緑に抱かれて   作:ロクロ

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初投稿作品です。宜しくおねがいします。なお、prototypeは読まなくても何ら問題ありません。設定とかがそのまま使われているだけです。


ゴミ捨て場
prototype 前半


「ちょっ、ちょっと待ってください。心の準備がまだ……」

 

「ほら、さっさと倒せ。」

 

 小隊長に文字どおり背中を押され、数歩前に進む。目の前にはいかにも化け物という感じの植物がおり、それに見られているように感じる。目はないので気のせいなのだろうと思いたい。思いたいが、すでにこちらを狙うような動きをし始めた。

 そもそも、なんでこんな状況に陥ったのか。話は昨日の朝まで遡る。

 

 

 

 

 

 一年間の基本的な教育を無事に終え、今日、配属先となる部隊の通達が私達に来た。それを持って、同室だったミアの部屋まで行く。 

 今日から一人の部屋がもらえるが、多分どちらかの部屋に入り浸ることになるだろう。

 

「ミア、配属先の連絡来た?私はもう来たよ。」

 

 開口一番、そう問いかける。私達にとってこれは一大イベントだ。

 

「私にも来た。まだ見てないけど。」

 

「私もまだ見てない。じゃあ、ミアのから見ようよ。」

 

「ん、分かった。えーと、わたしは……、703中隊だった。」

 

「輸送部隊かー。きつそうだね。」

 

 いまでは、違う街に行ける唯一の部隊で、色々な街の出身者がいる。ただ、外に出る分、危険もある。輸送車が敵をよく引きつけるからだ。

 

「でも、出した希望通りだからね。頑張るよ。ソフィアはどう?」

 

「私は主席とったから、希望したとおり701中隊に決まって……。」

 

 おかしい、701と書いてない。目をこすっても、何度更新しても何も変わらない。成績優秀者は優先して希望先に配属されると聞いていたのだが……。

 

「あれ、どうしたの?」

 

「おっかしいな~。私まだ寝ぼけてるみたい。ちょっと読んで。」

 

 そう言って、ミアに端末を差し出す。

 702にしか見えない私の目がおかしいだけだと願いたい。そこは偵察などを行う隊になる。

 

「どれどれ、えーっと、702って書いてるね。」

 

 第三者の保証もあり、これで私は702中隊に配属されたという事実が確定してしまった。

 私はベットに仰向けに倒れ込む。

 

「なんで!?まじでなんで!?普通は優秀な人を街の守りに使うよね!?702っていっちばん死亡率高いとこじゃん!!そんなの死ににいくようなもんだよ!!」

 

「えーと、どんまい?あ、バタバタしないで。埃飛んでる。ここ、私の部屋になんだから。」

 

「ひどい。この裏切り者!……はあ、私もできればそっちのほうがマシだったのに、なんでよりによって……。」

 

 そうして私が不貞腐れていると、ミアが投げた服が私の顔の上に落ちてきた。持ち上げて見ると、わたしのお気に入りの服だった。ないと思っていたが、きっと彼女の荷物に紛れていたのだろう。

 

「……なに。」

 

「気晴らしに外いこ。約束してたでしょ。ちょっと早いけど、あんたがいつ死ぬかもわからないし、今日でぱあっとお給料使い切っちゃお。」

 

「……うん。でも、死ぬとか不吉なこと言わないでよ。」

 

 友人の気遣いに感謝する。もしかしたら、これが最後に彼女と遊べるタイミングかもしれないのだ。頬を両手で叩いてから笑顔を作る。

 

「じゃあ、行こっか。」

 

「あ、でも702って血塗れ姫いる部隊じゃん。」

 

 それを聞いて、私は今日二度目の絶叫を上げた。それは反対側の隊舎まで響いたとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一夜明け、私は702中隊、中隊長室の前にいた。深呼吸を繰り返し、落ち着く。そして頬を叩いて意識を切り替え、扉をノックする。

 

「入れ。」

 

「失礼します。本日より702部隊に配属されました、ソフィア・ウィルソンです。」

 

「ああ、よく来た。我が部隊に歓迎しよう。君の配属先は新設の第四小隊になった。若い隊員が多いが優秀な奴らだ。色々学べるだろう。第四小隊室はひとつ下の階にある。小隊長はアーシャ・ジョーンズというやつだ。部屋にいなければ、受付に行って呼び出しを掛けてもらえ。最後になるが、うちの隊員はいい奴らだ。なにか困ったことがあれば、遠慮なく聞けばいい。以上だ。」

 

「わかりました。失礼します。」

 

 今日は何人もの相手をしているのだろう。だいぶ事務的だった。

 それにしても、何故か、アーシャ・ジョーンズという人物の名前を聞いたことがあるような気がした。

 廊下を歩きながら過去の記憶を掘り返す。あれは確か……、そうだ。私が初めて血塗れ姫の噂を聞いたときだ。確か名前がそんな感じだった覚えがある。と同時に血塗れ姫が言われていたことを思い出した。いわく、仲間敵を問わず、常に他人の血で全身を濡らして帰ってくる。いわく、彼女に勝てる人間は存在せず、一切成長しない不死身の存在。

 彼女には二本の角がはえ、カラスを操る魔法を使う。そこから赤鬼とか魔女とも呼ばれている。

 他にも生き血を好むらしい。

 それを思い出し、一気に血の気が引いた。私は生き残れるのだろうか。

 とにかく、彼女の不興は買わないようにしないと。

 

とうとう小隊室に着いてしまった。部隊長の部屋に入るときよりも緊張する。手の震えが収まらない。とにかくノックしないことには始まらない。覚悟を決める。

 

「どうぞ―」

 

 聞こえてきたのは若い男の声だった。ほっとした。今は部屋を留守にしているのだろう。

 

「失礼します。本日配属されました……、は?」

 

 そこには血塗れ姫らしき角が生えた人がいた。いたが、想像していたような姿とは全く違った。鬼というからには筋骨隆々で男みたいな女性で、真っ赤な格好をしているんだろうと思ったら、ただお菓子で餌付けされている少女だった。予想外の事だらけで頭がパンクする。

 

 

「おーい、大丈夫かお嬢ちゃん。」

 

 さっきまで少女にお菓子を与えていた、後ろで髪を束ねた男が私の顔の前で手を振っていた。

 

「え……、あ、はい、大丈夫です。」

 

「そりゃ良かった。お前、新入りだろ。俺はブラウンっていうんだ。これからよろしくな。」

 

「私はソフィア・ウィルソンって言います。こちらこそよろしくおねがいします。えっと、彼女は?」

 

 そう言って、なんとなく分かっているが奥でお菓子を食べている少女を指差す。

 

「あいつはアーシャ、この小隊の小隊長だ。おい、アーシャ。こいつ、準備室に案内してやってくれ。俺、車の使用許可もらってくるわ。」

 

 

「ん、分かった。」

 

 そうして私は準備室へ無表情の彼女に連れられて廊下を歩く。ブラウンさんがいなくなったことで足音と彼女が身につけている装備がぶつかる音だけが鳴り響くだけになった。彼女は私のことでも気に入らないのか。

 

「ソフィアで合ってる?」

 

「え?あ、はい。あってます。」

 

「そう。」

 

 話しかけられるとは思わず、驚いてしまう。しかし、そのまま準備室に付くまで結局一言も話さなかった。

 

「ここ、開いてるから使っていい。名前だけ打ち込んどいて。」

 

「わかりました。」

 

「あと、これ武器とか。もうすぐ任務あるから着けて。」

 

 そう言って、武器と胸当てを渡される。だが、訓練で使っていたものとは少し違う。とりあえず、身につけながら彼女に聞いてみる。

 

「これ、武器なんですか。こっちは銃ってわかりますけど。」

 

「新しいやつ。魔力を通すと展開する。というか、展開したいと思えば、勝手にデバイスがそこらへんの管理をしてくれるから、細かいことは気にしないでいい。そして、ちょっと機能が増えてる。」

 

 そう言って、彼女は太ももに着けていた棒を二本取り出し、実演し始めた。

 

「これは展開したら剣になる。でもこれはちょっと特殊。こんな感じ。」

 

 そう言って彼女は展開する。現れたのは刃が弓状に着いている剣だった。

 

「変わった形ですね。」

 

「これは切るって言うより削り取るっていうコンセプト。そう聞いた。で、次はこれ。」

 

 展開していた武器を解除し、もう一つ同じものを近づける。すると二つが繋がり、大剣が現れた。

 

「これは?」

 

「これは硬いものを叩き割るときとかに使う。例えば頭の殻とかによく使ってる。」

 

 そう言ってから格納する。次に取り出したのは、これまた知らない銃だった。

 

「これ、不思議ですよね。マガジンを挿すとこが持ち手より後ろにあるんだ。」

 

「この形状だとカービンという名前みたい。何でもここにマガジンを付けると弾が速くなるらしい。あと、ここ引っ張ると伸びる。ここを肩に当てて、安定させる。」

 

 そう言って、後ろの方を引っ張ると伸びる。何段階かで止まるようだ。

 

「それでこれも、形が変わる。」

 

 再び彼女は剣に変わる棒を取り出し、それを下側の開くところからそれを差し込むと二倍ぐらいの長さまで伸びた。

 

「これがバトルライフルモード。射程と威力が上がる。ただ長くなりすぎて片手では撃ちにくい。」

 

「これ片手で撃つもんなんですかね。」

 

「撃てないことはないってだけ。基本は遠くから。」

 

 そりゃそうだと思いながらも口には出さない。ふと、少し気になることがあった。

 

「なんで新しい武器がこんなにあるんですか?」

 

「私達の部隊は新武器の試験も担当しているから。一番交戦する回数が多いし。」

 

「そうなんですね。そういや小隊長。」

 

「任務中と上の人がいるとき以外はアーシャでいい。」

 

「じゃあ、アーシャ。ここで武器を出してましたけど、大丈夫なんですか?学校にいたとき、武器を出す場所には気をつけろって言われてたんですけど。」

 

「……あっ。」

 

「だめなんですね。」

 

「みんなには黙ってて。」

 

「でも、規律違反ですし……。」

 

「お願い。ほんとにお願い。」

 

 そう言って顔を青くしながら手を握って懇願してくる。思っていたより可愛い人みたいだ。

 

「まあ、聞いた私もあれですし、黙っときますね。」

 

 彼女の顔に笑顔の花が咲いた。こんなふうに笑っていれば、怖がられないのに基本無表情だから怖がられるんだろう、と思う。この顔を見ればただの少女だとわかる。

 

「じゃあ、準備できたから小隊室戻る。着いてきて。」

 

 そう言って彼女は足早に部屋の外へ出ていく。置いていかれても問題ないが、慌ててその後を追った。

 

 小隊室に戻りぼんやりしていると、知らない人が部屋に入って来たので慌てて立ち上がる。

 

「小隊長、さっき上から連絡があって、帰りは輸送隊と合流しろ、とのことです。なんでも襲撃が多く護衛の物資が不足気味になったそうです。と、こちらの方は?」

 

「この子はソフィア。うちの部隊の補充で来た。」

 

「ソフィア・ウィルソンです。よろしくおねがいします。」

 

「これはどうも、私はジョンソンと言います。よろしくおねがいしますね。それで小隊長。どうします?彼女連れていきますか?」

 

「まあ、そんなに大変でもなさそうだし連れて行く。」

 

そう言うと、突然耳を手で抑えた。なにやら、なにか通信が入ったようだ。

 

「……っと、分かった。今から行く。ブラウンから。車の準備ができたそうだ。」

 

「じゃあ、行きますか。」

 

「え、はい。わかりました。」

 

 どうやら、これで私は実戦に向かうことになったらしい。なんの訓練もなしに新人を実戦に出すと行くことはよほど余裕がないのか。せめて、連携訓練ぐらいはしておきたかった。そんなことを考えながら彼らの後ろをついていった。

 

 そして、話は冒頭へと戻る。

話の発端は車の中、お菓子を食べていた小隊長が言ったことだった、

 

「いい機会だし弱いやついたら、練習がてらソフィアに一人で倒させるか。」

 

「は?」

 

「それ、いいですね。」

 

「そうだな。」

 

 それから私抜きでトントン拍子で話が進み、三人は真剣に周りを見始めた。とにかく居ないように祈っていたが、そんな願いも虚しく、小隊長の居たという声が聞こえて来た。

 車が止まり、降ろされる。少し歩いた先に、2mぐらいの植物が居た。

 こうなったらやるしかないんだ、そう覚悟を決め武器を展開する。まあ、危なくなったら助けてくれるだろう。

 横薙ぎに振るわれた蔓を屈んで避け、振り下ろされた蔓は横っ飛びで逃げ、そのまま反応できる距離を保ちながら走る。

 銃を構え、栄養溜まりのコブを狙って撃つ。しかし、緊張からか手が震えてうまく当たらない。避けるために走っているのもあるだろう。狙いを蔦の根本に変え、私が使える魔術の火炎手榴弾を植物の足元に投げ、一本の動きを鈍らせてから、そこを狙い撃つ。これでほとんどその一本は機能しなくなった。そして、隙を見てそれを途中で切り飛ばす。これで相手が使ってくる蔓は残り二本。ついでに足の動きも鈍くなった。

 ここで植物の動きが一気に変わった。

 今までは、こちらを捕らえようとした動きだったが、今は外敵を排除するような動きになる。

 一息つくために少し離れ、ついでに銃の形状を変えてみる。

 ちらっと三人の方を見るとシートを広げてそこに座っていた。小隊長に至ってはお菓子を食べている。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「あの、なに、してるん、ですか!」

 

「何って観戦だが。」

 

「それなら手伝ってくださいよ!?」

 

「育成のためだ。」

 

「なら、こんなスパルタじゃなくてもいいじゃないですか!?」

 

「これが702中隊の伝統だからな~。仕方がない。」

 

「いつかはやることですから。頑張ってください。」

 

 どうやらフォローもしてくれなそうだ。倒せるとの信頼の現れか、もしくは面倒くさいからか。後者が有り得そうなのが怖い。とりあえず文句は後で絶対に言いに行こう。

 息も整ったので、再び相手も間合いに入る。二本になったのでだいぶ楽だ。まずは一本を排除することに集中しよう。

 ゆっくりと狙いをつけ撃つ。今度はしっかりコブに当たり、中身の液体が吹き出る。思った以上に威力があった。

 これで相手の動きが鈍り、簡単に一本切り飛ばせる。あと一本。

 後は詰めるだけと思い、最後の一本を見るとすぐ目の前に迫ってきていた。

 瞬間的に時間の経過が遅く感じる。油断した。これは避けられないな。そう思い自身の重量をデバイスの力を借りて極限まで減らし、自身の腕を盾代わりにする。訓練で反射的にできるようになるまでやらされたことが生きていて、訓練は大事なんだなと、場違いながらそう思った。

 いよいよくると、衝撃に備えると、前から軽い衝撃があった。すぐその後、後方からタンッタンッと軽い音が二回鳴った。

 反射的に閉じてしまった目を開けると、小隊長に横抱きに抱きかかえられていた。

 植物の方へと目を向けるとすでにブラウンさんが諸悪の根源である種子を本体から切り離していた。 私に向かっていた蔓に目を向ければ、半分と根本のところで大穴が空いて千切れていた。きっとジョンソンさんが撃ち抜いたのだろう。あれに当てられるなんて頭おかしいんじゃないか。

 

「おもっ。」

 

「女の子に重いなんて言わないでくださいよ。あと、もう大丈夫です。おろしてください。」

 

 私がデバイスの補助を切ったことで重さが羽のような軽さから一気にもとに戻っただけだが、重いと言われるのは心にくる。少女にとっては成人女性の体重は十分思いなのだろうが。

 それに、ずっと子供に抱きかかえられているのは見られたときに気まずいのでさっさと下ろしてもらう。 ブラウンさんが見たらきっとからかうだろう。ここまで来る道中で分かった人柄からそう思う。 ジョンソンさんには見られているだろうが、多分大丈夫だ。終始、誰にも物腰が丁寧だった。悪ノリには嬉々として乗るのでそこはあれだが。

 小隊長はさっきから申し訳無さそうにしているので大丈夫だろう。

 そこでブラウンさんが戻ってきた。

 

「ソフィア、最後は油断しただろ。ちゃんと最後まで気を張っとけ。」

 

「はい、すみません。」

 

「今回は惜しかったですし、次は倒せますよ。」

 

「はい、ありがとうございます。」

 

「でも、実際ここまで余裕がある状況はあまりないですよ。次は気をつけてくださいね。」

 

「はい、わかりました。」

 

 そのまま戦闘のとき気づいたことを言われながら、植物の後処理を手伝わしてもらい、それから車に戻る。初実戦はとても疲れた。席に座ると疲労感がどっと来た。

 

「これ、あげる。」

 

 そう言って手渡されたのは、チョコレートだった。お菓子なんて高級品で、それこそ記念日とかじゃないとなかなか食べられないので、ありがたくいただく。これ、よくお父さんが買ってきてくれたやつと同じだ。

 

「ありがとうございます。でも、いいんですか?お菓子って高いじゃないですか。」

 

「大丈夫、みんなからもらえるから。」

 

 そういえば餌付けされてたなと思い出す。小隊員だけでなく、色んな人からもらっているらしい。

 包装を開けると、甘い香りが漂ってきた。思わず、よだれが口から溢れそうになる。

 

「いただきます。」

 

 口に放り込むと、甘さが口に広がる。

 散々な目にあった後の事もあって、父には悪いが父が買ってきたときよりも数倍美味しく感じた。

 




世界観的なもの

【挿絵表示】

イメージの助けにでも。

 この作品は
NieR:automata
bioshock
bioshock infinite
ワールドトリガー
塩の街
海の底
ネットで読めるものでは
幼女戦記
死神を食べた少女
魔法少女リリカルなのはAnother?Fucking Great?
に多大な影響を受けた作品です。
 ふと小説を書きたくなり、いろいろなところから設定を引っ張ってきたので、何処か似ているところもあると思います。
 できればおおらかな目で見てほしいです。
 わたしはタグについてあまり理解していないので、こんなタグを付けたほうがいいという意見がありましたら、活動報告の方にお願いします。
 最後に助言の方もしていただけるととても助かります。
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