GOD EATER BURST~旧型神機使いの日常と苦労~ 作:キョロ
あまりないですがメリーは人にぶつかるかな、というのを考えてが一つ。
あとこの先コウタがちょっと扱い酷い気がして……。
いや、あんまり触れませんけど。
では、スタートです。
「昨日、アリサのお見舞行ったんだろ? どうだったんだよ、ゼルダ」
「……会えませんでした」
俺たちは今エントランスに設置されているソファにいる。
邪魔にならないようにヒバリちゃんのいる階の隅っこのソファに座ってます。
昨日、俺とメリーがなんやかんやあってる時にゼルダはアリサのお見舞いに行っていたらしい。
アリサとはエントランスで時々話していた俺だから、ゼルダにアリサの状況を聞こうと朝の依頼前にちょっと捕まえました。ごめんなさい。
だが、ゼルダは暗い顔で会えなかったと口にした。なんですと。
「何に謝ってるのか分かりませんでしたが、頻りにごめんなさいごめんなさいと口にしていました」
「……ホラーだな」
「ええ。オオグルマ先生曰く錯乱状態だったようですので、昨日は会えませんでした」
オオグルマ……先生。誰だっけか、それ。
思い出した、アリサと一緒に赴任してきた人だ。
病室に滅多に行かない俺から見れば「へー。あっ、そう」な出来事だったから忘れてたわ。
「今日も会いに行く予定です……。また、錯乱していないといいのですが……」
さっきも出てきた『錯乱』という言葉にピクリと俺は反応してしまった。
思い出すのは突如暴走した昨日のメリーの姿。怖いよ、あいつ。
結局、俺はあの出来事を“書面上”では報告しなかった。
何かと気をかけていたツバキさんは上官でもあるし、一応報告しておいたけど。
あの時のツバキさん、酷い顔してたな。すっごい疲れた顔。
ツバキさんに話した時点で上に繋がる気がするけど、今はこれでいいと俺は思う。
問題はメリーの暴走の原因。あれを突き止めない限り、他の神機使いとの同行は不可能だろうしな……。
「……さん、夏さん?」
「えっ、あ、な、何?」
「いえ、珍しく真剣な表情だったもので、つい……」
おいおい、それじゃ俺がまるで楽観主義みたいじゃないかー。
ごめんなさい、おっしゃる通りです。
考え事なんて俺には似合わないことだよね! 一度止めとこ。
あとは、誰も居ないところで――自室とか――また考えればいいんだし。
「あ、そういえば手伝っていただきたい任務が、」
「おっはよー!」
「あべしっ!?」
突如俺の額に固い何かがぶつかる。ぜっ、全力投球、だと……?
よくよく投げられたものを見てみれば、ブラックコーヒーの缶だった。
どうりで硬いはずだよ! しかもブラックコーヒーは俺が飲めないのに嫌がらせですか?
俺はブラックコーヒーの缶を投げてきたやつを睨み付けて――硬直した。
「め、メリー……」
「何よ、幽霊見てるみたいな目で見ちゃって。殺されたいの?」
「いきなりそこに辿り着くの!? いや、でも、休まなくていいのか?」
「はあ? なんであたしが休まなくちゃいけないのよ。身体はどこも悪くないわよー」
「えっ、だって昨日いきなり暴走して……」
「殴られたいわけ? 確かに昨日はちょっと疲れてたけど……、暴走って何よ」
な ん だ こ の 食 い ち が い は 。
いや、そもそもメリーは昨日の記憶自体が曖昧なのか?
気になって昨日の依頼内容を聞いてみれば「サリエル」と返ってきた。うーん、判断しづらい。
だけど、どうしてここまで食い違いが起こってるんだろうか……。
ゼルダも不可解だと言う様に首を傾げている。
「何その真剣な顔。気持ち悪いから今すぐ止めなさい」
「……昨日もそれ言われたな」
「えっ! 嫌だ同じネタもう使ってたの!?」
「何故そこで殴る!?」
殴られた後で、また会話がおかしいことに気付く。
あれ、じゃあ依頼の詳しい内容までは覚えていないのかな。
依頼内容がサリエルっていうのは受けた本人がよく覚えていてもおかしくないわけだし。
……もう少し、詳しく聞いてみるか。
「お前、昨日俺に何回モルター当てた?」
「はっ? ……六回、かしら」
「じゃあ、依頼終了後に当てた回数は?」
「え、当てたかしら?」
あんまり数えてないからわからないけど、確か俺が昨日モルターにぶつかったのは五回。
その内一回は俺が考え事をしているとき、つまり討伐後の出来事だ。
「サリエルに止めを刺したのは誰で何の攻撃?」
「えー、そんなのあたしに決まってるじゃない。串刺しよ、串刺し!!」
「……冗談で言ってるわけじゃないよね?」
「何度も言わせないでって。串刺しで倒したのよ」
目を爛々と輝かせてにこやかに笑うメリー。
あの……、すっごい怖いです。お願いですから殺戮をそこまで楽しむの止めてください。
だが、多少ではあるがこれも違う。串刺しではなくて叩き落としたのだ。似ているようでこれは少し違う。
これ以上は埒があかないな。そう思いため息をつく。
あ、最後にもう一つだけ質問をしてみようか。
「じゃあ、最後。依頼後の耳鳴り覚えてるか?」
「耳、鳴りっ……?」
それを聞いた瞬間、顔を歪ませるメリー。
おおっと、地雷を踏んでしまったようです。
「覚えて、ない……。違う、知らない。そんなのなかった」
「あ、うん、なかった。ごめん、確かになかった」
頑なに否定し続けるメリーを見ているうちに昨日の出来事を思い出してしまい、メリーの言葉に合わせる。
これ以上追及することは無いけど、これ以上追及したら昨日と同じになりそうで怖い。
殺されかけるのはごめんですからね!
そう思ったところで。
――キィィィン、と元凶の音が響いた。
エントランスで、か……!?
「うっ……」
「やっべえ!!」
昨日と同様、苦しそうに呻くメリー。
さ、さすがに昨日と同じことをエントランスでやられたら困るよ!
神機が無い分良いけど、こいつ力強そうだから軽々ソファとか持ち上げるだろうし……。
「とっ、止まれーーーーー!!」
「きゃんっ!?」
咄嗟に俺は近くにあったブラックコーヒーの缶を全力でメリーに投げつけていた。
見事頭に命中し、普段の態度とはかけ離れた悲鳴を出すメリー。痛そうにぶつかった箇所を両手で押さえている。
いつもそうだったらモテるのに……。よし、いつでも缶を投げてやろう。サービスだよ!
「なっ……」
「な?」
地面にペタンと尻餅をついて未だに両手でぶつかった個所を押さえながらプルプルと震えるメリー。
なんだかその震えが小動物的ぃ! ごめん、今のは俺が悪い。
聞き取れなさそうでぎりぎり聞き取れるその声を拾い、俺は言葉を返した。え、今何て?
「何すんのよこの馬鹿夏があああああああ!!」
「うべっ、がっ、ぬおっ、ぎゅっ、しっ、ぬっ!!」
「メリーさん止めてください、夏さんが死んじゃいます!!」
昔漫画で見かけた百烈拳のように殴り倒される俺。
あっ、今俺の正面に川が流れてるよ。向こう側に誰かいるなー。
あまり記憶にないけど、茶色の髪色で二人で笑い合ってるあれは確かに俺の両親……。
は? 親?
「母さん!? 父さん!?」
ハッとして大声を出すと、ピタリと止まる俺に向かって振り出された拳。
眼前で止まったよ、びっくりしたあ!
……それからエントランスが静かになっていることに気付いた。
うわああああああ!! これはどう見ても俺のせいですねごめんなさいいいいいい!!
にしても、馬鹿なこと口走ったな、俺。
親なんて俺にはいないのに、な。
「親? 親がどうかしたの、夏?」
「あ、いや、なんでもないよ。もういないはずの親を見るなんて、俺本当に死にかけたのかもなー」
「大丈夫ですか!? 顔がボコボコになってますよ、夏さん!」
「え、何、そんなにひどく殴られてたの俺!?」
「これ、お薬どうぞ……」
「あ、ありがとう、ゼルダ」
ゼルダから塗り薬の薬を貰い、それを顔に塗りつける。ううっ、沁みるっ……。
一方元凶であるメリーは俺に向かって心底哀れそうな瞳を向けていた。お前のせいだろー!? そんな顔向けるんじゃないよ!
「あんたも、親、いないんだ……」
「ん? いないよ。って、メリーも?」
「ええ。どんな人だったのかも分からないわ」
「奇遇ですねっ! 私も父親がいないんです!」
「それ大きな声で言うことなのか?」
やっぱりゼルダは少しずれているな、なんて思いながらゼルダに顔を向けて少し引っかかった。
なんだか、ゼルダが無理に明るい声を出しているような、無理に笑顔を作っているような、そんなふうに見えてしまったからだ。
人の観察をするのが結構好きだったりするから微妙な変化も見逃さないよ! ごめん、気持ち悪いね!
「そうだ、なんか手伝ってほしい仕事があるんじゃなかったか?」
「あっ、はい。そうでした、忘れてました……」
「仕事の放棄はよくないわよ、ゼルダ」
「お前は人のことを言えるような性格じゃないだろ」
「ナンニモ聞コエナーイ」
「こいつひでえぞ!」
急に話題を転換させるとまた口喧嘩が始まる。
ゼルダの笑顔も自然なものに戻った気がして、少し嬉しくなった。
「任務名『リターン』。ヴァジュラ1、シユウ2の討伐任務です」
「ごめん、腹痛くなったから今日は休むわ」
「逃げても無駄よ。睡眠薬使ってでも連れてくから」
「おまっ、それを拉致っていうんだぞ!!」
「お願いできますか?」
「頼むから話の流れを読んでくれ!」
なかなか噛み合わない会話にズキズキと頭が痛くなるのを感じる。
うわー、なんで俺は嫌な役回りしか回ってこないんだろう……。
頭痛を感じながらも手伝ってやるべきだと思い、俺は了承のために口を開いたのだった。
この前晒した三人のエディット。
実はゼルダさんは目元がきつくて反対にメリーさんは目元が緩いんです。
本当、交換したほうが良いよね!
そう思って試したら全く似合わないんです……。慣れって恐ろしい。