流星一条って知ってますか???   作:ぽぽぽっぽ共和国

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11話:稲妻、不発

 

 

イナズマ落とし完成の一週間後、フットボールフロンティア地区予選一回戦の当日。稲妻駅から夏美以外は電車に乗りーーなんでも電車が嫌いらしくリムジンで来るとのことーー俺達は試合会場である野生中へとやって来た、のだが。

 

見渡す限りの緑色。一面は森で囲まれており、文明のぶの字も見えやしない。中学と言うより、ジャングルの集落とでも言った方が正しいんじゃねーのかこれは……。こんなところで本当にサッカー出来んのか?

 

「ひゃあぁっ!?な、なに、なによ貴方達!?」

「ぁ……っ、驚かせてごめんコケ!俺たちこんな立派な車を見るの初めてでつい……!」

「ウホ……都会モンはやっぱすげぇんだなぁ。軽トラくらいしかこの辺には無いから……ピカピカの車見てつい興奮しちまっただ。ほんとにごめんウホ」

 

夏美の悲鳴が聞こえ、何事かと全員で声の方向に走っていくと野生中のサッカー部員らしき人物が数名、夏未が乗って来たリムジンに物珍しげな表情を浮かべて……言い方は悪いがケーキに群がるアリの如く、と言った状況だった。まあしかし、何かされたわけではなく単純にリムジンを珍しがっているだけのようだ。

夏美に対してちゃんと謝ってるし、車に触ったりとかそう言うわけでもなし。意外といい奴らなのか?

 

「あ、自己紹介が遅れたコケ。俺は野生中サッカー部キャプテンの鶏井亮太だコケ。今日はよろしく、雷門の皆さん!……変な言葉遣いしてないコケ?」

「全然問題ないぜ!俺は雷門サッカー部キャプテン、円堂守だ!よろしくな、鶏井!負けねーぞ」

「それはこっちも同じだコケ!さ、ついてきてくれだコケ。この辺、土地勘がない人が歩き回ると遭難しちまうから、俺たちが先導するコケ」

「任せてくれウホ」

 

鶏井とゴリラっぽい生徒が俺たちの前に立って、山道を案内してくれる。ふつうに良い奴らなんだが……語尾のクセが、兎に角強い!!!キャラクターとしては一番正しい目立ち方をしてるぜお前ら……!!!

 

歩くこと数十分、山道を抜ければ校舎とサッカーグラウンドが見えてきた。マジでこんな場所にあるんだな……。

 

更衣室を借りて、ユニフォームに着替えてからグラウンドに向かえば、まあ当たり前といえば当たり前だが、周りは野生中の生徒達と、あとは夏美と監督、木野と音無と大谷……それから、壁山の弟だ。まさか一人で来たんか……???

 

とはいえブーイングやらなんやらが飛んでくるわけでもなく、声のほとんどは野生中サッカー部に向ける声援だ。この分だと不正も無さそうだし、問題ないな。

 

「ひー、雷門の人が誰もいない……当たり前ですけど、複雑でヤンスね」

「なーに、観客なんて気にすんなよ栗松!俺達はいつも通り、楽しんで全力で俺達のサッカーをすればいいのさ!」

「そうだな。しかし染岡、本当にいいのか?今回はベンチでいいなんて、おまえが言い出したときはどう言うことかと思ったぞ」

 

そう。今回の陣形は、フォワードに豪炎寺と壁山、俺。そしてミッドフィルダーはいつも通り、ディフェンダーには……壁山の穴を埋めるために、『あいつ』をスタメンとして出すことにした。とうの染岡は、にっと歯を見せる笑みを浮かべて腕を組んでいる。

 

「なーに、俺にも考えがあるのさ。それに……俺の代わりに頑張ってくれる奴がいるからな。なぁ、壁山……そんで、目金!」

「は、はいっ!が、頑張りますっス……!」

「ぼ、ぼぼぼ僕の初試合がフットボールフロンティア予選一回戦……?つとまるんでしょうか……」

 

そう、今回は目金の初試合だ。影野は前回目立てたから良いということで、彼の試合経験を積ませるためにも起用することになった。ま、緊張はしてるみたいだが……大丈夫さ。原作と違って、めちゃくちゃ努力してるからな、目金。

 

壁山もやる気はちゃんとあるみたいだし、イナズマ落としも練習で成功率は格段に上がった。あとは、いざという時に怖がったりしないか心配だが……まあ、円堂風にいうならなんとかなるさ。信用してるぜ、壁山。

 

ちなみに、俺の新必殺技はほぼ完成した。

この試合じゃ使う機会はないだろうけどな。

ーーーーーーーーー

 

フットボールフロンティア地区予選、その一回戦は雷門ボールで始まった。

ボールは豪炎寺スタート、俺に回ってくる。

勿論下がることはしない、そのまま敵陣までドリブルを続けていく。

 

「おっと、通さないコケ!……って、速ぁっ!?」

「風丸直伝の走りだぜ、悪いな!」

 

そう、実は俺たちは風丸の指導で走り方ーーフォームを整えた。効果は絶大、チーム全員のスピードアップに大きく繋がっており、今の俺は帝国戦の時とは比べ物にならないくらいのドリブルが可能になっている。鶏井を抜き去って、さらに奥ーーミッドフィルダーを豪炎寺との連携で崩し、そのまま豪炎寺にボールを渡す。……よし、壁山もきっちり上がってきている。

 

「行かさんウホ!!!」

「ふん、無理に押し通るまでだ!ヒート……タックル!!!」

 

そしてあの技、ヒートタックル。横から見ていて分かるが、やはり溜めが長い……!全身に炎のエネルギーを纏う特性上致し方ないが、高速技には対応できないだろう。たいていのブロックを弾き飛ばす強力な技なのは間違いないが、改良は必要だろうな。

見事豪炎寺はゴリラ……本名がわからないから、失礼だがゴリラと今は呼ばせてもらおう、彼を突破してゴール前まで駆け上がる。

 

「いくぞ壁山、こい!」

「は、はいっす!イナズマ……落と……っ!!?ご、豪炎寺さん、ダメっす!」

 

イナズマ落としの姿勢ーー壁山と豪炎寺が飛び上がったところで、壁山が眼を見開いて絶叫する。何事かと空中に目を向ければ、そこには。

 

豪炎寺がキープするボールを、空中で奪い去るカメレオンじみた選手の姿が、あった。

 

「な……なんだとォ!?」

「ふん、俺たちだって馬鹿じゃあない。事前に、とんでもない跳躍をする選手が居るって聞いていてな……それはお前じゃないみたいだけどな。兎に角、特訓していたのはお前らだけじゃないんだよ!」

 

カメレオンの真下には、先ほど突破したゴリラの姿。野郎……『投げた』な!

単身での跳躍では届かない、故に跳躍と、空中での投げを組み合わせてイナズマ落としに届かせやがった!あれではだめだ、イナズマ落としは発生も速い技ではない……あの跳躍があるかぎり、ボールを無駄に奪われるだけで発動できない……!

カメレオンは着地と同時にパスをつなげ、一気に俺たちの陣地まで攻め上げてくる。

 

「くっ……だめだ、イナズマ落としは使えない!円堂、行ったぞ!」

「わかってる!後ろは任せてくれ!」

 

その後、前半戦は0-0のスコアを保ったまま終了した。しかし、必死に練習したイナズマ落としが通用しないとわかったいま……必殺技を防ぎ切った野生中とは裏腹に、士気に大きな差が出来てしまっていた。

 

イナズマ落とし、破れる。

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