バッドガールズ・ダークサイド   作:やーなん

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今回はアンケートにあった修行回、とその導入になります!!



ライバル登場!? ケルト式修行始めます

「うおおおおおおおぉぉぉぉぉん!!」

 町中に、獣の咆哮が響き渡る。

 どことなく人間の面影があるその叫び声は、しかし体の芯まで響く魔の衝撃を伴っていた。

 

「この、オオカミ野郎!!」

 全長3.5メートルの狼人間と対峙するのは、魔法少女二人。

 ドライフレアとジェリーだった。

 

「戦え、戦え、戦えぇぇ!!」

 五指から伸びた鋭利な爪が、道路標識を細切れにする。

 数瞬前にそこに居た二人は左右に散開してその一撃を回避した。

 

「喰らえ!!」

 バックステップのままドライフレアの凍てつく炎が、オオカミの怪人へ放たれた。

 

「その程度、効くかぁ!!」

 だが、怪人はその巨体で腕を振り回すだけで彼女の炎を振り払った。

 その動作だけで風圧が発生する。

 常識では考えられない腕力、そして瞬発力。

 

「そんなものかぁ!!」

 ドライフレアに狙いを定めた怪人が、コンクリートを踏み砕いて彼女に飛び掛かる。

 彼女の鼻先に鉄も輪切りにする五指の爪が迫った!! 

 

「背中を見せるとは、余裕ですわねぇ!!」

 怪人の背を、ジェリーが生み出した粘液の弾丸が直撃した。

 その衝撃で、ドライフレアを刺し貫こうとした爪の軌道が逸れた。

 グサリ、とその爪は彼女の背後のビルの壁に突き刺さった。

 

「隙有り!!」

 爪を壁から引き抜く動作の隙を、二人は見逃さなかった。

 

 ジェリーが粘液の鞭を生み出し、怪人の体を絡めとる。

 その粘液は勿論、ガソリンのように揮発性の高い性質を帯びていた。

 

「死ね、化け物!!」

 地面を転がって起き上がったドライフレアが、その粘液に着火させた。

 直後、爆発。

 

 怪人はトーチのようにその毛並みを燃え盛らせた。

 決まった、と二人は思った。

 

「まだ、まだだああぁぁあああ!!」

 魔性の咆哮が、空気を振るわせる。

 

「うっそ」

 気合だけで全身にも燃える炎を振り払った怪人に、ドライフレアが思わず唖然とした。

 怪人はまさに、死力を尽くすかのように己の生命を燃やし尽くしその異様な能力を支えていた。

 

「お前たちが俺を殺せないなら、俺を殺せる人間が現れるまで見る者すべて殺してやる!!」

 炎によって黒く焦げた怪人は、幽鬼のように魔法少女たちの前に立ちはだかる。

 

「それがぁ、殺人鬼と呼ばれた俺に与えられた、使命ぃぃいい!!!」

 両手を広げて、トラックのような重さと速さで突進する怪人。

 狙いは勿論、ドライフレア!! 

 

 この二人の攻撃で、自分にダメージを与えられるのは彼女と判断してのことだった。

 

「こっちに、来るな!!」

 ドライフレアは怪人を近づけまいと炎をバラまくが、相手は負傷を無視して突っ込んでくる!! 

 

「やばッ」

 咄嗟に彼女は避けようとしたが、一足遅かった。

 

 丸太のような剛腕からのラリアットがドライフレアの腹部に直撃した。

 

「がはッ」

 常人ならそれだけで即死するだろう攻撃を受け、くの字になりながら吹っ飛ばされる。

 およそ50メートル近く吹っ飛ばされ、道路を転がるドライフレア。

 

「水無瀬さん!!」

 ジェリーがフォローに入るが、怪人は止まらない。

 

「く、そッ」

「偉大なるかの御方に、死の苦しみを癒して頂け!!」

 血を吐きながら起き上がろうとするドライフレアの前に、怪人の凶刃が迫る!! 

 

 絶体絶命、万事休す。

 魔法少女アニメの定番なら、死の直前に瀕した魔法少女は自らの能力覚醒するものだが、そんな都合の良い展開なんて起きえない。

 

 だからこそ、都合が良いことが起こるとしたら、それは狙っていた(・・・・・)からに他ならないだろう。

 

 

「えッ」

 五指の爪を振り下ろそうとした怪人と、ドライフレアの間に引き抜かれた道路標識が突き刺さった。

 

「何者だ!!」

 未知の攻撃を前に、距離を取った怪人が道路標識が飛んできた方を見やった。

 

 丁度、ビルの真上に立つその姿は、逆光となって彼らにはすぐ把握できなかった。

 

 その時だった。

 ビルの合間から、ラジカセを抱えた目出し帽を被った何者かが現れ、カチャッとボタンを押してラジカセを置いてから慌ててビルの合間に戻って行った。

 

 置き去りにされたラジカセから、音声が再生される。

 

『ぱーぱぱぱー、ぱーぱぱぱー。

この地球にぃ、邪悪が蔓延るその時にぃ、黙っていないわ正義の味方ぁ♪ 

潰えはしないわ、希望の光、この私が居る限りぃ~♪ (彼女は誰だい? ふぅわッふぅわッ!!)

彼女は~、サイネリア~、魔法少女サイネリア~、愛と魔法の使者ぁ~♪』

 

 ラジカセから、アカペラのクソ音痴の女性の歌声が響く。

 そんな気の抜けるような歌声に呆気に取られていると。

 

「……ねえ、なんで曲が付いてないの?」

「テーマソングが欲しいって言ったの昨日だろうがボケ!! 

 そんなに曲が欲しかったらそのクソ音痴をどうにかしてみろや!」

 ビルの上と下でそんな声が聞こえる始末だった。

 

「ごほん。悪の怪人めッ、天の神様が許しても、この私がその悪行、許しません!!」

 気を取り直して、ビルの上の少女がそう宣言した。

 そのまま、軽やかに地面に着地。

 

 現れたのは、どこか外国人の血の混じってるように見える少女だった。

 

「魔法少女サイネリア、ここに参上!!」

 その名の通り、花をモチーフにした魔法衣装をまとった少女が、そのように名乗りを上げた。

 その後ろで、目出し帽の少年がクラッカーを鳴らし、桜吹雪を散らしたりと大忙しだった。

 

「……ねえ、ピンクの煙がバーンとなる奴は用意できなかったの?」

「それ昨日試して煙吸い込んでむせて文句言ったの誰だっけなぁ!!」

「もういい、あと誰が音痴だ」

 少女の寸鉄が、目出し帽の少年をどついた。

 彼は大げさなほど痛がって、その場をのたうち回っている。

 

「私が来たからには、これ以上誰も傷つけさせないわッ★」

「コントは終わったか?」

 この怪人も、空気は読めた。

 このぐだぐだな登場シーンを、お約束だからちゃんと待っていた。無駄に律儀だった。

 

「あの、女……」

 その隙にドライフレアを連れて距離を取ったジェリーは、突然現れた彼女を知っていた。

 いや、見覚えが有った。

 

 そう、先日、魔王が地上に降り立った時、インタビューを受けていた彼を襲撃したあの魔法少女だった!! 

 

「くらえー★」

 まるで玩具にしか見えない──いや、本当に玩具でしかない星型の意匠がされたステッキで、魔法少女サイネリアは怪人に殴りかかった。

 その動き、どう見ても素人。武術の心得があるようには見えない。

 

「俺の使命は、立ち向かうモノの試練となること」

 怪人は、この気の抜ける相手にも容赦をするつもりは無かった。

 

「なるべく苦痛なく終わらせてやろう!!」

 怪人の爪が、サイネリアを引き裂こうを振り下ろされる、が──。

 

 ぱきん、と鉄をも引き裂く爪が弾かれ、割れた。

 サイネリアに触れた瞬間に、である。

 

「マジカル★スター☆彡カウンター!!」

 その直後だった、まるでコマのように回転を加えて体を捻り、玩具のステッキが怪人に直撃する。

 

「ん、なッ!?」

 怪人の巨体に、玩具のステッキがめり込んだ。

 常識では考えられない現象、魔法の力だ。

 

 その尋常ではない力で、怪人は吹っ飛ばされた。

 巨大な鉄球で殴り掛かられたかのようだった。

 

 非常に攻撃性の高いドライフレアでさえ、比べ物にならない火力重視のアタッカー。

 そう判断した怪人は優先順位を変更した。

 

「刃が通らぬなら、絞め殺すまで!!」

 怪人の剛腕が、今度こそ彼女を仕留めんと迫りくる!! 

 

「大地の力よ、私に力を貸して☆彡 

 必殺──」

 全く殴り合いなんて出来そうにない細腕で、気の抜けるような遅さのパンチ。

 だが。

 

 

「アース▽ブレイク△クラッシャー☆彡!!」*1

 その一撃が、怪人の胴体を木っ端みじんに吹き飛ばした。

 血の風船が破裂したかのように、道路に血飛沫が派手に飛び散る。

 一撃必殺。

 

「め、めがみ、さま、これで、ようやく、おれは……」

 胴体を失った怪人は、朦朧とした意識の中で消えゆく魂を何かに抱きしめられるのを感じながら息絶えた。

 

「正義は必ず勝つのよ!!」

 返り血で血まみれになっている魔法少女サイネリアは、元気よく星のステッキを掲げた。

 

「……じゃあ帰ろ」

 戦いが終わると、一瞬にしてテンションが最底辺に落ちた彼女は、無表情になって踵を返した。

 

「あー、すいません、後始末お願いします」

 全ての関心を失ったかのように立ち去ろうとするサイネリアを尻目に、目出し帽の少年がぺこぺこと頭を下げてから彼女に追従する。

 

「ま、待ちなさい!! 

 許可の無い魔法の使用は、法律によって禁止されていますわよ!!」

 呆気なく勝利した彼女の後姿に、我に返ったジェリーがそう口にした。

 

「……だから?」

 サイネリアは肩越しに視線だけを寄越して、どうでも良さそうにそう答えた。

 

「国にお守りして貰ったら、敵に勝てるの?」

 彼女はそんな辛辣な言葉を投げかけると、そのままビルの合間へと消えて行った。

 そんな彼女を追いながら、二人に申し訳なさそうに何度も頭を下げる目出し帽の少年が続く。

 

「……くそッ」

 ダメージで起き上がることしかできないドライフレアが、血の混じった唾を吐きながら悔しさに手を握り締めた。

 

 

 

 §§§

 

 

 怪人との戦いの裏で、上位者対策局も大変なことになっていたが翌日には業務が再開できていた。

 流石に局員全体が疲れた様子だったが、仕事に支障は無いようだった。

 

「昨日、あの怪人の前に現れ戦ったのは都内の中学校に在籍中の生徒です。

 名前は、西念 莉愛。イギリス人のクオーターですね」

 オペレーションルームで、千利が資料を確認してそう言った。

 

「だから、サイネリア、ね。

 あの子、自分の事隠す気あるの?」

 思わず思ったことを口にする夏芽。

 魔法少女のお約束として、変身中は正体がバレないといったものがあるが、この地球ではそんなことは一切無い。

 だから当人の事はとっくに特定済みだった。

 

「そういうのは無頓着なタイプみたいで、まあ話の通じない相手ですよ。

 こちらの局員が勧誘しても、断ったそうですから」

「それでも、魔王の手下と戦っているんだ」

「最近は珍しい、所謂野良の魔法少女ですね」

 昔は個人で魔王に反抗する者も多かったらしい。

 しかし、魔法を得るに至った少女は誰しも悲惨な目に遭っている。

 国家のバックアップ無しで、その活動を続けるのは非常に難しい。肉体的にも、精神的にも。

 

「あいつ、私がピンチになるのを待ってた!!」

 そして、水無瀬は荒れていた。

 

「あんなのただの目立ちたがり屋よ、ふざけやがって!!」

「まあ、変人と言えば変人ですわね」

 荒れ狂う彼女の隣の席の成実は率直な感想を漏らした。

 

「実際のところ、どうなの? 

 個人の判断で魔法を使うのは違法なんでしょう?」

「一応、こちらでは緊急避難ということにしていますよ。

 戦いたいなら勝手に戦えばいい。こちらに迷惑を掛けない限りは、ですが」

 少なくともこちらは戦力として計上していないようであった。

 夏芽は千利の対応に頷いた。

 

「あいつ、私をコケにして、絶対許さない!! 

 千利さん、次あいつが現れたらぶっ飛ばしても良いですよね!!」

「落ち着きなさい。味方同士、とまでは言わないけど敵を増やしてどうするの。

 勝手なことは許さないわ。相手がグレーなことをしていても、ね」

 水無瀬は口実を求めたが、千利は取り合わなかった。

 

「それに恐らく、今のあなたじゃ彼女には勝てないと思うわよ」

 実力的に水無瀬は莉愛に劣っているのは明らかだった。

 そこに魔法の相性も加味すると、夏芽は勝ち目がないと踏んでいる。

 

「そうですね、サイネリアの魔法はかなり強力です」

 千利の見立ても同様だった。

 水無瀬たちほど連戦をしていないとは言え、怪人を打ちのめした。

 凄まじいポテンシャルの持ち主であるのは間違いなかった。

 

「ああいう図太い性格だから、魔王にも挑めたんでしょうね」

 彼女の奇行を目にした成実がそんなことをぼやいた。

 だからこそ、今日まで個人で戦い続けられたのかもしれない、と。

 

「……ッ、勝てないなら、勝てるようにします!!」

「いやだから、彼女の相手なんてしないでくださいと言っているんです」

「私は!! あんな奴に舐められたままでいるのが嫌なんです!!」

 水無瀬の主張に、千利は呆れたように溜息を吐いた。

 

「それなら、鍛錬するしかないわね。

 鍛錬で戦いの技術や経験を得るのが一番よ」

「師匠、つまりそれは」

「ええ、ようやく私の出番ね」

 ドヤ顔をする夏芽を見て、何故だか千利は言いようのない不安に襲われた。

 

 

 

 …………

 …………

 ………………

 

 

 今更だが、上位者対策局はただの箱物ではない。

 魔王の襲来によって地価が下がった都内で、それなりの土地を確保して建てられた代物だった。

 だから訓練に使うグラウンドも、売店もスポーツジムも局員の為の宿舎もある。

 当時の政府の、厄介な魔法持ちは1か所になるべく留めておきたい、という意図が透けて見える。

 

 だから、全体で言えば周辺施設を含めて小学校ぐらいの広さがあるのだった。

 

「これ、なんですか?」

 体操着に着替えた水無瀬が、目の前に設置された物体について尋ねた。

 

「これは伝統的な修行方法のひとつ、跳ね橋よ」

 グラウンドの真ん中に夏芽が持参した装置は、長さ30メートル、幅5メートルほどの橋だった。

 機械によって橋が持ち上げられる仕組みである。

 

「この跳ね橋を上げるまでに、向こうに渡ればいいの。簡単でしょ?」

「それのどこが修行なんですか?」

「やればわかるわ」

 不承不承と言った様子で、水無瀬は夏芽の指示に従うことした。

 

 とりあえず、彼女は走って橋を渡る。

 だが直後、橋がほぼ垂直に跳ね上がって、水無瀬はバネに押し出されたかのように地面に叩き落された。

 

「こ、こんなの無理でしょ!!」

 そう、無理ゲーだった。人間には不可能である。

 

「そう? じゃあお手本を見せるから」

 橋が下りてくると、夏芽は普通に歩いて橋に乗った。

 彼女の体重が橋に掛った直後、跳ね橋が垂直に起き上がる!! 

 

「よ、っと!!」

 だが、夏芽はその場で見事な垂直跳びを見せて垂直の橋を跳び越えて見せた。

 

「これがケルト神話にて語られる“鮭跳び”の技よ」

 笑顔で語る夏芽だったが、水無瀬はポカンとしていた。

 

「こ、こんなの大道芸じゃないですか!!」

 水無瀬は叫んだ。

 それ以前に、普通の人間には無理である。

 そもそも、この鮭跳びの技は本場のケルトの戦士も習得に生涯を費やす秘術である。やれ、と言われてやれる物では無い。

 

「じゃあ、もっとお手軽に体幹を鍛える修行にしようか」

 夏芽は次に自分の身長より長い槍を取り出した。

 

「はい、っと」

 その石突を地面に付けたまま、槍の穂先に片足で跳び乗った。

 

「これぐらいなら練習すれば出来るわ!!」

「無茶苦茶言わないでください!!」

 夏芽は槍の穂先に立ったまま微動だにしていない。

 やっぱり人間業じゃなかった。

 

「あんなの、俺たちでも無理だろ」

「マジであんな修行やらされてるのか」

 なお、普通の教官に体力づくりを指示され、グラウンドを周回しているリクルート隊と親衛隊の面々が可哀そうな者を見る目で見ていた。

 

 どう考えても、夏芽は指導者として微妙だった。

 

 しかしそれでも、水無瀬は説得されたらしく、跳ね橋跳びを結局やることにしたようだった。

 

「うぎゃ!?」

 跳ね橋に跳ね返され、先ほど持ってきたマットの上に落ちる水無瀬。

 

「あなたは常人じゃない、活性化した魔力を全身にいきわたらせるのよ。

 魔法衣装を纏った時みたいな状態を、生身で実践するの」

 この世界では、魔法少女は魔法を十全に使う時、魔力で編んだ防護服を纏う。

 それは一種のパワードスーツのような筋力のサポートを術者に齎している。

 その感覚を思い出せ、と夏芽は言っているのだ。

 

「そうすれば、より効率的に、より素早く魔法を行使できるのよ!!」

 一応、夏芽も無茶で不可能な修行をさせているわけではなかった。

 

「さて、次はあなたね」

「わたくしも跳ね橋を跳べと?」

 成実は果敢にも跳ね橋に挑んでいる水無瀬に絶句していたが、夏芽に視線を向けられ身構えた。

 

「そうね、あなたの場合は応用力があるから、小技じゃどうしようもない相手との経験を積んだ方が良いかもね。

 ねえ、レプ、コティ」

「はいはーい」

「レプのお友達を紹介しちゃうよ!!」

 夏芽を取り巻く妖精二人が、円を描くように踊り出す。

 そこには不思議なことにキノコが無数に生え始め、その円の中心が淡く光る。

 

「え……」

 成実は思わず絶句した。

 円の中から、何か毛むくじゃらの腕が這い出し、のっそりと出て来た。

 

 それは、2メートルを超える巨体であり、2足歩行だがどう見ても人間では無かった。

 毛むくじゃらで醜悪と言うほかないその容姿は、怪物としか表現するほかが無い。

 

「彼は、トロールのアンディ君。

 紳士的でいいヒトよ」

「これのどこが人なんですか!?」

 成実が声を荒げると、トロールのアンディ君は身を縮こまらせてショックを受けた様子を見せた。

 

「あー、酷いこというなあ。

 アンディ君、とりあえず彼女の訓練に付き合ってあげて」

 夏芽がそう言うと、アンディ君はのっそりとした動きで成実に向き直った。

 そして見た目とは裏腹に素早い動きで丸太のような両腕を彼女に伸ばした。

 

「い、いやですわあああぁぁぁ!!」

 成実は変身、魔法少女ジェリーとなって思いつく限りの魔法をぶつけ続けた。

 だが、アンディ君はトロール。妖精の一種。

 妖精の中でもトロールは不死身やそれに近いとさえ伝承に語られる。

 

 ジェリーが何をやっても、アンディ君はすぐにダメージを回復させてしまう。

 まったく有効打が与えられない。

 

「いやああぁ、来ないでぇえ、犯されるぅぅ!!」

 ジェリーは涙目になって必死に抵抗した。

 アンディ君も彼女の暴言に涙目になりながら追いかけまわした。

 

「さて、次の訓練は何にしようかな」

「これが訓練になってると思ってるよ」

「ダメだこりゃ」

 楽しそうにしている夏芽の後ろで、妖精二人がお手上げとでも言うように肩を竦めているのだった。

 

 

 

*1
魔法少女サイネリアの必殺技。地球のエネルギーを利用した、絶大な威力の一撃。相手は死ぬ。要するに某一方通行さんの自転パンチ。




満を持して、新キャラ登場。しかも魔法少女ものならお約束の、ライバルポジションですよ!!
私の作品を昔から知ってる人は、使いまわしとか言わないでください。魔法少女ものを書くのに彼女を出さないなんてありえませんし。

次回は彼女たちの日常回。
とりあえず、水無瀬達やライバルの莉愛がどんな日常を送っているのか描写しようと思います!!

では、また次回!!

次にやってほしい内容は?

  • 魔法少女たちの日常
  • 四天王たちの色々
  • 夏芽の訓練風景
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