流星一条って知ってますか???   作:ぽぽぽっぽ共和国

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僕「ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ」


9話:俺に今、出来ること

「…………円堂、俺をベンチに下げてくれないか」

「何言ってんだ染岡!あんなに練習してたじゃないか!」

 

染岡がベンチ入りを申し出てきたが、俺と円堂、頑張りに付き合っていた松野や半田も説得して、なんとかコートに残ってもらった。

 

後半戦は、宍戸を目金と。栗松を影野と入れ替えてのキックオフとなった。頼むぜ染岡、お前なら出来るって本気で信じてんだ……。

 

「無駄だ無駄だァ!お前たちクズに何ができる!」

「向こうの監督、えらい変わりようッスね……」

 

尾刈斗の監督、ジキル監督は前半こそ穏やかに笑みを浮かべていたが、いまや鬼のような形相で高笑いをしている。まるで別人だ。

 

豪炎寺からパスを受け取り、後ろから上がってきた松野、少林とパスを回して染岡までボールを繋げた。

二度目のドラゴンクラッシューーまたしても成功せず、キラーブレードに止められた。というか真っ二つにされた。……そのボールって一応雷門の備品なんだけど、後で補填してもらえるんかな……。

 

「……ダメだ……すまねぇ、荒射。俺じゃあやっぱり……」

「弱気になるな染岡!円堂も言ってただろう、100回だめなら101回打てと!」

「けど廃部がかかってる!俺は……っ、俺なんかのために、サッカー部を潰したくねえ!やっとサッカーの面白さに気づいて、楽しくなってきたんだ……だから……」

「だったら尚更逃げるな、染岡!……ここで逃げたら、お前は一生、ストライカーという仕事から逃げることになるぞ!」

 

こんなに弱気な染岡は初めて見た。どんな時も円堂と並んで、チームを引っ張るような発言も以前から多かった。負けん気や短気が災いして、喧嘩になることも多かったが……でも、それだって染岡のいい所の一つだと思っていたから、染岡とサッカーを続けていたんだ。

 

何がそんなにお前のことを気負わせる?何が、そんなにお前にプレッシャーを掛けている……。

 

「ごちゃごちゃと仲間割れか!幽谷、とどめを刺してやれ!」

「まずい……くるぞ、あの技が!」

 

豪炎寺の声で俺はハッと顔をあげる。

まずい、声を出すタイミングが遅れた……いや、たとえ遅れていなかったとしても、俺の硬直する速度では注意が間に合わない……!クソ、言い争いをする前に、ゴーストロックについてハーフタイムの時に話しておくべきだった……!

 

「止まれ、マーレ、トマーレ……ゴースト、ロック!!!」

「くそっ、また、身体が……!」

 

俺や豪炎寺たちだけではなく、後ろにいる風丸や壁山、円堂達までやはり動きは完全に止まっている……!ここで2点目を入れられれば、良くても延長戦になる!体力の少ないメンバーで延長戦は、かなり厳しいぞ……。

 

なんとかしてゴーストロックを打ち破ろうと頭を回している間にも、幽谷はコートの中を王者の如く、薄ら笑いを浮かべて歩いていく。ゴール前までたどり着くのを見れば、もはや万事休すか、と諦めかけた時。

 

一陣の影が、幽谷からボールを奪い去った。

 

「…………は?」

「取った……!隙だらけだよ!」

 

ボールを足で抱えて前線に駆けてくるのは……影野!?なんでお前だけが動けるんだ!?

俺と同様のことを思ったのか、幽谷は間抜けな声をあげて走り去る影野を茫然と見つめていたが、ことの重大さを理解したのか慌てたように指示を出す。

 

「ご、ゴーストロック解除!な、なぜ……なぜ貴様だけが、動ける!?」

「簡単なことさ……僕の役割は影。チームを日陰から支えて、ストライカーにボールを回すこと。即ち……!」

 

 

「誰にも気づかれないように、こっそりゴーストロックから限界まで距離をとって、コートの隅に立っていたのさ!」

「そんな馬鹿なことがあるかァァァァ!?」

 

 

うそだろ、おい。

 

確かに存在感が薄いとは自分で言っていたが、そんなコート内部に居て、誰も気がつかないなんてことがあるか!?たしかにゴーストロックの正体は催眠術、かける側が意識しなければ成功する確率はグンと下がるだろう。

俺は千里眼スキルの恩恵なのか、一度も影野を見失ったりしたことが無かったから分からなかった……!コートの隅っこで棒立ちして何してんだとは思っていたが、そんなアホみたいな作戦が通用するとは……。幽谷やジキル監督も、ギャグ漫画みたいな顔してるじゃねーか。

 

だが、影野のお陰で九死に一生を得たのも事実だ。ゴーストロックが解除され、連発は出来ないのか俺たちは自由に動くことができている。

とうの影野本人は、「目立ってる……!この僕が目立ってる……!サッカー始めて良かった……!」と滂沱の涙を流しながら敵陣を爆速で駆け抜けてくる。

確かにかつてなく目立ってるけどよ、こんな形でいいのか……。俺はこんな時だというのに、普段と変わらず、ちょっとだけ苦笑をこぼしてしまった。

 

そして、影野はーー染岡へと、そのボールをつなげた。

俺でも豪炎寺でもなく、染岡へと。

 

「決めろ、染岡!君ならできるって信じてる……!」

「か、影野……」

「いいか、良く聞いてくれ!……君にボールを渡したのは、荒射の指示だからでも、キャプテンの指示だからでも、なんでもない!僕が、君ならできるって信じたんだ……!」

 

ーーーーーーーーーー

 

俺は、大馬鹿野郎だ。

一人で勝手に落ち込んで、一人で勝手に自信を無くしちまって。

 

……怖かったんだ。

ドラゴンクラッシュを打つことーー成功させてしまうこと、そのものが。

 

一度成功させた俺だからこそ分かるんだ。荒射のステラには及ばないのは勿論、豪炎寺のファイアトルネードにだって威力は足りてねえ。

 

同じフォワードで、同じストライカー。

 

あいつらがいるから、俺はひょっとしたらチームに要らないんじゃないか、なんて思っちまって。ちゃんとドラゴンクラッシュが成功してしまったら……比較して、がっかりされるんじゃねえか、なんて思うと怖くて撃てなかった。脚が震えちまうし、ドラゴンの強いイメージなんて持てなかった。円堂にも荒射にも、相談できなかった。会田さんにだけはなんとか話せたが、根本的な解決には至らなかった。

ずっと俺の中で不安が燻って、上手くシュートなんか撃てやしなかった。

 

だが、もう目は覚めた。

チームに必要とされてるんだって、今の一言で立ち直れた。……ありがとよ、影野……。

 

俺には荒射みたいなパワーも、豪炎寺みたいなパワーもねえ。

じゃあ、俺には何ができる?……いいや、俺にできるのは、噛みつくことだけだ。

 

パワーは要らない。最低限、ゴールネットに噛みつくだけの力があればそれでいい。

デカいだけが『龍』か?

違うだろう。小さくていい。まだ、二人には届かなくていい。

この一瞬を……こいつらとやるサッカーを繋ぐ力、それだけを今の俺にくれ……!

 

「……これが俺の……ドラゴンクラッシュ・ザ・リトル!!!」

 

小さな龍が、ゴールに向けて牙を剥く。

 

ーーーーーーーーー

 

「……疾い…………!」

 

なんだあのシュートは!?

染岡の放ったドラゴンクラッシュは、本来のドラゴンクラッシュとは似て非なるもの。蒼いドラゴンのオーラは小さく……いや、しかしエネルギーが足りないわけではない。あれは……ドラゴンクラッシュが、単純にコンパクトになっているのか?

 

スピードはある、だが間違いなく威力は落ちている。アレでは恐らく、ブレードを折るまでに至らない……!

 

「速さは認めるがパワーが足りないねェ!くらえ、キラーブレー……っ、!?」

 

尾刈斗のキーパー十三が、ドラゴンクラッシュ同様に青いエネルギーで構築されたブレードをボールに向けて振り下ろす。しかし、その刃は、当たらない。

 

ドラゴンクラッシュが、曲がった。

 

まるで子龍が身体を畝らせるように、鋭く速く、ブレードだけを紙一重で避けて……十三の奥、俺たちが求める場所。ゴールネットへと、その牙を届かせた。

誰もが唖然とする中で、聞こえる音はホイッスルのみ。

 

『ゴーーーーール!!!雷門、一点獲得!!!新技ドラゴンクラッシュ・ザ・リトルの見事な一撃で尾刈斗に追いつきました!!!』

「ぃよっしゃぁあァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!みたかお前ら!!!」

 

右腕を高くかかげて、染岡は吠えた。影野や豪炎寺、松野、壁山。円堂まで、ゴールから走ってきて染岡を称えている。もう、染岡は前を向いており、その表情には何処にも暗いものは見えなかった。

 

我らがストライカー、染岡竜吾の完全復活だ。




どうでしょうか。威力ではなく、こういった形での染岡の強化。いえ、これは強化ではなく見方によっては弱体化かもしれませんが、精一杯の染岡なりの答えとして撃たせました
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