GOD EATER BURST~旧型神機使いの日常と苦労~ 作:キョロ
夏くんのお父さんとゼルダさんのお父さんのキャラがかぶっているような気がしなくもない。
(ノートには日付を書く欄があるが記入されていない)
昨日、誕生日プレゼントとして
俺、夢を見てるわけじゃないよな? 正真正銘実から渡されたノートだよな? 誰かが実に変装して俺をはめようとしたわけじゃないよな?
……やばい、嬉しすぎて鼻血出そう。
と、言うわけで実のその好意を無駄にしないために、今日から俺はここに日記を書くことにした!
なんか他の日記とちょっと表記が違う気がするけど、まあ構わないだろ。
これは俺の日記なんだから、俺がどう書こうと俺の自由なんだ。
おっといけない。気がついたら一時間も過ぎているじゃないか。
この文書くだけでどんだけ時間かかってるんだよ、俺……。いや、書く前に昼寝したからか。
上官の特別特訓サボって来てるからなあ。そろそろ戻らないと特訓がいつも以上にハードになりそうだ。
さて、そろそろ行くとするか。
あー、この前書いたのとだいぶ時間が空いちまったな。
えーっと……、かれこれ一か月は放置してた計算になるのか? これじゃあ一日坊主だぜ……。
でも決して実の好意を忘れていたわけじゃない! 仕事と実との交友をしてたらすっかり忘れ……。
いや、違うんだ! 仕事が激ハードだったんだ!
まあそれは置いておいて、ここで重大ニュースがあります!
パンパカパーン! 俺、猛プロポーズしまして実と結婚することになりましたー!!
実がこの支部に来たのが三年前か。初めて見たとき、俺は一目惚れって言う言葉の意味を理解したね。
考えてみたら、その翌日から実にアタックを始めたんだったか。結構道のりは長かった……。
このノートを貰えるまでの仲になったのがよかったな、うん!
やばい、今俺幸せすぎて成仏しそうなんだけど。誰か俺を引き留めて。
……そういえば神機使い同士の結婚はかなり稀なものって実が言ってたな。
何か分からないけど色々と面倒な手続きがあるとかも言ってたな。……よし、そこは実に任せよう!
俺って旧時代だったら絶対詐欺られてると思うんだ。
さて、そろそろ愛しのマイハニーに会いに行くとするか。
待っていてくれ!!
おおう、またしても一日坊主になってしまっていたか。怖い! 俺の才能が怖すぎるよ!
今度実に自慢してみよう。どんな反応が返ってくるか楽しみだ。
というか今回は一年も間が空いてるのか。マジで俺の才能怖すぎる! ……冗談だけど。
よっしゃ、今回も重大発表いっきまーす!
バババッバッババーン! 俺と実に子どもが出来ましたー!!
昨日、昨日産まれたんだよ! 俺もう本気で成仏考えてもいいよ! ちなみに実曰く男の子らしい。
初めて抱っこした時は可愛すぎて女の子かと思った。いやあ、目に入れてもいいくらいだよね!
本当に入るくらい目に近付けたら実に全力で止められちゃった、あは。
でもなあ、名前は実が決めるんだよなあ。
俺も決めたいのに、「ネーミングセンスが最悪だから私に任せて」って言われちゃったんだよなあ。
しかもそんなこと言っておいて、まだ全然決まってないんだと! 俺も混ぜてくれよ……。
まあ実が考えた名前ならすっごいいい名前になるだろ。あー、早く考えてくれないかなー。
じゃないと息子を名前で呼べないから「息子」って呼ばざるを得ないんだよなー。それは父親としてちょっと辛いものがある。
……ん? 誰か俺の扉叩いてるな? 誰だろ。
じゃあ今回はここまでにしておくか。
あーあ、なんだかんだ私に自慢しておいて全然書いてないじゃないの。
しかも最初とその一か月後とその一年後の三回分しか書いてないじゃない。馬鹿ねえ。
……まあ、そこがあの人の良い所なんだけど。って、私も惚気ちゃったかな?
まあ、いいや。今回は夫の駄目っぷりをこの盗み出してきたノートにたっぷり書き込みたいと思いまーす! しかも消せないようにボールペンで書きたいと思います。
あの人の修正液は盗むときに使えないように壊したし、お店の人にもお金握らせてあの人が買えないようにしたし。
これでここに夫の駄目駄目は永遠に残されるわ!
え? やってることが腹黒い? そんなことはないゾ。
ああ、そういえば息子の名前をようやく考えたわ。あの人にも言い忘れてたし、ここに書いておくのも一つの手段よね。
て訳で息子の名前は〇〇(息子の名前の部分は擦れているため読むことが出来なくなっている)に決めたわ。
あの人も気に入ってくれるといいんだけどなあ。さすがに今回は不安しかないのよね。
あの人のネーミングセンス酷いから変な言いがかりつけられたらどうしようかしら。
……ん? 扉を誰かが叩いてるみたいね。まあ今は鍵かけてるから開けようがないんだけど……。
この時間帯にこんなところに来る人と言えばあの人くらいかしら。……って、思った以上にばれるのが早かったわね。
どうしましょうが……。あっ、ヤバ! 字、間違えた! うわあああ、修正液ないわよ、どうしましょう……!
……いいわ、かくなる上はこのまま放置を!
さて、悪戯はここまでにしましょう。
あ、結局大した駄目っぷり書いてないわね。
酷い実! なんか俺を陥れようとしてるし!
しかも俺の修正液がノートと一緒に消えたなー、って思ってたら実の仕業だったのか……。すぐにノートを取り返せてよかったぜ。
ただ、それ以来誤字が怖くてボールペンが使えねえ……! くそう、これからは鉛筆にするか。
実の日記らしきものは消えないけど、いい思い出になったからいいとするか。
それにやっと俺に息子の名前を知ることが出来たしな。ああ、改めて日記に感謝する。
ついでに盗んでくれてありがとう実。修正液の件は恨むけどな!
……あー、なんか腹減って来たなー。
今回はこれまでにして、実のとこでレーション食べてこようかな。
最近アラガミが活発化してきている気がする。
俺の気のせいかもしれないけど警戒したほうが良いかもしれない。
特に極東支部があれだよなあ。もともとレア、というか危険なアラガミの出没度が高かったけど、最近ウロヴォロスの観測も増えたとか聞くし。
俺が行きたいのはやまやまだけど無理を言うわけにもいかないしな。
とにかく、様子を見るとしよう。
近々他の支部にお邪魔することになりそうだ。俺がいる支部はもともと寒かったらしいけど、最近はそうでもない。
にも関わらず俺の行くことになる支部はかなり寒いらしい。ああ、嫌だなあ。
でもこの前書いた件で何かわかることもあるかもしれない。極東じゃないけど。
なんだかんだ言って俺の時代が来るかもしれない! 暴れてこよーっと。
そういえば極東で思い出したけど、実もお邪魔に行くらしい。息子と一緒に、極東支部へと。
……これって虐めだと思わない? なんかすごいボッチ感が……。俺を一人にしないでくれよ、マイハニー。
なんでも、極東支部には実の親戚もいるからしばらく息抜きも兼ねてお邪魔するらしい。
そういえば実はここに来る前は極東支部にいたんだっけ。俺も日本人だけど、産まれはこっちだからなー。見てみたいなあ、極東。
さて、マイハニーも息子もいなくなってしまうし、この日記はどうしようか。
……日記だから、持ってくか。
今日、実が極東の地へと旅立っていった。俺? 大泣きしたよ。
実に「大人げないから止めて」って言われるくらい泣いたよ。だって寂しかったんだもん!!
……とまあ、冗談はこの辺に置いておいて。俺も明日にはこの支部を出発しないといけないしな。
今日はいつもと比べたらかなりの短文だけど、仕方がない。
さて、新天地の準備をしようではないか。
やってきました新天地! 俺が大活躍できそうな場所! ゴウゴウとうるさい吹雪が俺を呼んでるぜ!
そして情報通りの寒さ。極寒ってこのことを言うんだと思う。出先には温かい飲み物でも持ってこうかなー。
もちろん保温のポットに移し替えて。
今頃、実たちは何してるんだろうな。息子は相変わらず育ち盛りでいるだろうか。
俺と再会した時に俺の顔を忘れているという展開の回避を祈ろう。現実になったら死ぬよ俺。
しかし息子には俺の馬鹿加減は受け継いでほしくないなー。前に実も相談したら「あ、自覚してたんだ」って真顔で言われた。
それは酷いぞマイハニー……。
さて、色々とやるべきことを終わらせて俺も極東に行けるように支部長を説得してみようかな。
ここの支部長は前いた支部と違ってあんまり賢くなさそうだったから言葉でまくしたてればいけるだろ。
悪知恵だけは働くよ、俺。
さあ! いざ行かん、輝かしい未来へ!
待っていてくれよ! ミノリ! 〇〇!(息子の名前はまた擦れていて読めない)
(ここから先数ページは空白となっている)
今日、私の手元に懐かしいこのノートが届いた。
なかなか前の支部に戻ることも出来なくて、あの人にも全然会えなくて困っていた矢先のことだった。
何故これが私の手元に届いたか。それはこのノートがあの人の“遺品”だから。
冗談じゃない。勝手に人の夫を死人扱いされては困るというものがある。
あの人は馬鹿で、突拍子もないことをするような人だったけど、仲間思いで、ムードメーカーでとっても優しい、私の夫だ。そんな人が死人扱いなんて、馬鹿馬鹿しい。
あの人だったらこうやって悲しませておいて、いきなりドアを開けて「ドッキリ大成功!」とか言って満面の笑顔で入ってくるに違いないのに。
今、あの子はお昼寝の途中だ。天使のような可愛らしい笑顔を浮かべているこの子も早くも一歳となる。
あの人の日記の通り、目に入れてもいいくらい可愛いわ。
それなのに、この子はきっとあの人のことはほとんど覚えていないでしょうね。
私は、あの人が行った支部に行こうと思っている。そこに何か手がかりがあるかもしれない。
極寒の地、と言っていたから遭難しただけかもしれない。あの人、方向音痴だったから。
息子には受け継がれてなさそうだけど。
息子は親戚に預けて行こうと思う。
あんまり小さいうちからいろんなところを行ったり来たりするのは疲れるだろうから、ここに置いていくのが一番いい判断だと思う。
それはもしかしたら私の身勝手な考えかもしれないけど、今はそれが最善だと信じたい。
その代わり私とあの人、つまり母親と父親と言う存在は確かに存在したという証拠として、この日記と写真を置いていこうと思っている。
あの子には関係ないことが多いけど、これで「馬鹿だなあ」っていう程度でもいいから私達のことを思いだして笑ってくれたらうれしい。
貴方を置いていく、身勝手な私を許して頂戴。
愛する息子へ。 実
――俺は今、幸せでやってます。
最後のページ、ある女性が残した文の下に、新たに一行足された。