転生先をミスった羽衣狐が居るらしい、まぁ妾なんじゃが… 作:山吹乙女
投稿が遅れて申し訳ありません…月末と月初はめちゃくちゃ忙しいのです
すみません、あと今回もオリジナルの技が出てきますので耐性がない方は…頑張ってお読み頂けたらと思います
そして毎度ながら誤字報告助かっております。(本当は気をつけないといけないのですが)
「ねぇ、それにしてもさっきからよく悠二周りの映像切れるよね」
私たちも思っていたことを五条先生が口にした
映像では野薔薇ちゃんと西宮さん、伏黒くんと加茂さんに加えて禪院先輩と三輪さんの戦いが禪院先輩の太刀取りを皮切りに終わったあたりです。パンダ先輩とメカ丸さん?の勝負は既にパンダ先輩が勝ち呪霊狩りに専念しています。パンダ先輩がメカ丸さんを倒す為にゴリラになった時はゴリラ先輩と呼ぶべきか悩みましたね
そして五条先生の言葉通りモニターの数が6つあるので残りの人を映すことができるのに、まるで"敢えてそうしていない"ように感じる。狗巻先輩の映像も頻繁に映していないので虎杖くんだけに言えたことではないけど、まるで"子供が悪さをしたときに咄嗟に背中で隠すような"始末が悪い印象を覚える
『あの東堂とかいう男も映っておらぬのぅ』
「動物は気まぐれだからね、視覚を共有するのも疲れるし」
「えー本当かなぁ、ぶっちゃけ冥さんって"どっち側"?」
この"どっち側"というのは五条先生に以前聞かされた虎杖くんの処遇を決める目と鼻の先にいる京都の学長を含めた上層部絡みのことでしょうね。宿儺の器として生かす五条先生サイドと宿儺の危険性から即死刑を選びたい呪術界上層部、どちらについているかというものですね
ちなみに冥さんは術式でカラスの視野を共有してモニターに映しているらしいです。6体操って視野を共有するのであれば確かに疲れそうですけどね
「どっち?私は金の味方だよ。金に換えられないモノに価値はないからね、なにせ金に換えられないんだから」
『フ…下賤な考えじゃ』
「そうかしら、貯金を育成するゲームのようなものよ。あなたも私に通ずるところがありそうなものだけどね。そうね、例えばあなたさっきから仲間や先輩の戦いをスポーツ観戦のように見ている点かしら」
確かにお狐様も余興を常に求めていたり面白そうなおもちゃを探したりしていますし、最近は野薔薇ちゃん伏黒くん虎杖くんの面倒見がいいですから"その手"のゲームは好きですよね
「おっ、動いたね」
五条先生が京都の学長に「いくら積んだんだか」と嫌味らしく"独り言"をぼやいていたところ壁に貼り付けてあるお札の残りの10枚のうち1枚が赤く燃えた
確か赤は東京高が祓ったらときに燃える色であったのでモニターに映っていない誰かが祓ったのだろう。おそらく狗巻先輩か手の空いたパンダ先輩のどちらかだと思う
「1対1かぁ、皆ゲームに興味なさ過ぎない?」
確かにスタートしてそこそこの時間は経っているはずなのでこの進み具合はおかしいのだろう
「なんで仲良くできないのかしら」
「歌姫に似たんでしょ」
「私はアンタだけよ」
これで歌姫先生が本当に五条先生を嫌っている風でなければイチャイチャしてるように見えるんですけど、歌姫先生の反応が凄く素っ気ないのでその線はないんですよね
禪院姉妹の戦いも禪院真希先輩の勝利で終わったところモニターの一つに携帯を片手に持つ三輪さんが映っていたところ彼女はなんの脈絡もなく膝から崩れ落ちた
「あーあ寝ちゃった」
前触れなく倒れ伏せたのは三輪さんの電話相手が狗巻先輩だったのだろう。呪言使いなので格下や実力が拮抗相手には簡単な言葉で無力化できるのは楽で良さそうですよね
「私ちょっと行ってくる」
「え?」
「呪霊がうろついてる森に放置はできないでしょ」
「そうさの、三輪が心配じゃ。早う行ってやれ」
歌姫先生が三輪さんを迎えに行こうと立ち上がった瞬間、壁に貼り付けてあったお札が轟音を上げ一つ残らず全てほぼ同時に赤く燃えた
「え?…団体戦終了?しかも全部
「妙だな鳥達が誰も何も見ていない」
確かに先程の6つの映像を見ていた限り映っていない人と祓われた呪霊の数が釣り合わないのはおかしい
「
「未登録の呪力でも札は赤く燃える」
「外部の人間…侵入者ってことですか?」
「天元様の結界が機能してないってこと?」
「外部であろうと内部であろうと不測の事態には変わるまい」
どうやら天元様なる人物の結界があるおかげで外部からの襲撃はないと考えていたらしく困惑の色が伺える
「俺は天元様のところに、悟は楽巌寺学長と学生の保護を、冥はここで区画内の学生の位置を特定、悟に逐一報告してくれ」
「委細承知、賞与期待してますよ」
「それとわかってはいると思うが一応言っておくが妖子は冥と共に留守番だ」
留守番を言い渡されましたがお狐様のことですし絶対聞き入れないですよね。不測の事態とか大好物そうですし
『そうじゃのう、教職の立場からするとその指示は適切じゃろう、しかし妾がここへ来た理由を考えるならその指示は出ぬはずじゃ』
夜蛾学長はサングラスの上からでもわかるように一瞬面食らったような顔をした後、諦めたようにため息を吐く
「はぁ…許可するが何が起こっているか分かっていない、先生達とできるだけ離れないようにしなさい」
『フフ…確約は出来ぬがのぅ』
特級討伐の功績も少しあるのだろう、ほぼ確実に危険であると分かっていて行ってよしと指示が出る
「ほら、お爺ちゃん散歩の時間ですよ、昼ごはんはさっき食べたでしょ‼︎」
「急ぎましょう」
◆◆◆
「五条‼︎"帳"が下りきる前にアンタだけ先行け‼︎」
「いや無理」
「はぁ!?」
庵歌姫と楽巌寺嘉伸は走りながら、五条悟並びに羽衣妖子は飛びながら生徒の保護へと向かっている。しかしその最中、区画内を対象に"帳"が下りようとしていた
五条悟であれば当然間に合うような距離であるのだが、この"帳"は五条悟が睨んだ通り視覚効果より術式効果を優先しているため既に"帳"は完成されていた
ちなみに羽衣妖子も五条悟同様飛んでいることを当初こそ指摘されたが五条悟の教え子であるという点からすぐに理解されていた
「下りたところで破りゃいい話でしょ」
五条悟は地上に降りて"帳"に触れようとしたが瞬間バチっと大きな音と共に弾かれてしまう
「ちょっと、なんでアンタがハジかれて私が入れんのよ」
しかし庵歌姫はまるで湯船に腕を浸けたかのように"帳"の表面に波紋を作り、問題なく入れている
「成程。歌姫、お爺ちゃん先に行ってこの"帳"五条悟の侵入を拒む代わりに、その他全ての者が出入り可能な結界だ」
『フム…妾も入れているところからその線は確かにあるのぅ』
日本の人間全てを1人で殺せる五条悟と同等級である羽衣妖子でさえも通過可能な"帳"はその効力をより強固にしていた
『しかし顔だけ入れてみたが、この天蓋のさらに内側にもう一つ天蓋が張られておるのぅ、しかもその天蓋は妾は触れられぬ』
「は?なんで二重にする意味があんのよ」
高専側が羽衣狐の強さを知らないが故の庵歌姫の疑問であったが、羽衣狐の存在を知る五条悟には内側に張られた"帳"の効果が自分のものと同種のものであることがわかっていた
「…成程、これはしてやられた。余程腕が立つ呪詛師がいる、しかもこちらの情報をある程度把握しているね。ほら行った行った何が目的か知らないけど、1人でも死んだら僕らの負けだ。でも仕方がないから妖子は残ってね」
庵歌姫と楽巌寺嘉伸は2人を置き生徒の保護へと向かった
「さてと、妖子だけでも行かせてあげたかったんだけどこれでは僕たちは足止めだ」
『フフ…そうじゃのぅ』
「そこで提案なんだけど妖子が僕の侵入を拒む"帳"を破壊して、妖子の侵入を拒む"帳"を僕が破壊するってしたいんだよね。おそらくこの"帳"は出入りのみの制約にリソースを割いているから僕以外が破壊する分には手間は掛かるだろうけど侵入を禁じられた人ほどじゃない」
『フム…成程のぅ、良いぞ』
「助かるよ」
五条悟は生徒を早急に保護したい気持ちは強いが、しかし羽衣狐の力の一端が見れる打算も僅かにあった
それ故の協力体制、仮に羽衣狐が五条悟と敵対関係になるのであればその力の一端を知る手がかりになれればと五条悟は密かに考えていた
『おぬしが見たそうにしておるのじゃから、少々力をいれてみるかのぅ』
羽衣妖子は常に左手に持っている革製のスクール鞄を開け、中から
「わぁお、ドラ○もんの四次元ポケットか何かかな」
『五尾の斧ー
その斧はどちらかといえばハルバードのように先端に槍のような刃を持ち、斧特有の扇形の刃も備え付けられていた
見るからに鈍重な作りをしていたが、その斧を羽衣狐はまるで発泡スチロールで作られたかのように錯覚してしまうほど軽々しく右手のみで回す
瞬間、脇に添えられた斧が風を切り体を躍動させ持ち手をしならせながら"帳"へと切りつける
"帳"は大きな口を開いた後、その口が横へ縦へと広がり霧散してきてた
『ほれ、破ぶれたがなんとも脆いのぅ』
「いや〜普通はもっと手こずると思うよ、何せ結界だから」
しかし2人が軽く話をしている間に生徒に危険が及ぶ可能性を考慮して五条悟は羽衣狐を拒む"帳"をたやすく破る
五条悟が行った通り侵入者を拒む結界は侵入者以外の力あるものであれば破るのに難しくないことが証明された
"帳"を破ると五条悟は全体の確認のため空へと上がる
そこで発見したのは虎杖悠二と東堂葵に対する一度会ったことのある呪霊、そして楽巌寺嘉伸と対峙する呪詛師と思わしき人物
普通であれば特級相当に分類される呪霊の対応を迫られるが虎杖悠二のレベルが東堂葵との対面により上がっており自分が対応するほど急ぐほどでもなく、そして羽衣狐は虎杖悠二と東堂葵の方へ向かうことを予想できていたことから五条悟は呪詛師の元へと文字通りの瞬間移動を行なった
◆◆◆
{退きます。五条悟を相手にするほど傲っていない}
「ざけんな‼︎何がしてェんだよテメェらは‼︎」
『ホゥ…なら妾と相手はしてくれるのかえ?』
木の根っこに巻かれながら地面へと沈もうとしていた呪霊花御の前に白のワンポイントのリボンが入った黒のセーラー服を見に纏った黒ずくめの少女羽衣妖子が姿を表した
「羽衣!どうしてここに!?」
「Ms.羽衣!やつは地中へと逃げるつもりだ、早めに手を下さねば間に合わなくなるぞ!」
『フフ…それなら少し力をかけるかのぅ』
右手に持った長ものの斧を地面へと吸い込まれた花御がいるであろう場所へと振り下ろす
「前にこんな穴が空いたところ見たことがありますよ確かシンクホールって名前だったはずですね」
シンクホール、簡単に説明すれば地中に空洞が出来て発生する崩落のことであるがその特徴として地面に綺麗に穴が空くことである
目の前に広がるのは地面から斧を叩きつけて作られた空洞、完璧なまでの暴力が形を表して作られたものであった
「相変わらず、Ms.羽衣は規格外だな、これでは祓えたかどうかも分からん」
怒号の如き地鳴りと高く土煙をあげ晴れた目線の先には2mからなる斧を肩に担ぎ虎杖悠二、東堂葵へと目を向ける羽衣妖子の姿であった
お疲れ様でした
原作で出てきていない尻尾武器の番号を考えて出すのは問題ないのだろうかと思いましたが、それを考えるのが二次創作なのではないかと行き着きました
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