僕のヒーローアカデミア~究極生命体幼女RTA~ 作:ヴィヴィオ
その依頼が来た時は驚いた。例のオール・フォー・ワンが関わっている事が確定した研究所から逃げ出した実験体の少女。その少女が友達と一緒に家出したというのだ。
「やはり、あの時に捕らえているべきだったのです!」
「そんな事はないよ。彼女の生活態度は問題なく……とは、言わないけれど問題ないみたいだったし」
「ああ、そこは保証しよう。今回、水錬が逃げだしたのは預かっている少女、瑞鶴と離れないためだ。数年ほど一緒に住んでいたせいで、離れることが受け入れられなかったのだろう」
「ほら、大丈夫じゃないか」
「ですが……」
「問題がない。とも言っていない。学校にも行きたがらずにひたすら水中や海底で訓練をしている。目標は打倒オールマイトらしいぞ」
「私か!?」
「あの時、勝てなかったのがよほど悔しかったのだろうな」
確かにあの時は簡単に捕まえる事が出来た。だが、年齢にしてはかなり強かった。それがどれだけ成長しているのか、気になる。
「それで今回の依頼はなんですか?」
「捕獲だ。居場所は判明しているが、連れ戻しに行っても激しい抵抗にあっている。もう二人を離す事を諦めたと伝えても信じてくれなくてな……」
「ヒーローのギャングオルカとそのサイドキックでも無理だったのですか?」
「“個性”の使用申請を出して妻たちや実家にも手伝ってもらい、潜水艦や船を複数だしたのだが……それでも無理だった。広い太平洋では捕まえる前に接近を感知されて逃げられる」
「それはまあ……」
「HAHAHA!」
やはり彼女は成長しているのだろう。これは一筋縄では行かないかもしれない。
「受けてくれるか?」
「ああ、受けよう。二人を捕まえて話を聞くようにすればいいんだね?」
「それで頼む」
「しかし、捕まえてまた逃げだされたらどうするのですか?」
「それについては原因になった者達も反省しているから、大丈夫だと思う。それに子育てのために専門家も雇うことにした」
「なるほど」
受ける事を決め、移動を開始する。事務所の屋上にヘリが用意されているらしいので、それに乗って彼女達が出没する無人島へと移動する。その時に知ったのだが、今日で七十日目になるらしい。はやく保護してあげないと大変なことになる。
ヘリに乗り、タンカーを経由してやってきた無人島。私はそこに飛び降りると、他にもたくさんあるヘリから軍服を着た人達がパラシュートで降下していく。
彼等は瑞鶴という子の母親の“個性”で生み出されている存在らしい。その他にも潜水艦や複数の船が無人島を包囲しているので、彼女達の本気が伺える。
『オールマイト、大丈夫? 一応、逃げられないように包囲はしてあるわ』
「銃が見えるが、撃ったりしないよね?」
『こちらからは麻酔しか撃たないわ。ちなみに向こうは模擬弾を撃ってくるから気をつけて』
『スタングレネードも使ってくる。相手は四人だが、そのうちの二人は軍人でゲリラ戦も経験しているプロだ』
「それはまた……」
『その二人は“個性”だから、潰して問題ないからね』
「了解」
インカムから伝えられる二人の母親からの情報を聞きながら、島に踏み込む。着地と同時に……カチっという音と共に地面が爆発する。
「なっ!?」
『来るぞ』
地面が爆発されて浮かび上がったところを奥のジャングルから銃弾が飛来する。それを殴り飛ばし、後ろの空気を蹴ってジャングルへと突入する。すると、木々の間に張り巡らされたワイヤーにひっかかり、その先に仕掛けられていた無数の手榴弾が目に入る。
「やばっ!?」
爆発と同時に破片が皮膚へと突き刺さる……前に筋肉の鎧で全てを弾く!
「実弾はないんじゃなかったか? 確実に殺しにきてるよ!」
『相手がオールマイトだから、これぐらいは平気と思ってるのかもしれないわね』
その時、奥から飛来した弾丸を指で受け止めて潰す。少し皮膚がすり減った。射線の先を見ると、狙撃銃を構えている軍服姿のショートボブの赤毛少女が見えた。スコープごしに赤みを帯びた茶褐色の瞳が見えたけれど、驚愕に彩られていた。
『ひとつ思うのだけど、あなた人間?』
「失礼だね。人間だよ!」
『アンチマテリアルライフルの弾丸を素手で掴んで潰す存在が人間か。ジョークだな』
「HAHAHA!」
笑っていると、彼女は次にどでかい物を取り出してきた。そう、駆逐艦とかで使われている対空砲とかそんなの。
「一つ聞くが、君の“個性”は海軍に関するものかね?」
『その通りよ。うちはどちらかというと特殊作戦群の所属部隊だったから、海軍と海兵隊としての活動もしていたわ』
轟音と共に二つの方向から放たれる銃弾の嵐。流石にこれは私でも少し傷を負うので、回避する。
『オールマイト、反応が上から来ている。その子達は囮だ』
「っ!?」
上を見ると魚雷を持って降って来る二人の幼い少女。気付いたからか、声をあげてくる。
「「やぁぁぁぁぁっ!」」
『あの魚雷はヤバイぞ!』
「見たらわかる!」
魚雷には放射能のマークが施されている。つまり、アレが爆発したらこの島ぐらいは吹き飛ぶだろう。私が取れる選択肢は二つ。一つは彼女達ごと魚雷を吹き飛ばして、上空で爆発させること。だが、それは二人が死ぬ。つまり、その選択はできない。
「しかし、これはまるで……アイツのよう、だッ!」
地面を蹴って近づき、二人を抵抗される前に掴んで、下にやってから蹴りで爆発する前に遥か上空へと叩きあげる。反動で砂浜にクレーターを作りながら着地する。
同時に上空で爆発が起きて中から無数の鉄球が降り注いでくる。どうやら、あの魚雷についていた放射能のマークは偽物だったようで、クラスター爆弾だったようだ。
「正気かっ!?」
二人を浜辺に降ろし、全力で風圧を飛ばして鉄球を弾き飛ばす。その瞬間──
「かはっ!? 」
──両サイドから脇腹目掛けて拳が同じタイミングで一切の狂いなく放たれ、衝撃が逃げることもできずに体内を破壊された。吐血しながらも鉄球はどうにかできた。
「オールマイトなら、そうするって神様が言ってた」
「レッちゃんの言う通りだったね」
私の脇腹に拳を付けたままの彼女達。私は即座に拳を振り下ろす。だが、その前に下がられた。
「君、達は……わかっていて、命を賭けたのか?」
「だって、助けてくれるって神様が言ってたもん」
「確実に一撃いれられるってレッちゃんが言ってたから」
この二人の言葉から、考えられるのは……神様という存在がAFOである可能性が非常に高い。アイツならこれぐらいは平気でやってみせるだろう。
「どうする、レッちゃん?」
「勝てないけど、経験値になるって神様が言ってるから訓練続行だよ、ずーちゃん」
「うん、わかった」
ハイタッチをしてから構えを取る二人。彼女達はこれが訓練だと思っているようだ。私は彼女達を殺さない。故に実戦経験を得られると思われているのだろう。
「あ、言い忘れてた」
「そうだね、レッちゃん」
「ん。一緒に言おう」
「うん」
二人はこちらを見ながらそろえて告げてきた。
「「あ~そ~ぼ~」」
そう言いながら、こちらに蹴りを放ってくる。それを掴んで捕獲しようとすると、いつの間にか手に握られていた手榴弾が目の前に放たれる。即座に彼女を投げてガードすると、フラッシュグレネードだったようで、閃光で視界が焼かれる。背後から気配を感じて蹴りを放つと、そこには瑞鶴という少女が居た。
彼女達は互いに連携して左右から同じ場所を狙ってくる。そうでないとダメージが入らないのをわかっているようだ。
「これは遊びじゃないぞ!」
「遊びだよ?」
「遊びだよね?」
「深海で毎日やってるもん」
「毎日やってる」
少女達の拳は七歳や八歳が放つには威力がありすぎる。私の軽い攻撃を防ぎ、迎撃してくるほどだ。本気を出せば制圧は容易いだろうが、それは彼女達の身体が壊れてしまう。
「どういう教育をしているのかな!?」
『毎日、水底や海底で遊んでいるとは思っていたが、こんな事をしているとは思っていなかったの……』
『動物と楽しく遊んでいるものだと……』
『俺はてっきり、ヒーローになるための訓練だと……』
間違いではない。間違いではないんだろう。
「君達はヒーローを目指して、いるのかな?」
「目指してるの?」
「ん~? お~るまいと~とおーるなんとかというのを倒すのが目的だよ~って、神様が言ってる!」
「っ!?」
彼女達はオール・フォー・ワンの事を知っているのか。それにしても、アイツと私を倒す為に鍛えているとは……ならば私がやる事は一つ。
「いいだろう。私が存分に相手をしてあげようじゃないか」
「「本当!?」」
「ただし、危険な行為は無しだ。素手でかかってきなさい」
「「わかった」」
「それと最後に……お父さんのようにヒーローになること。出来るかい?」
「「ん!」」
「よろしい。じゃあ、きなさい」
「いくよずーちゃん!」
「うん、レッちゃん!」
彼女達が言う神様が誰かわからないが、利用されている事は確実だ。だからこそ、その呪縛から解き放つためにもしっかりとヒーローになるように導かねばならない。
それにオール・フォー・ワンは私が倒す。だから、彼女達がすることはヒーローとして私を超える事。そういう風に倒すよう目的を変えてしまえばいい。何、彼女達もどのような手段で倒すとは言っていない。ならば、やるしかないだろう! 道を間違える子供を導いて助けるのもまたヒーローだ!
ヴィラン側に一緒にくる深海棲艦
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