解釈違いなので付き合えません。 作:まったりメルヒェン
「好きです!」
「ごめんなさい」
かつて東京と呼ばれていた街……その跡地に存在する大穴。その奥、地下666mに存在する"生ける監獄"、『ジェイル』。その一角にてジェイル脱獄を目指して奮闘する人類が集い作り上げた最後の砦にして前線基地である『黎明解放戦線』、通称"黎明"。その敷地内にて、青年と少女の声が響き渡る。聞くからに色恋沙汰であり、それ故にそれが聞こえた人間は多種多様な反応をするだろう。例えばモテない人間ならば嫉妬のような感情を抱くし、ちょっと歳を食ったおばちゃんならばあらあらとその色恋沙汰の行方に興味を示す。だが、それを聞いた人々の心情は一致していた。
「またか」、と。
俺は……もう何度目かを数えるのも億劫なぐらいに回数を重ねた返答をしながらあることを考えていた。え、何を考えていたのか?
「あーほんと可愛いなぁ」だ。それ以外ないだろ常識的に考えて。
全ては約15年前。今の俺が誰よりも可愛らしく誰よりも美しいと認識している女の子、その当時の姿。それを見たことで思い出した。前世を、前世でどハマりしたゲームを……そして、推しを。なお思い出した瞬間声にならない叫びを上げてひっくり返った。いや前世でAnotherばりのブリッ死して転生したら推しがいる世界だったんだから仕方ないだろ。ふと気付いたら目の前に推しがいたら誰だって奇声上げてぶっ倒れる。ってか俺は実際ぶっ倒れた。
話を戻すとしよう。んで今俺が何をしているか。至ってシンプルで、その推し……"赤ずきん"から告白されたのを振った。以上。
「もー!なんでダメなの!?」
「解釈違いなんで……」
え、何故振るのか?推しの告白なんて一生に一度あるかないかレベルだろ?受け入れない理由はない?
馬鹿野郎!!!!!(クソデカボイス)
俺は推しの住む家の壁になりたいタイプのオタクなんだ。推しとファンが付き合うなど言語道断解釈違い。前世でもそういう妄想は一切せずに、主人公とのカップリングの妄想だけで生きてきた人種だ。『推しと付き合える』という発想自体が抜け落ちていると言ってもいい。
「だからその解釈違いって何!?どうしたらそれがなくなるの!?」
「お前がお前でいる限り解釈違いです」
「本当にどういうこと!?」
つまりはそういうことです。
「ほら、明日は元街道沿いエリアに行くんだろ。夜更かししないでさっさと寝ろ」
「いつまであたしを子供だと思ってるのっていうかまだ夕方なんだけど???」
ここ昼夜の違いが分かりにくいし。原作でジャックの部屋は窓から光が射してたけど実際のとこあんま射さないし。割と光源フル活用しても薄暗い。
まあ地下666mともなれば日照時間はひどいことになるわな。
「ほら、明日は俺もついて行ってやるから」
「本当に!?」
「俺がお前に嘘ついたことあったか?」
「割と」
そういやあったな。
「まあいいや。とにかく帰るぞ。明日は早いんだ」
「はーい」
これが俺の、"
狼崎 暸
今作の主人公。22歳。
赤ずきんガチ推し勢で推しカップルの家の壁になりたい系のオタク。前世ではメアリスケルターシリーズにどハマりした挙句寝ずに周回して赤ずきんのステータスをカンストさせた上転生しても推しを見て全てを思い出したガチ勢。前世の死因は10tトラックに撥ねられてぶっ飛んだ挙句のAnotherばりのブリッ死。
推しと自分が付き合うという概念自体が解釈違いなのもあり数年前から毎日赤ずきんに告白されては振り続けている。転生して一番嬉しかったのは推しに直接貢げること。
名前の由来
「狼」崎→狼 「暸」→「猟」師
赤ずきん
今作のヒロイン。20歳。
15年ほど前に主人公に出会い、それ以降貢がれまくったり色々された結果主人公にべったりになった。めちゃくちゃ愛を伝えてくれるしめちゃくちゃ色々やってくれる主人公によって原作よりも自己肯定感がバチ上がりしている。
自己肯定感が高いせいで何度振られてもめげずに告白し、推しは甘やかしたい派の主人公により自己肯定感を上げられる無限ループが発生している。