おさかな海賊団の幸せな旗   作:つヴぁるnet

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80日目 〜 おさかな海賊団 end

 

〜 グランドノア 〜

〜 夜 〜

 

 

反攻作戦は成功に終わり、グランドノアの宴で祝うことになった。

 

俺はグランゴルド王と戦ったあと疲労により深く眠りについてそのまま2日間が経過していた様だ。 ニュータイプの力を発動しすぎた体は相当無理していたようだ。 目を覚ました頃には戦争も終わっていたが、ボニーとアシェルから軽く説教を受けてしまう。 ただ俺の動機やらを説明すると理解はしてくれた。

 

そのかわり二人揃って「夜は覚悟しろよ」と宣告を受けてしまう。

 

夜は倍になるな…耐えれるか?

 

いや、存分に溺れてしまいたい気分だ。

 

俺も喜んで快楽に狂おう。

 

 

さてルカさん御一行の活躍によって戦争は集結、戦後処理が行われると無事に終戦協定が結ばれた。 その中で戦争仕掛けてきたグランゴルドは『操られていた』という事で罪は軽くなった。 だが命を失った者もおり、この傷は癒えるまで時間を費やすことになるのは確かである。

 

悲しいけど、それが戦争なのよね。

 

 

 

さて、大戦が終われば始まるのは宴の始まり。

 

俺達おさかな海賊団も参加していた。

 

 

「肉だー!」

「魚だー!」

「犬だー!」

 

 

「え? い、犬??」

 

「犬の形をしたゼリーだぜ、フラッグ」

 

「なんとも器用な事を…」

 

 

「あ、あおーん……」

 

 

いぬ娘が悲鳴と共に盛り上がっている。

 

そんな宴の中で俺は懐かしき顔と出くわした。

 

 

 

「え? あんたもしや…アリスか?」

 

 

「もぐもぐ、フラッグか、もぐもぐ」

 

 

「まさかこの戦争に参加してたとはな…」

 

 

「いや、もぐもぐ、捕まって、もぐもぐ、いたのだ、もぐもぐ、もぐもぐ」

 

 

「ああ、そうなのね。 てかゆっくり食えよ」

 

 

「捕まってる間、もぐもぐ、なにも食べれなかったから、もぐもぐ、もぐもぐ、我慢ならん、もぐもぐ」

 

 

「あ、うん、わかった。 とりあえず邪魔しないからゆっくり沢山食べてください」

 

 

「バリバリ、パリン、ブチッ、くっちゃくっちゃ」

 

 

 

一体いま何を食べたんだ?

 

まさか皿ごといったのか?

 

どんだけ飢えているんだよ。

 

 

 

「あ、ちょっといいかな?」

 

 

「?」

 

 

 

アリスは放っておいてお魚海賊団の元へ戻る途中、とある人が訪ねてきた。

 

それは人間なんだけど人間の形では無い異形の存在が俺に接触してきた。

 

 

 

「あなたは…たしか」

 

 

「あ、あまり警戒しないでくれたら嬉しいかな? 僕としてはこの姿は困りモノの一つでね」

 

 

「はい、わかりました。 それはともかくグランゴルド王、どうかなさいましたか?」

 

 

 

そう、俺に話しかけてきたのはこの戦争の元凶と言える"グランゴルド王"だった。

 

随分とイメチェンされていらっしゃる。

 

 

「君に少し用があるのだ。 あと、ぼくたちそこまで年齢は離れて無いはずだから普通に話してくれたら僕としては嬉しいかな? 今は王と関係なしに…ダメ?」

 

 

「しゃーねーな王様、これでええやろ」

 

 

「切り替え速すぎないか!?」

 

 

「まぁ丁寧な口調は疲れるし変に気を使わないでいいならそうするさ。 それで何か用とは?」

 

 

「ああ、君に一つお礼を言いたくて」

 

 

「お礼?」

 

 

「僕は操られて自我は無かったけど、君が僕に刃を向けてくれたことは覚えている。 そして君の活躍もあり、僕が自分自身の手でグランドノアの兵を葬らずに済んだことも含めて君に感謝してる」

 

 

「ああ、なるほど。 いや、気にするな。 それに俺が気になったのは王様よりもその中にいる"ナニカ"だったから。 止めて欲しいと言われて止めただけだよ」

 

 

「!?……わかるのかい?」

 

 

「ああ、俺も精神的には王様と似た様な感じだからな」

 

 

「そっか。 だとしたらそこに君が居てよかった。 いつかお礼をさせて欲しい。 あ、それと名前は聞いて良いかな?」

 

 

「俺はフラッグ、おさかな海賊団の甲板長だ。 この恩は高くつくぞ?」

 

 

「復興が終わってからで良いならなんでもお応えしよう。 出来ることに限るけど」

 

 

「それでも俺たちはあくまで雇われに過ぎない。 まずは国民を第一にな? 王様」

 

 

 

 

 

「ルカ、あなたはあの青年とはあまり接触しないように」

 

「イリアス様?」

 

「あの青年もソニアと同じように私の記憶の中にいない人物です。 更に天使が持つ聖素の香りがほんのりと漂っています……」

 

「!?」

 

「更に言えば人の体で別の次元へ踏み込んだ異様性を感じてます。 人間だけど、人間以上のナニカを感じてたまりません。 表現し難いですが、アレは何というか重力から浮いてるような感じです。 または縛られないと言うべきか…」

 

「(ええ、その感じはするわね……)」

 

「ウンディーネ?」

 

「(ルカ、水の精霊として伝えるわ。 あの者はあなたとはまた違う次元を踏み込み、並ならぬ精神を超えている。 もし彼と接触するなら賢く立ち回りなさい、いいね?)」

 

「わ、わかった…」

 

 

 

それから宴の盛り上がりは中盤まで差し掛かったが、魔法によって突然映像が流れる。

 

映像に現れたのはアリスフィーズ15世だ。

 

この宴の中で『絶滅戦争』の宣戦布告を受けた。

 

これにより大国は大騒ぎになる。

 

おさかな海賊団もこれ以上の面倒ごとを避けようと考えたが、グランドノアはさりげなくおさかな海賊団を軍の一部に加えていた。

 

普通に逃げ遅れた。

 

ボニーは気持ちを切り替えてもっと恩を売ろうと言ってそのまま参戦を続行することになった。

 

だが一晩経過しても魔王軍の侵攻は見られない。

 

肩透かしを受けながらも、こちらの戦力を消費しないことを考えると何事もなくてよかった解答に至る。

 

さて、そんなことより俺たちおさかな海賊団も傭兵としての契約期限が切れたためグランドノアを去る事になった。 グランドノアからは盛大な感謝を受けた。 どうやら北の戦線の活躍は王女の耳に届いており、北の戦線を指揮する総隊長から報告を受けたらしい。 義賊としての名はこれで盛大に広まったのでボニーも大変満足していた。 ヨシ!

 

特に俺に対する評価はとても高い。

 

王女はできれば軍の一部に加えたいと言っていた。

 

高い地位と好待遇を約束するなど、色々と甘い話が飛んだが……

 

 

 

 

まぁ 当然、俺は断った。

 

 

 

俺は海賊であり、組織の甲板長だ。

 

生涯の全てをおさかな海賊団に注ぐと誓ったのだ。

 

なのでそれを伝えてお誘いを断った。

 

 

報酬だけを受け取った。

 

 

さて、報酬の中身を確認したい気持ちを抑えて船に持ち帰ることを考える。

 

団長の命令で、中身の確認はお楽しみらしい。

 

 

 

「あ! マーメイドの海賊団よ!」

「スゴーイ!!」

「こっちみてー!」

「おっぱいぷるんぷるん!」

 

 

おさかな海賊団の活躍を知る住民から声援を浴びた。 今回の反攻作戦の功労者と言うことでそれなりに有名である。 ボニーはフンス!と満足気に手を振り返し、アシェルもどこか楽しそうに手を振っていた。 俺も仲間と共に手を振って応える。 するとその中に…

 

 

 

「フラッグ、数日ぶりだな」

 

「ショウキか! お帰り。このまま合流か?」

 

「ああ。 サバサでの役割は終えた。 これからまたよろしく頼む」

 

 

戦争中の彼女はサバサの軍に加わり反攻作戦に参加した。 任されたのは南の戦線であり彼女は敵の捕獲を担当していた。 アサシン一族だけあって夜闇に駆ける力は凄まじく、夜戦部隊に加わって活躍した。 それから反攻作戦が終了するとサバサに戻って状況整理を行ってある程度手伝うと解放されたようだ。

 

 

 

「よし、皆のも揃ったな! それでは帰ろう! 我らのおさかな号に!」

 

 

「「「おー!!」」」

 

 

 

街の中央でハーピーの羽が空に伸びる。

 

国民たちのお見送りと共におさかな海賊団は去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、おさかな号に到着してからはすぐに船を出して海に出る。

 

俺は早速報酬を確認しているところだ。

 

 

 

 

「フラッグ、何をしておる?」

 

 

「ショウキか。 いや、渡された報酬の中身に入ってたマキブを確かめてる」

 

 

「ふむ、確かそれはグランドノアからだったな…む? その『設計図』は何だ?」

 

 

「これか? 立派なマキブの一部だよ」

 

 

「??…ああ、なるほど。 その設計図からマキブを作り上げるのか」

 

 

「いや違う。 この一枚の設計図だけでマキブだ」

 

 

「??……もしやこれでペチペチ叩いて攻撃するつもりか?」

 

 

「細長く丸めて叩けば痛そうだけど、残念ながらハズレだ。 これは"ヘルメスの薔薇"と言われる設計図であり、G系統のMSに使われる『全ての換装兵器』を引き出すことができるマキブだ」

 

 

「全ての換装??」

 

 

「見たほうが早いな」

 

 

 

俺は設計図を両手に持って、とある換装の装備をイメージする。

 

今は戦う状態じゃないから攻撃しない兵器を使うことにした。

 

 

 

「『リフレクターパック』!!」

 

 

 

俺の背中には分裂したリフレクターの羽が展開される。

 

大きな蝶の羽のように形作った。

 

しかし横幅を取るから動かし辛い。

 

さらに風の抵抗を受けるから少し踏ん張らなければならない。

 

 

 

「このリフレクターパックは魔法のダメージを防ぐどころそれをエネルギーに変換してしまう」

 

 

「なんと! ABCマントよりも高い性能じゃないか!」

 

 

「まぁな。 後方支援するにあたってこのリフレクターパックは破格の性能だ。 でもな、これはまだ断片に過ぎない。 もっともっとヤバいモノがこのヘルメスの薔薇の設計図に詰め込まれてる。 お陰で他がいらなくなるくらいになる」

 

 

「……と、言うと?」

 

 

「エクバの職業が最上位クラスになればヘルメスの薔薇の設計図だけあれば充分なんだ。 冗談抜きに他はいらなくなるくらい。 そのヤバいマキブだよコイツは」

 

 

 

流石、大国が保管していただけある。

 

今までは剣でビームサーベルを引き出し、銃でビームライフル、大筒でヴェスバーのように限られていた。 だがヘルメスの薔薇の設計図が一つあるだけ『Gセルフ』の換装武器が全て扱えてしまうのだ。 グランドノアはとんでもない代物を持っていたんだな。 しかもこれ一枚で『パーフェクトパック』まで使えるとなると……

 

普通にチートじゃねーか。

 

たまげたなぁ。

 

 

だけどこのマキブと俺の巡り合わせはどこか運命を感じる。

 

今のグランドノアを含んだグランゴルドなどの大国は戦争で荒れたものを修復するために国土回復(レコンギスタ)を行っているのだ。

 

国土回復のために奮闘する国から貰い受けたのは『レコンギスタ』のマキブだ。

 

そのような意味を持って俺の目の前に現れてくれたようだ。

 

ブラハムが喜びそうなロマン話だな。

 

 

 

「大事にしよう。 国のためにおさに海賊団が戦った証となるからな」

 

 

 

俺はリフレクターパックを解除した。

 

重たい兵器から解放されると俺は背筋をグイッと伸ばし、首をポキポキと鳴らす。

 

その隣ではショウキがタルに上に座って夕日を眺めていた。

 

 

 

「やはり海はいいなぁ。 眺めの良さもだけど、どれだけ自分が未熟者なのか充分に知らしめてくれるから」

 

 

「そうだな…」

 

 

 

適当に置いてある木箱の中から果実を取り出し、ショウキの目の前に差し出す。

 

するとショウキは懐から短剣を取り出して一閃。

 

果実は半分に裂けた。

 

 

 

「ところで、これからおさかな海賊団はどこを目的地に向かう?」

 

「んー、そこはボニーの気の向くままにだな」

 

「そうか。 まぁどこであれ、私もお供させてもらう」

 

「ああ。 ならこれからもよろしくな、ショウキ」

 

「うむ」

 

 

 

お互い、半分にされた果実に食らいつく。

 

夕日の日差しを浴びながら潮風を味付けにこの味を楽しんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜 おさかな号 〜

〜 夕方 〜

 

 

 

「よぉ、エヴァ。 勉強中か?」

 

 

「まぁね。 海賊として必要な知識は多いからね。 いま因数分解ってやらを勉強中よ」

 

 

「マジで航海士にでもなるつもりか?」

 

 

「私はそこまで戦闘力があるわけじゃないから。 なら裏方で活躍できる能力は必要でしょ?」

 

 

「それは周りの海賊マーメイドが強いだけでエヴァは大丈夫だよ」

 

 

「それでもこの組織にいるならもう脳筋な戦闘兵はいらないでしょ? あなたも前衛じゃなくて後方支援を頑張るように、自分に見合った立ち位置を決めたじゃない」

 

 

「まぁそうだけどさ。 でも航海士は本当に難しいぞ? 暗算で因数分解と2次方程式ができないとダメなくらいだ。 あと勉強嫌いならなおさらな」

 

 

「たしかに、知識的問題は個人差によるわ。 私も勉強はそこまで好きじゃないけど、お宝を求めるためには努力くらいするわよ。 だけど私が航海士になろうと思ったのは私がサキュバスだからよ」

 

 

「…と、言いますと?」

 

 

「サキュバスは風の属性をうまく操ることができる。 更に"自然感応"のスキルを使えるサキュバスだからね自然の変化を捉えるのは得意のよ。 これのお陰でどこから嵐が来るとか感知できるわ」

 

 

「たしかに必要な能力は揃ってる。 理にかなってるな」

 

 

「そういうことよ。 面倒な料理洗濯なんかよりもこっちをやってる方がまだ楽だわ」

 

 

「ぶっちゃけそれが本音だろ」

 

 

「ふふ、まぁね」

 

 

「でもそれだけハングリー精神あるならそのうちこの海賊団を自立して自分で海賊団を作れそうだな」

 

 

「……自立?」

 

 

「うん。 自分の海賊団を作るんだ」

 

 

「……自分、だけのねぇ……」

 

 

「俺はこの海賊団に骨を埋める定めだけど、エヴァは自分だけの組織を作りたいならこの船で充分に力を蓄えて、その内この船を飛び出して行けば良いんじゃないか?」

 

 

 

それだけ言うと何かを考え出したエヴァ。

 

あまり長続きしない性格してるけど、お魚海賊団に来てからは結構努力してる姿が見られるのだ。

 

もしかしたら彼女は海賊業の環境が肌にあってるのかもしれない。

 

 

でもフラッと止めるかもしれない。

 

そのくらいエヴァはいい加減なんだ。

 

 

 

「…それは無いね」

 

 

「おや?」

 

 

「だって自立するにもまずお金でしょ? あと部下でしょ? それから船でしょ? 他にももっと知識も必要だわ。 それに私が飛び出そうとした頃にはおさかな海賊団が全てお宝見つけてるかもしれないじゃ無い。 そうなるとなんか面倒だわ」

 

 

「そうなりますか」

 

 

「将来見えてるだけ有望じゃない。 でも…」

 

 

「?」

 

 

「この海賊団は居心地良いから私は抜け出そうとは思わないわよ」

 

 

「……その心は?」

 

 

「三食昼寝付き」

 

 

「感動返せ」

 

 

「そんなの昨日の夜に寝ているあなたからちょろまかしてしまったわ。 ごちそうさん、美味しかったわよ」

 

 

「は!? いや、嘘だろ?? だって昨日の夜はアシェルがべったりだったぞ!?」

 

 

「下級とは言えわたしはサキュバスよ? 数分あれば余裕よ」

 

 

「…やはりあんた盗賊業向いてるわ」

 

 

 

どこかサキュバスらしくないエヴァに呆れながら俺は去る。

 

そうするとエヴァは再び勉強を開始した。

 

やはり原作同様どこか変な奴だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜 おさかな号個室 〜

〜 夜中 〜

 

 

 

 

「マキブも随分と揃ったな」

 

「うむ! フラッグの努力じゃな!」

 

 

俺はベッドの上に座り、ボニーはその隣に座って肩に身を寄せる。

 

彼女の肌を感じながら袋を逆さに向けてジャラジャラとマキブを落とす。

 

手のひらに収まる小さなアクセサリー達の数は随分と多かった。

 

そりゃこの世界に来て2ヶ月以上が経過してるのだ。

それなりの数が集まるに決まってる。

 

しかしその中でやはり"ヘルメスの薔薇の設計図"が一番凄いと思う。

 

これ一つで『Gセルフ』が使う換装兵器を引き出すことができるのだ。

 

まぁ大国が所持してたマキブだ。

 

ブラハムから貰うよりはランクが高いのだろう。

 

しかしそうなるとブラハムがブラを集めさせる交換も一つのイベントだとすると、グランゴルドに対する反攻作戦も俺のストーリーに仕組まれたイベントの一つなんだろうか?

 

それはあり得る。

 

この世界はゲームだから『海ノ幸旗の物語』って感じにプレイヤーのためにワクワクとやりこみ要素を提供するイベントとして反攻作戦に参加する流れが現れたのだろう。

 

もしかしたらボニーが反攻作戦の参加で…

 

海軍 の 話 に 乗ります か?

 

 

_はい

▷いいえ

 

 

…を、選んだ世界線もあるのかもしれない。

 

 

例えばそうだな。

 

フラグを立てなくて断るとか、好感度が足りなかった場合とか、ゲームに良くある分岐点って感じだろう。

 

そう思って隣の彼女をみる。

 

 

 

「…フラッグ?」

 

 

「んー? どうした?」

 

 

「何を見つめておる? 少し恥ずかしいぞ」

 

 

「いや、可愛かったから」

 

 

「な、なんだ、変な奴だな。 平気でそんなことを言うな……」

 

 

 

たしかにこの世界はゲームから生まれた世界だ。

 

しかし海を渡る時に感じる潮風、そしてマーメイド達の呼吸、それは紛れもなく本物だ。

 

それはゲームシステムなんかじゃない。

 

ちゃんと生きている。

 

いま真横で生きている。

 

ゲームの画面越しなら一マス、一マスと決められた世界だけど、ココはそうじゃない。

 

旅をしていれば迫り来る害悪は何度でも俺たちを死の境目の誘う。

 

肌を傷つけば血は流れるし、魔性の快楽を与えられた身を委ねてしまいそこで旅が終わってしまう危険な世界だ。

 

でもそれは生物だから正常である。

 

 

だから決して目の前にいる彼女はシステムなんかじゃないんだから。

 

ちゃんと生きてくれている。

 

 

 

「ボニー、俺はこの海賊団に来て2ヶ月近くが経過した。 来た当時よりも少しは強くなれただろうか?」

 

 

俺はマキブを整理しながらこの2ヶ月を打ち明ける。

 

船長の帽子を外してるボニーは自分の髪を梳かしながら答えた。

 

 

「何を言っておる。 滅茶苦茶強くなったと思うぞ。 そしてとても良くやってると思うのじゃ」

 

 

「そうか、それは良かった」

 

 

「しかし多分お主はこの海賊団に来なくとも強くなっておると思う。 フラッグはそう言う人じゃ。 マキブの力は反則的であるが、それでもそれらを使い熟すお主は努力家だ。 時間があれば何度でも試行錯誤繰り返し、何度もイメージトレーニングを行っておる。 イメージトレーニングのせいで料理を焦がす時があったな」

 

 

「そこはアシェルから怒られたので料理の時は料理を集中するようにしてる」

 

 

「でもそれはお主が我らに遅れを取らないようにしたい劣等感から来ておった。 種族的弱さに悩ましながらな…」

 

 

「人間と言う種族をどうにかすることはできない。 だから都合よく手元にあるマキブ達でそれを埋めるしか俺には方法がなかった。 だから俺は…」

 

 

「我は分かっておる。 我は知ってるのじゃ。 海外へ抜け出して喜ぶ我達を他所に、お主はこれまでにない程緊張していた。 不安に目を濁らせていた表情を我は見ておった」

 

 

「内海はなんとかやって来れた。 比較的穏やかな海だから俺は遅れを取らなかった。 でも外海はこれまでの強さを全否定してしまう。 その世界に踏み出した時、地上で生まれた人間の俺はこの海の上でついて来れるのか? その不安しかなかった…」

 

 

 

今は人間の殻を破り、スノーヘブンで文句なしの強さを手に入れた。

 

だけど過去に感じた劣等感は消えることない。

 

その時の感情を思い出して少し辛そうな表情をボニーに見せてしまう。

 

 

 

「フラッグ…」

 

 

 

ボニーは後ろから抱きしめる。

 

たわわ実った胸は背中に柔らかく感じる。

 

それでも彼女の抱擁はとても落ち着く。

 

 

 

「フラッグ、我らお魚海賊団はお主を見捨てぬ。 種族的弱さに苦しんでもお主の存在はお魚海賊団にとって必要不可欠だ」

 

 

 

こちらの頭を撫で、彼女は慰めてくれる。

 

 

「それにアシェルは言っておった、海賊業は戦いが全てではないとな。 お主はおさかな号が潰れぬように管理してくれる重要な役目を背負ってくれた。 だから皆と戦えぬだけで劣等感に溺れる必要は無い」

 

 

「だな……そう何度も言ってくれたな、ボニーは」

 

 

「うむ。 だがもうそれは気にしなくとも良いだろ。 だがお主はいつのまにか人間の弱さを克服してた。 …本当にお主は何度も我らを驚かせては心配させてくれる。 特にマンタ娘との一騎打ちに関してはな」

 

 

「アレはそうしなければおさかな号潰れてかもしれなくて…」

 

 

「分かっておる。 でもフラッと朽ちそうで怖かった。 その時のお主はまだ…怖かったのだから」

 

 

 

 

『弱かった』とは言わない。

 

だが『怖かった』と言う。

 

大事にされている証拠だろう。

 

それは嬉しい話だ。

けど男として情け無さは見せれなかった。

 

俺もお前らのように戦えるのだと、マンタ娘の一騎打ちをチャンスにして見せつけたかった。

 

結局ゼロシステムに頼ってしまい無茶した結果に終わった。

片腕もひどくやられて包帯巻いた。

しかも一度戦っただけであのザマだ。

 

旅すれば当然のようにモン娘は何度も何度も襲いかかる。

 

無慈悲に連戦する世界だ。

 

だからあそこまで怪我を負ったのは複雑だった。

 

なのにボニー達は何度も戦って生き延びている。

 

俺はボニー達のように何度も戦っていけるのだろうか?

 

それは分からないけど限界は必ず来るのは理解済みである。

 

俺自身弁える必要が出てきた。

 

 

 

だからマンタ娘の一騎打ちがピークだと思った。

 

半分諦めそうになった。

 

 

でもそれは…

 

マンタ娘の言葉で少し変えられた。

 

励まされ、強者から褒めてもらえた。

 

そして色々と教えてくれた。

 

種族的弱さからくる劣等感に追い詰められるなと告げてくれた。

 

だから自分の心に少しだけ余裕ができた。

 

 

 

まぁ、そのあとスノウヘブンで秘められた能力を開花したから良かったけどあの時のマンタ娘には感謝している。

 

 

 

「ボニー、君には心配させすぎた。 でも俺ってこんな性格だからさ…」

 

 

「分かっておる。 お主はほんの少し問題児だが嫌いじゃない。 むしろ考え続け、悩み続け、思考を放棄しない姿勢、とても大事な力じゃ」

 

 

「ありがとう、ボニー」

 

 

 

どんな時もボニーによって俺の不安はこうして拭われる。

 

だから外海でも元気に振る舞えたのだろう。

 

まったく、男として俺は情けない…

 

 

でも…

 

 

彼女は俺より強い生き物だ。

 

だからそんな彼女に寄り添うのは悪く無いことだよな?

 

 

 

「フラッグ、こっちを見るのじゃ」

 

 

「…」

 

 

 

すると甘えた声で俺の顔を振り向かせる。

 

俺の名を呼んだ彼女の瞳は海の様に神秘的だ。

 

彼女の金色の髪の毛は綺麗な浜辺の様に綺麗だ。 いつまでも触れて指の間に通したい。

 

尾鰭を見る。

彼女のピンク色が美しい。

 

激しい戦いを生き抜いてきた強い腕だけどどこか可憐だ。

 

なにやりも強烈に実った二つの胸は実に柔らかそうだ。 そんな欲張りボディを持ってる彼女に愛され、そして甘えられ、そしてコチラも愛して甘えることができる。 なんてしあわせな事なのだろう。 このマーメイドと出会えたことに俺は感謝しかなかった。

 

 

 

「フラッグ……」

 

「…ボニー」

 

 

 

名を読んで唇を貪る。

 

だんだんと呼吸が苦しくなる。

 

少し乱暴だけどモン娘の貪欲の証。

 

痺れるような快楽。

 

とても甘くて気持ちが良い。

 

 

 

「フラッグ、これからも我を愛してくれ…」

 

 

「…ああ」

 

 

 

彼女の願いに答えると机に置かれたランプを消した。

 

月明かりだけが部屋の中に差し込む。

 

彼女の尾ビレと髪の毛は幻想的に光を吸収していた。

 

衣類を脱がしてその肌を晒す。

 

その姿はとても綺麗であった。

 

 

 

ッ……ぁぁ……!

 

 

 

「我慢せずとも良い。 わたしにフラッグの欲望をぶつけて欲しい………いっぱい満たして」

 

 

「ッ____ !!!」

 

 

 

 

理性は砕けた。

 

 

互いに理性と我慢を忘れて肌を重ね合う。

 

マーメイドの船長と愛を確かめ合う。

 

 

今宵も深海より深く、溶け込みあった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜 おさかな号 〜

〜 キッチン 〜

 

 

 

 

「……あれ、もしかして塩切らしそうになってる?」

 

 

 

おはようございます、フラッグです。

 

外の見張りを除いてまだみんな寝てます。

 

何故ならまだあさ5時くらいだろう。

 

とりあえず目が覚めた。

 

早起きの原因はボニーと行為を終えてスッキリしてるせいだと思う。

 

彼女は本当に…

柔らかいというか…

包まれるというか…

ほぐされるというか…

攻め立てないから…

 

……その、なんだろう?

 

あまり疲れ過ぎない。

 

 

 

「おはようフラッグ、朝チュンだな」

 

 

「朝チュンいうなし」

 

 

 

どうやらアシェルもこの時間に起きた様だ。

 

 

 

「てかアシェル早いな? いつも早いけど今日は特に早いな」

 

 

「包丁の音が聞こえたからな、起きてしまった」

 

 

「そりゃ失礼」

 

 

「それで、何を作ってるんだい?」

 

 

「ハムサンド」

 

 

「こりゃうまそうだ」

 

 

 

俺は料理と両立させながらコーヒーを二人分淹れてアシェルに一つ渡した。

 

 

 

「ありがとうよ」

 

 

 

俺も一旦朝ごはん作りの手を止めると椅子に座ってゆっくりとコーヒーを味わう。

 

うん、あまり美味しいとは言えない。

 

まぁこの苦さが朝に丁度いいと思い込んで半分くらい飲んだ。

 

 

 

「ここから見えるナタリアポートは綺麗だな」

 

「そうだな」

 

 

 

キッチンの取り付けられた窓を開け、外を眺めるとナタリアポートが見える。

 

まだ活気は無いが、朝日に照らされ始める人魚と人間の街は綺麗に彩る。

 

 

 

「内海の潮風は気持ちいいな。 なんだが少し懐かしいや」

 

 

「そりゃしばらく外海で活動していたんだ。 乱暴な潮風ばかりで心の底から落ち着ける時間なんか短すぎる」

 

 

「それな。 だからもうしばらく内海を漂わない? 荒んだ肌と心を穏やかな潮風に乗せて休めたい」

 

 

「船長が了承したら構わないと思うぜ」

 

 

「よし、あとでハムサンドで交渉だ」

 

 

「やれやれ、餌付けか…」

 

 

 

俺は有りっ丈のハムサンドとほかのサンドイッチも作り上げた。

 

アシェルにも手伝ってもらい6時前には完成した。

 

子分らはあと30分は起きないだろう。

 

あまり放置してるとパンが乾燥するので布を被せて隠した。

 

 

 

「なぁ、フラッグ。 私はフラッグに隠し事があるんだ?」

 

 

「どうした唐突に?」

 

 

「いや、何度か言おうと思ったが何度も先送りにしてな? それでなかなか言えなかった事があるんだ」

 

 

「先送り?」

 

 

「ああ、そうだ」

 

 

 

どこか突然真面目な雰囲気を漂わせる。

 

 

 

「フラッグ、あんたは覚えてるか? 私達と初めて出会い、そしてボニーを大爆発から守りために飛び出した事を…」

 

 

「覚えてるぞ。 そのあと全身大火傷だっけ?」

 

 

「ああ、そうだ。 それでな、その大火傷は手当てするだけじゃ治らない程に酷かった。 だから私は一つとある方法で治療したんだが………そ、それは__」

 

 

「マーメイドの血でも飲ませたんだろ?」

 

 

「!!??」

 

 

 

俺の答えにアシェルは驚きを隠せない。

カップからコーヒーを零しそうになっていた。

 

 

 

「まぁそんなことだろうと思ったよ」

 

 

「…なんでそうだと思った?」

 

 

「まず至近距離での爆発を受けて全身大火傷を負ったら普通は10日以内で治るわけがない。 もし物凄く効く薬を使われたなら大火傷もすぐに治ると思うが当時のおさかな海賊団にはそんな薬は無かった」

 

 

「…」

 

 

「だから俺はもう一つの回答に至った。 人はマーメイドの血液を飲むと治癒力を高める。 それは命を救う程だと聞いた事がある。 でもそれって血統も関係してただのマーメイドじゃ効果は薄い。 でも大海賊王ロザの子孫を自称するボニーならほかのマーメイドより格段に上だ。 そうなると全身大火傷を治せるほどの血液じゃないかと考えた」

 

 

「そう…か」

 

 

「だから俺はボニーの血液で救われたと勝手に考えたよ。 あとは大火傷から目覚めた時に口の中で鉄分の香りがした。 生臭いとは言わないけど人間よりも濃ゆい血液の味。 ならば誰かの飲まされたのかなってね? そこら辺まで考えたよ」

 

 

「……ああ、全くその通りだ。 私はフラッグを救うためにお嬢から血液を絞らせて薬に混ぜたんだ。 それをフラッグに飲ませた」

 

 

「なるほど、そりゃ効果覿面だな。 お陰で元気溢れたよ」

 

 

「……なぁ、フラッグ。 私はお前を救うためにお嬢の血液を…その、マーメイドの血を勝手に飲ませたんだ。 後遺症も出るかもしれないのに_」

 

 

「アシェル、気にしないで。 俺はそうしてくれたお陰で助かったんだぞ? こうして元気に生きてる。 だから感謝してるさ」

 

 

「……」

 

 

「それに後遺症と言っても悪いことは起きてないぞ? むしろ人魚の血が混じっているお陰で『人魚のお守り』を使うと海の上に立つ事ができた。 これはマーメイドの血液が混じってるからだな。 あと他を言えば初対面のリヴァイアサンから片腕やられて凍結したことも覚えてるか?」

 

 

「ああ」

 

 

「凍傷に関してはミンクが薬を腕に塗り込んだ。 しかしその薬ってマーメイドが火傷負った時に使われる塗り薬だった。 それは俺に対しても効果覿面ですぐに治ったんだよ。 何故ならマーメイドの血液が混じってるからだ。 お陰で片腕の負傷に長く苦しむことは無かった」

 

 

「…」

 

 

「どうやら俺の体は周りの人間よりも治癒力が高くなってるようで厳しい航海も耐える事ができる。 ドーピングされたとは言わないが俺はボニーの血液が混じってることで大いに助かってるんだ。 だから俺はアシェルの処置を責めやしない。 むしろ……感謝してる方だな」

 

 

「っ……は、はは、そっか。 そうなのか……全く、やれやれ。 お前はそう言う奴だったな…」

 

 

「おいおいなんだよ? 元々知ってると思ってたけどまだアシェルは俺に対する理解度が低いようだな。 ……あれ? そうなると俺って周りの人間よりも長生きすることになるのか?」

 

 

「え? ああ……どうかはわからないねぇ」

 

 

「もしそうなら俺は100年程度で老いることも無いってことか? やったじゃん」

 

 

「おいおい、そう言う思考かい?」

 

 

「どうだほ? でもそれはそれで良かったと思うよ。 だってマーメイドは人間よりも長生きだから。 そうなると俺は先に死んでしまうかと思ってたけど反則的なやり方で長生きできるらしい。 そりゃ結構だな。 あっはっはっは、!」

 

 

「やれやれ、半分人間やめそうになってるのに呑気な奴だな…」

 

 

「何言ってんだアシェル? 俺はNTとしてある意味人間やめてんだぞ? 今頃だな」

 

 

「……ひとつだけ訂正。 お前はどうしようもなくバカだな」

 

 

「そんな男を好きになったアシェルもアシェルだけどな」

 

 

「やれやれ、言わせておけば…全く…」

 

 

 

そう言うとアシェルは俺の顔を引き寄せた唇を奪う。

 

お互いにコーヒーの苦い味が混ざり合う。

 

苦いけど、甘い口づけとなる。

 

 

 

「アシェル…」

 

 

「なんだ?」

 

 

「これからもよろしくな」

 

 

 

俺はアシェルを抱き寄せてニコリと表情を見せる。

 

それを見たアシェルも…

 

 

 

「ああ、これからもよろしく頼むぜ! みんなの甲板長」

 

 

 

飛び切りの笑顔を見せてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はおさかな号の乗組員として日々奮闘する。

 

たまに地上での生活も恋しくなるが俺はボニーやアシェル達が行く先を見たくてこの海賊団には寄り添う。

 

それはこれからも変わらず、マキブを集めながらいつまでも愉快な彼女たちと航海を続けるだろう。

 

 

 

 

俺の名は 海ノ 幸旗 (うみの ゆきはた)

 

 

海 の 世界で旅する お魚海賊団 の

 

幸せな 旗(フラッグ)です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここまで の 冒険 を 記録 に 残しますか?▽

 

⇨はい

いいえ

 

 

 

 

 

 

 

名前【 フラッグ 】(真名:海ノ雪旗)

レベル【 55 】

熟練度【 70 】

この世界に来て【 80 】日が経過。

 

 

ここまでの冒険は

愛用してる日記帳に記録を残しました▽

 

 

 

 

【もんむす・くえすと!ぱらどっくすRPG】

【 前章 + 中章 】

 

お わ り

 





本編の再投稿はこれで終了です。
5月は色々ありまして更新幅がそこそこ空きました。
待たせてすみません。

とりあえずあとは【if】の番外編を再投稿します。
ではこれにて!


《ヘルメスの薔薇の設計図》
厳密には初代やザクなど昔のモビルスーツの設計図が書かれているがGセルフの武装を全て使えるチート性能にした。 マジでGセルフ一つで解決してしまう。 これが3000コストになると誰も止められません。 独裁者パックと言った方が正しい。 まあ今回が最終話なのと大国から受け取るマキブなのでこのくらいはね?
とりあえず最後の最後で大盤振る舞いです。
異常で以上である。


ではまた


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