───BOOM!!
「使えやあの力ッ!! なんで使わねぇんだよッ!!」
「うっ……もう使わないよかっちゃん……まだ、制御できないんだよ……」
「……チッ」
「ごめん……かっちゃん、僕、ひどいことを───」
「ア゛ァァァァァァッ!! 謝るんじゃねェ!!」
「ご、ごめん……あっ」
「だから……あぁクソが」
かっちゃんのその痛々しい青アザのある目を見る度に、僕の心はズキズキと痛む。
はぁ……僕はなんて酷いことをしてしまったんだろう。
かっちゃんは女の子なのに……僕は……。
《もっとやったってよかったですよ》
僕の頭の中で無感情な声が響く。
ヒドいよシス。
なんてことを言うんだ。
これは僕のもうひとつの個性『自律型解析システム』。
呼びづらいから『シス』って呼んでる。
かっちゃんにあんな怪我を負わせた原因でもある……いや、使うって決めたのは僕なんだから、やっぱり僕が悪い。
この個性は、僕が見たもののあらゆる情報を解析できるという能力がある。
見た人がどんな個性をもってるのかもすぐに分かってしまう、すごく便利な個性。
《違いますよ、イズク。見たものだけではなく、認識したもの全てをワタシは解析できます。何も情報源は視覚だけではありません。加えて、思考加速、並列思考、イズクの身体制御、及び個性制御ができます。他にも───》
もう分かったよ!
うるさいな!
《……すみません、イズク。怒らないでください》
そう、こんな感じでこの個性はうるさいんだ……。
シスの力なんだろうけど、今もかっちゃんと喋りながら、僕は同時に頭のなかでシスとも喋ってる。
「……なぁ、デク」
かっちゃんが僕の方を振り返った。
そのとき、かっちゃんは今まで見たことない表情をしていた。
「お前、俺に勝ったのに……なんで嬉しそうにしねぇんだよ……」
「……え?」
少しだけかっちゃんの言ってることが分からなかった。
どういう意味だろう?
引き伸ばされた時間の中で僕は結構考えたけど、かっちゃんがなんでそんなことを言ったのか全く分からなかった。
《……イズク、とても不思議なことが起きました》
シスの声が頭に響く。
かっちゃんが喋り出すのも、ほとんど同時のことだった。
「なんでこんな……俺に勝ったのがテメェみたいな……弱っちそうなやつなんだよ……デク」
そう言うと、かっちゃんはすぐに後ろを向いてしまった。
かっちゃんの表情が見えない。
だから僕はもっと分からなくなってしまった。
───でも、僕の頭の中でその答えは告げられた。
《解析した結果、爆豪勝妃の好感度が爆発的に上昇しています。なぜでしょう?》
……え?
えっと、好感度って何?
《ようは、爆豪勝妃はイズクのことが『大好き』ということです》
え。
えぇえええええええッ!?
あのかっちゃんがッ!?
あああ、ああ、ありえないよそんなの!!
かか、か、かかか、かっちゃんが僕なんて───
《───それも生半可なものではありません。イズクへの爆豪勝妃の好感度:92/100。控えめに言って、イズクのことがめちゃくちゃ好きになっていますね。なぜでしょう? ボコったのに好きになるなんて理解できませんね》
ぐうぇえええええっ!?
も、もう僕には、ななな、何がなんだか。
「……なんとか言えよ……デクゥ」
今までとはまるで違うかっちゃんに、僕は戸惑うばかりで最後まで何も言えなかった。
そしてこの日から、かっちゃんはめっきり変わってしまった。
相変わらずむやみやたらに他人を見下す性格は直らないけど、僕にだけは少しだけ優しくなった。
それから、注意するとガミガミと文句を言ったり怒鳴り散らしたりはするものの、なんだかんだあのかっちゃんが僕の言うことを聞いてくれるようになった……一番僕が信じられないよ。
本当に……かっちゃんはなんで変わってしまったんだろう?
───結局、かっちゃんの好感度はそれからも上がり続け、僕たちが中学3年生になる頃にはついに“カンスト”してしまった。
お読みいただきありがとうございました。