GOD EATER BURST~旧型神機使いの日常と苦労~ 作:キョロ
文字数バラバラですみません。
では、スタートです。
「どっこだー、どっこだー、サーリエールどっこだー」
たった今作った自作の歌を歌いながら鉄塔の森を探索する。自分の歌の完成度の低さと音痴さに思わず顔をしかめるしかなかった。
歌で分かるとおり、今日の俺の依頼はサリエルの討伐。サリエルって言うのは……そうだな、ドレスを着ている女の人が超能力で浮いてるって感じのアラガミだ。
うろうろ探し回ること3分。意外と短い時間だったな。
真ん中の、一つしか出入り口が無い場所で、俺はサリエルを見つけた。
「みぃーつけた!」
言ってみて気付いたけど、この言葉ってホラーに近いな。そして子供っぽい。最近歳と違う言葉をよく使ってる気がするぞ。
まあそれはともかく、俺は結構なスピードでサリエルに近づいて、ジャンプ斬りを放つ。いやぁ、サリエルって浮上してるからジャンプしないと外れるんだよね。結構固くてカンカンっていう弾かれ音がすごく多いんだけどな。
「……これって、効いてるのかなー」
さっきからカンカンカンカンと、斬るたびに、というか斬れてるのか疑わしい同音が聞こえてくる。俺の装備じゃ刃が通りにくいって言うのは理解済みなんだけどさ、やっぱり落ち込んでくるというか、気になるというか。
それでも何回か同じ場所を斬っていた甲斐があったのか、しばらくして脆くなったサリエルの足が部位破壊を起こして落下してきた。
「チャンス到来っと!」
これを逃さずにしっかりと捕喰。そして連撃を叩き込む。ジャンプ切りはスタミナ使ってかなり疲れるから、地面で何回も攻撃を繰り出せるのは楽だ。俺はサリエルと違って何分も滞空していられないしな。
集中、集中。とにかく攻撃をサリエルに叩き込むことだけを考える。
「おわっと! ……ヴェノムか」
空中に復帰したサリエルが一番最初に行った攻撃は、毒鱗粉をばらまくことだった。攻撃をすることだけを考えていた俺が、その攻撃を避けられるはずもなく、しっかりとヴェノム状態になった。
だが、と俺はにやりと笑って見せた。
「パンパカパーン! 今回はちゃんと持ってきたぜ!」
ポーチから取り出したデトックス錠を口に含んですぐに飲み込めば、息苦しい感覚がスッと抜けた。念には念を、っていうじゃないか。いつもはそんなに念を入れていなかったんだけど、今回はちょっとこれをやらないといけない理由があってねー。
……ええと、言いづらいんだけど、金欠なんだわ、今。ほら、回復錠ってお金かかるだろ、それなら倉庫に入れっぱなしだったデトックス錠を使えば、少しは経費削減できる、なーんて思ったわけだ。
結果的に持ってきてよかったな、うん。
連撃のおかげか、足に続いてスカートも破壊することに成功した。これでスカートの方も大分刃が通りやすくなったことだろう。刃が通らないときのカンカンって音はヘコむから嫌いだ。
攻撃を受け続けて辛くなってきたのか、サリエルは俺にもう一度毒鱗粉を命中させてから、踵を返して逃げ出し始めた。
「あっ、逃げるんじゃんない!」
さっきと同じようにデトックス錠ですぐに回復してから、お馴染みとなったスタングレネードを取り出して、サリエルの逃走方向に向かって投げつける。背中を向けていたせいで俺の行動に気付けなかったのか、サリエルは視界を奪われその場で動きを止めた。
回復錠を投与してから、駆け足で近づき、今度は頭を中心的に狙っていく。俺が銃を使えるなら遠距離から狙うっていう方法もあるんだが、俺は近接だからその方法は取れない。スタン状態になった時に落下したので、そのまま直接頭をたたかせてもらった。が、破壊は出来なかった。……俺の神機がまだそんなに強くないってこともあるんだろうな。
「喰らえ!」
あとはとにかく斬って、斬って、斬りまくるっ! もうちょっと他の攻撃方法もあったらいいんだけどな。ロングとかバスターとかもそういうのがあるんだし。ショートにできるのは素早く斬り刻むことくらいだ。……なんか料理みたいだな。
「よっ!」
下から殴りつけるように斬り上げると、サリエルが咆哮のような、叫び声のようなものをあげる。
驚いて俺が着地して待っていると、サリエルは落下してきた。どうやら力尽きたようだ。
「うおっ!?」
待っている場所が悪かったのか、危うくサリエルの死体につぶされかけた。意外と重そうだからな、下手したらそれだけで死にそうだ。……コンゴウのプレスの方が危ないか、あっちは故意だし。
捕喰をして素材を入手。もっしゃもっしゃ、と神機が肉を食らう音がする。最初は気味が悪かったけど、今はもう普通だな。慣れた。むしろ「よくお食べ」って感じ。……感じだからな? 本当に言ってるわけじゃないぞー。
「こちら夏ー。これから帰還しまーす」
『お疲れ様です。アナグラでお待ちしておりますね』
手軽に連絡を済ませてから、俺はいつもの待機場所に向かった。
――――――――――
「おわー、サリエルの神機ってこんな感じなんだー……」
報告も終えて、ただいま自室。今はターミナルで作れる神機を調べてるところ。
俺が見ているのは『リゴレット』。サリエルの素材から出来る刀身パーツだ。……青くてきれいなんだよな。
ちなみに俺の今の刀身パーツは『宝剣 西施』。説明には「可憐なる少女の護身用の宝剣」って書いてあるから、作った時にやっちまったな、って思ってたんだよな。俺は可憐でもないし少女でもない、そもそも護身用じゃない。
それにしても本当にきれいな剣だな。……一式、集めてみようかな。剣なら何とか今の素材で作れるから、装甲は明日出没情報があったら行けばいいし……。
「作ろう」
迷う時間なんてなかった。そのまま俺は神機を作ることにした。
服と違ってすぐにもらえるわけじゃないけど、明日の依頼には間に合うだろう。素材は勝手に倉庫から引き出されてるだろうしな。
装甲の方も確認してみる。すると素材が足りていたため、こちらも作ることができた。これで一応一式そろえたことになる。ちなみに装甲の名前は『オセロー』だ。
「何々? 『不運を招く偽りの悲甲』? ……これって大丈夫なのかな」
神機のパーツには服と同様に一言説明のような、メッセージがついている。
今俺が読んだのは装甲の方に表示されていたものだ。剣の方には『決して許される事の無い報いの悲剣』と書かれている。
俺は作らない(作っても意味が無い)が『トスカ』という銃身の説明は『愛しき物の命を奪う別離の悲砲』。
……全部に悲しいっていう字がついてるけど、大丈夫、だよな。これ。
「ま、まあ、使ってみればわかるだろ!」
どうせただの説明なんだし。半分自己暗示のようにちょっぴり不吉な一言を胸に押し込めた。たかが神機だ。そんな不吉な呪いみたいなもの、付いていたら開発とかそういうのしないだろ。第一この装備一式には全部ついてるわけじゃないしな。うん、きっとそうだ。
「明日の依頼が楽しみだなー」
青く輝く剣と装甲を画面越しに、俺は明日の依頼を想い、心を躍らせた。