連載中のシリーズとは一切関係ございません。
連載中のシリーズとは一切関係ございません。
『闇に潜み、刻が来る時を待ち続けた者達よ。 今、新たな闇の悪魔が誕生した。……刻が来たのだ』
すでに世界を照らさなくなった太陽の元、元はただの少年であった一人の闇の悪魔が、その場に立ち上がる。
『集え! そして行こう!』
何者かの宣言に従い、その悪魔の瞳が赤く光る、そして、その背後に無数の悪魔達が姿を現していく。
『我等の真の敵の所へ……!』
先頭の悪魔が歩を踏み出すと、背後の悪魔達も一斉に進軍を開始する。
闇に生まれた者、光から闇へと落とされた者、異端とされて闇に落ちた者、己から闇へと望んで落ちた者、地平を埋め尽くすおびただしい悪魔達が、己達の真の敵へと向けて進んでいく。
だが、その前にただ一人待ち構えていた者がいた。
「……待ちな、ボウヤ」
先頭にいた少年の姿をした悪魔が、その待ち構える者の言葉に従ったのか、その場で歩みを止め、背後の悪魔達も一斉に止まる。
「行くのか」
「……ああ」
その待ち構えていた者、背中に大剣を背負い、腰に白と黒の大型拳銃を帯びた赤いコートの男、デビルハンター・ダンテの問いに少年の姿をした悪魔は答える。
「……お前は、どうする。最早人の世は終わった。それでもなお、悪魔を狩り続けるのか?」
「…………」
ダンテは答えず、背の大剣リベリオンを抜き放つ。
「正直、お前達が何と戦おうと、オレには興味は無い」
「では、なぜ?」
「決まっている。オレはデビルハンター、そして今オレの前に最強の悪魔がいる」
「……それだけのために、この軍勢と戦おうと言うのか」
少年の姿をした悪魔の背後から、無数の唸り声や咆哮が響く。
あまりにもおびただしく、恐ろしい声は徐々に広がっていき、それは常人ならば正気を失ってもおかしくない程の唸りとなって大地に響き渡る。
だが、ダンテはリベリオンを構えたまま、僅かに唇を持ち上げて笑っただけだった。
「雑魚に用は無い。オレの獲物はお前だけだ。人修羅」
「……そうか」
かつての名で呼ばれた悪魔が背後に手をかざして控える悪魔達を静まらせる。
「では、やるか」
「ああ」
静かになった所で、少年の姿をした悪魔が拳を構え、ダンテもリベリオンを構えたままわずかに歩を進める。
僅かな間を持って対峙した二人が動き出すのは同時。
互いの間合いに入ると同時に、魔力のこもった拳と、大剣がお互いに向けて繰り出された。
人修羅と呼ばれた悪魔と、悪魔も逃げ出すと言われたデビルハンター、最強の魔人の名を賭けた戦いが、今、始まった…………