世界が。皆が。私が。
ーー消える。

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 【単発】では、壱ノ瀬 葉月が、普段の生活でふと思い付いたことを小説にしていきます。単発内での時系列は繋がってたり、繋がってなかったり、繋がってても前だったり後だったりしますので、読みたいものだけお読みください。


【単発】キエル

 もし、この世界が偽物なら。

 もし、この世界が創られたものなら。

 もし、同じような世界がいくつもあるのなら。

 これを見ている人に伝えたい。

 

ーーもうやめて。

 

 

 それは、なんてことのない、普通の日常だった。少なくとも、それまでは日常だった。皆でご飯を食べたり、他愛のないことで盛り上がったり、はたまたどうでもいいようなことで口喧嘩になったり。同じようなことを繰り返すだけの日々。時々増えて。時々減って。離れて。近寄って。そんな日々を。何を願うことなく過ごしていた。

 

 けど、あるときにそれは壊れた。

 

 今までと同じように、人が近づいてきた。女の子だった。今までと同じように、ご飯を食べたり、話したり。けどあるとき、ふとこんなことを言った。

「あなたにはこれから、嫌なことが起きる」

 そんな話信じるはずもなかった。その日は、その言葉にはなんの気にも留めずに眠った。

 今思えば次の日から、嫌なことが起き始めていた。

 今まで中のよかった一人を見なくなった。1日経つにつれて、一人、また一人と。そのときは風邪だろうと思って、探すこともしなかった。けどあまりにも長く、そしてあまりにも多い。だんだんと怖くなった。でも探す気にもなれなかった。

 あの女の子は言った。

「失ったものは取り戻せない。それか、とても時間がかかる。気が遠くなるほどの時間が」

 深い意味はわからない。でも少しだけなら、分かる。それは警告だ。これまでなにもしなかった事に対する、警報。これからなにもしようとしない事に対する、警鐘。それでもなお、できなかった。なにをすれば良いのか分からなかった。周りに聞くことを、頼ることをできなかった。そんなこと、今までしたことがなかった。

 ある日の地方の新聞で、死んだ人を取り上げていた。それは、よく知っている人だった。一番最初に見なくなった人。発見されたのは最近だったが、死んでから数十日経っていたらしい。そしてその日が予想通りなら、私が見なくなった日と同じ。

 次の日も。次の日も。それは取り上げられていた。一人ずつ、見なくなった人が、その順番で。かすかな希望をもって追っていた。どこかで途切れて、生きていて、また会えるという、淡く、儚く、とても脆い希望。でもその希望は、当然のように散った。

 

 その日をさかいにしてか、人に会うことをしなくなった。正確には、人とえんを深めることをしなくなった。部屋にこもり、ご飯は最低限の出前。いつあの女の子が目の前に現れるか、何を告げられるのか分からない。そしてそれがとても怖かった。恐ろしくてたまらなかった。今でも怖い。

 じぶんが殺されることになるのもいや。まわりの人が死ぬのもいや。でも、こんな世界を見つづけるのはもっといや。だから、外とはかかわらない。なにもしない。でもーーでもいっそ、しんでしまったらどんなにらくになるのか。そのおもいをいだいたら、もうとめられない。

 だからわたしは、これをかいて、このせかいからきえる。

 

 もし、このセカイがニセモノなら。

 もし、このセカイがツクラレタモノなら。

 もし、おなじようなセカイがいくつもあるのなら。

 

 これをみている"ダレカ"につたえたい。

 

 

 

 

 もうやめて。


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