〜 おさかな号 〜
〜 74日目 〜
「あれは海軍の船か? ひさびさに見たな」
いま外海の東にいる……と、言うか1ヶ月前に海軍とドンパチしながら入った大海賊の洞窟のちょうど裏側にいる。 嵐から逃げながら進んだらこんなところに流れてしまったのだ。 しかも海軍の船がこちらを捉えている。 また面倒な…
俺は物見やぐらから甲板を見下ろし、アシェルを見つけると叫んだ。
「アシェルー! 3時の方向を見ろー!」
「?」
アシェルは胸の谷間から望遠鏡を取り出し、俺が示した方向を見る。 するとアシェルが降りてこいと指で合図してきたので、俺は飛び降りて彼女の目の前に着地するしかしバランス崩してしまい、よろけながら前に倒れるとアシェルの胸の谷間に顔が挟まる。
「むぐ、むぐぐぐ? ぐぐぐっぐ〜?」
「胸から顔だして喋ってくれないか? 少しくすぐったいねぇ」
「ぷはっ! …アシェル、あの海軍どうする? こちらから先制攻撃か?」
「それが好ましいけど少し様子見だ。 望遠鏡から見てもあの船は臨戦態勢に入らないからねぇ、妙だ…」
「?」
この距離なら海軍もこちらの船に気づいてると思うが砲撃戦の態勢に入らず、正面からこちらに近づく。 側面に付いてる大砲は飾りにして、早期軍隊決戦のつもりか? こちらは大砲を放とうと思えば放てるのになんとも愚策な。
「いや、待て。 光で何かサインを出している」
「サイン?」
「ワレ、タイワ、ヲ、モトム? ……もしや話がしたいとでも言うのか?」
「海軍が海賊と対話をしたいだと? 一体なんのつもりだよ? もしや話し合いをするつもりで近づくけれど実は不意打ちのため……だとか?」
「わからないねぇ。 だけど正義を掲げる集団だ。 罠にハメるようなことはしなさそうだが、さてどうするか」
「ならこちらは刃を突き出した状態で対話をするのはどうだ? 手の内晒すのは好きじゃないけど、俺がファンネルを展開した状態でな。 もし相手がこの条件を飲めないなら話す価値無しと見なせば良い」
「本当は海軍と関わりたくないが、聞くだけでもありか」
「一応俺がメガ・バズーカ・ランチャーを召喚して銃口を海軍船に向けておこう。 見た目だけでも威力やばそうに見えるから、これで海軍も下手な判断は思う。 もし何か怪しい動きをすればトリガーを引いて報復するさ…」
「おっかないねぇ」
「だって賊を相手にする集団だ。 例え俺たちが義賊だと言っても戯言としてしか受け入れない。 なら遠慮は要らんよな?」
話が決まるとアシェルは『対話を受ける』とサインを送る。 しかし手出しすると船を破壊すると脅しを入れた。 そのタイミングで俺は百式が扱うメガ・バズーカ・ランチャーを召喚して構える。 見た目だけで充分にヤバいこと理解してくれると思うが、それでも対話を求める海軍を見て俺は何か厄介ごとに巻き込まれることになるのでは? と、少し嫌な予感がしていた。
その後、海軍は一つの小舟を海に流すとこちらに近づいてくる。 ボニーとアシェルは海に飛び込んで海軍の小舟に近づいた。 後方ではメガ・バズーカ・ランチャーをリリッタに握らせ、リリッタの護衛にショウキをつける。 大型のマキブをリリッタ達に任せた俺は物陰からデュナメスが扱うスナイパーライフルを構え、いつ変な真似を起こされても構わないように準備をしていた。
ファンネルもアシェルの周りに漂わせているため、もし彼女が左手を上げれば会話のために近づいた交渉役は蜂の巣だ。 これだけ武器を向けられてるのにもかかわらず、海軍は武器を引き抜か無い…と、言うよりかは怯えて何も出来ないが正しいか。 しかし一人除いて怖がる様子もなくむしろ興味ありげに見ているタツノコ兵がいた。 あの落ち着き様はエリートだな。
いや待てよ、あのタツノコ兵もしかして?
既視感…と、言うよりは出会ったことあるだろうこの感じに首を傾げているとタツノコ兵はこちらを見たような気がした。
「!」
ああ、なるほど。
海賊の洞窟で警備をしていた兵士。
エリートのタツノコ兵か。
外洋まで出てくるあたり本物のエリートだな。
「しかし何が起きようとしているんだ…?」
…
…
そしてあれから30分は経過しただろうか?
二段チャージも既に終えてるスナイパーライフルを構えてるのも疲れてきた。 するとルリッタが飲み物を渡してくれる。 小さくお礼を言いながら飲み物を飲もうとするとボニー達は動き出した。 ボニー達は海軍に背を向けておさかな号に戻ってきたのだ。
そしてこんなことを言われた
「大規模な作戦のために手が欲しいとのことじゃ」
「罠かと思いましたが、大国を揺るがす出来事が起きるとのことだ。 多分戦争か何かだな。 奴らの真面目な空気からするとマジな話だと思う」
「なるほど。 それでどうすんの? 俺はお頭に従うぞ」
その言葉にほかの仲間も頷き、この先の選択技を我らのお頭に委ねる。 その様子にお頭は満足げに頷き、アシェルもやれやれと口元を吊り上げる。 答えは決まったようだ。
「ここで大国に恩を売っとくのもアリだからな。 この話は乗ろうと思うぜ」
「そう言うわけじゃ」
その後、再び海軍の交渉役と短く会話をして「YES」と答えた。
話を終えると俺たちお魚海賊団はとある場所まで招かれることになった。
♢
〜 グランドノア 〜
〜 夜 〜
ここは三大大国の一つであり、どんな時間でも賑わう城下町が明るさを引き出す。 なによりもここは人間やモン娘を問わずに参加できるコロシアムが名物なため、この国にはありとあらゆるもん娘で溢れている。 そのかわり男性が参加すれば大体高い確率で敗北して性的に食べられることが多い。 ルール上殺されることは無いが、性的公開処刑を受けることになる。 しかしそのシチュエーションが好きでわざと負けてもん娘に弄ばれようと参加する変態も多いらしい。
しかもその敗北光景を観戦することを趣味とする変人や貴族も珍しくない。 むしろ沢山いると言っても構わない。 だけどそう言ったものがあるため、この大国は栄えていると言っても過言ではないのだ。
さてそんな俺たちはこの街にいるのだが…
今は絶賛ッッ、外食中である。
「フラッグ、飲んでるか?」
「アシェルか。 まぁ嗜む程度にな。 だけど俺は甘いものが好きだからな、久しぶりに飲めたこのサイダーで楽しんでる」
「またまたそれは子供っぽい趣味で」
「子供心と若さを忘れない好青年と呼べって。 ごくごく……プハーッッ! うめぇぇえ!!」
「やれやれ…」
俺の子供っぽい味覚にアシェルはやれやれと言うが笑っている。 しかしアレだな。 美人さんと飲むお酒は美味いと言うが本当だな。 飲んでるのはサイダーだけど。
「そんでショウキ、あんたは料理を取ってこないのか?」
「あの光景を見て取れると思うか?」
「……男にとっちゃ楽園だけど、あの肉厚の中に潜り込みながらだと料理は取り辛いね」
奥の方では食べ物をトレイにたんもりと乗せるボニーと、着いてきた数名の仲間たちが料理に群がっている。
あいつらは小柄だけど、そのかわり横にたわわ広がる二つの欲望の面積が邪魔をするため、落ち着いて料理を取れないのだ。 あと賊だけあって、食に迫る彼女達の輪に入って無事に抜け出せると思えない。 いまも数名の男性客は挟まれて幸せそうにしている。 食欲よりも違う欲が満たされてるその表情は見ていて少し気持ち悪い。 食欲が失いそうだ。
あ、ちなみに俺たちお魚海賊団は外食店に来てるが、ここはバイキング形式で食事を楽しめるお店だ。
だからボニー達は料理が並べられたテーブルに群がっているのです。
「ショウキは極忍だろ? あの波を潜り抜けるのも容易いだろ」
「それはぺったんこな私に対してあのおっぱい地獄に飛び込めと言うのか?」
「ショウキは着痩せしてるだけでそれほどぺったんこじゃないだろ。 てかマーメイド達の胸がおかしいだけだろ。 人間の女性がアレを基準にしたらダメだって」
「フラッグ、あまり女性にお胸の話するのは紳士じゃないぜ?」
「ならアシェルの胸をショウキに分けてやれよ。 バイキング形式で」
「おいおい、それは取り放題じゃないか。 分けるどころか無くなるだろ」
「無論、全部その胸取らせてもらう」
「やれやれ、極忍がそれで良いのかねぇ?」
たゆんたゆんで動き辛いだろうな。
その場合だと快楽に特化した淫流くのいちがちょうど良くなるのかな?
それはそれで恐ろしいな。
「しかしそうなるとアシェルがぺったんこになるのか。 それはそれでスレンダーな体で美しいな。 髪の毛も綺麗だし普通の美人さんだね
「褒めすぎんなよ、フラッグ」
「……なんだろう、この会話で負けた感じは」
いじりすぎで不機嫌に染まるショウキ。
しかもなんか真面目に悩みだした。
「あお、でも! もん娘を除いて人間だけの世界観でショウキのことを見たら普通に美人さんで分類されるから」
「! そ、そうか?」
「そうだよ!……だろ! 聞き耳立ててる野郎ども!!」
「「おおう!!」」
「ねーちゃん美人だぜぇ!!」
「おい坊主! 両手で花で妬ましいなぁ!」
「「ロリ巨乳、はぁ…はぁ…」」
「ほれみろ、ショウキ」
「あ、うん…」
「やれやれ、男は単純だな」
「男は、バカでアホで単純でどうしようもない生き物ってそれ良く言われてるから。 アシェルもよく知ってるだろ?」
「まぁな」
肯定したアシェルの言葉と共に肩を組んで笑っていると、ボニー達がたんもりと料理を乗せたトレイをテーブルに置く。 尾ビレにも器用にトレイを持っており、それもテーブルに乗せ終える。 多量に収穫したその顔は満足げだ。 まだ食べてないのにな。
「さて! 食べるぞ!」
「ちゃんと残さず食えよ、ボニー」
多分大丈夫だと思うけどとりあえず言っておく。
さて、俺はボニーとアシェルとショウキの四人テーブルに対し、横のテーブルを見ればおさかな海賊団の五姉妹マーメイドが仲良く食べている。 ラリッタとレリッタは肉類、リリッタとルリッタは野菜、ロリッタはいきなりケーキを食らいついてる。
「ほれ、フラッグもショウキも食わぬと勿体ないぞ」
「はいよ、お頭」
それから好きなように料理をトレイに乗せ、それぞれ好きなように食べる準備する。
食べ放題なお店だけど、値段が張るだけあってどれも上品なお料理が多い。 ちなみにこの外食店は国持ちで払ってくれた。 なのでお魚海賊団は無償で味わえるのだ。 90分コースだけど充分楽しめる。
「フラッグ、今回この話を乗ったのは良いが、メンバーが少ないのでは?」
彩り豊かな料理を取りながらショウキが横から話しかけてくる。
俺はうどんを湯がきながら答えた。
「たしかに、今回この大戦に関わることになるからメンバーを惜しまずに連れてこれば良かったのはわかる。 でもショウキ、一つ思い出してみなよ」
「?」
「彼女達はマーメイドだぜ? 海の生き物が地上で長く滞在できる訳が無い」
「それだとアシェル達に言えることなのでは?」
「彼女達は特別だ。 まずアシェルは稀少なサメ種族なんだけど、地上に対して強い性質持ちと言うべきかな? 簡単に言うと他のマーメイドよりも強い個体と言う事だ」
あともう一つ他にも理由があるが、これはショウキに話してもわからないだろうな。
ゲームシステムで言う『アビリティ』って存在なんだけど、アシェルは『土属性ダメージ半減』のアビリティを持ってるから地上生活が可能らしい。
でも定期的に水を得ないとダメだ。
「あとボニーも海賊体質として地上にも海上にも強い。 これは血筋が関係してると言ったら良いかな」
大海賊王ロザの子孫と言うのは強ち間違いではないかも知れないな。 どんなに過酷な土地でも冒険できる強さをボニーは引き継いでると言うべきか。 数週間前でひどい目にあった雪越えの山でも、ボニーは両腕が凍結して永遠と使い物にならなくなる可能性も出ていた。 しかし今では両手にナイフとフォークを構えて元気に料理を食い尽くしてる。 マーメイドとしての治癒力と生命力が大海賊王として振る舞えるほどの強さを秘めていることを証明してる。
「では残りの五姉妹は?」
「あいつらもアシェルと似たようなもんでな、体質が地上に対して強いんだ。 詳しい理由はわからないけど、おそらくあの五姉妹の親が人間である事が原因じゃないかと言われてる。 土から産まれ、土に還る生き物である人間の精を受けているから周りのマーメイドよりは地上生活が可能らしい。 ……あくまで『らしい』だからちゃんとした理由なのかは分からない」
「ふむ」
「あと定期的に水を飲んで体を潤せば10日は地上生活も可能らしい」
「まるで河童だな」
「その例えは正解に近いぞ。 あと地上に潮風もあるなら健康に過ごせると聞いてる。 これはナタリアポートで家を建てて生きてるマーメイド達を見たら納得できるだろう。 彼女達も人間の男性と末永く添い遂げるために潮風を浴びれる街に住まいを構えるんだ」
「なるほど、そう言うことか」
湯がき終えたうどんを取り出し、小さな器に移してミニうどんが完成だ。 まぁおそらくこのミニうどんはボニーに奪われるだろう。 だからボニーの苦手な辛い七味唐辛子を振りかけることで奪われないように防止する。
「そんなに唐辛子を振りかけて大丈夫か?」
「ボニーに奪われるからこうやって防止しとくのだよ」
喉がやられそうになるけどこう言う時は乳製品を飲むといい。
「それそうと、ショウキはどのタイミングで戻るんだ?」
「む、それは終わってからじゃないとわからぬな」
「そうか。 とりあえずこの大戦が指定の場所まで来てくれる。 迎えに行くから」
ショウキはこの大戦にてアサシン一族から召集が掛かり、おさかな海賊団から一時的に離れることになった。 本当はこのままいて欲しかったが致し方あるまい。 かなり重要な事になるので断ることはできなかった様だ。 ボニーもこの件は了承済みである。
「じゃあ、互いの生存を祈って乾杯しよう」
「ああ」
暫しの別れ。
飲み物を打ちつけ合って健闘を讃え。
名前【 フラッグ 】(真名:海ノ雪旗)
レベル【 50 】
熟練度【 62 】
この世界に来て【74】日が経過。
食後に外の空気を吸いながら
ここまでの冒険を日記帳に記録した▽
つづく
一時的ですが原作沿いの開始です。
おさかな海賊団の活躍が始まりそう。
《メガ・バズーカ・ランチャー》
百式が扱う大型のビーム砲であり、戦艦を容易く落としてしまう威力を兼ね備えているがエネルギーの充電を必要とする。 原作ではメタスからエネルギーを供給せれて放っている。 エクバの原作ゲームでは放置してビーム砲を放てる仕組みなので誰かにトリガーを握らせて放って貰ったらとおさかな号からの固定砲台として扱える。
ではまた