GOD EATER BURST~旧型神機使いの日常と苦労~   作:キョロ

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どうも、キョロです。
今日、別の子の過去編書いてたんですが、どう見ても夏くんの二倍以上あるんです。
しかも夏くんの過去編、三千ちょいだし。……筆が乗らなかった? いや、まさかね。
もしや私の中で一番大したことがない過去編なんでしょうか……。
ごめんね、夏くん。まさか私が不憫な立場を作ってるとは。

では、スタートです。


25、能天気青年のお話(過去編)

「夏くん、夏くん」

 

「……」

 

「なーつくん」

 

「……あ」

 

 ぼんやりしていた意識が一人の声によって覚醒される。

 俺――日出 夏はきょろきょろと家の中を見回してから向かい合うようにして座っていた女性に視線を向けた。

 

「どうしたの、夏くん。なんだか最近やけにぼんやりしているねえ」

 

「ごめん、おばさん。ちょっと考え事してて」

 

 俺は、両親がいない。

 俺がここに来る少し前に父さんは亡くなり、追うようにして母さんも姿を消したようだ。

 最も、母さんは父さんを探しに行くと言って出て行ったそうだが……。音信不通のため、亡くなったのだと言われている。

 俺は母さんの方の親戚に預けられていた。ちなみに母さんの旧姓は藤堂というらしい。なんかありがちだ。

 

「浮かない顔ばかりしているけど……、お友達が出来ていないのかい?」

 

「そんなことないよ、おばさん」

 

 『その蒼い瞳……、あの人にそっくりね』母さんの口癖だったそうだ。

 俺は髪の色素(要するに茶髪)を母さんから引き継ぎ、蒼い瞳を父さんから受け継いだんだそうだ。

 容姿も何もかもを覚えていない俺はおばさんが母さんから聞いた言葉を聞いているだけなんだが。

 

 俺には悩みがあった。阿保らしいと言われるかもしれない悩み。

 それは『友達ができない』ことだった。

 最近はおばさんもそれに気付いてきているのか、やたらとその件に関して質問してくる。

 人付き合いが上手くない俺はおばさんに公園に出されても遠巻きに見ていることしかできない。ただ、ぼうっと。

 

 

「無理、してないかい?」

 

 心配そうに俺の顔を覗き込んでくるおばさん。

 まるで本当のお母さんのような態度でおばさんは俺に接してくれていた。

 それが俺にはとても嬉しくて、でも時々なんだか悲しくなって。

 

「大丈夫だって。俺はいつもみんなと楽しくしてるから」

 

 俺が初めて仮面を着けた瞬間が、この場面だった。

 

 

――――――――――

 

 

(……暇ー)

 

 公園の隅で俺はぽつんと立っていた。

 いつも何気なく公園に来ている俺だが、全くやることがない。これもいつものことだった。

 遠くで公園の遊具を使って遊んでいる俺と同年齢くらいの子供を見てみる。

 俺とあの子たち。一体どこが違うんだろう。

 無表情で公園の隅に佇む俺。笑顔で周りの子に接しているあの子たち。

 

(……笑顔……。そうか、笑顔か!)

 

 自分とあの子たちの違いはその表情であるに違いない。そう決めつけた俺は近くにあった水溜まりで早速練習してみる。

 むにー、と口の端を手で引っ張ってみる。なんとも歪な顔が出来上がった。

 その顔に不機嫌になり、その手を一度離してみる。なんだか自分のやってることが馬鹿馬鹿しくなってきた。

 

「何やってんだろ、俺……」

 

 はあ、とため息をついたところで頭の上に電球が浮かんだかのようにアイデアが出てきた。

 そういえばこの前おばさんに対して仮面を使った。あの時、おばさんはそれに気付くことがなかった。

 そのことに関してはすごく悲しかったけど……。もしかしたらこれは使えるかもしれない。

 水溜まりに向かって歪ながらも多少は使えそうな仮面を向ける。うん、いけるかも。

 

 そうっと忍び足で遊具の方に向かって行く。子供たちに近付くにつれてどきどきと心臓が高鳴る。

 ついに子供たちに急接近。だが心臓がばくばくと大きな音を立てて鳴り、思考がうまく回らない。こういう時にどういう風に言えばいいのか、俺には分からなかった。

 集団の一人が気付いたようで俺の方を怪訝そうに見てくる。周囲もそれに気付いて俺の方へ視線を向けてくる。

 

「あ、あの、あの……」

 

 上手く呂律が回らずに同じようなことを何度も繰り返す。

 えと、えと、えと……。なんて言えばいいんだろうな。分からない、分からない。どうしよう。

 しばらく沈黙が続き、一度顔を伏せて深呼吸をしてから俺は顔をあげた。

 

「お、俺も一緒に遊んでいいかな?」

 

 無論、仮面を着けてでのことだ。

 いや今回は意図的では無い。気付いたら着けていた。無意識に、だ。

 子供たちは少しきょとんとした後、笑顔で俺を受け入れてくれた。どうやらいつも一人の俺が気になっていたらしい。

 

 それからは順調だった。

 普通に周りの子供たちとも溶け込めていけたし、段々と人付き合いも学べていった。

 途中からまたそのグループを抜けて一人に絞って友好関係を築いていたんだけど……。

 その子を家に招いた時はおばさん号泣してたな。ビビった。あれはかなり驚いた。

 まあ今まで友達を連れて行ったことがなかったから義理の親としては嬉しかったんだろうけどさ。いきなり号泣されると、ちょっと困る。

 

「おーい、――」

 

「また来たのか、夏」

 

「俺たちは友達だろー? それにお前暇そうだし」

 

「暇つぶしに公園に来ているんだがな」

 

「意味ないよなー。ここでも暇そうにしてるんだから」

 

「意外とあいつらの動きを見てるというのは飽きないぞ」

 

 俺が絞った一人は少し変わったやつだった。でも一緒にいて飽きなかった。

 出会いが最悪だったんだけど……。これはまた別の機会に話そう。

 今更ながら、こいつには仮面を着けたことがなかった気がする。初対面の時には着けたような気がするけど、他では。

 ……今、なにしてんだろうな。

 

 

――――――――――

 

 

「で、夏」

 

「んー?」

 

「そろそろ離れてくれない? さすがに鬱陶しい」

 

「もうちょっと……、ぐはあ!?」

 

「キモイ馬鹿阿保愚図死ね」

 

「なんで!? なんで俺そんなに言われなきゃいけないの!?」

 

 突然身体を離されたかと思ったら鳩尾に鉄拳を叩き込まれました。しかも悪口付きで。そんなフルコースいらねえ。

 ごしごしと目元を拭った後、鳩尾を擦りながら立ち上がる。

 そろそろ行かないと依頼が遂行できない。そしたらツバキさんに怒られる。そして地獄の特訓メニューが……!

 よし、早く行こう。

 

「今日の依頼はなんだ?」

 

「まだエントランスに行ってないから知らないわよ」

 

「あ、そうなんだ。んじゃ急ごうぜ」

 

「そうそう。今日の任務、一回でも敵の攻撃食らったら特訓(リンチ)するから」

 

「待って!? 今何かおかしかった! そして難易度高っ!?」

 

「それくらいの気持ちじゃないとランクアップできないわよ」

 

 そうして俺たちはエレベーターに乗り込んでいった。

 ちなみに依頼はヴァジュラでした。特訓させられました。




文中の「おーい、――」の傍線は名前です。
オリキャラの名前なのでここでは伏せさせてもらいます。
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