ーー消える。
もし、この世界が偽物なら。
もし、この世界が創られたものなら。
もし、同じような世界がいくつもあるのなら。
これを見ている人に伝えたい。
ーーもうやめて。
それは、なんてことのない、普通の日常だった。少なくとも、それまでは日常だった。皆でご飯を食べたり、他愛のないことで盛り上がったり、はたまたどうでもいいようなことで口喧嘩になったり。同じようなことを繰り返すだけの日々。時々増えて。時々減って。離れて。近寄って。そんな日々を。何を願うことなく過ごしていた。
けど、あるときにそれは壊れた。
今までと同じように、人が近づいてきた。女の子だった。今までと同じように、ご飯を食べたり、話したり。けどあるとき、ふとこんなことを言った。
「あなたにはこれから、嫌なことが起きる」
そんな話信じるはずもなかった。その日は、その言葉にはなんの気にも留めずに眠った。
今思えば次の日から、嫌なことが起き始めていた。
今まで中のよかった一人を見なくなった。1日経つにつれて、一人、また一人と。そのときは風邪だろうと思って、探すこともしなかった。けどあまりにも長く、そしてあまりにも多い。だんだんと怖くなった。でも探す気にもなれなかった。
あの女の子は言った。
「失ったものは取り戻せない。それか、とても時間がかかる。気が遠くなるほどの時間が」
深い意味はわからない。でも少しだけなら、分かる。それは警告だ。これまでなにもしなかった事に対する、警報。これからなにもしようとしない事に対する、警鐘。それでもなお、できなかった。なにをすれば良いのか分からなかった。周りに聞くことを、頼ることをできなかった。そんなこと、今までしたことがなかった。
ある日の地方の新聞で、死んだ人を取り上げていた。それは、よく知っている人だった。一番最初に見なくなった人。発見されたのは最近だったが、死んでから数十日経っていたらしい。そしてその日が予想通りなら、私が見なくなった日と同じ。
次の日も。次の日も。それは取り上げられていた。一人ずつ、見なくなった人が、その順番で。かすかな希望をもって追っていた。どこかで途切れて、生きていて、また会えるという、淡く、儚く、とても脆い希望。でもその希望は、当然のように散った。
その日をさかいにしてか、人に会うことをしなくなった。正確には、人とえんを深めることをしなくなった。部屋にこもり、ご飯は最低限の出前。いつあの女の子が目の前に現れるか、何を告げられるのか分からない。そしてそれがとても怖かった。恐ろしくてたまらなかった。今でも怖い。
じぶんが殺されることになるのもいや。まわりの人が死ぬのもいや。でも、こんな世界を見つづけるのはもっといや。だから、外とはかかわらない。なにもしない。でもーーでもいっそ、しんでしまったらどんなにらくになるのか。そのおもいをいだいたら、もうとめられない。
だからわたしは、これをかいて、このせかいからきえる。
もし、このセカイがニセモノなら。
もし、このセカイがツクラレタモノなら。
もし、おなじようなセカイがいくつもあるのなら。
これをみている"ダレカ"につたえたい。
もうやめて。