此処はどこ?迷子の日本国   作:特殊作戦群

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とある事情で陸上自衛隊特殊部隊、特殊作戦群を去った、一ノ瀬優樹は自衛官時代の経験を買われとある大手企業の「危機管理部門」に再就職していた。


第1話~退屈な日常~

某企業 「危機管理部門」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

パソコンとにらめっこしつつ

 

「きな臭いな、やはりルートはBよりもDのルートに変更したほうが良いな」

 

呻いているのが俺だ。森園優樹元1等陸尉。元特殊作戦群所属の自衛隊員だった。今は御覧の通りスーツを着てパソコンで情報を集めてる「危機管理部門」担当のリーマンに過ぎない。

 

「森園君、明日まで頼んだ書類なんだが」

 

「出来てますよ、こちらに」

 

自身の上司に提出し

 

「ほうほうほう、流石元自衛隊員良く情報をまとめられているね。分かりやすくて助かるよ」

 

上司は言い渡した書類を細かく見ながら頷き言ってしまった。

 

「なぁなぁ、森園此処さぁ意見欲しいんだけどさどうだ?」

 

同じ中途採用枠で入社した岡崎真司さんに聞かれ、書類を見ると

 

「ここの海峡は、治安があまり良くない俺なら此処ではなく此処のルートを使うな。万が一の時は海自の艦艇や米海軍の艦隊に助けてもらえる。・・・・・」

 

書類を隈なく見て

 

「脅威判定もワンランク上かな」

 

助言し

 

「成る程な・・・流石元自衛官頼りになる。」

 

岡崎さんは言い自分のデスクに戻っていってしまう。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

また自分のデスクで仕事を黙々とこなす。そして昼に屋上にて

 

 

「流石・・・・元自衛官・・・か」

 

弁当を準備していると

 

「お待たせ、優樹」

 

別部門勤務の妻の真理奈が小袋を抱えてくる

 

「ごめんね、待たせて」

 

真理奈は言った。彼女との出会いはこの会社に就職してからであり、勤務する部門も違うのだが俺と真理奈には共通する事が一つあった。そう「お菓子」が好きである事だ。俺も現役のころも外出許可を取りお菓子の喰い歩き旅をやったりしていた。この会社に入社したのも「自衛隊」の息がかかってない綺麗な所であると同時に自分の好きな事を仕事にする第2のチャンスと捉えたからだ。だが現実は大いに違っていた。

 

「元・・・自衛官・・・か」

 

また呟くと

 

「どうしたの?」

 

聞かれ

 

「いや、何処に行っても俺のキャリアは「危機管理」に持ってかれるんだなって思ってさ・・・」

 

雲一つなく澄み切った青空を見て言い

 

「あ~成る程ね。」

 

真理奈は言い

 

「優樹はお菓子好きだもんね、確か最初は企画部希望だったらしいけども優樹の経歴にある元自衛官の経歴が「危機管理部門」の目に留まったからそっちに引っこ抜かれたのね」

 

真理奈は眼鏡を弄りつつ言い

 

「お菓子の企画あれこれ考えたりしたかったのに、毎日毎日危機管理担当の1人として情報収集ばかり・・・・これじゃぁ現役時代と何ら変わらない」

 

ため息をつく。

 

「でも私は感謝してるかな、優樹に」

 

真理奈は言い

 

「優樹が自衛隊を辞めなかったら、お菓子好きじゃなかったら、この会社に転職してこなかったら、このどれか一つでも欠けてたら私は運命の人と逢えなかった。この出会いに私は感謝してる。」

 

真理奈は笑顔で言い

 

「よく恥ずかしげもなく歯の浮くセリフが言えるな」

 

言うと

 

「貴方と結婚してから毎日が幸せなんだもの、イイじゃない」

 

真理奈は言い弁当を食べる。

 

「そっちは経理だよな、今は地獄か?」

 

聞き

 

「ええ、あっちこっちの部署の確認作業中よ」

 

言い

 

「こっちは原材料を乗せた船が安全に日本に来れるようにどのルートを使うと良いか、毎日その日の国際情勢から危機管理をしてるよ。」

 

特殊作戦群から離れ、自衛隊を除隊し民間企業に再就職しそして社内結婚したまではいいがどうしても「退屈」だと感じてしまう。幸せを感じててはいるもどうしてもつい2ヵ月前までは「非日常側」に居たのに今は表側に帰ってきている。

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

真理奈は箸を置き

 

「優樹・・・・自衛隊に戻りたい?」

 

唐突に言われ

 

「どうしてそう思う?」

 

聞くと

 

「私は自衛官時代の貴方を知らないけれどもさ、時々家でも黄昏てる時があるから心配だってお父さんがいってたから」

 

真理奈は答え

 

「成る程ね、どうだろうかな未練がないと言えば嘘にはなるけどもなんというかどう説明すればいいかわからないけれども・・・・」

 

言う中、時計を見て

 

「おっと、そろそろ昼休み終わりだ。」

 

喰い終わった弁当箱に蓋をして

 

「今日も美味しかったよ、ありがとう」

 

作ってくれた妻、真理奈にお礼を言い

 

「さぁ~~て午後からもしっかり頑張りますか」

 

背伸びをして弁当箱をもって階段を下り自身の担当部署室に戻るのだった。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

その後ろ姿を無言で真理奈は見送るのだった。そして会談を下りつつも

 

「自衛隊に未練かぁ・・・・・・」

 

自身の行った事を考えれば、今更自衛隊に戻ることは出来ない。それは変わらない認識だった。責任を取るべき奴が保身に走った以上誰かが「切腹」しなければならなかった

 

「{でも、良くしてくれる義両親や妻が居る身でまた戦場に戻るというのはナンセンスかな十分に戦ったと思う、でも心のどこかでそれを良しと思わない自分が居るんだよなぁ}」

 

複雑な心境を抱えつつも午後の就業の準備に入るのだった。




次回~地震~を予定しています。
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