GOD EATER BURST~旧型神機使いの日常と苦労~   作:キョロ

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05、新型の新人

 エントランスにて、情報収集レーダー発動! なんだかいつもよりエントランスの雰囲気が違うから情報収集(という名の盗み聞き)を開始する!

 ……なんて脳内でちょっと盛り上がること、数十分後、エントランスの雰囲気が違う理由を俺は突き止めることに成功した。どうやら、ロシア支部から新型の女の子が来たらしい。極東支部は激戦区だからってことで他支部から優秀な人材をスカウトしてるんだってさ。

 でもどこも人手不足だと思うんだけど、スカウトしてきてよかったんだろうか。これってロシア支部から恨みを買ってないだろうか。

 

「あ。……噂をすれば、君がロシアから来た子?」

 

 俺には関係ないだろう、と思いながらヒバリちゃんのもとへ向かうと、見知らぬ銀髪の女の子が立っていた。ヘソ出し、ミニスカ、ハイソックス。赤を基調としたその服装は極東名物“女性の過度な露出”の内の一人として加えられそうだ。

 

「はい。アリサ・イリーニチナ・アミエーラです。よろしくお願いします」

 

「俺は日出 夏! 部隊が違うから関わりないかもだけどよろしくな」

 

 随分、冷たい声色だ。俺とは話す気がないって言うか、なんか時間の無駄って言われているような。……いや、被害妄想か。こんな変なこと考えてないで、さっさと仕事しよう仕事。ごめんよ、アリサ。勝手に俺の中で株を下げるところだったよ……。

 心の中で土下座をしながら階段を下り、ヒバリちゃんのもとへ向かおうと歩を進めた。……が、いつ現れたというのか俺の周りを四人の男性神機使いが取り囲み、エントランスの隅に強制連行された。え、ちょ、どちら様……?

 

「チャレンジャーだな、お前!」

 

 ええと、どういう意味でしょう。

 しばらく言葉の意味を考えて、さっき会ったアリサのことだろうか、と思い至った。む、でもチャレンジャーってどういう意味だろう。

 

「やっぱアレか? 胸で狙いに行ったか!」

 

「あの気高さたまんねーよな!」

 

「あ、アリサさん! はぁはぁ」

 

 どうやら話しかけただけでチャレンジャーの称号を頂けるらしい。

 何はともあれ、俺はこの人たちから離れなければならない。この人たちは男の俺から見てもちょっと異常だ。こういうと失礼になるのかもしれないけど、俺まで仲間だと思われるのは嫌だ。それにアリサは可愛いと思うけど俺のタイプじゃない。

 

「俺まで巻き込まないでください。俺はただ挨拶を、」

 

「いやー、本当高嶺の花だわ。さすがチャレンジャー!」

 

「やっぱりアレかな? アレ、ブラなしなのかな?」

 

「あの下乳……。たまんねーよな!」

 

「あ、アリサさん! はぁはぁ」

 

 頭痛くなってきた。これ、アリサ本人が聞いたらどうなんだろう。大丈夫かな。

 まあそこらへんのことでトラブルが起きたとしても、第一部隊隊長であるリンドウさんに任せるとしよう。俺に対処できる問題じゃないしね。

 と、なんだか俺が話に参加しなくても四人で話が盛り上がっちゃってるよ。今のうちに四人から距離を取ってヒバリちゃんの元へと向かう。早く仕事して部屋に帰ろう。

 

「ヒバリちゃん、おはよう……」

 

「……大丈夫ですか?」

 

「あれは俺よりアリサの方が大変だろうな……」

 

「一応、ベテランの部類に入る方々なんですけどね」

 

「そうなの!?」

 

 世の中見た目じゃないんですね。

 普段はあんな風だけど実は仕事をする時は頼れる男! ってやつなんだろうか。それでも俺の中の好感度はまだマイナスで到底プラスにはならないんだけど。実際に仕事を一緒にしたら考えも変わるだろうか。

 

「とりあえず今日の依頼お願い」

 

「あ、ちょうど入ってますよ」

 

「んじゃ、それでお願い」

 

「了解しました! お気をつけて!」

 

 手持ちのアイテムは確認しない。よっぽどのことがない限り、俺はいつも同じアイテムしか持っていかないし補給はその日のうちにやってしまうのだ。

 それでもデトックス錠くらいは買おうかなあ、と思い始めてきた今日この頃だ。自然にヴェノムが抜けるのを待っていてもいいけど、やっぱり身体が怠くなるのは気になるんだよな。

 

「行ってきますかね……」

 

 ヴェノムのこと考えてたら身体が重くなってきてしまった。朝から嫌なことは考えるものじゃないね。

 

 

――――――――――

 

 

「ヒバリちゃん、酷いなあ……」

 

 現在俺のいる場所は鎮魂の廃寺。とっても寒い、極寒地帯の寺跡だ。

 不気味な廃寺で俺はやだひたすらに次々と向かってくる敵を斬りつける。一か所に留まって戦いつづけるのはよろしくない。ステップを踏んで位置を変えながら敵を斬り付け、相手を翻弄する。ショートブレードは多い手数が利点だからね。

 

「いくらなんでも多すぎだって」

 

 今回の討伐対象はオウガテイル。ただしただのオウガテイル討伐だと思うことなかれ。まさかの三十体討伐だ。……よくぞここまで群れたな。逆になんで今まで報告がなかったのか不思議だけど。こういうのって早めに討伐したほうが絶対いいのに。

 塵も積もれば山となる。オウガテイルだって舐めちゃいけないんだから。

 

「よーし、決めた。疲れたから早く帰るぞ」

 

 “帰りたい”という想いを力に変えてオウガテイルを斬りつける。今日の俺はちょっとばかり機嫌がよくないから八つ当たり気味だけど許してほしい。

 普段だったらこれにザイゴート討伐が加わったりして面倒くさいと思うけれど、今回ばかりはザイゴートも一体くらいいてほしい。時間差でオウガテイルが全体来てくれたら俺は捜索する手間が省けて楽になるんだしね。

 

 俺に群がって来ていたオウガテイルがすべて地に伏したところで、ふう、と一息つく。書類上で数を見るのと実際に戦場で数を見るのとはやっぱり違うな。ちょっと怖かった。それにしても、オウガテイルは仲間意識が強かったりするのだろうか。ここまで群れをつくるのもそうそうないぞ。

 神機でオウガテイルのコアを回収しながらオウガテイルの数を数える。これだけ数が多かったら討ち漏らしもあるかもしれない。仕事をするからにはちゃんとやらないと。

 

「……あれ、一体残ってる」

 

 俺の数え間違いでなければ、一体足りない。俺が倒した数は二十九体だった。数え直そうとしても数体が霧散しちゃったから、真相が分からなくなってしまった。

 仕方ない。俺の計算が合っていると仮定して最後の一体を探そう。

 

 

 そう意気込んだのはいいものの、なかなか見つからない。

 まさか最後の一体はステルススキル持ちだったりするんだろうか。弱った。そんなスキルを持っているんじゃ俺は背後からやられちゃうよ。……さすがにそんなスキルはないか。

 それはともあれ、これでは俺の数え間違いなのかそれとも任務が終わったのかどうかが判別できない。このまま帰ってもいいけど、討ち損じているのなら、帰れない。困った困った。今日の俺は朝の時点で既に疲れているというのに。

 

「いないな。……これは神が帰れと言っているのか」

 

 そうか、神がそう言っているのなら仕方ない。俺は特に宗教を信仰しているわけじゃないけど、都合よく神様に頼っても構わないよね。

 それならヘリの合流地点まで戻ろう。そう思って振り返った時、曲がり角からちょうどオウガテイルが現れて、俺を見つけ威嚇し始める。

 

「オゥ……」

 

 やっぱりこの世に神様はいないらしい。

 

 

――――――――――

 

 

「疲れたー」

 

 あのあとオウガテイルを無事討伐してアナグラに帰ってきた俺は自室で休憩していた。もふもふのベッドが俺を癒してくれる。だがしかし、俺を癒してくれるのはこのベッドだけではないのだ。

 左手で持っていたジャイアントトウモロコシをバクリ。一粒一粒が大きくて、質より量! って言葉を体現しているトウモロコシだが、俺はこれが大好きだ。このご時世、味なんて気にしていたら餓死しちゃうしね。

 更にジャイアントトウモロコシを流し込むように冷やしカレードリンクを飲む。この組み合わせがたまらないんだ。仕事終わりの食事は格段に美味しいです。

 

「今日はやっぱり、疲れすぎたか」

 

 食事中であるにもかかわらず眠気を感じてきてしまって、慌ててジャイアントトウモロコシを頬張る。食事中に寝落ちとか、ちょっと行儀が悪いからちゃんと食べきるよ。俺は食物を大事にできるいい子!

 ジャイアントトウモロコシを一気に食べてしまってから残っていた冷やしカレードリンクも飲み干す。それから缶をゴミ箱にシュートしてみる。力が弱かったのか缶はゴミ箱の手前で落ちてしまった。二度手間になっちゃったなあ。

 

「もう、寝ようかな」

 

 満腹になったら睡魔が俺をどんどんと誘い始めた……! も、もうこの誘惑に負けてしまおう。疲れたんだから、休んでいいはず。戦士に休息は不可欠なのだ。

 ぼんやりとしながらもしっかりと歯磨きを済ませた俺はベッドに移動すると倒れ込んで眠りについた。

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