〜 スノウヘブン 〜
〜 61日目 〜
天使が沢山な街、スノウヘブン。
常に雪が降っている大地であり、本当の意味で肉体を得た天使達にとって過酷な土地である。 しかし30年の年月を掛けて住める街に変えれた彼女達の強さは本物だろう。 またこの街に住まう天使達は皆強い。 戦闘慣れしていないにも関わらず元々備わっている力はどの種族よりも凌駕する。 故にこの大地は過酷だ。 俺もショウキが乗り越えてきた雪越えの山にも結界を貼り、侵入者を退ける。 仮にその結界を越えたとしても雪越えの山に彷徨くもん娘は並ではない。 種族問わず弱者は容易く朽ち果てるのみ。
そんな大地だから、原作ゲームではとあるちょっとしたサブイベントに驚きがあった。
何せスノウヘブンには『人間』が一人だけ住んでいるのだ。
その人間に話しかけるとバトルファッカーのミニゲーム的なサブイベントが始まる。
しかも中章の終盤なのでレベルが高い。
それ相応の強さを見せつけてくれる。
だが天使の街に
このギャップに少なからず驚きはあった。
そんな記憶があるこの街に俺は足を付けているのだが、違和感がある。
「この……家だよな? 多分」
ゲームと同じ街づくりではないが、そう言った面影はある。 イリアスベルクに住んでいるバトルファッカーのエリィの件もそうだけど、何となく原作ゲームの中身と街の並びは何処となく似ている。 だから俺が今立っている目の前の家は恐らくだろうと思って眺めていた。 疑問を晴らしたいため近くにいた天使に「この家に人が住んでたりしますか?」と聞いた。
しかし返ってきた答えは「NO」であった。
「居ないと言うこと…か」
スノウヘブンのバトルファッカーはいない。
そもそも人間はこの街にいない。
門番の天使さんの反応からもそれが伺える。
ならばそのバトルファッカーは何処にいるのか?
ああ、それは案外近くにいた…
「なぁ、ショウキ。 あんたもしかしてバトルファッカーだったりする?」
「ん、そうだが? なぜわかった?」
「ショウキが氷の魔女に襲われた時、忍具が散らばって居てな。 その時に淫具らしき物が混ざっていたことを確認した。 もしかしたら性的な分野にも手を出してるのではないかと思ったんだ」
「そうか、そういうことか。 たしかに私は修行がてらにバトルファッカーとして挑戦を受けている者だ。 ちなみに私は『レンジャー』の職業以外にもう一つ『淫流くのいち』の最上級クラスの職業も使える。 そのため性的な戦闘も得意な方だ」
「なるほどね。 ただの趣味では終わらなかったんだな」
「本当は淫具も持ち込むと小回りが効かないから置いて行きたかったが、旅で必要だからな」
「……と、言いますと?」
「高レベルなもん娘ばかりで『男』は特に大変だ。 いくら肉体が強くともオスとして抑えれないモノが当然ある。 溜まりに溜まった肉欲がもしもん娘に向けて暴走されてしまっては支障が出てしまうからな」
「なるほど、淫流くのいちのスキルを持ちながらも、旅をサポートするレンジャーとして『ソッチ』も管理してたのね」
「うむ。 まぁ、手で本気を出せばどいつも直ぐだがな」
「ただでさえ淫流くのいちは器用のステータス近いのにそれて耐えれるわけないだろ良い加減にしろ」
さて話を戻そう。
今一度確認だが彼女の名前は『ショウキ』であり、これはコードネームでも無いようなので真名だろう。 そして現在の職業は『レンジャー』であるが『淫流くのいち』の職業もある程度極めている。 あとバトルファッカーも修行がてらに挑戦も受けている。 それからアサシン一族の娘で、組織の上に『サラーン』って長が存在している。
ここまではショウキの素性。
そしてここから先は彼女の経緯を辿る。
彼女はアサシン一族と長き繋がりを持つサバサ王家の命を受けて大陸調査を行なっている。 調査先は30年前に突如現れた謎の大陸だ。 腕が確かなメンバーで編成され、外海に派遣された。 だが道中で仲間が次々と脱落、残るはショウキ一人。 そして俺とのエンカウントは瀕死の状態だった。 死線から起き上がって歩み止めない彼女は『スノウヘブン』の街に到着した。 いつか朽ちていった仲間を弔いたいと考えている。
…うん、間違いない。
彼女で間違いないたろう。
「やはりお前は原作なんだな」
「何かいったか?」
答えを言おう。
彼女はショウキの名前を持った人物。 それで原作のストーリーとは無縁のキャラ。 ストーリーの終盤に現れるバトルファッカーとして主人公ルカさんの挑戦を受ける役目を持っている存在だ。 ゲーム画面にはちゃんと専用のアイコンと会話もあるキャラクターであり、決して村人その3とかではない。
「それにしてもレンジャーか…」
彼女の現在の職業はレンジャーだ。
現在は淫流くのいちではない。
仲間になるときは淫流くのいちの筈だ。
しかしショウキはスノウヘブンに来る前に氷の魔女相手に死を彷徨ってい始めていたところから始まる。 間違いなく死にそうになっていたりとルカさんと出会える話どころでなくなる。 とんでもなくイレギュラーだ。
それにあと思い出したことが一つ。
原作ゲームのショウキはルカさん御一行がスノウヘブンに到着する『数年前に来た』と言う話だった筈。 しかしこの時点で原作とは【別】の展開となっている。 ここまで来るとイレギュラーと言うよりパラドックスってやつだろう。 まぁ何が起きてもおかしくない沢山の世界だからこんな事もあるんだろう。 そもそも俺がおさかな海賊団と出会っている事もイレギュラーだ。
あれ? そうなるとルカさん御一行は"船"を借りるイベントを起こせるのか? まぁ、白兎がなんとか修復して元の形に戻すだろう。 パラドックスの行き着くところは基本同じだから海軍ルートも、海賊ルートも何が起ころうとそこに変わりないだろう。
「ショウキ、君はこれからどうする? とりあえず村長代理のラナエルさんからはこの街の滞在を許されてるけど」
「フラッグ、私は体を休めたらサバサの方に戻って報告を済ませる」
そりゃそうだ。
彼女はそのために来たのだから。
己の弱さも知ってココに留まるのではなく、生き延びた自分の役目を果たそうと行動を移すに決まってるよな。
もう彼女は原作から外れている。
「それで、その…お前はどうなんだ?」
「え? 俺か? ……そうだな。 まだしばらくはココにいると思う」
「そ、そうか……」
「?」
ショウキの話は大体済んだの良いとして、次は俺がこの後どうするかだな?
雪越えの山で逸れた時アシェル達に「10日経過したらナタリアポート」と告げてる。 もしこの事を覚えてくれてるならおさかな海賊団もナタリアポートに向かってるかもしれないのでそこで合流しなければならない。
もしかしたらまだおさかな海賊団は雪越えの山の北口に船を停めてる可能性もある。 俺が戻って来ると信じて停めている可能性もある。 だけど導きの糸の関係で北口に飛んで戻れない。 もし船が停泊してる場所まで向かうならスノウヘブン方面の南口から入って、そこからまたシロクマの里を抜けて、俺たちが最初に入ろうとした北口まで切り抜けることだ。
だがあの洞窟の中には俺の何倍も強いもん娘がうじゃうじゃといる。 死線を隣り合わせにしながら再び中を突き進むのはリスクが高すぎる。 そもそも今回は本当に運が良かったから切り抜けれた話。 あと船も停泊中にもん娘に襲われる危険性はあるからそこに居座ることは無いだろう。 そのためスノウヘブンから向かう判断は無い。
だとすると?
ナタリアポートの合流を考えて残り7日間俺はどうしようか?
ハーピーの羽も全然動くので先に戻るのもありだがこの空いた期間を何かに活用できないか?
「天使、兵…か」
ここは地を這う種族よりも遥かに凌駕する天高き種族として君臨する天使達が集まっている。
「やはりめちゃくちゃ強いんだよな?」
マンタ娘を思い出す。
強者から得られるモノってなんだろう?
「…」
もしもよ?
もしこの者達から手解きを受けたら
どうなるかな?
「……」
俺は人間に対して可能な限り友好的な天使を求め夕日に照らされた雪街を歩き出す。 夜はとても寒くて仕方ないが夕焼けのオレンジ色は幻想的に街を照らす。 元天界として浮いて居たこの大地の光景は眼が奪われそうだ。
ザッ、ザッ、ドサッ
ザッ、ザッ、ドサッ
「?」
今この時間で誰かが雪かきをしている。 俺は音のする方向に目を向けるとひとりの天使がスコップを持って雪かきをしている。 その天使は白銀の鎧を纏っており、白くて美しい肌を晒している『ヴァルキリー』だった。
「もうすぐ夜ですよ? この時間で雪かきは大変じゃないかな?」
「? あら、あなたは……うどんの子?」
「え、なにその覚え方…」
「覚えてないかしら? 私が最後の一口を食べてしまった天使よ」
「…あ、そういやそうだったな。 美味しそうにラストシューティングしてたっけな?」
「ぅ…そ、その…あの時は申し訳ないことをしたわ。 なにかお詫びをさせてくれないかしら? 出来ることの限りなんでもやるわ。 例えば……肉欲を満たすとかでも特別に構わないわ」
「なにそれすごい魅力的なお誘い」
ヴァルキリーが魅惑的なお願いを
受けてくれるようです
どうしますか?▽
ーーーーーーー
(選んで下さい)
▷何も願わない
絞って下さい
罵って下さい
挟んで下さい
太もも下さい
彼女を下さい
強くなりたい
ーーーーーーー
おいおい、選択技の半分以上が変態かよ。
あと彼女を下さいってそれは願うものなんですかねぇ??
ーーーーーーー
(選んで下さい)
何も願わない
絞って下さい
罵って下さい
挟んで下さい
太もも下さい
彼女を下さい
▷強くなりたい{ピッ
ーーーーーーー
ヴァルキリーは戦いのスペシャリストだ。
彼女から得れる強さがあるだろう。
無理なら無理で仕方ないかもしれないが、こんなにも強い者がいるのだ。
願わない訳にはいかない。
「強くなりたいの? それはどうして?」
「俺の所属する組織の周りはマーメイドだらけなんだ。 それで唯一人間が俺だけなんです。 それで種族故に周りよりも劣ってしまう。 だからと言って『仕方ない』で終わらせたくないんだ」
「……」
「そして俺には愛する人魚が二人いる。 その者のために強く有りたいと思ってる。 少しくだらないかもしれないけど、男として強い人間でありたい。 そう考えてる」
「そう、あなたは愛する者のために。 それはとてもいいわね。 うーん、でも、私は誰かに教えるなんてやったこと無いから…」
「そうですか、わかりました。 なら他を当たります。 すいません、声をかけてしまって」
「……いや、待って。 少しあなたの眼を覗かせて」
「?」
「じっとして」
ヴァルキリーは俺の頬を両手で優しく包むように触れる。 天使のすべすべとした肌と手のひらが頬が触れただけなのにまるで愛撫されたような感覚に頬が痺れる。 しかしヴァルキリーは気にする事なくこちらの眼の中を覗き込む。 無表情なんだけど普通に美人さんで整った顔だ。 少し恥ずかしい気持ちが湧き上がるがおとなしく見つめられているとヴァルキリーはなにかを頷いた。
「もういいわ」
「…あ、うん。 その、それで?」
「受けましょう、そのお願い」
「!」
「あなたには可能性があるわ。 秘めている」
「秘めているって?」
「人間の更に上を行った"何か"としか言えない。 それは言葉にし辛いけど、あなたはもう一段階上を目指せる可能性を持ち合わせてる。 新しいモノにね」
「!!」
それから俺はヴァルキリーから施しを受けることになった。
新たな可能性とは何か?
ハッキリとしないが強くなれるのだろう。
それは天に羽ばたけれる賜物か…
地に堕ちたままで終わる藻屑か…
明日からそれがわかるようだ。
♢
〜 おさかな号 〜
〜 昼 〜
シロクマの里で必死に仲間の治療を施してると子分達が報告してきた。 どうやら外の結界が解除されたようだ。 フラッグが結界の仕掛けを解いたお陰で導きの糸が使えるようになったのだ。
私は子分と急いで大怪我を負った仲間を背負い、導きの糸を使って早速この洞窟を抜けた。 おさかな号と合流すると行く先は海軍の目が遠いサルーンだ。 あそこはアサシン一族が多く、いろんな秘術も持っており、武器や戦術も含めて医薬品などの改良も進んでる場所だ。 そんな感じに街として一歩先に進んでいるところだ。 あと海と街が近いのでおさかな号の行き来も行いやすいのが利点である。
ちなみにおさかな号は所有権である私がハーピーの羽を使うことで一緒に移動する。 もちろんお嬢もおさかな号の所有権を得てるのでハーピーの羽を使えば移動できる。
まぁ、それはいい。
ともかく私は仲間にサルーンの街まで行ってもらい、凍結で荒れた肌に効果の高い特効薬のお使いを頼んだ。 おさかな号にも薬は置いてるがここまで酷い怪我は一度街に戻って念入りな治療が大事だ。
でもこんな時『エリクサー』ってアイテムがあればこの上なく助かるのだが簡単には手に入らない。 私は無い物ねだりを辞めて治療に専念する。 時間はかかるが重症を負ったルリッタとレリッタの命は必ず助けてやれる。 お嬢の両腕もだ。
ただ一つの心配といえばフラッグだ。
彼は大丈夫だろうか?
仲間がいると言ったがそれはサバサの人たちだろうか? 信頼できる出来ないはともかくあれだけ過酷すぎた洞窟に潜り込んだのだ。 仲間が何人居ようと関係ない。 彼は生き延びだけどそれは運が非常に強く味方したからだろう。 私もお嬢も仲間も誰一人欠けることなく中間地点まで逃げ延びた。 これも運が良かったからだ。
でも今の実力では耐えれはないダンジョンであるのは確かだ。 しかもフラッグは人間だ。 耐性もなければ生命力もマーメイドに劣る。 彼の持つマキブは強いけど、あらゆるものが致命傷として受ける可能性が高い生き物だ。 それでも彼は賢くて、適応力も高いから私たちの航海にも付いて来た勇猛な人。 それでも心配してしまう。
でも仲間として……
私が惚れた男として信頼する必要がある。
だけど…
無理な事はしないでほしい。
だからお願いです神様。
天使様でも良い。
もし私たちが目指したあの場所が『昇天の羽』が実際にあり、天使が存在する神聖な場所なら、フラッグを守ってください。
どうか……
お願いします……
私の大好きな彼が無事でありますように…
♢
〜 スノウヘブン 〜
〜 67日目 〜
雪かきしてたうどん好きのヴァルキリーに強くなりたいと願って一週間が経過した。 希望通り俺はヴァルキリーからお願いを聞いてもらい、新たな可能性とやらに踏み込むための訓練が始まった。 まず天使の加護により祝福を受けた衣服に着替えることになった。 スノウヘブンで過ごす時は殆どこの格好だった。 それから戦闘訓練が始まる…かと思ったがそんな事は無かった。
ヴァルキリーから魔道に長けている天使の元に案内された。 するとそこには数名の"トリニティ"の天使達が待っていた。 ヴァルキリーは彼女達に訓練を引き継がせると「まずはこの場所から」と言って去っていく。 たまに様子を見にきてくれる。
それでリーダー格のトリニティの天使は俺を家の床の真ん中に書かれてる魔法陣に座らされる。 可能性ってやらを引き出すための精神訓練に近い事をすると説明を受けた。 それからトリニティに囲まれながら俺は眼を閉ざして心の奥にある何かに触れさせらる。 最初はパッとしない時間が過ぎていく。 途中、眠りそうにもなった。 少し焦りを生み出しながら何日も繰り返すと少しずつ『流れ』が見えてきた。
次に『無重力空間』に引き込まれると神秘的な波が心を浸水する感覚に襲われたりもした。 その時にマキブもカタカタ揺れて共鳴したりと俺に寄り添う。 息苦しくなってきたタイミングで眼を見開くと夕日が見えてる時間になっていたり、数分だけ感じていた時間も既に数時間近く経過していたりとかなり集中していた。 汗の量も酷かった。
何せ精神訓練と共に『今まで』の『不安』と『焦り』が必要以上に心を揺さぶるから。 何度も言ってるが『種族故の弱さ』が言い訳にして邪魔をする。 生まれ育った身故に致し方ないとは言え余計な感情から溜まりに溜めてしまうストレスと情けなさが俺を圧迫する。 しかしそれらを抱えながらも人としての形を捨てたくない自分は強さの追求を諦めないでいた。
この訓練が自分を少しでも変えてくれるだろうか?
不安を抱きながらもヴァルキリーが用意してくれたこの訓練を止めず、同じことを繰り返し続けた。 すると頭がおかしくなったのかわからないが不死鳥のようなオーラを纏ったナニカが頭の中に現れる。 まるで俺を見定めているようだ。 迫り来る謎の威圧感とプレッシャーに締め付けられ、頭痛が激しくなり、心臓を抑えながら首元を抑えて苦しんだ。 限界まで来ると椅子に座って静かだった俺の体も異常を示す。 息が荒くなり、高熱に魘されたように酷く苦しむ。
この時、トリニティによる聖母のような抱擁が精神を暖和させる。
多分このために居たのだろう。 何せトリニティは罪を浄化し、正しき方へ『導く』役目を背負ってる天使だ。 俺が間違えてしまった可能性の道に進まないよう正常に導いてくれてるようだ。 なので彼女達がこの精神訓練に適任であるようだ。
しかし柔らかな抱擁を受けるだけ甘い甘い天国に導かれてしまう快楽は、ただの一般人が味わうと我慢ならず即座に昇天するだろう。 俺は精神訓練による精神的苦痛を相手してたので暖和されながらいいレベルで心地よさを味わっていた。 そんな感じにさりげなく何度も天国の抱擁を味わいながら訓練を続けてとうとう『可能性』とやらに目覚め始めたのだ。
俺の中には言葉では言い表せない新たな感覚が巡っていることを理解する。 だが処理しきれない昂りが続いていた。 _自分が怖い。 なんだ? なんなんだこれは? これが可能性なのか? そんな感じに多大なストレスを抱えて身体がどうにかなりそうで仕方なかった。
だけどその不安もトリニティ達に拭われる。
いつのまにか6人になっていた。
まるで安定剤を飲む量が増えたかのようだ。
それからも言葉に言い表し辛い可能性とやらを引き出し続け、何ども繰り返し、そしてとうとう体に馴染む。 最初は慣れないプレッシャーとストレスに苦しんでいたはずだがいつしか何とも思わず、それを『力』にしていた。 するとトリニティのリーダーが不意に「終了です」と下された。
そして五日間続いた精神訓練は終わりを告げた。
魔法陣も擦り切れるほど発動していたようだ。
もう、だらしないくらいに脱力した。
トリニティは常に微笑んでいるけど一緒に喜んでくれた。 するとひとりのトリニティが人間としてこの精神訓練に耐えたことに感服していた。 この頑張りを称えて何かご褒美を与えたいと言っていた。 俺はご褒美と言うより訓練に付き合ったことで感謝一杯だったからご褒美を求めるのはおかしいのでは? なんて言ったがトリニティは「頑張りし者に褒美を与えたい」と言う。
どうしようか考える。
すると訓練に集中してた故に軽く禁欲状態だった事を理解してたトリニティが「溜めすぎはいけません」と柔らかく微笑むとそこからは早かった。 トリニティの十八番といわれる『快楽の十字架』が始まる。 精神的疲労が大きかったため反応出来ず、気づいたら難なくトリニティ達に抱き上げられていた。 そこからは果てしなき天国に誘われたとだけ言っておく。 凄すぎて何を言ったら良いかわからないくらいに凄かった、はい。
あ、それと同時進行に伝えることが一つ。
精神訓練中の俺を他所にショウキはサバサに帰った。 使命を果たすため、あまりスノウヘブンにとどまらず、別れを告げるとハーピーの羽で去っていった。 つまりバトルファッカーとしては残らない流れになった。 もうパラドックスだな。 まぁ、俺がいる時点で既にパラドックスだからなんとも言えない。
さて…
そんなパラドックスな俺自身も新たに目覚めた感覚と共に待っていたヴァルキリーと再び対面する。 精神訓練によって鈍っていた体を慣らしながら彼女から手解きを受けた。 久しぶりに握るビームライフルは少し重かった。
そして戦いの感覚を取り戻したあと本格的に模擬戦を行う。 ヴァルキリーは「本気で来て」と言って相手してくれた。 俺もここまで付き合って頂けるヴァルキリーに感謝しつつマキブをフル活用して戦う。 ただしトランザムやゼロシステムを無しにして挑む。
ビームサーベルを構えて特攻すればヴァルキリーは剣を構えて攻撃を凌ぐ。 油断ならない攻防の中でヴァルキリーに一発でも攻撃を当てようと奮闘する。 しかし格がちがうのか簡単にいなされる。 天使の羽でいなされたりとするが諦めずに食らいついた。
回数を重ねてヴァルキリーも徐々に攻撃を激しくしてきた。 もしこれが模擬戦ではない『本戦』としたら俺は冒険を終わらせてしまうことになる。 強敵相手に危機的状況が続く模擬戦でヴァルキリーの一撃が打ち込まれようとしていた。 これは本気の攻撃だ。 手加減してるため死ぬ事は無いなこれを受けたら普通なら『お終い』だろう。
どうする事も出来ない?
いや、違う。
そんな事は無い。
俺には沢山のマキブがある。
それらを活かしてどんな強敵も薙ぎ払ってきた。
たしかに今回は天使格で戦闘に特化したヴァルキリーが相手だ。
外海のモン娘なんかよりも桁外れに強い。
だけど…
『仕方ない』で終わらせたらもう戻れない。
それは嫌だ。
もう種族的劣等感を言い訳にしたくない
「ッッ!!!」
俺は約束した。
アシェルやボニーに『有無言わせない強さを身につける』と話した。
それを目指そうと考えたんだ。
なら、そうやれ、俺。
俺なら、今の俺なら可能だ。
なら、もっと考えろ。
もっともっともっと考えろ。
考え続けて終わらせるな。
そこでピリオドを打つな。
エクバの如くキャンセルルートを作り続けてるんだ。
止まるんじゃねぇぞ。
止まんねぇ限り道は続く。
みんなの団長もそう言っていた。
そしてそれはボニーも同じだ。
彼女も止まらないからみんなのお頭になった。
俺だってそんな彼女の道を見て行きたい。
お魚海賊団の先を見守りたい。
そのためには……終わらせてはならない!
俺にはこんなにも沢山のマキブがあるんだ。
反則的な力を持つものから、突破口を作ってくれる物まで、ありとあらゆる兵器を使える特権がある。
海の様に深き量だが、関係ない。
もっともっと理解してゆけ!!
理解を高めて扱えよ!
オレよ!! 昔のオレよ!!
もっと必至になってこの職業を乗りこなせ!
「苦痛も!痛みも! 弱さも!!」
「!!」
「【ガンダム】なら負けないんだァァ!!!」
キュィィィーーーーン!!!!
沢山の天使達がギャラリーとして模擬戦見ている最中で俺は柄に無くて叫んでいた。
俺の体は紫色のオーラに包まれて気味が悪く溢れ出す。
それはとてつもない量のプレッシャーとなってスノウヘブンを侵食する。
道具袋からは今装備してるマキブまでもが俺の叫びに反応していた。
サーベルからライフル、マシンガンにバズーカなどが頭の中に激しく巡り行く。 しかしまったく苦しくはない。 むしろ気持ちよく全てが構築される。 何が最善なのか? または何をどうすればもっと良くなるのか? 頭の中は落ち着いているが心は激しく昂っている。 でも恐怖はない。
今は【エクバ】を乗りこなそうと支配してる気分だ。
ヴァルキリーもプレッシャーに一瞬たじろぐが戦士として下がる姿勢は許されない。
目の前にいる人間を……フラッグを討つために思考を切り替えて踏み込んだ。
疾風の様な動きはすぐに俺を斬りつけるだろう。
だがそんなヴァルキリーの動きがゆっくりに見え始める。
これも人間の可能性を引き出した力なのだろう。
だから戸惑う事なく俺はこの新感覚に身を任せながらマキブを召喚してヴァルキリーの特攻に挑んだ。
そして彼女の鎧を砕いた。
…
…
一矢報いた。
けど模擬戦は負けてしまった。
鎧を切り崩されたヴァルキリーが模擬戦で本気を出したのだ。
だが周りの天使は人間相手に本気を出した事で驚いている。
そんな俺は今は雪の上に打ちのめされている。
でも、不思議と落ち着いている。
今は紫色のオーラは出てない。
でも、心が紅潮していたことが確かだ。
「これが……俺の…【新しい型】…か」
すごく落ち着いた。
この気分で俺は雪の上で倒れる。
この敗北と共に味わっていた。
とある世界でこんな言葉を残した者がいる。
『新たな可能性を見出した人類』
この様にイレギュラーな人類の事を…
無重力空間で生きる者達はこう言っていた。
ーーー[ 新人類 ]ーーー
その名を【ニュータイプ】と……
名前【 フラッグ 】(真名:海ノ雪旗)
レベル【 50 】
熟練度【 60 】
この世界に来て【68】日が経過。
新たな力を得た後、この記憶を忘れないため
スノウヘブンの宿屋で日記帳に日記を残した▽
つづく
ショウキの正体はスノウヘブンに住まうことを決めたバトルファッカーのキャラでした。 フラッグとの関わり合いで彼女の未来に変化が訪れてサルーンへ帰るルートとなりました。 フラッグに多大な恩を感じてます。 あと脈ありですねコレェは…
《ニュータイプ》
エスパー的な力を秘めており、人類を導くために進化した存在であるが戦争で戦いの道具として使われたりと悲しい超越者として終えやすい。 フラッグは種族的劣等感から始まる多大なストレス持ち合わせていたが天使の導きにより精神力を凌駕してNTに進化した。 しかしNTとしての片鱗は元々あったらしく、マンタ娘の件が一番よく垣間見えた瞬間だと思う。 肉体な的進化ではなく精神的な進化と考えるのが正しい。
ではまた