おさかな海賊団の幸せな旗   作:てっちゃーんッ

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76日目 〜 エスタ周辺

〜 エスタの周辺 〜

〜 戦争中 〜

 

 

 

 

戦争前の緊張感は解かれた。

 

この日のために力を蓄えて参加した兵士や傭兵また武人達はそれぞれの武器と精神を掲げて戦線まで進軍した。

 

そしてつい30分前にグランゴルドの兵士達と衝突の知らせが届く。

 

巨大なマッドゴーレム娘、普通のゴーレム娘、歩兵としてのアリ娘、快楽特化で戦意を奪うオートマータ娘、主にこの四種類が襲いかかってくる。 これがただの冒険ならまだ殺伐としなかったかもしれない。 だが自国を掛けた戦いとなると命懸けで闘えば兵士となり、なりふり構わない。

 

負ければ滅ぶのだから。

 

作戦としては海に追い込み、大地から遠ざける戦いを選んでいる。 敵の殆どが土属性であり、大地の力を活かした戦いを得意としているため海に追い込むのが良いと言われている。 そして戦力を奪うのだ。 だが多大な犠牲を生みながら生き物を殺すための兵器が振るわれているのは確か。 間違いなく犠牲は多くなり得るだろう。

 

そしてもしこの戦争が泥沼と化すなら、それは救いようがないほど死体の山を築いてしまうことになる。

 

そうならないために、この反攻作戦は防衛線の維持が重要となるのだ。 攻めるのではなく、戦線を維持して組織力を保つ。 消耗戦を避けるために過激な動きは起こさない。 人的資源は多く有ろうとも犠牲を多くしてはならない。

 

しかしこのままでは将来的に泥沼な戦いとなってしまうだろう。

 

だから、ごく一部の者だけしか知らない冒険者にとある役目を受け渡し、その者達に懸けた。

 

裏方で動く主人公達がこの戦争の火種を取り除いてくれると信じて、この戦線を留めなくてはならない。

 

 

 

 

「それそれ! 血祭りですわ!!」

 

 

 

 

バス!バス!バス!

 

 

 

 

「おい『ラリッタ』! 少しは下がれ!」

 

 

「このくらいどうってことありませんわ! あなたは大人しく後方支援を果たしなさい!」

 

 

 

特技の『血祭り』を使っているのは五姉妹の長女。

 

彼女の名前は『ラリッタ』であり、元バーサーカとしての力をクレイモア・アクアの大剣に乗せて強引に敵を薙ぎ払う。

 

マーメイドの癖に力が強くて堪らない。

 

 

 

「だからと言って射線上に入りすぎるとフレンドリーファイアーしてしまうぞ」

 

 

「あら? あなたほどの腕前を持ってそんな失態を晒しますの?」

 

 

「そんなことしねーよ! むしろあんた自らバズーカの射線上に入ってるからコッチとしてはヒヤヒヤもんだぞ!」

 

 

「別に当たりませんから、お気になさらず」

 

 

「ならハウンドドッグの拡散ゲロビ流したろうかラリッタ?」

 

 

「それは無理」

 

 

 

丁重な口調からやや脳筋な戦いに少し頭を悩ませる。 だけどラリッタは状況把握能力が高いため味方の攻撃に巻き込まれない。 むしろバズーカの爆煙を視界切りに利用して闘う辺り古参から活躍してるその強さを見せつけていた。

 

 

「カコメ」

「カコメ」

 

 

「!」

 

 

 

大軍のアリ娘が傍から攻撃を仕掛けてくる。

 

いま装備してるマキブでは一掃できそうにない。

 

 

 

「ならばビームコンフューズ!」

 

 

 

足止めするくらいなら可能と考え、衝撃波を作り上げるとビームの拡散を受けて動きが止まるアリ娘達。

 

その隙にハンドグレネードを転がし起爆した。

 

 

 

「「「ウワアアア!!」」」

 

 

 

爆発で真上に飛び散るアリ娘達を放置してリロードを終えたとあるマキブをボニーに受け渡す。

 

 

 

「ボニーにシールドビットを展開」

 

 

「助かるのじゃ!」

 

 

 

タイミングよく力溜めを終えていたボニーにシールドビットを受け渡し、そのまま展開しながら敵陣に突っ込む。 なんかFドライブのマスターガンダムがシールドビット張って横格するあの光景を思い浮かべてしまうんだよな。 足掻きでガードしたら体力溶けてしまう。 怖い怖い。

 

 

 

「ほら、そっちもだ!」

 

 

エネルギー切れを起こしそうになるビームサーベルに最後の仕事として敵に投げて突き刺す。

 

アシェルも遅れまいとボニーのサポートに走り出した。

 

 

 

「〜♫」

「〜♪」

 

 

 

リリッタとルリッタはマーメイドの綺麗な歌声で敵を魅了する。 心酔わせるこの歌はアリ娘や兵士の動きを止めていた。 証拠に触覚が情けなくヘロヘロになり兵士の男どもはビクンビクンとしている。 とりあえず気持ち悪いからファンネルのビームをケツに打ち込んでやった。

 

 

「「「ピギィィ!?」」」

 

「「「アッー!!」」」

 

 

よだれたらしてプルプルと震えている。

 

相当ファン♂ネルの味が効いたのだろう。

 

ちなみに威力は手加減した。

 

 

 

 

「復活だーい!」

 

 

「レリッタ、怪我は大丈夫か?」

 

 

「もう治った!だから復活した!」

 

 

「はいよ」

 

 

 

元気に武器を構えて敵陣に乗り込むレリッタ。

 

あの調子だとまた怪我して後方に退きそうだ。

 

 

 

「ラリッタおねぇちゃん! 私も一緒に闘う!」

 

 

「あら、そうなの? あまり無理したらダメよ」

 

 

「おねぇちゃんみたいに強くなりたいから多少は無理するもん!」

 

 

「全く、仕方ない妹ね」

 

 

「えへへ。 よーし! かかってこーい!」

 

 

「あらあら、うふふ」

 

 

 

こりゃしっかりと俺が後方支援しないと姉妹共々倒れそうだな。 そうなるとビームマグナムか。 カートリッジだから何発でも撃てるし、威力も高いから確実にトドメ刺せる。 そう考えた俺はメインのビームライフルからビームマグナムに、サブのバズーカからヴェスバに切り替える。

 

 

 

「とりあえず一発」

 

 

 

ずっしりと重たいビームマグナムのトリガーを引き、敵兵に撃ち放つ。

 

 

 

バキューーーン!!!

 

ボゴォォオ!!

 

 

 

「グァッ!?!?」

 

 

 

まるで鉄球にでもぶち当たったかのような鈍い音が広がり、直撃した敵は遠くに吹き飛ばされる。

 

 

 

「やはり強すぎるなコレ……」

 

 

 

今回の敵に対してこのマキブはあまりにも殺傷能力が高すぎる。 しかしそれは当たり前の話。 ここは陸であり外海の世界では無い。 マンタ娘やいっかく娘などの外洋生物に対して必要な威力だがいま闘っている敵に対して過大戦力となっている。

 

ビームマグナムでは制御が効かないのだ。

 

 

 

「やはりZ系のビームライフルにするか。 誘導力が低いから素早い敵には当たらないけど、今回はそうでも無いからこのくらいで充分よな…」

 

 

 

しかしビームマグナムの威力射撃が効いたのか敵の戦意が少し薄れた気がする。 そもそも俺という存在が敵によっては未知数であり、先ほどのビームマグナムが敵兵をぼろクズのように吹き飛ばしたのだ。 しかも何発も撃てるときたらそりゃ戦意も薄れるに決まってる。

 

 

 

「ロリッタ、銃は使えるか?」

 

 

「海賊だよ、だから使えるに決まってるよ!」

 

 

「じゃあ軽く説明する。 このカートリッジ式ビームライフルはトリガーが軽い。 そして3連続で撃てる。 そのかわり狙うつもりで撃たないと当たりにくい。 いいね?」

 

 

「仕方ないなぁ、先輩だから承ってあげる」

 

 

「頼もしいぞ、ロリッタ先輩」

 

 

 

俺はZ系のビームライフルをロリッタに渡して、ロリッタも後方支援の一部に加える。

 

しかし受け取ると彼女は首をかしげる。

 

 

 

「アレ? 銃が無い甲板長はどうするの?」

 

 

「ファンネルを使う」

 

 

「おk、把握」

 

 

 

いや、どこで覚えたしその言葉?

 

まぁいいや。

 

後方支援射撃としてテンプレ気味にファンネルを使うが、俺はニュータイプになってから更に器用な操作が出来るようになった。

 

そして、質も、量も、桁外れに…

 

 

 

 

 

「いけ!ファンネル(赤キュベレイ)ファンネル(黒キュベレイ)ファンネル(キュベレイ)ッッ!! 」

 

 

 

 

 

「ぬぉ!? フラッグ!?」

 

「♫〜〜ラララ……ん? ふぇぇ!? フラッグ甲板長さん!?」

 

「すげー!!!」

 

「あら、とても濃ゆいこと」

 

 

 

両手を広げて念じればこれまでに無いほど多量のファンネルが周りに展開される。 その時に体から溢れる紫色の不気味なオーラは目視可能な程であり、それはニュータイプとして完成されてる証拠だった。 あと紫色のオーラに関しては手で数える回数だけどスノウヘブンに辿り着く前にも何度かその現象はあった。 小舟の中でマンタ娘に襲われた時が一番大きかったはず。

 

 

 

「ファンネルよ! 質量の高い敵を狙え!!」

 

 

 

質量の高い敵(リーダー格)を重点的に狙い、敵の統率力を失わせようと有りっ丈を解き放った。

 

ゲームで言えばSPが30くらいを消費して、放てば放つほどMPの消費量もバカにならないが、つまりそれだけ有ればこのような事が使用可能だ。

 

大軍相手に光る武装だ。

 

使わないわけにはいかない。

 

 

 

「あまり長引くと頭が割れそうだな…!」

 

 

 

遠隔操作のマキブを多量に扱うのはかなり苦しい。 しかもそれぞれコストの技がバラバラである。 だが『キュベレイのファンネル』って事が共通してるため、バラバラのコスト帯のマキブを扱っても『ただ数が多すぎるファンネル』ってだけだ。

 

短時間なら扱えない事もないのだ。

 

それでも普通なら情報量の多さに脳が潰れそうだが今の俺はニュータイプ。 もともと素質があったのか一度開花すれば気持ち悪いくらいにその能力は高まり、今じゃシロッコやハマーン様にも劣らずニュータイプとしての強さを手に入れた。

 

これも海賊として過酷な環境を生きてきたからこそだろう。 あと種族的弱さで遅れを取るストレスを抱えながらその殻は破ってたからな。

 

あれ? 俺って結構勇者タイプ?

 

 

 

「避けれるものなら避けてみろ!」

 

 

 

言ってることは勇者タイプじゃないけど。

 

 

 

 

ピュンピュンピュン!!!

ピュンピュンピュン!!!

ピュンピュンピュン!!!

 

 

 

「ウガァァ!」

「ガァー!」

「ヤメロ!」

「助けてくれー!」

「うあああ!!」

「ぎぃあぁぁあ!!」

「ウゲェア!!」

 

 

 

ピュンピュンピュン!!!

ピュンピュンピュンピュンピュン!!!

 

 

 

無数の蜉蝣のごとくまわりを飛び回るファンネルは敵を囲い、無慈悲な兵器はこの戦争に参加した兵士たちを次々と撃ち潰していた。

 

一人が撃たれた。

 

その隣ではパニックで動けずにファンネルの餌食となって跡を追ってしまう。

 

武器が破壊されてしまえば後ろを向いて逃げようとした瞬間に恐怖の光線が襲いかかるり恐怖を刻み込まれてしまう。

 

潜って逃げようとするアリ娘を真っ先に感知しては掘るための腕を撃ち抜かれて逃げ場を無くされてしまう。

 

迎撃しようと武器を振るう者もいたが無造作に動くファンネルに武器は触れることなく何十倍にもなって返されてしまう。

 

仲間を盾にする愚か者は後ろからも撃たれてしまう。

 

必死に突破口を見出そうとする者は真っ先に倒されてしまう。

 

現実逃避する者は恐怖の閃光により夢を覚まさせられてしまう。

 

 

その中で頭を地面に伏せでガクガク命乞いをする者や、戦意喪失して地面に座り込んでしまった敗北主義者に対しては、ファンネルは襲わなかった。

 

ただ狙われないでくれと心のない浮遊する機械達に対して必死に祈りつづけていた。

 

 

 

「動くと撃つぞ」

 

 

「「「「__!!」」」」

 

 

 

冷酷に淡々と告げた声だけどよく聞こえたようだ。

 

すると…

 

 

「もう大丈夫じゃ、フラッグ」

 

 

 

軍を指揮する隊長格は地面に倒されていた。

 

どうやらファンネルの嵐の中でおさかな海賊団の船長が闇のサーベルで斬り伏せていたのだ。

 

そうなるとこの師団は機能が停止するだろう。

 

 

そして始まるのは……敵の敗走である。

 

 

 

「逃げろォォ!!」

「撤退だぁ!!」

「化け物め!うあああ!!」

「ウアー!」

「ひぃぃ! 悪魔だぁ!」

「嫌だ嫌だ嫌だ死にたくない!」

 

 

 

冷静を失って必死に不利な海の方へ逃げてしまう。

 

それでも兵士たちは逃走。

 

戦場に振り返る事は無く皆が慌て背を見せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、ボニーが軍を指揮する長を討ち取ったことにより北に攻め込んできた敵の戦線は崩壊した。

 

これによりグランゴルド撤退を余儀なくされたのだ。

 

ちなみに敗走する兵には手を加えてない。

 

まだ戦意ある兵がいるなら攻勢の手を緩めないつもりだったが、戦う者は一人もいなかった。

 

それから北の戦線を任されたグランドノア兵は援軍のために師団の半分が南に移る。

 

そのかわりおさかな海賊団は戦線維持のために北の戦場に残ることになった。

 

とりあえず拠点に戻り、魔法で作られたテントの中に入りお昼ご飯をいただいているところだ。

 

戦争中も食べれるうちに食べないとな。

 

 

 

「しかし外洋の海を渡り歩いてる俺たちからしたらなんというか、あまり大したことは無いな…」

 

 

「だから海軍は外海まで使える海の荒くれ者を探したんだろうねぇ。 強いと知ってるからな」

 

 

「そしたらそんな海軍は要注意団体のおさかな魚海賊団を運良く見つけてしまう。 それから交渉をして連れてくれば一騎当千の価値だった話だな。 こうなるとお手柄だな、海軍は」

 

 

「少し癪だねぇ…」

 

 

「しかし海軍だけじゃない! この活躍にておさかな海賊団の知名度もうなぎ登りじゃ!」

 

 

「そりゃ一師団を退かせた大戦果だからな、間違いなく英雄扱いになるだろう」

 

 

 

敵の主力である第1前線をいきなり崩したのだ。

 

北の戦線はグランドノアが制圧したため、敵はここの攻略を苦労する事になる。

 

グランゴルド兵の式力も大変低下してる頃だろう。

 

 

 

「でも英雄扱いはフラッグだねー」

 

「だよね!フラッグのファンネルは見慣れたはずなのにまた驚かされたよ!

 

「お陰で敵の大将は取れたと言うものも、外海の嵐に負けぬ勢いじゃったぞ」

 

「すごい量でしたね」

 

「ふふふ、少し前までの新入りがまたまた強くなって。 おねぇさんそろそろ襲っちゃおうかしら?」

 

 

 

仲間に褒められるのは大変嬉しいけど、実は多量のファンネルを動かしたあと酸欠状態になっていた。

 

体に酸素が足りないため意識が飛ばされそうになったのは秘密にしておこう。

 

 

 

「とりあえずここの戦線は維持を続ける。 5日間は防衛戦をするとさ」

 

 

 

つまり5日間以内にルカさん御一行はこの戦争の根っこを取り除かないとダメということになる。

 

この一帯を制圧したとは言えこの戦線を永遠と維持できるとは思えない。

 

いずれこの防衛線を崩れてしまう。

 

そうはると次は殲滅戦へと展開することになり、グランドノアの人的資源は削られ続けてしまう泥沼と化して屍の山を築くことになる。

 

誰もそんなことは望まない話だ。

 

 

 

「しかし私たちは海賊であり海上戦が得意なのだから南の海は任せれば良いのに、何を考えておるのじゃ」

 

「お嬢、おそらくそこは海軍がやっているのでしょう」

 

「ぬぬぬ! 解せぬのじゃ!」

 

 

 

 

エスタへ進む大陸には海が面しており、グランゴルドはそこからも侵略を開始していた。

 

だがそこは海軍が抑えてる状態であり、今のところ戦線は問題無さそうである。

 

もとよりグランゴルドはアリ娘や移動要塞のゴーレム系の大きなモン娘を中心とした地上戦か強い。

 

タツノコ兵と同じくらい練度は高い。

 

そのかわり海兵は数が少ないため海の戦いは大国の中で弱いらしいく、グランゴルド側は南でそこそこ苦戦してるらしい。 そのかわり北に力入れているが、こちらのファンネルが初見殺しと襲いかかり一軍目は撤退を余儀なくされた。 とりあえずしばらくは大丈夫だろう。

 

 

 

「それよりこれからどうするのじゃ?」

 

「いま塹壕を掘っている。 あと地上に特殊な水を撒いてるらしい」

 

「特殊な水?」

 

「土属性の生き物は地上に撒かれた特殊な水に触れると本来の力の半分以下になる。 アリ娘の触覚が力をなくし統率力が無くなる」

 

「お嬢、アリは触覚で会話を取ります。 アリ娘もまた同じように触覚で会話を取り、情報を共有します。 なのでその能力を奪い取るのです」

 

 

 

アリ娘は情報共有速度が高く、普通の軍よりも素早く戦術を展開できる。 この能力を活かしながら多量の兵を稼働すれば陸軍として最高クラスの強さを引き出す。 グランゴルドの強みはこの統率力だ。 働き者で勤勉なもん娘なことも相まってタツノコ兵よりも人海戦術を上回る種族だと言われている。

 

だが情報共有を行う触覚の力を奪い取れば相手の戦力は半減する。 そのために特殊な水を撒いているのだ。 あとゴーレムなどのモン娘も特殊な水によって戦闘力を奪う。 効果がないのは人間だけだがもん娘の力には勝てないので戦力としてそれほどあるとは思えない。

 

つまりこの戦線はほぼ此方のようなものである。

 

敵もこれ以上の進軍は厳しいだろう。

 

 

「ねーねー、私たちはここから動くのかな?」

 

「それはないねー、おそらくー」

 

「ええ〜? なんで?」

 

「手柄を取られるからー」

 

「なにそれー! くだらなーい!」

 

「リリッタとレリッタ、あまりその内容で大声出すな」

 

 

子分たちの何気ないいつもの会話。

 

一時的な平穏だが……まもなくそれは壊される。

 

 

 

 

 

 

_チガウ!

_コレはこんなモノのためじゃない!!

 

 

「ッ!?」

 

 

頭に何かの声が入り込む。

 

これ…は???

 

なんだ? 気持ち悪いッ…!

 

 

 

 

ガヤガヤガヤガヤ

 

 

 

 

「むぅ? なんか外が騒がしいのじゃ」

 

 

 

するとこのテントに兵士がやってくる。

 

 

 

「伝令です! グランゴルド王が現れました! しかもこの戦線の近くまで!!」

 

 

「なんだと!?」

 

「まさか王自ら現れるとは!」

 

「これはヤバそうだねぇ…」

 

 

 

 

 

_ダメだ、ダメだ!

_コレはこんなモノのじゃナイ!!

 

 

「ッ、ッッ」

 

 

 

な、なんだこの感覚は??

 

一体なんだ??

 

もしやグランゴルド王から伝わるモノか?

 

っ、気持ち悪いッッ!

 

 

 

「甲板長さん? 大丈夫?」

 

 

「あ、ああ、ルリッタ、大丈夫…」

 

 

「もしかしてファンネルの疲れですか? そりゃアレだけの量を放ちましたから…」

 

 

「それもあるけど、この感覚は防衛線の先から感じるんだ……っ、頭が気持ち悪い…」

 

 

 

不愉快な感覚だが俺は装備してるマキブを確認する。

 

 

 

「ボニー、俺たちも迎え討つぞ。 ここを崩されたらまた戦線の引き直しだ」

 

「確かに、この場で待機は得策じゃ無いねぇ」

 

「うむ! 皆の者! 行くぞ!」

 

 

 

出撃命令は出ていないがお魚海賊団は特攻して行った隊長の後を追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

名前【 フラッグ 】(真名:海ノ雪旗)

レベル【 53 】

熟練度【 69 】

この世界に来て【 76 】日が経過。

 

 

ここまでの冒険は

再び参戦する前に

日記帳に記録を残した▽

 

 

 

つづく

 




外海を渡って来たおさかな海賊団からしたらそこまで手応えがあるわけでないみたいですね。


《ファンネル》

浮遊する物体からビームを放ったオールレンジ攻撃可能であり、敵を囲って蜂の巣にしてしまう恐ろしい兵器。 NTになった事で量を増やして巧みに扱えるようになった。 使い勝手が良すぎるマキブであり、停滞、自衛、迎撃、追撃、強襲、なんでもござれの最強クラスの武器だろう。


ではまた

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