おさかな海賊団の幸せな旗   作:つヴぁるnet

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32日目 〜 おさかな号

〜 おさかな号 〜

〜 夕方 〜

 

 

どこまでも広がる大海、そして潮風が気持ちいい。 夕焼けの海面をこのまま眺めているのも良いが俺は一つの実験を行う。 海面上の周りに何もない事を確認すると俺は【大筒】のマキブを装備して、熟練度38である2000コストの兵器を腰に召喚した。

 

 

「出力は良好」

 

 

腰に装備している兵器を触り、手応えの良さを確認すると俺は撃ち放った。

 

 

 

「"ヴェスバー"!」

 

 

ビームライフルよりも濃縮された強大なエネルギー砲は銃口から勢いよく飛び出した。 海軍のタツノコ兵の半分サイズを締めるだろうビームの大きさはまるで射撃の暴力。 その威力に耐えれず俺は後退してしまう。

 

 

「こ、こいつは、強力過ぎる…」

 

 

実はいまのヴェスバーは全力全開で放った訳ではない。 出力の半分程度で撃ち放ったのだが、それでも海面を掻き分けて突き進むビーム砲の威力に変な笑いが出てくる。 しばらくはこれをメインウェポンとして扱う事になるだろう。 コマンドはF91のサブ射撃なんだけどね。でも俺のメインウェポンだ。

 

 

「お、やってるなフラッグ」

 

「アシェルか、料理当番どうした?」

 

「他の奴に任せてるぜ。 しばらくは煮込むだけだからな、火の当番くらいはできるだろう」

 

「それでも仲間の料理スキルが心配なのは俺がココの海賊団に染まってきたから?」

 

「そうだな、仲間の不真面目さを理解してる証拠になってるぜ」

 

「おいおい、嫌な証拠だそれは」

 

 

ケラケラと笑いながら冗談を叩き合い、俺は腰に装備していた兵器を解除する。

 

 

「いま腰から消した兵器だが、すごい威力だったな」

 

「あれは『Variable Speed Beam Rifle(可変速ビーム・ライフル)』って名前だ」

 

「な、長い名前だな」

 

「そうだな。 だから略して【ヴェスバー】と呼んでいる。 こいつは威力、濃度、速度を好きに調節して扱えるんだ。 ちなみに先ほど放った一撃は全てを半分以下にして撃ち放っただけのただの砲撃」

 

「え、マジか。 ちなみに何のマキブを扱って召喚したんだ?」

 

「【大筒】だよ、ほら」

 

 

ポケットからジャラリと取り出し、アシェルに見せつけた。

 

 

「銃よりも銃口が大きくて、いかにも破壊の一撃を放ちそうな形をしてるだろ?」

 

「頼りになるな、それは」

 

「だろ? てかそうであってくれないと困るぞ。 何せ俺の強さはマキブ頼りだからな、人間って生き物の力だけじゃどうもな…」

 

「そう悲観することないぜ。 フラッグの頑張りは理解してるからな。 ……夜の床の上ではもう少し頑張ってくれてもいいだぞ?」

 

「っ、あのなぁ!? 人魚の名器を相手にどうにかしろってそれ難題だから! 貧弱一般人ピーポーの男にそれ求められても喘いで堕ちるしか無いんですがそれは…」

 

「そりゃ私はもん娘だぜ? 男を貪ってなんぼだ」

 

「……とりあえず貪るにも夜だけにしてくれ。 精力尽きてしまったら免疫力無くなるし、海の上で最悪病気で死ゾ」

 

「わかってるよ。 だからちゃんと精がつくもの食わせてやってるじゃん。 栄養学の知識ある私に任せな」

 

「あー、うん、そうだね。 ありがとう……」

 

 

 

そのあと練習中のマキブをいくつか召喚して試行錯誤する。 となりに喋り相手のアシェルを添え、海面を反射させる夕焼けのひと時を過ごした。

 

あとオレンジ色の夕日に照らさるアシェルは綺麗の一言に尽きる。

 

姐御マジ美人。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜 ポルノフ 〜

〜 昼過ぎ 〜

 

 

ナタリアポートの近くでおさかな号は身を隠し、俺はしばらく自由時間をもらうことにした。

 

ひさびさにハーピーの羽で飛んで来たのはポルノフ、変態の香りがする街だ。

……いや、自分で言っててあれだけどなんだよ変態の香りって。

 

それはともかくココに用があるとしたら一つだけ。 それはブラバムに会うことだ。 もちろん交換のためのブラは持ってきてる。 そこそこ量だ。 なんせ海に生きるもん娘は人間を珍しがって嬉しそうに俺の事を狙ってくる。 その度に返り討ちにしてブラを手に入れたりしているのだ。 なので内海では俺自身が餌である。

 

あと海のモン娘のブラはレア度が高いらしくブラバムに喜ばれる。 最後に頂いたのは【布】だったが、これは後に【ABCマント】として扱える事を知った。 魔法耐性が人間の身としてはかなり重要な装備であって、始めてブラハムを有能だと……は、思わない。 こうなったのはコイツのせいであることを忘れずに。

 

さて、今現在俺の熟練は"2000コスト"の域までたどり着いた。

 

つまり【X2】の"マント"が扱える訳だ。

 

感情を処理出来ないゴミが乗る機体の武装とは言え『魔法ダメージを無効化』してくれる優れモノであり、単発の魔法はまず怖くなくなった。 これだけでもかなりありがたい。 しかしまだエクバ自体の熟練度が低いので一回の戦いでの使用頻度は一回程度で終わる。 恐らく低コストゆえにリロード時間が長い的な感じだろうか? 熟練度をもっと上げればリロード時間も短くなり、もっと効果が上がるだろう。 楽しみである。

 

 

 

「ブラハム、来たぞー」

 

 

ブラジャーを畳んでいる金髪に声をかけると勢いよく振り向く。

 

 

「待っていたぞ!少年!!」

 

「俺は20歳超えてんだけどな」

 

「さて、早速だが見せてもらおう!」

 

「スルーかよ」

 

 

 

ちなみにアシェルとボニーのブラはまだ渡していない。 普通に嫌だからな。 何というか…俺や嫁さんになるお二人方じゃん? アシェルに関してはなんか産む気満々だし、ボニーもなんか「立派な奥さんに!」と張り切っている。 それは二人の愛から来てるのだと思うと俺は嬉しくて仕方ないし、その二人の温もりを支えるブラをコイツに渡すのは正直嫌である。

 

しかし前にアシェルが「お前が強くなるならこのサラシは託すぜ?」と渡そうして来たのを俺はそれを止めた話がある。 それは気持ちの整理が付いたらと言って「待て」して貰った。 アシェルからはいつものようにやれやれと言われてほんの少し恥ずかしかったのは内緒。

 

ともかく!

 

ブラハムに二人のブラを渡すのは嫌だ!

 

 

ちなみに子分のマーメイドのブラは良い。

 

あいつらは同意の上を求めず襲いかかってきたからな。 ボニーとアシェルは『交わる』だが、子分は『襲う』だった。 まぁそれがもん娘なんだろうから俺も納得しなければならない現状に諦めつつ子分の性的虐待を受け止めていた。 基本的に襲われっぱなしだったが何人かブラは剥ぎ取ってやった。 せめての反撃だ。

 

しかしこれがもん娘である。

 

繁殖のために命を宿したい生き物。

 

そうして生まれた存在だからこれが普通。

 

 

 

 

やつらは"有無"言わせず"産む"からな!

 

 

 

 

 

 

すいません…

 

言ってみたかっただけです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♢ 数分後… ♦︎

 

 

 

 

 

 

「ではこれを渡そう」

 

「これは……"旗"か?」

 

「そうだ。 何故旗なのかはわからないが青年、君なら使いこなすだろう!」

 

「はいよ」

 

 

【旗】の代名詞といえば【ドラゴンガンダム】だな。 これほどわかりやすい物はない。

 

あと【ベルガ・ギロス】の【ビームフラッグ】も旗として使えそうだ。

 

 

 

「それとこれも渡そう」

 

 

「?」

 

 

 

渡されたのは……蒼い玉。

 

中身は空っぽのように感じるが、これに何かエネルギーが込められそうな…

 

おや? 何か薄く書かれている。

 

これは…

 

 

 

 

「ええと、Shooting drive system…??」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………は??

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜 おさかな号の作戦会議室 〜

〜 夜 〜

 

 

 

 

さて、俺はブラハムとマキブの交換を終えるとナタリアポートまでハーピーの羽で飛び、おさかな号に戻ってきた。 そのタイミングで買い物の仲間も戻って来たので流れるように荷積の作業を手伝い、そして貯蔵庫を潤す。

 

ナタリアポートは大きな港町なから海軍に見つかる可能性が大きい。 長居する訳にも行かないので早々に錨を上げ、帆を張って潮風に乗り、再び大海を進軍した。

 

 

 

コレで、準備が出来た。

 

 

 

「大海賊ロザの秘宝だっけ? それを取りに向かうのか?」

 

「うむ。 大海賊ロザの血筋を引いている我が取りに行くのだ」

 

「もしお嬢が手に入れたら海賊の間では凄いことになるぜ」

 

「なるほどね。 でも其処って海軍の厳重警戒地として配備されてんだよな? 俺たちなら突破はできると思うが本格的に海軍からマークされてしまうぞ?」

 

「別に構わぬ! 海賊とは! 正義を自重する奴らから欺きながら大きな歴史を作り上げるのだ!」

 

 

抜き取った剣を上に掲げてボニーは叫ぶ。

 

夜ですよ、静かにな。

 

 

 

「そんな訳だぜ、フラッグ」

 

「お二人もやる気満々だな。 そんじゃあとことん付き合いますか」

 

「うむ! では我は明日に向けて寝るぞ! だから、その…フ、フラッグ、寝室までついてこい!」

 

「残念ボニー、俺はアシェルと貯蔵庫の最終確認だ、お一人で寝てどうぞ」

 

「なっ!? うぅぅぅ、フラッグのアホぅ…」

 

「今日はもう寝てしまって、明日は早めに起きて俺を起こしに来てくれよ。 貯蔵庫の管理表の記載に時間かかるからさ、寝るの遅いわけよ。 寝過ごさない様に頼んだ」

 

「!!…むむ、フラッグが言うなら仕方ないな。 あとそもそも本来なら団長にそんな事を頼むのはご法度だが…いや、良いだろう! つ、妻が夫を起こすのは普通だと本に書いてたからな、うむ!」

 

 

少し恥ずかしがるように胸を張るボニーに対して「ガダッ」と音を鳴らすアシェル。

 

 

 

「なっ…! 本嫌いのお嬢が本を読んでしかも知識を得ただと? これは嵐が来るか…??」

 

「おい、アシェル、それはどう言うことなのじゃ!?」

 

「いや、お嬢ですよ…?」

 

「むぅ〜!」

 

 

 

ジト目で睨むボニーだが腕を組んで少しムスッとするが、今日は落ち着いてるのかすぐに冷静になって次を語る。

 

 

「我も好き嫌いしては母親になる者として育まれる子に示しが付かぬ。 だから我も成長せねばならないのだ。 そのために妻としてどう立ち回らなければならないのかとか、その知識が欲しから苦手な本を読んだのだ。 なかなか勉強になったぞ」

 

「……やれやれ、お嬢はフラッグの事になるとやる気が違いますね」

 

「うむ、それについては否定はせぬ。 しかし前の私ならワタワタとして誤魔化そうとしたが今では私の頑張りをフラッグに見てほしいのだ。 だから隠そうとはおもわぬ」

 

 

キリッとした表情でこちらに言い放つが、少ししおらしくなり始めると胸元で指をツンツンとして何か言い出そうとする。

 

 

「だ、だからフラッグ、その…な? わ、我はまだまだな海賊だが…でも! 必ずフラッグにとって立派な海賊になる! もちろん母親としての知力も足りぬ。 我はまだまだ色々と未熟なのじゃ。 だから立派なお嫁さんになるまで我の子供は待ってほしいのだ」

 

 

「え?」

 

 

 

そこまで覚悟決めているとは思わなかった。 もちろん頑張っているのは知ってる。 けどそこまで考えてくれていた事に俺は嬉しさと恥ずかしさに少し頬が熱い。 でも、嬉しいな。

 

 

「ああ、わかった。 待ってるよ」

 

 

「うむ! ありがとうだフラッグ!! そ、そのわかり時が来たら元気な子を産むぞ!! 約束だ!! で、ではお休み!」

 

 

そう言ってボニーは奥へ消えるが、途中ドアの入り口でピタリと止まる。 忘れものか? するとボニーはムーンウォーク(?)のような動きだがビデオが巻き戻ったかのように先程の位置にピタリと止まり、そして海賊の帽子を尾びれに引っ掛けてこちらをチラリと眺める。 すると覚悟決めたようにボニーは頬を染めながら俺の顔を両手で固定して、こちらの腰を落とさせる。

 

身長差がなくなると…

 

唇に柔らかい感触を得た。

 

 

 

「!」

 

 

「ふふ、お休みじゃ!」

 

 

 

そして奥へ逃げた。

 

その時の彼女の顔は自前の尾びれに負けないほど赤く染めていた。

 

 

 

「……」

 

「やれやれ全く、妬いちゃいますね」

 

「や…やばい、何あれ。 めちゃくちゃ可愛かったし、柔らかかった。 あかん、やばい」

 

「語彙力どうした? しかし前まではコッソリとフラッグにイチャついてましたが、今では私の前でも堂々としますね。 お嬢が成長してることになりますが、どうも複雑な気分だぜ」

 

「そのヤキモチ夜にぶつけないよな?」

 

「さーてね? 因みに……今の私の鮫肌はヒシヒシとしてるぜ」

 

「いやヒシヒシじゃねーよ、作戦前なのに身が持たんからやめーや」

 

「お断りだねぇ、海賊は奪ってナンボだ」

 

 

 

 

 

 

 

獲物を狩る目つきのモン娘こわいです。

 

 

 

 

この後、軽く絞られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、早起きしてサンドイッチを沢山作ると子分たちに配り、サンドイッチを片手に朝と昼を全部使って念入りに準備する。

 

サボり癖の多い海賊マーメイドも作戦の為になると真面目に準備をしてくれる。 段取りの大事な時こそメリハリ付けてしっかりやってくれるから、こういう時は頼りになる。

 

まぁ、いつも真面目であってくれたら助かるが、それは慣れたからまぁいい。

 

 

 

 

 

 

 

そして時が来た。

 

 

 

 

 

 

 

「作戦、開始」

 

 

 

真夜中の海、月の光だけが頼りなこの時間に大海賊の洞窟までやってきた。 海軍はここを警戒区域としてそこらに軍船が漂っているが、今日は数が少ない。 それを突破するところから始まる。

 

さて、魔法を巧みに扱える海賊マーメイドが数名ほど気づかれないよう海の上で動かない海軍の船を囲い、海面から手を伸ばし撃ち放った。

 

 

ピユーーン!!!

ピユーーン!!!

 

 

 

「「ひぇぇえ!? おばけ!!?」」

「「な、なんでありますか!!?」」

 

 

 

赤く弾ける炎の塊。

 

濃度が高い『ファイア』の魔法を撃ち放つとそれが光となり、真っ暗な海を明るく灯した。

 

海軍からすると突然現れた炎は怪奇現象に見えなくもなく、海軍は驚き戸惑い全体の機能が一時的に麻痺する。

 

その隙に海軍の船へお魚海賊団が乗り込んだ。

 

 

 

 

「縄で確保しろ!」

「「「うらー!」」」

 

 

「「ぎゃー!やめろです!」」

「「いや〜!!」」

 

 

連携力の高い海賊達は次々と海軍一人一人を順調を押さえつけてゆく。

 

 

「お頭! もうこっちは大丈夫でっせ!」

「お頭は奥へ!!」

 

 

「うむ! アシェル! フラッグ!行くぞ!!」

 

「あいよ」

 

「わかった」

 

 

ボニーとアシェルを先頭に盗みの得意メンバー、その下っ端を連れて海に飛び込んだ。 俺は小舟に乗り込み、海に飛び込んだアシェルと仲間が引っ張って海を渡る。 後方では不意打ちが決まり優勢に立ち回るおさかな号と、撹乱を受けてまともに機能してないい二隻の海軍の船が乱闘していた。

 

だが1時間もしないうちに建て直されるだろう。

 

その前に『大海賊ロザのお宝』を手に入れ、さっさとスタコラ決めなければならない。

 

 

「到着だ! 急げ!」

 

「行くぞ! アシェル、フラッグ!」

 

 

 

ボニーを先頭に洞窟の入り口に飛び込むと外の騒ぎに今頃気づいた海軍が慌ただしく姿をあらわした。

 

 

 

「なっ! 敵ですか!」

「外の騒ぎはこれでありますか!」

 

 

タツノコ兵とうみうし兵の二人。 厳重警戒地として有名なこの場所にまさか襲いかかって来るとは思わず出鼻を挫かれたようで、驚き戸惑っている。

 

俺はトリガーを引いた。

 

 

 

「当たらなくても牽制になる」

 

 

既に召喚していたビームライフルで先制攻撃を行い、タツノコ兵の武器を弾く。 隙を見た子分達がタツノコ兵に飛びかかり、メタメタにしてくれた。

 

ボニーとアシェルはウミウシ兵を容易く無力化。

 

流石、強いね。 この二人。

 

 

 

「うわぁ!人間だ〜、襲っちゃーーー」

 

 

「ガーベラストレート!」

 

 

騒ぎに便乗して襲い掛かってきた"マダコ娘"を回避しながら腰に備えていた刀を投げて触手を貫く。 刀を蹴り飛ばし、刀に固定されているマダコ娘は蹴られた衝撃で後方の岩まで吹き飛ばした。

 

胴体は貫いてないので命に別状はないが、岩に突き刺さった刃に固定されて動けずにいた。

 

しかし…

 

 

 

「覚悟するです!!」

 

 

「!?」

 

 

安息をついてると岩陰に隠れていたタツノコ兵が槍を構えて勢いよく飛びかかってきた。 不意をつかれたので俺はビームサーベルの召喚に追いつかず、ガーベラストレートの鞘で咄嗟に防ぐ。 しかしレベル差は無情であることを容易く教えてくれる。 俺は受け止めきれず吹き飛ばされた。

 

 

 

「フラッグ!!」

 

 

 

岩に打ち付けられた。

 

かなり痛い。

 

ボニーの悲痛がよく聞こえる。

 

 

 

「次はお前らです!」

 

 

相当腕の立つだろうリーダー格のタツノコ兵と牽制するボニーとアシェル。 真面目の中でもとても真面目な個体もちゃんといるんだなと感心しつつ、痛みに耐えながらめり込んだ岩の中体を逸らし、腰に備え付けられたマキブに手を伸ばしてトリガーを引いた。

 

だが…

 

 

 

「ふん!」

 

 

タツノコ兵は即座に反応すると槍を斜めに傾けてビーム砲を受け止めながら後方に逸らした。

 

 

 

「なっ!?」

 

 

いや、嘘だろ?

いまのビーム兵器だぞ?

しかも放ったのはヴェスバーだ。

 

咄嗟に放ったからビームの威力は下がったがそれでも低出力のヴェスバーはビームライフルの3倍の威力はある。 それほどにF91の兵器は強力過ぎる。 本来なら20機なんかで収めて良いモノじゃない機体だ。 しかしエリートクラスのタツノコ兵はグフカスタムに乗るノリスみたいな器用さで捌き、そしてかなり冷静だ。

 

 

 

「殺さぬよう威力を抑えたとは言え、それでもしっかりと胴体を突いた筈ですが…? 人間なら一撃であります」

 

 

「俺はちょいとシステム的に恵まれてな…」

 

 

 

それはマキブに良くある【補正】と【根性補正】によりHPが『1』残ったのだ。

 

しかしタツノコ兵の一撃は確かに戦闘不能にする威力は充分であり、不意打ちから放たれたその一撃は人間なら気絶まで一撃だろう。 その上相手は"中章"の敵キャラであり、まだ"前章"程度の俺なんかで相手出来るわけでもない。 けどこの世界はターン制バトルではなくリアルな駆け引き。 そしてこちらは多彩なマキブで搦め手は多い。

 

まだ完全に負ける訳でもないさ…

 

 

 

「まぁいいです、どうせもう一撃加えて戦闘不能ですから……ね!」

 

 

力強く飛躍するタツノコ兵。

 

一気に間合いを詰められる。

 

ビームサーベルを召喚する暇もなく、ヴェスバーの迎撃手段も取れず、刀のガーベラもマダコ娘で使ってしまった。

 

援護に遅れたアシェル達の顔に焦りが見える。

 

 

 

しかし俺は不思議と冷静だった。

 

 

まだ腰に持っていたビームライフルを構えて、別のトリガーを引いた。

 

 

 

「ビーム十手(じって)!!!」

 

 

「!?」

 

 

ビームライフルから突然斜めに飛び出した刃はタツノコ兵の槍を防ぐとスタン効果が現れ、タツノコ兵の動きが止まる。 俺はビームライフルで槍を逸らしてタツノコ兵に接近すると首元を掴んで逃げれぬよう固定する。 そして充分に出力が上げられたヴェスバーの銃口は既に射ち放てる状態となっており、銃口はタツノコ兵に向けられていた。

 

血の気が引くタツノコ兵に…

 

 

 

「倍返しだ」

 

 

ゼロ距離射撃のヴェスバーはタツノコ兵の腹にクリーンヒットする。 俺が槍で吹き飛ばされた時以上の勢いで吹き飛ばされたタツノコ兵は壁にぶち当たり、軽く岩盤を作ると海軍の帽子を落としながら地面に落ちる。

 

気絶する寸前で力なくこちらを睨む。

 

 

「く、っ、お前、なかな、か、やりや、が、る、で、あり、ま…す…」

 

 

槍を手元から落とすとタツノコ兵は戦闘不能に落ち、気絶してその場に倒れた。

 

 

 

そして…

 

 

 

「………ゴフッ」

 

 

 

「「フラッグ!?」」

 

「「甲板長!?」」

 

 

 

 

無理した体に鞭打った代償か。

 

危険な冒険故に最近慣れたはずの吐血だったけど、今回のはなかなか効いた。

 

俺は軽く意識を失った。

 

 

 

 

 

名前【 フラッグ 】(真名:海ノ雪旗)

レベル【 28 】

熟練度【 40 】

この世界に来て【35】日が経過。

 

 

 

ここまでの記録は

作戦開始前の個室で日記帳に記録を残した▽

 

 

 

 

つづく





タツノコ兵と言えども中章クラスのもん娘
マキブで初見殺しできたから良いものを、普通なら人間が一人で倒せません。


《ヴェスバー》
Variable Speed Beam Rifle(可変速ビーム・ライフル)の頭文字を取ってヴェスバーと名前になっている代物で、宇宙世紀最強クラスのビーム兵器だと思う。 マキブでは20コストのF91が扱う武装としてそれ相応のバランス調整だが、本来ならνガンダムとかフィンファンネルバリアとか容易くブチ抜く性能あるのでF91のサブ武装はゲームのバランスで収まり効かない。 使い易さもありフラッグのお気に入り。


ではまた
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