UA20000突破。
お気に入り1000突破。
僕「( ᐛ)バナナ」
グラウンドに整列する雷門チームと、対戦校の尾刈斗の連中。……毎度思ってるが、幽谷はあの状態でなんで前が見えてるんだ?それが一番ホラーだわ。
この試合に勝つことが出来れば、学校から正式にフットボールフロンティア出場が認められることとなる。しかしながら、負けてしまえば即廃部。リスクとリターンのつり合っていない試合だが、こうなった以上はやるしかない。それに、負ける気なんてさらさら無いしな。
ただ……染岡のことが気がかりだ。いつもはチームの士気を上げる存在なのに、そのあいつがグラウンドに立ってもなお、ずっと思い詰めた表情をしている。
陣形は今までとは多少変わり、フォワードにはセンターに豪炎寺、両隣に俺と染岡が。ミッドフィルダーには半田、少林、松野。ディフェンダーには風丸、宍戸、栗松、壁山。ゴールキーパーは、言わずもがな円堂だ。ベンチからは「頑張れよ!」「頑張ってくださーい!」と影野と目金。俺はサムズアップだけをして答えて見せた。
尾刈斗のやつらは……また変わった陣形だな。幽谷をワントップに置いて、ピラミッドのように広がる陣形を取っている。ゴールキーパーは、仮面を付けたまたおかしな奴。なんか頭に蝋燭つけてる奴も包帯ぐるぐる巻きのいるし、色々大丈夫なんか?
『さあ試合開始のホイッスル!ボールは尾刈斗中からのスタートです!』
などと余計なことを考えていると、ホイッスルが鳴って試合が始まった。キャプテンである幽谷が、後ろにいる先ほどの蝋燭をつけた生徒ーー八ツ墓にボールをバックパス。遠いな、少しずつ責めてくるつもりだ。俺と豪炎寺、ミッドフィルダーからは松野と半田が上がり、ボールを奪いにかかる。
が、これは素直に相手が上手い。さらにバックパスを経由してから包帯生徒ーー木乃伊、そしてその前に上がっている吸血鬼のような生徒ーーブラッドへボールを回した。パスが綺麗だな、俺たちもこれは見習うべき点だろう。
「風丸!」
「ああ、分かってる!ここは通さない……!」
駆けるブラッドの前に立ちはだかるのは、風丸。ドリブル技は習得していたが、ブロック技はまだない風丸だ。止めるのは難しいか……?
「ほう……では、我が『のろい』を受けてみるがいい!」
「な……!?」
やはり厳しいか。ブラッドの影から伸びる謎のヒトガタが風丸を縛りつけ、瞬く間にボールラインを上げていく。ていうかそれどーやってんのかめちゃくちゃ気になるんだけど。
ブラッドは脚も中々に早く、壁山のフォローも間に合わずにゴール前へとたどり着く。さぁ、円堂……お前の必殺技、見せてくれ。病院送りで帝国の時はこの目で見れなかったからな……!
「……ファントム、シュートォ!」
ボールをファイアトルネード同様に踵で蹴り上げれば、紫色のエネルギーを纏って発光する。禍々しい、というよりは不気味な色をしたそれは、ブラッドが蹴り出すと同時に六つのエネルギーとなって分かれて、ゴールへと向かう。相手を惑わせながら突き進みーーゴールの前で一つに収束、多少の威力減衰はあるものの必殺シュートの威力を保ったまま、円堂へ襲いかかる。
「ーーゴッドハンド!!!」
しかし、流石は我らがキャプテン。右手から黄金色の稲妻を伴った巨大な神の手が、そのボールをがっちりと受け止める。無論弾かれることなどあるはずもなく、手の中にボールは収まっている。
「くぅっ、いいシュートだぜ!けどこっちも負けてないぞ……風丸!」
「今度こそ任せてくれ……!」
円堂がパスを出したのは風丸。しっかりとトラップでボールを捕まえて、ブラッドや幽谷を抜き去って敵陣へと向かう。お前ディフェンダーなの忘れてないよな大丈夫……?
包帯を巻いた生徒ーー木乃伊が風丸の前に立ち、その腕を地面に当てて呪いの腕で風丸を捕らえようと試みる。だからそれどーやってんの???
「遅い、そんな腕に捕まるものか!疾風ダッシュ!」
「ばかな、怨霊が避けられた!?」
ボールをキープしたまま、一瞬だけ風丸が見えなくなるほど加速する。当然、地面から生えてくるラグのある腕に捕まるわけもなく悠々突破。そのまま風丸のボールは俺へ、そして俺は……染岡に、ボールを渡した。
「あ、荒射!?」
「染岡、決めろ!不安がるな、お前なら出来る!」
原作知識とは別に、本心からそう思う。負けず嫌いで、そのくせ割とメンタルは弱いが、それでも努力を続ける染岡のことを俺は信じていた。
ドラゴンクラッシュは、シンプルな技だ。染岡の実力が足りないわけじゃない、龍のイメージさえしっかり保てれば打てるはずなんだ……!
「走り込みを、更に早く……!足を、高く振り上げて……!ドラゴンを、イメージ……っ、ドラゴン、クラッシュ!!!」
ーー染岡の打つシュートには、龍は浮かばない。威力やフォームは綺麗にできている、よほど練習したのは見ていてわかるくらいだ。
……だが、必殺シュートに一番必要なもの。明確な、『相手のゴールを奪ってやる!俺ならば奪える!』という、自信や気迫が足りない。豪炎寺や俺との比較が、染岡の一押しを奪っているのだろう。
「何がドラゴンだ、大したことないね!キラーブレード!」
尾刈斗のゴールキーパー、仮面を被った選手ーー十三が腕から蒼いエネルギーを、剣状に収束させてボールを切り裂いた。エネルギーを綺麗に固める技術がなけりゃ出来ない技だな。……でもボールをぶった切るんじゃねえ!
何事もなく新しいボールが審判によって投げ込まれる。もう感覚が麻痺してきたなおい……。
「…………だめ、か……」
「染岡、もう1本渡すぜ。次はちゃんと決めていこう」
「でもよ……」
「お前が努力してんのは皆分かってる。なぁに、一発外したくらいで気にすんな」
それでも、染岡の表情は晴れないまま。そして、俺が最も恐れていた事態が引き起こってしまった。
「ひひ、見せてやりな幽谷!尾刈斗のサッカーをよ!」
「お任せください、地木流監督……!ククク……止まれ、止まれ、マーレ…トマーレ……!」
あの構えは……まずい!
3人による揺らめくような動作に、独特の掛け声による集団催眠術。目を閉じろと叫ぶ暇もなく、技が完成してしまった。
「ゴーストロック!!!」
俺はこの技を避けることが出来ない。
一重にーーこの身体は、あまりにも『目がよすぎる』。相手の選手の細かい動きすらも見えてしまうため、視界に少しでも入れば終わり、足が動かなくなる。はっきり言って、対策などもしようがない、俺にとっての天敵とも言える技なのだ。
「あ、足が……動かない!?」
「ど、どうなってるでヤンス!?」
幽谷は、そのまま平原を行くがごとく堂々とボールをゴール前へ。
ゴッドハンドを発動できるわけもなく、幽谷のファントムシュートがネットを揺らして、ホイッスル。
試合は尾刈斗の一点先取で、前半戦が終わってしまった。