ステイシー end
俺はマキブを集めながらこの世界を旅していた。
気がついたらもんぱらの中章の海軍本部で料理係を請け負っていた。
え?
なんでこんなことになっただって?
遡ること二週間前の話。
マールポートに滞在してしばらくレベリングを繰り返していた。
だがある日の事。
大規模な海賊団がマールポートに襲いかかり、おれはその中に巻き込まれた。
海軍のタツノコ兵は奮闘するも無力な市民はどうすることもできず恐怖の中でただ逃げ回っていた。
そんな俺はレベリングでボロボロだったけど、回復を惜むと市民を守るために力を振るっていた。
だが、その時の俺はデスヘルが使うビームサイズを構えていた。あとレベルリングの怪我でところどころ血まみれ。 しかも黒いコートを来ていたから殺戮を楽しむ死神に見えなくもなかった。
そのような格好からタツノコ兵は俺が海賊側に見えたようだ。
それから海賊を退かせ、一息ついた瞬間だ。
俺は背後から不意打ちを受けると残り少ない体力は底まで削られて倒されてしまった。
意識は刈り取られてボロボロのまま運ばれた。
かなり運が悪い扱いを受けた。
そしてかなり体が痛かった…
目を覚ました俺は治療を受けながらも誤解を解いた。
マールポートの市民からも俺に助けてもらった証言も頂いて俺の誤解はすぐに解けた。
それはともかく海軍側はこの失態に対して大変俺に迷惑をかけたようで海軍本部を束ねるリヴァイアサンからも深々と頭を下げられた。
俺も紛らわしい事をしたと思ったのでこのことは海軍本部の正義を思って水に流した。
あと市民を守ったのでささやかに表彰された。
しかし打ちどころが悪かったのか冒険するには少しだけしんどかった。
そのためしばらく海軍本部で治療を受けることになり、傷が癒えるまでここに残ることになった。
それでここからが本題なんだが…
メシが不味い…
俺はあまりにもひどい食事に苛立ったのでキッチンを勝手に借りて自分だけの料理を作った。
海軍ならカレーだろう。
オムレツでトッピングしたりと好き勝手作った。
すると美味しい匂いにつられて海兵が集まりだし「フラッグの作る料理はおいしい」と話は広がった。
最初のうちは一人で食べていたが、いつのまにかタツノコ兵に囲まれていて、料理を欲しがられる。
分けてあげると自分の食べる分が少なくなった。
しかし皆から「美味しいであります!」とお褒めをいただいて悪い気はしなかった。
腹はそこまで満たされなかった、代わりに気分を満たされた。
料理を終えて貸してもらっている個室で休んでいると一人の訪問者。
ウミウシ兵が「料理を作ってください!」とお願いにやって来た。
俺は話の趣旨が見えない。
詳しく聞いた。
なんともそのウミウシ兵は……
あ、名前は『ステイシー』だ。
そんでステイシーは縋るような思いで俺に強請ってきたのだ。
ステイシーも怪我人にお願いするのは些か気が引けていたが、しかしお願いしたい追い込まれていた……メシマズに。
必死に懇願するステイシーからその理由を聞いた。
まず海軍の軍力は悪くないが、メシマズのせい武力が下がっているらしい。
モチベーションの話だろう。
それ故に作戦がうまくいかないことが多いらしい。
その説明を受けた俺はなんじゃそりゃ…って感じだっけど必死な彼女を放って置くことができなくなった。
しばらく考えたあと俺は傷が完治するまでは構わないと了承してあげた。
すると喜んだ。
それも飛び跳ねる程だ。
俺はそんな彼女の反応に少し驚いたか、まぁいいかと考えていた。
しかし少し目のやり場に困った。
ウミウシ兵を作った"絵師"さんの特徴なのか二つの山がすごく揺れるものだから最近解消されなかった要求は肉欲を刺激する。
するとステイシーはその視線に気づいたのか一瞬だけニンマリと笑う。
料理を作ってくれる嬉しさで表面を隠して抱きついてきた。
すると「これは前払いですよ…ふふっ」と耳元で囁かれて抑えが効かなくなった。
それから襲われた。
見た目はやや小さいのに包容力のあるお姉さん系のもんむすに抱きしめられて
蠱惑的な雰囲気を漂わせながら柔らかく包み込んできた。
俺はそんなステイシーに抗えずにいた。
もん娘に襲われる…
そこに恐怖感に駆け巡られる。
だけどステイシーは何枚も上手で「安心して任せてください」と甘くて身を委ねたくなるその言葉に痺れさせられた。
柔らかな抱擁を受け入れて肉欲は弾け飛んだ。
気が狂うほど彼女が気持ちよかった…
♢
さて、約束は約束だ。
俺は海軍のために腕を振るうことにした。
あとステイシーによってスッキリさせらていた事と調子が良い。
握る包丁が軽いので気合が入った。
皆に料理を振る舞うことになるから恥ずかしい食卓にしないよう気合いを入れてキッチンは戦場と化す。
あっという間に肉じゃがを作り終えた。
無我夢中で作り続けたが50人分は超えてるだろう。
量も半端なくかなり疲れたが、食堂からは「うまい!」や「美味しい!」と感激の声が広まった。
ただの肉じゃがでこれならどれだけメシマズに苦しめられていたのやら…
あのリヴァイアサンもご満悦だった。
気分は大変良かった。
そんな感じに傷が治るまでの期間だが料理は昼と夜だけ手伝う事にした。
料理を振る舞うたびに感激の声が広まる。
そして海軍の武力は存分に上がった。
業務も捗ったらしい。
そして数日後…
傷が終えて旅を再開できる程になった。
海軍の医師からも旅が再開できるとお言葉をもらった。
その医師から「一つ楽しみが無くね」と少し残念そうにされた。
俺は個室に戻って旅立ち前にマキブを整理していると……ステイシーがやってきた。
もう展開は分かると思うが…
「残ってください!」と言われた。
でも、そのお願いは料理のためでは無かった。
実はステイシーとは海軍本部に滞在してる間は仲良くしてもらっている。
お互いにたわいもない話し合ったり、背中の届かないところに包帯やテーピング、塗り薬を手伝ってもらったりもした。
あとステイシーに料理の手ほどきしたりと海軍本部での楽しい時間を彼女からもらったり。
あと……
夜はもん娘が得意とする魔性の快楽で弄んでくれたりと肉欲は満たされた。
それは美味しい料理を作ってくれるお礼で…と、言うのは最初の内であり、いつしか互いに求め合うように肌を重ねていた。
そうやって彼女と交流を深めるうちに、ステイシーはとても魅力的な女性であることがよくわかった。
俺としても彼女に好意を抱き始めて、ステイシーも俺に好意を抱いていた。
そんな感じに、ステイシーとはいつのまにか惹かれる関係になっていた。
俺は歩みを考える。
海軍本部に残ると言うことは…
それは旅を捨てる事だ。
ステイシーはそれを承知の上でお願いした。
一緒にいたいです。
愛したい男性の近くに居たいから…と。
__YESと答えた。
「え!? い、いいの…です、か?」
「俺はとりあえず旅してるだけでいつか職を持たないとダメだろう。 いつかはやめちまう旅だ」
そう、俺自身はこの旅は『とりあえず』って感じに歩んでいた。
マキブに関しても戦いに必要だから探してた。
RPGの醍醐味のごとくコレクトしながらきままに旅する。
でも絶対に旅をしなければならない理由はなかった。
別に使命感もある訳じゃない。
だから旅をすっぱり終えることも可能だ。
そのくらい自由だから。
だからステイシーには『いいよ』と了承した。
感激のあまりまた襲われた。
共に溺れた。
♢
「フラッグ? これはどこに置けばいいですか?」
「あ、それは鍋に入れていいぞ。 そしたら次はみりんと調理酒を用意して」
「わかりました」
「それから……おい、そこで盗み食いしてるタツノコ兵、何か用か?」
「むぐっ!? …ごくん……ええとですね、今度の作戦でフラッグ料理長には同行してもらいます」
「何のため?」
「近々グランドノアで反攻作戦が起きまして、エスタの北海域は海軍が承る事になりました。 それは長期間の任務になりそうです。 そのためフラッグ料理長には同行願います」
「なるほどわかった……で? リヴァイアサンにその話は? また勝手に調理場から引っ張る事件はないよなぁ?」
「それは反省してます!! 今回はちゃんと話を通してるでありますよ!?」
「はいよ。 ……ちなみにステイシーは」
「ステイシーも一緒であります!」
「よし、話は決まった。 行くぞ」
「もう、フラッグさんったら……」
「じゃあよろしくであります!」
こんな感じに俺は海軍本部の料理長として生きている。
ちなみにこの世界の主人公であるルカさん御一行はこの海軍本部に来たけど…
いまの俺には関係無い。
俺には料理を喜んでくれる海兵と、近々婚礼を上げる事になったステイシーが居れば問題ない。
たまに戦闘に参加する時に使うマキブを隣に添えてこの海軍本部で生きる事にした。
これは俺と料理を愛してくれるウミウシ兵の話。
海軍の料理人として添い遂げた世界線だ。
end root 【ウミウシ兵】
おわり