暖かき日差しの中、桜の花びらが舞い踊る季節。
真新しいブレザーの制服を纏った少年二人が、何やら語り合いながら歩いている。
「ふはははは! 我が執念ここに成就せり!」
「入学できただけでテンション高いねお前さん」
拳を掲げて高笑いを上げているのは、やんちゃ小僧といった感じの少年。そんな彼に呆れたような言葉を投げかけてるのは、少し背の高いイケメン寄りの少年。
「だっておめー陽昇大付属ぞ? よう合格したって自分で思うわ」
「まあ1年ほぼ丸々受験に費やしてたからなあ。もう一生分勉強したんじゃね? お互い」
「しかーし! おかげで大学までエスカレーター式! 7年間は遊びまくれるというヘヴン! 実に素晴らしい!」
「成績下がったり素行悪かったりしたら留年とか退学とかあっかんなー。気を付けろよー」
「さてそれはともかくとしてだ!」
やんちゃ小僧は振り返り、ずはっと両手を広げた。
「やっと受験の闘争から解き放たれたんだ。早速ガンプラ作りとかいっちゃう?」
その言葉にイケメン寄りはふっと鼻を鳴らす。
「
言いながら肩にかけていたバックに手を入れる。同時にやんちゃ小僧も同じようにバックに手を突っ込み――
「「
揃って取り出したのは、A4サイズのハードケース。互いにそれを確認し、にっと不敵に笑む。
「やっぱ同じ事考えてたな相棒」
「当然。ここまで堪えたんだ、はちゃけるに決まってる」
ふっへっへっへと不気味な笑い声を上げる二人が向かうのは、近隣のショッピングモール。ホームセンターや家電量販店などを擁するその一角。ガンプラの殿堂、ガンダムベース支店へと彼らは足を踏み入れた。
店内で作業をしていた女性店員に、やんちゃ小僧が声をかける。
「【イズミ】さーん、お久しぶりー」
「お? 【ジント】君に【ホウジ】君じゃん。久しぶりだね~」
どこか緩い雰囲気かつ人なつこそうな黒髪の女性店員――イズミは、にへらと笑みを浮かべて二人に応えた。
「その様子だと無事進学できたみたいだね。で、早速GBNやりに来たんだ」
GBN――ガンプラバトル・ネクサスオンラインというフルダイブ式のネットワークゲーム。己の作ったガンプラをデータとして読み込ませ、それを操り戦わせる、と言うのが基本のゲームである。二人はそのプレイヤー、ダイバーであったのだが。
やんちゃ小僧――ジントは、くっと顔を伏せ、拳を振るわせる。
「この一年……GBN禁止令という苦渋に耐えてやっと合格したわけですよ。たまりにたまった欲求不満、晴らさずにはおられようか!」
そう、受験に集中させるため二人の親はGBNを一年近く禁止させた。かなりGBNにハマっていた二人にとって、地獄の日々と言っても過言ではなかった……というのはさすがに大げさだが、不満が募る日々であったことには違いない。
「三年前の有志連合の時(無印の騒動)はまだ校則でプレイできる年齢じゃなかったし、去年の騒ぎ(Re:RISEの事件)の時には受験と、面白そうなところには全っっ然関われなかったこの悔しさよ。……だがしかーし、最早我らを阻むものはない! エンジョイ勢として全力で遊び尽くしてくれるわ!」
「なんでそういちいち悪役ムーブなの」
「ああいった騒動起こるとスタッフ大変だからねー。出来ればほどほどにしておいてもらいたい物だよホント」
呆れるイケメン寄り――ホウジと、肩をすくめるイズミ。
とにもかくにも、GBNをプレイするために必要な小型端末――ダイバーギアをイズミから受け取った二人は空いている筐体へと潜り込み、ダイバーギア、次いでハイドケースから取り出した己のガンプラをセットする。
システムオンライン。コンディションオールグリーン。アクセススタート。
――ダイブ。
光が広がり、一瞬にして二人は未来的な様相の広大な施設、セントラルターミナルへと降り立っていた。
「おー、バージョン替わってっから、ちょっと感覚違うな。」
己の拳を開いたり閉じたりしているジントは、本人の面影を残したアバターにフライトジャケットを纏わせた、軍人崩れの傭兵じみた格好。
「これくらいの差ならすぐ慣れそうだ。早速ミッションでも問題なかろ」
ホウジはパリッと糊の効いたシャツにベストを身につけた、どことなく執事を思わせるような格好だ。アバターは同じように本人に近い造形である。
このターミナルのロビーでは各種ミッションの受付を行っており、モニターには数多のミッションが掲示されている。二人は慣れた様子でミッションを選択し始めた。
「腕ならしだから軽いのにしとくか」
「じゃNPDモブを掃討する系かな。……っと、これどうよ」
「エリア内に散在するエネミーの撃破、か。うん、エネミーもマラサイとか陸戦ハイザックとかだし、手頃じゃね?」
「決まりだな」
ミッションを選んで受付を済ませてから、手元にホログラムディスプレイを呼び出し、格納庫への移動を選択。ボタン一つであっという間に格納庫エリアだ。
「何回来ても感無量ってヤツだよなあ」
目の前に自分たちが組み上げたガンプラが実物大でそそり立つ。その光景は何度見ても胸に来る物があった。
ホウジの機体は、ダークブルーを基調に所々白いラインの入ったZプラスC1。ver.UCを基本にした物のようだが、機体各所のバランスが微妙に違う。
ジントの機体はと言うと、青いはずの装甲が全て紅く塗り替えられたEX-Sガンダム。こちらも全体的にのバランスが変わっており、また胴体などいくつかの箇所の形状が違う。そして主兵装のビームスマートガン、その上部にキャリングハンドルが追加され、銃身下には長方形のユニットが備え付けられていた。位置からすると支持脚(バイポット)の収納ケースにも見える。
しばらくニヤニヤしながら自身の機体を眺めたり写真に収めたりしていた二人だが、いつまでもそんなことをしている場合ではないと、気を取り直して機体に乗り込む。
「おっし、では改めて、と。……【EX-SガンダムR】、【ジン】行くぜ!」
「【ZプラスC1ナイトオウル】、【H・A】出る」
2体のガンプラは、カタパルトを滑り広大なフィールドへと飛び出す。
本来双方とも地上ではMS状態のまま飛行はできないと言う原作設定だが、GBNでは環境にもよるが自在に飛行させることが可能だ。しかし二人はあえてそうしない。
「各部に異常なし。動きも悪くない。……H・A、変形いけるか?」
「ああ、問題ない」
「よし、変形して一気に目標のエリアに向かおう。【ALICE】、変形時の各部負荷のモニタリングを頼む」
『
EX-Sガンダムに搭載されている人工知能ALICE。ジンはそれをサポートAIとして設定し登録していた。
コントローラーを操作。さすれば2体のガンプラはその姿を変える。
Zプラスは飛行形態ウェーブライダーへと。MS形態と同じく原型とバランスが違う……と言うか妙に厳ついが、もたつくことのないスムーズな変形だ。
EX-SガンダムRはGクルーザーと称される形態となるが、どうにも様子がおかしい。本来であれば変形した肩部の先に装着されるはずのプロペラントユニットがなく、複雑な変形をして頭部が収納されるはずの胴体はそのまま。背中から跳ね上がり機首となったテイルスタビライザーに頭部が半分くらい隠されただけの形だ。
【Gクルーザー・イージ】。元々備えていた分離合体機能を廃し、再設計されたという脳内設定で組み上げられたEX-SガンダムR。その機体の強度を保つため、複雑な可変機構の一部をオミットし、簡略化された巡航形態であった。
ごう、とスラスターが吠え、2体は空を駆ける。
『機体各部の負荷、許容範囲内。巡航形態(クルーザーモード)での戦闘機動に問題は無いと判断されます』
「やっぱ
ホログラムのタッチボードを操作しながら、サブモニターで機体のチェックを行っているH・Aがぼやく。
「サポート用のハロでも買っとくか? 00クアンタならティエリアついてくるって話もあるけど」
「趣味じゃないしアレ絶対トランザム使うなよしか言ってこないだろ」
軽口を交わしながら軽快に飛行し2体は目的地へと向かって……いたのだが。
突如、アラームが響く。
『前方のエリアより、エマージェンシーコールです』
「……だとさ。どうする?」
「タイミングが良いのが気になるな。寄ってみるか」
「オーライ。鬼が出るか蛇が出るかってね」
2体は翼を翻し、エマージェンシーの発せられたエリアへと向かう。
早速レーダーに感。現場にたどり着いてみれば、どうやら1体のガンプラが追いかけ回さ
れているようだ。
「だ、誰か助けてー!」
女性の声で悲鳴が響き渡る。追われているのは赤いガナーザクウォーリア。ガンダムSEED DESTINYのヒロイン(?)が駆っていた機体だ。
追いかけているのは2体。ガンダムAGEに出てきた敵機ガフランと、鉄血のオルフェンズの敵機グレイズ。それぞれの武器を乱射しながらザクウォーリアを追い立てているように見えた。
「オラオラ素人が! 大人しくポイントになりやがれ!」
「こんなビギナー向けのところでまともな助けが来るわきゃねぇだろぉ!」
いかにもな初心者狩り。望遠でその光景を確認したジンとH・Aは意見を交わす。
「どう見る?」
「……
「ほっといてもいいっちゃあいいんだが……」
「面白い相手ではある。だろ?」
「分かってるねえ相棒。じゃ、いっちょかましてみますか!」
言うと同時にスロットルを開ける。現在行われているという体の戦闘に乱入を選択。MSに変形しながらそれぞれの得物をぶち込んでいく。
「「「うわ危な危な危な!?」」」
3体は慌てて回避行動を取る。彼らの前にEX-SガンダムRとZプラスC1ナイトオウルは降り立った。
「ちょちょちょちょっとお!? あたし追われているいたいけな初心者なんですけれどお!? 一緒くたに撃つなんて酷いじゃないですかあ!」
「そうだそうだ! 乱入どころか諸共始末しようだなんて、とんでもなく酷いヤツらだな!」
「もしかして俺たちを退治するという体で事故を装って初心者も始末しようって腹か! なんて悪逆非道な!」
揃ってぎゃーすか抗議の声を上げる3体。後ろの2体はどの口で言うのか。そんな連中に対してジンは機体の肩にスマートガンを担がせながら、呆れたような声で言い放つ。
「だってアンタら
「「「え”?」」」
硬直する3体。次いでH・Aが冷静な声で言う。
「初心者を装った仲間を囮に救援者を寄せ付け、助けようとしたところで後ろからグサリ。ってところかな。面白い発想だが知恵の使いどころが間違ってるとしか言い様がない」
「なっ、なっ、ど、どこがどうしてそういう証拠よ名誉毀損よ訴えるわよ!?」
めちゃくちゃ動揺してるザクウォーリア。もうその態度だけで白状しているような物だが、二人は冷静に指摘していく。
「アンタの機体、真後ろから攻撃されてたのに傷一つ負ってないじゃんよ。ド素人が後ろも見ずに攻撃を回避し続けるとか出来るもんかい」
「後ろの二人が手加減して遊んでた……って言い訳は無しだ。エマージェンシーが出てる中、どんなやつが来るかも分からないのに長々と得物をいたぶるとか不自然だろう」
「くっ、頭の回る連中ね!」
本性を現したか、ザクウォーリアが後退し後ろの2体と合流する。
「数はこっちが有利! カモ! ネギ! こうなったら真正面から叩き潰すわよ!」
「「了解しましたナベの姐さん!」」
「いかにも食い物にされる系のダイバーネームってどうなんだ」
ツッコミながらH・AのZプラスがスマートガンを構えた。
「ま、復帰戦としちゃ少々アレだけど、折角だから楽しませてもらおうか!」
EX-SガンダムRが頭上でスマートガンを振り回してから腰だめに構えを取る。その先端近く、長方形のユニットからジャックナイフのようにブレードが飛び出す。
折りたたみ式の銃剣。ぎらりと鈍く光を反射させるそれを突きつけ、ジンは吠えた。
「
その戦いを彼方から見やる影がある。
「エマージェンシーを聞きつけてきてみれば……いやはや面白いことになっているな」
3対2。数値の上で有利な初心者狩りもどきたちは、一方的に翻弄されていた。
「なんなのこいつ! 地表すれすれで無茶苦茶な!」
ザクウォーリア――ナベの機体は主兵装のビームキャノン、オルトロスを撃ちまくる。しかし強力な火砲は、H・AのZプラスを捉えられない。
「腕は悪くない。……だが悪くない止まりだな」
落ち着いた声で言うH・A。だが機体は口調と裏腹に変形を繰り返して目まぐるしく動き回る。
機動が、速度が。常に変化して目で追うのも難しい。それは地表すれすれでウェーブライダーとMSの形態を切り替えるという、正気の沙汰じゃない芸当を繰り返しているからこそだ。
下手をすれば地面に激突して自爆するような真似をやらかしているH・Aの技量の高さが窺えるが、観察者はそれだけではないと見抜いた。
「あのガンプラ……
Z系のキットの中で、余剰パーツなしに完全変形するのは1/100以上かRGのZガンダムくらいである。それ以外でもGBNの中でなら変形したと言うことには出来るが、データを切り替える形式のため微妙なタイムラグやぎこちなさが生じる。それらが見受けられないと言うことは、構造上での破綻がなく、無理がないと言うことだ。
あれだけ激しい動きをして自壊する様子がないと言うことは、強度もかなりあるのだろう。ダイバーとしてもビルダーとしても相当の技量があるようだ。
一方ジンの方はと言うと。
「こいつ、強えェ!」
「なんでEX-Sガンダムが、
2体を相手に大立ち回りを演じている。本来であれば、1/144EX-SガンダムHGというキットは四肢の可動範囲が狭い。ごてごてした機体の構造上仕方が無いことだ。
しかしジンの機体は、まるで別物のように機体各所の可動範囲が広い。スマートガンを槍のように振り回し、演舞か無双物のゲームのように、激しい打撃を矢継ぎ早に繰り出していた。
その種は各部の関節。本来のキットよりも大きく広く、そして多く動かせる。それだけではない。
「あれだけのパワーを出せて、なおかつ負荷がないように見える。……金属パーツを使い、補強しているのだろうな」
恐らく関節部分はフルスクラッチ。ゆえの可動範囲と強度なのだと観察者は見た。
まだそこまでであれば、よく動く頑丈なキットでしかない。相手をしている2人――カモとネギは、予想外の苦戦に顔をしかめている。
「くそ、こっちの装甲はそう簡単に抜けないはずだぞ!」
ガフランの特殊電磁装甲、グレイズのナノラミネートアーマー。双方ともに生半可な攻撃は通りにくいという原作設定の元、ゲーム内でも相応の強度を誇っている。先ほどの奇襲の時はつい回避してしまったが、EX-Sガンダムが備えている武装はほとんどがビーム兵器。自分たちに大したダメージは与えられないはずだ。
そう、確かに
そもこのスマートガン。本来であれば腰部前面のアーマーから延びるアームに接続され、可動範囲は大きくないものだ。しかしEX-SガンダムRは、その接続方法がエネルギーチューブ状に変更されており、桁違いの自由度を誇る。それこそ大槍のごとく縦横無尽に振り回すことが可能となっていた。
その上で、備えられている銃剣がおかしい。見れば別にヒート剣の機能があったり、00のガンダムが備えているGNソード系の武器のようにエネルギーを纏うようなものではない。ただの刃物、そのはずだ。
だがそのただの刃物が、特殊電磁装甲に、ナノラミネートアーマーに、
「一体何だってんだその銃剣はア!?」
矢面に立っているグレイズ、それを操るネギは悲鳴じみた問いを放つ。対するジンは、にい、と獣じみた笑みを浮かべ、それに答えた。
「こいつは
つまり本物の刃物だった。ガンプラのためにわざわざ本物の刃物を自作して取り付ける。その行為はどう考えても――
「あほだろてめええええ!!」
まあそう言う意見になるだろう。しかしジンは堂々とした物で。
「自覚はある!」
確信的なあほだった。だがただのあほではない。
「さっきから嫌なところに当ててきやがる! どうなってんだ!?」
2人がかりでも真正面からは圧倒されると悟ったカモは、己の操る機体、ガフランをドラゴンのような飛行形態に変形させ、空中から牽制攻撃を仕掛けようとしたのだが。
EX-SガンダムRの大型バックパックに備えられている計4門のビームカノン。それが自我を持つように稼働し、ガフランの方を見向きもしないまま放たれる。それは正確にガフランの顔面――カメラやセンサーが集中している頭部を狙っていた。ダメージこそほとんど無いが、視界が阻まれまともに牽制することも出来ない。
一方的に押しているとはいえ、格闘戦を挑みながら振る向きもせずに正確な射撃を行うとはどんなでたらめだとカモは戦慄する。もちろん種も仕掛けもあった。ジンは
原作でALICEは、パイロットからコントロールを奪い自立行動でエースパイロットと渡り合うほどの能力を見せた。現状ではそこまでではないが、正確無比な自動射撃を行わせるくらいは出来る。牽制程度であれば十分に任せられた。
かてて加えて。
「Iフィールドにビームシールド! どこまで盛ってやがる!」
元々機体に備えられていたIフィールドジェネレーターに加え、大型の肩から伸びるサイドアーマーにビームシールド発生器が追加されていた。これによりビーム攻撃だけでなくミサイルなどの物理攻撃もある程度防御できる。EX-Sガンダム同様基本ビーム兵器しか持たないガフランでは、まともにダメージを入れることができない。
攻防共に高いレベルで纏まったガンプラ。それはただ単に趣味と好みで組み上げられたものではないと、観察者は見て取る。
「あれは、
まだ発展する余力がある。ガンプラ、ダイバー共に。このGBNと言う世界にまた新たな風が吹き込んできたのかも知れない。観察者の口元が、笑みの形に歪んだ。
その視線の先で、戦いは大詰めを迎えようとしている。
胸部装甲に痛打を受けたグレイズが、たたらを踏んで後退。その胸に付けられた傷痕を目がけて、ジンはトリガーを引いた。
頭部にあるバルカン。そして胴体の可変機構を廃したおかげで出来た余剰スペースを利用して組み込まれた、2門のマシンキャノンが唸り、傷口からさらに損傷を与える。
「があっ!」
グレイズのコクピットにレッドアラートが響く。損傷したナノラミネートアーマーは防御力が低下するのに加え、コクピット周辺に至近弾だ。窮地に追い込まれたネギは、焦って体勢を崩したまま離脱しようとし、さらにバランスを崩す。それは大きな隙となる。
容赦の無い、刺突。電光の速度で突き込まれた銃剣の切っ先が、グレイズの胴体を貫く。
「し、しまっ……」
「釣りは要らねえ、遠慮無く持ってけ!」
「ぶぎゃあああああああああ!!」
零距離からスマートガンが吠えた。閃光が迸り、打ち抜かれたグレイズは豚のような悲鳴と共に
「ね、ネギィ! 野郎むっころしてやる!」
興奮しすぎたか妙な滑舌になったカモのガフランが、両手のひらからビーム刃を発生させ突っ込んでくる。
それに対してEX-SガンダムRは、バックパックのメインスラスターをふかし、変形して真正面からガフランに向かって突っ込んだ。
「うおおっ!?」
ビームカノンを乱射しながら突っ込んでくる機体の下部に懸架されたスマートガン。その先端に鈍く光る切っ先を見て取ったカモは慌てて回避行動を取る。
「さすがに真正面から喰らってやれるかよ!」
ぎりぎりでやり過ごし、背面を狙おうと上空へ振り返ってみれば。
「なっ!……があっ!」
自分の横をすり抜けた直後に再度変形し、逆噴射して落ちてきたのだと悟ったときにはもう遅い。胴体を刃で深々と貫かれ、諸共地面に落下する。
「ぐっ、はっ……」
踏みつけにされ落下した衝撃がコクピットを揺るがす。機体がきしみ、モニターに映ったEX-SガンダムRがトリガーに指をかけた。
「ま、待て……」
「はすたらびすたべいべー、ってか」
容赦なくビームの奔流が機体内部を灼き、ガフランもまた塵へと還った。
それとほぼ同時に。
「あんたら!覚えてなさいよおおおお!」
何の面白みも盛り上がりもなく、さくっと圧倒されて片付けられたナベの機体もまた灰塵と化す。多分この後3人揃って強制的に戻されたセントラルターミナルで、デスペナルティを確認してムギャーとか叫ぶのだろうが、ジンたちにとっては知ったことではない。
「貴様らにはクンフーが足りんわ」
「ふっ、他愛なし」
妙ちきりんなポーズを決めるEX-SガンダムRと、格好を付けるZプラスC1ナイトオウル。
若きダイバーたちの帰還。それはGBNの舞台たるディメイションに、新たな旋風を巻き起こす……かも知れない。
そして。
『ジン、タイムオーバーです。受注したミッションは失敗しました』
「「あ」」
復帰最初のミッションは、黒星となった。
おまけ
こいつらがチャンプと出会ってしまった場合。
「チャンプだー! 逃げろー!」
「面倒に巻き込まれたあげく大成させられるぞー!」
「ええ~!?」
面白そうなことには全力だが、面倒は嫌い。そんな連中。
キャラ紹介
ナカモノ ジント
この物語の多分主人公。ピカピカの高校1年生。ダイバーネームはジン。ダイバーランクはD。
ノリと勢いで生きているナマモノ……と見せかけて、実は意外と計算高いヤツ。GBNで遊ぶ時間を稼ぐために、大学までエスカレーター式で行ける偏差値高い学校を受験し合格する高性能なアホ。
中学の頃からGBNをプレイしていたが、受験を機に一時引退。合格をきっかけに復帰した。とある事情によりビルダーとしての技量は高い。ダイバーとしてもかなりの腕はあるが、さすがに一撃でMSをずんばらりんとするほどではない。今のところ。
突撃、強襲、乱戦を得意とし、手数と勢いで相手を圧倒する。
外観イメージはfateの衛宮 士郎……と言うかアンリ・マユ。中身はマイルドなこち亀の両さん。
使用ガンプラはEX-SガンダムR。
アイザワ ホウジ
ジントの幼なじみにして友人。ダイバーネームはH・A。ランクはD。
ジントの相方というかツッコミ役……と見せかけてこいつもノリと勢いで生きてる節がある。ジントより隠すのが上手いだけ。ジントの考えに同調して同じ学校を受け合格するくらいには高性能なアホ。
やはり復帰組で、ビルダーとしてもダイバーとしてもジントに勝るとも劣らない。しかしなんか地味。可変機構などを十全に利用したトリッキーな戦術という、派手な戦い方を得意としているのに地味。
外観イメージは漫画トライガンのウルフウッドを大人しくした感じ。黙っていればイケメンに見える。
使用ガンプラはZプラスC1ナイトオウル。
イズミ
ジントとホウジが贔屓にしているガンダムベース支店の店員さん。
ユル軽く人なつっこい雰囲気を持つ美人。
イメージはらきすたの泉こなたが大人になった感じ。
初心者狩り狩り狩りの3人。
もう狩りと言う言葉がゲシュタルト崩壊しそうなアホ3人。女性ダイバーでリーダーのナベと、手下のカモ、ネギという、冬場に暖まりそうな面子で構成される。
なんであんな真似をしていたかというとナベ曰く、「初心者を食い物にするのは可哀想だし、それなら初心者狩りに割って入ってドヤ顔するヒーロー気取りのヤツの方が殴ってすっきり出来る」という良い奴なんだか姑息なんだかよく分からない理由でやってた。
実は結構技量が高い。ジンとH・A相手にしばらく保たせられたのはそれが理由。が、特に長じた技能も無かったので押し切られた。
果たして出来た因縁はどうなることやら。
登場ガンプラ。
EX-SガンダムR
ジントが受験の合間に息抜きと称してコツコツ組み上げたガンプラ。Rはリファインの略。機体の色からレッドと思ってる人もいるかも。
分離合体機能をオミットして再設計されたEX-Sガンダムと言うのがコンセプトで、コアブロックを持たず巡航形態Gクルーザーへの変形もある程度簡略化されている。可変機構を再現すると同時に強度を保つため、全身の関節は金属パーツなどで補強を入れ、1から作り直された。(おかげですごく可動範囲が広くなって動きまくる)特に肩と腕は独自の解釈ながらほぼ原典通りに変形する。胴体部分は強度を保つためと言う理由でほとんど変形しないが、肩の変形機構を制作したところで力尽きた疑いあり。
胴体部分の変形機能をオミットしたおかげで構造に余裕が生じたため、肩口にマシンキャノンを増設。そしてビームスマートガンの銃身下にチタン合金を削り出した折りたたみ式の銃剣(最低でもペーパーナイフくらいの切れ味)というあほな武器を備える。これによりビーム耐性を持つ相手にもそれなりに渡り合える。 もちろんインコム、リフレクターインコムも使用可能。そして両肩のサイドアーマにビームシールド発生器を追加して防御力を向上。さらに人工知能ALICEをサポートAIとすることによって操縦や火器管制、情報分析を補助させている。
攻防共に隙の少ないこのガンプラを、ある人間はGBNで戦い抜くための物と評しているが……。
なお、未だ習作の域を出ていないらしい。それなのにやたらと作り込んでる。こんなんTVで主役機になったら作画が死ぬ。
ZプラスC1ナイトオウル
ホウジが受験の合間に(略)夜戦仕様をイメージしたガンプラらしい。
ver.UCZプラスA1と旧HGZプラスC1のミキシング。基本胴体は旧HGをベースとし、 四肢、頭部、胸部はver.UCを加工している。ただミキシングしただけでなく、余剰パーツのない完全な変形機構を再現し、なおかつ荒っぽい使い方をしても支障の無い強度を保持している、地味に完成度の高いガンプラ。可変機構を納めたせいで、なんか厳つくてマッシブ。
一応夜戦仕様っぽくある程度のステルス性をもつが、正直あまり意味をなしていない。精々多少レーダーに捕捉されにくい程度。その他には主翼部分にオプションを装備することができるくらいの変更点しかない。
なおA1型に換装が可能だが、火力が落ちるのでほとんど出番が無いと思われる。
これもどうやら習作のようだ。
ガナーザクウォーリア、ガフラン、グレイズ。
あったか3人組が使うガンプラ。きれいに仕上げてあるが原作からの変更点は全くない。
本来はガフランとグレイズが前衛として敵を抑え、ザクウォーリアが支援という形を取る。
初めてじゃない方は毎度。初めての方はお見知りおきを。捻れ骨子にございます。
最近ダイバーズ系の作品が多いので便乗してみました。自分でもプラモ作っているからか、色々と妄想がはかどりますな。せめてガンプラの外観データ読み取る系のゲームは作って欲しい。頑張れや財団B。
それはさておき妄想がはかどり続ければ続きが出来るかも知れません。はかどりすぎてプラモ作りに没頭する可能性もありますが。くっ、静まれ俺のビルダー魂。下手の横好きが頑張ってもろくな事にはならないぞ。
それでは今回はこの辺りで。ご縁が合えばまたお目にかかりましょう。