あの人達には会わないようにしよう。
そう心に誓いながら、僕は再びベットへと潜り瞼を閉じた。
枕元に置いておいた携帯のアラームがなり、僕は目を覚ました。あの頃から急に敵の気配を感じる事が多く、寝ずに戦いに行くことが多かったことから、寝起きは悪くない。
布団から出て、持ち物を全て確認する。いつも通り持っている事を確認して、僕はフードを被る。一応、今の時間は朝のかなり速い時間だ。この時間ならあの人達に会わずに食堂に入る事が出来る。
そう思いながら自室を出る、こんな朝速くだと言うのにカルデア職員は忙しそうに通路を行き来している。
取り敢えず、お疲れ様ですと軽く頭を下げながら歩く。なぜかぎょっとした顔をされたけど英霊からこんな事を言わへること無かったりするのかな?
そう思いながら昨日覚えた食堂へと入る。やはり朝早くだから食堂にいるサーヴァントは少ないな。取り敢えず奥の厨房と思われる場所にいるエミヤの元へと向かうと、足音からか僕の方を向いたエミヤは直ぐに話しかけてきた。
「君か、直ぐに準備しよう。近くで待っていてくれ」
取り敢えず、近くで待てと呼ばれたので厨房近くのカウンターから少し離れた場所で片耳にイヤホンを着けスマホから音楽を流す。昨日はスムージーと言っていたし直ぐに終わるだろう。
イヤホンが流れる音楽に耳を傾け目を瞑る。
少しするとエミヤが僕を呼ぶ声が聞こえ、向かうとエミヤは通常の飲食店で出すようなコップより大きなコップに明るい色のスムージー、恐らくは柑橘系の果物を使ったのだろう、それの入ったコップにストローが刺さっているものを差し出してきた。
「待たせた、もしダメなら持ってきてくれ。此方で処理しよう」
「はい、ありがとうございます……」
そう言って近くの誰も座っていないテーブルへと座る。コップか、紙コップとかなら持ち帰れるんだけど、ガラスなら飲んで返さないとね。
そう思いながらストローを吸いスムージーを飲む。果物特有の酸味と甘味が感じられ、得に戻しそうにはなっていない。久しぶりだ、水と栄養バー以外の物を食べたのは。
取り敢えず食べられる事は分かったので、スマホの電子書籍を読みながらスムージーを飲む。色々なライトノベルをダウンロードしていたから、大量に作品が入っていて助かったな。
漫画を読みながら大きなコップに入ったスムージーを飲み進めていると、スマホの時計を見て、来てからかなりの時間が過ぎている事に気付いた。
取り敢えず、そろそろ部屋に戻ろうか。そう思っていた、その時だった。
「あ、あの………」
僕へと向けられたらしき声が聞こえた。聞こえてきた声に、何故?まさか、そんな事を思いながらスマホから目を離し、僕に声を掛けてきた少女を見て表情が変わりそうになる自分の顔をどうにか押さえる。目の前にいた少女はかつて、妹であった少女……イリヤスフィール・フォン・アインツベルンだったから。
「どうか、したのかな?」
そう言って僕は出来るだけ他人を装い、そう微笑む。フードを被っているから微笑んでいるかは見えないと思うけど。
「あ………」
すると、イリヤはその琥珀色の瞳から涙を流し僕の体へと近付きそのまま抱き付いてきた。
「!?えっと、どうかしたの?悲しい事でもあったのかな?」
驚きながら、イリヤを体から離そうとした。でも手が触れそうになったとき僕の手にあの化け物、吸血鬼を殺して付着した血で濡れている様に見えた。
思わず目を瞑り、再び瞼を開くとそこには普通の手がある。僕は、その手を彼女に触れさせずに下ろす。
見れば食堂の入り口近くで昨日みたイリヤと共にいた人達が固まっている。
「やっと、見つけたよ。ワタルお兄ちゃん」
そう泣きながら、嬉しそうに笑うイリヤに、僕は今から残酷な事をする。その行動で何れほどの後悔と罪悪感を感じるかは計り知れない。でも、拒絶しなければならない。僕は彼女達の家族じゃない、僕は触れあっては行けない。既にこの手は多くの血で汚れている。
「ごめんね、僕は君の言うワタル?さんじゃないよ」
出来るだけ優しい声色で、そう話しかけた。そんな否定の言葉にイリヤの笑顔は崩れた。
「で、でもワタルお兄ちゃんと同じ携帯を使ってるし!顔だって!」
それでも尚食い下がり話すイリヤに、僕はフードを脱ぎ彼女と目線を合わせる。
「世界には自分に似ている人が1人以上はいるらしいから、たまたま僕と君のお兄さんが似ているのんじゃないかな?それに君のお兄さんはこんな髪色だったかい?」
そう言って片手で髪を見せるように弄る。
「ワタルお兄ちゃんは、黒髪……だけど」
すると、イリヤの声が段々と小さくなっていく。その声も僕が違うと分かったのか弱々しくなっていった。
「携帯はたまたま同じ機種だったんじゃないかな?ごめんね、僕は君のお兄さんじゃない」
そう言った瞬間、イリヤは床に膝を付いた。すると、扉の奥で固まっていた人達がイリヤの元へと駆けてくる。
「イリヤちゃん!どうしたの!?」
そしてそのまま涙を流し続けている彼女を白い服を纏った綺麗な女性が抱き締め、此方を睨み付けてくる、だが即座に先程のイリヤと同じように顔を驚愕に染めた。
「うそ、よね………ワタル?」
「人違いです、すいませんが失礼します」
僕にはどうすることも出来ない。貴方達に合わせる顔も無ければ、触れ合う資格すらない僕には。
僕はフードを被り直し、空になったコップをカウンターに持っていく。するとそこには静かに僕を睨むエミヤがいた。
「……………」
僕は静かにコップを置いて、食堂の入り口へと向かう。両耳にイヤホンを付け回りの音を切る。チラリと先程のイリヤ達のいた場所を見れば、イリヤの友達と思われる人達が女性とイリヤを心配し、此方を静かに睨んでいた。
僕はそんな彼女達から目を反らし、自室へと向かった。そう言えば、種火のレイシフトはあとどのくらいしたらやるのかな?
イリヤside
久しぶりに、夢を見た。まだクロがいない時の話。お兄ちゃんがいてセラとリズがいてパパとママとワタルお兄ちゃんがまだ楽しく過ごしていた頃の夢。
でも、今私がいるのはカルデア。いるのはパパとママとクロとミユだけ。お兄ちゃんの似た村正さんはいるけど、あまり話さない。
今頃、ワタルお兄ちゃんは何をしてるのかな?
そう思いながら、思い出すのはワタルお兄ちゃんを最後に見た日のこと。
門限を過ぎてから帰ってきたあの日。ワタルお兄ちゃんがセラに怒られ、閉められていくドアの隙間から見えた全てに絶望し、此方へと手を伸ばすワタルお兄ちゃんの顔。泣きそうな、苦しそうな、そんな心を締め付けさせるよう顔をしていた。
そしてその日からワタルお兄ちゃんは居なくなった。何処を探しても見付からず警察の人達にお願いしても見付からない。
そんな状況にパパとママはお仕事から帰ってきた。ワタルお兄ちゃんの失踪に話し合うなか、ママとリズは、皆にワタルお兄ちゃんが秘密にしてきた事を告げられた。
それはお兄ちゃんが有名な音楽投稿者00その人である、音楽で稼いだお金をお家に居れていた事。それを聞いて、みんなが驚きセラは凄く後悔していた。毎日のようにもう少し優しく接してあげられていたらと呟いていた。
ママの話によると、ワタルお兄ちゃんが出ていってからもお金は振り込まれ続けられているらしい。だからきっとワタルお兄ちゃんは生きている。
だから私もいつかワタルお兄ちゃんと会えるって信じてる。生きているならいつかは会える機会があるのだから。
ミユやクロ、ママと一緒に食堂へと向かう。パパは食堂にいるらしい。みんなで談笑しながら歩いていて、ふと思い出した。
そう言えば、昨日マスターさんが英霊召喚をしたんだよね?今度はどんな人が来たのかな?
そんな事を考えながら食堂へと入る。沢山の英霊達が食事している。アルトリアさん達は今日も沢山食べているし、元気そうで厨房のエミヤさんは忙しそうにしている。
そんな厨房の近くに見たことの無い人がいた。此方に背を向けてフードを被って誰も居ないテーブルに座り1人携帯を弄りながらスムージーを飲んでいる人。
あの人が昨日召喚された新しい英霊さん、なのかな?
そう思いながら近付き、その人の使っている携帯がワタルお兄ちゃんと同じだった。次の瞬間その背中がワタルお兄ちゃんが部屋でゲームしている時の背中に重なって見える。
『ワタルお兄ちゃん!ご飯だよ!』
『え、もうご飯の時間?ありがとうイリヤ』
「あ、あの………」
気が付けば、話しかけていた。い、今更だけど話しかけちゃったよ!?どうしよう、挨拶しに来るぐらい自然だよね?
「どうか、したのかな?」
そう言って携帯から目線を私に向け、微笑むその人の顔はフードを被り少し見えずらかったが、確かに見えた。
少し変わってしまったけど、その優しそうな顔は確かにあの日、居なくなってしまったもう1人のお兄ちゃん。ワタルお兄ちゃんだった。
「あ………」
私の心がぐちゃぐちゃになって、訳が分からなくなった。思わずワタルお兄ちゃんに抱き付いてギュッと抱き締める。もう離さないように。
「!?えっと、どうかしたの?悲しい事でもあったのかな?」
そう語りかけてくる声に、ワタルお兄ちゃんなら私を安心させるように頭を撫でてくれるはず。そう期待した、でも頭を撫でるどころか体に触れてくれることすらなかった。
「やっと、見つけたよ。ワタルお兄ちゃん」
でも、やっと会えたことが嬉しくて私はそう笑った。やっとみんなで暮らせる。ワタルお兄ちゃんが居ない間にどんな事があったのか教えなきゃ、それにクロやミユの事も紹介しないと。
「ごめんね、僕は君の言うワタル?さんじゃないよ」
その考えは優しい声色で諭すようにそう言ったワタルお兄ちゃんの言葉に、私は一瞬何を言われたのか理解出来なかった。嫌だ、この人は絶対にワタルお兄ちゃんだ。きっと私たちに会うのが気まずくて嘘を付いてるんだ。
「で、でもワタルお兄ちゃんと同じ携帯を使ってるし!顔だって!」
だからお願い、認めて帰ってきて。
「世界には自分に似ている人が1人以上はいるらしいから、たまたま僕と君のお兄さんが似ているのんじゃないかな?それに君のお兄さんはこんな髪色だったかい?」
そう言ってフードを被り、私と顔を会わせるようにして髪を見せるワタルお兄ちゃんの髪は、黒ではなくて白だった。
「ワタルお兄ちゃんは、黒髪……だけど!」
髪なら染めたりすれば変わる、だからお願い。そんなこと言わないで、否定しないでよ
「携帯はたまたま同じ機種だったんじゃないかな?」
その言葉に私の心に、会えたと言う嬉しい気持ちに段々と皹が入っていく。
「ごめんね、僕は君のお兄さんじゃない」
そしてそんな一言の言葉で私の思いは砕け散った。目の前が真っ暗になって、体に力が入らない。膝を付いてそのまま何も出来ない。
悲しい、悲しい、悲しくて苦しくて、何より寂しい。
「イリヤちゃん!どうしたの!?」
見るとママが私を抱き締めていた。心配そうな目で私を私を見た後に、ワタルお兄ちゃんを睨む、でも直ぐに睨むのを止めた。
「うそ、よね………ワタル?」
「人違いです、すいませんが失礼します」
そう言ってワタルお兄ちゃんは去っていく。私やママとワタルお兄ちゃんの間に、まるで深い溝が広がっているように見えた。
それはまるで、もう家族に成ることは無いと告げるような程に深く広い溝が。
「イリヤにママ、大丈夫!?」
「大丈夫ですか?」
ミユが、クロが私たちを心配そうに見ていた。
「ワタルお兄ちゃんがいた」
「それって確かイリヤのもう1人のお兄さん、だよね?」
「うん………」
「確か昔に説教で出ていけって言われて本当に出ていっちゃったんだっけ?」
「えぇ、私が士郎を引き取るときに一緒に引き取った子よ。大人しくて、優しい子だった。」
そう言ってママは思いだすように目を細める。
「音楽が大好きで、色々な歌を作っていたわ。それこそ、沢山の人に注目されるような」
その言葉に過去に見に行ったアニメや映画を思い出した。いつもエンドロールには見覚えのある名前が乗っていた。
歌の歌詞は凄く綺麗で、でも歌によってはワタルお兄ちゃんの感情が表されるような物が多くて、会いたくて。だからそこ、やっと再開できたと思ったのに………。
本当に、あの人は似てるだけ?それともワタルお兄ちゃんが嘘を付いてるの?お願い、教えてよ。
本当の事を教えてよ。謝るから、寂しいよ、悲しいよ、苦しいよ。
お願いだから帰ってきてよ、もうあんな悲しい思いをするなんて嫌だ。
これは決断、人との触れ合い、姉妹との出会い
そんな些細な事に見える事が変わった…いや、
かつて家族だった少年は、
家族達と触れ合う自分を許さない。
自身はこの世界のイレギュラーであり、
多くの血に濡れてしまったから。
帰らぬ少年は贖罪を求め、
人理を守護する為その牙を振るう。
この後、00であることを刑部姫や黒髭に知られたり。他のサーヴァントの為に種火を周回し続けたり、村正やエミヤからイリヤを泣かせたことに付いて追求され戦うことになったり、ジャンヌとかマルタに相談したり、最終的に真名をマスターがばらしたり、最終的に自分から真名を名乗ったりするかも。
書いてて力尽きたのでここまでです。
ご愛読ありがとうございます
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