ラスボス転生 逆境から始まる乙女ゲームの最強兄妹になったので家族の為に運命を変えたい 作:ケツアゴ
「それにしても暑いですね。……汗で服が体に張り付いちゃって。あっ、この問題はどうやって解くんですか?」
リアスとアリアさんの為の勉強会だけれど、人に教える事は自分の役にも立つから僕の為でもある。……それに少しは役得も有るしね。
アリアさんの胸の辺りに服が張り付いて形が分かりやすいし、襟口に指を突っ込んで引っ張るものだから時々下着がチラチラ見えているし、露骨に見なくても無防備に近寄って質問して来るからチャンスは結構多い。こう云うのを役得って……はっ!
「……」
リ、リアスの視線が痛い。流石はリアス、僅かな目の動きで僕が何処を見ているのか察したんだ。机の下で足を蹴っているし、これは怒ってるな。いや、気のせいだって可能性も捨て切れない。って言うか捨てたくない。
「リアスは大丈夫?」
「……此処ってどう解くの?」
はい、アウト! 声に微妙にトゲを感じるし、完全に怒っている!
どうして怒っているんだ? 多分友達であるアリアさんに兄が変な視線送ったのが駄目だったか、巨乳に嫉妬したかのどっちかだな。
「えっと、ロノスさん。この最後の問題なんですけれど……」
「あっ、うん。此処だね。引っ掛け問題だから注意して解かないと」
アリアさんはアリアさんで暑いって言いながらも引っ付いて来るし、胸がさっきから何度も腕に押し当てられているんだよなあ。その度にリアスが不機嫌になって行くし、どうやって機嫌を直して貰えば良いんだろう?
「リアス、今日のかき氷には大きい苺が乗るらしいけれど、僕の分少しあげようか? リアスの好物だしさ」
作戦その1・食べ物で釣る! ……駄目だろうけれど。流石に其処までじゃ……。
「……苺?」
あっ、矢っ張りだめみたいだ。
リアスはペンを持つ止めて僕を見て来るけれど喜んでいるって感じじゃないし、苺程度で機嫌を直しはしないって事かな?
もしかして余計に怒らせた?
あー、でもリアスも成長したって事かな? ちょっと前まで僕にベッタリな甘えん坊な子だったのに、ちょっとの間に成長しちゃって。
双子とはいえ妹の成長って感慨深い物が有るよ。
年頃の女の子って扱いが難しいし、ちょっと寂しい気も……。
これからリアスが僕から離れて行くのは仕方無いけれど、想像しただけで胸がチクチクするのを感じた僕は胸に手を当てる。
「やったー! 約束よ、お兄様。後で駄目だって言っても貰っちゃうから。じゃあ、早速終わらせましょう!」
「……あー、うん。ちゃんと全部あげるよ」
そんな感傷はどうやら無駄だったらしく、黙り込んでいたと思ったら抱き付いて来ての大はしゃぎだ。
そっか、食べ物で釣れる子だったかあ。機嫌が良くなって助かったけれど、けれど……うん。
お姉ちゃん、僕達の妹は凄く単純な子でした。多分手から放れるのは当分先だと思います。……なんちゃって。
「あっ、早く終わらせたいからって適当に終わらせない。ちゃんと計算しなよ? 赤点なんて取ったらお小遣い減額だからね」
ちょっと目を離したら途中式も無しに前の問題と同じ回答を連続で書いている。まったく、何の為の勉強会なのか忘れているな。
「……はーい」
やれやれ、これは前途多難だね。ちゃんと臨海学校に参加出来たら良いんだけれど……。
さて、此処で臨海学校がゲームではどんなイベントだったのか思い出しておこう。幾つも用意されたコテージに二人一組に分かれるんだけれど、確か手違いで主人公が一番好感度の高い攻略キャラと同室になって(一定以上のが居ない場合は一人)、そのペアで水没した洞窟を進む……この程度しか思い出せない。
うーん、ボスが蟹か鮫だった気がするんだけれど、それ以外はさっぱりだよ。後でリアスに確認しないと。
こんな風に中途半端にしかゲームについて覚えていないのが不安なんだよね。もうゲーム通りに進む状態じゃない事が多いけれど僕達の行動に影響されない事もあるし、どう変わっているのか知れば今後の予測に役立つ
でもゲーム動画なんてサイト所かインターネットさえ存在しないし、この世界に存在したとしても魔女の楽園の動画なんてアップされる筈が無い。当然攻略本も売っていない。
なら、前世の記憶を深く思い出せば良くて、普通じゃ正確に思い出せなくても思い出す方法は存在する。
帝国に存在する国の管理下のダンジョン”忘れじの洞窟”。その最奥に安置された秘宝”追憶の宝珠”に触れれば思い出したい記憶を思い出せる。それがゲーム通りだとは既に情報を集めて確認しているんだけれど、問題はどうやって入るかだよなぁ。
「本当にどうしようか……」
目当ての宝は国宝で、洞窟は皇族の試練に使われる場所だ。二人のテストもそうだけれど、この事についても考える必要があるとか疲れるよ。……無理かなぁ。ゲームで入る許可を貰って来たアイザックは行方不明だしさ。
考える事が多くて困るよ。世界の危機とか知らない所で始まって、知らない内に知らない誰かが解決してくれたら良いのにさ。
チラッと見ればラスボスと主人公が最後の問題に頭を悩ませている。やれやれ、今は文字通り目の前の問題に集中しないとね。
「ん~! 冷たくて甘い物って最高ね。これは冬でも食べられるわ」
「冬は冬で温かくて甘い物が最高なんじゃないの? ほら、口元に練乳が付いてるよ」
今日のオヤツのかき氷は数少ない氷属性の使い手の能力を
「こ、こんな贅沢な物を出して貰って本当に良いんでしょうか……」
高品質の果肉が細かく刻まれた状態で入った氷は前日に仕込んでも溶けてなくて、口に入る時間帯を計算して調整した職人技が光る物だ。それに練乳を掛け、大粒の苺を幾つも乗せた物を口に運べば一瞬で楽園にご招待。暑さなんて吹っ飛ぶ最高の気分だ。
まあ、当然普通に買い求めれば並の貴族では手が出さないお値段だし、幸せそうに食べ進めながらも戸惑った様子を見せるアリアさん。
「別に気にしなくて良いわよ。お店に行って奢るとかじゃなくって雇っている料理人の用意した物を出しているんだし、ウチって月給制だから残業代とか休日出勤以外じゃ基本的にお給料は同じよ? だから食べようと思えば夏の間食べ放題!」
「そして調子に乗って食べ過ぎた結果、お腹を壊して寝込んだんだよね」
「じゅ、十二歳の時の話じゃない! もー! お兄様ったら!」
「あははは。ごめんごめん」
普段は恥じらいなんて皆無なのに友達の前で失敗談を語られるのは恥ずかしいのかリアスがポカポカと殴って来る。うん、微笑ましい光景だよね。その一撃一撃が常人なら打ち身になるレベルなのを除けばだけれど。実は今のリアスの腕の動き、アリアさんの目じゃ追い切れてないっぽい。
「苺少しは返してあげる気だったけれど、意地悪するお兄様には返してあーげない! あー! 苺甘ーい」
「ふふふ。お二人って本当に仲良しさんですね。じゃあ、私の分をロノスさんに分けちゃいます。はい、あーん」
「え?」
いや、スプーンで苺を掬って差し出して来るのは良いんだけれど、”あーん”ってされても恥ずかしいし。
アリアさんはニコニコしていて一切躊躇いが無いし、これって従うしかない流れ?
あっ、リアスと部屋の中にいたメイド達が一斉に顔を背けた。ナイスなチームワークだね。
「……あーん」
仕方無いから従ったけれど、これって間接キスだよね。あー、意識したら恥ずかしいや。
「アリアも大胆ね。恥ずかしがる様子無いし」
「ええ、ロノスさんの事が大好きですから。それに先日、水浴びの姿を目撃されてしまいましたし」
「ええっ!?」
ちょっ!? それを人前で言うの!?
アリアの影が薄い気が こっちの方がヒロインっぽいってキャラに投票してみて 尚、ゴリラは妹なので入りません
-
ポチ
-
レキア
-
夜鶴
-
ネーシャ
-
ハティ
-
レナ
-
パンドラ
-
サマエル
-
シロノ
-
アリア