GOD EATER BURST~旧型神機使いの日常と苦労~   作:キョロ

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どうも、キョロです。メリークリスマス!
……あ、「“メリー”クリスマス」ってメリーさんのことじゃないですからね。
言わなくてもわかりますね、すいません。

今回はクリスマス企画です。
また「真・ゼルガーの部屋」で挿絵を投稿しておいたのでよろしければ見に行ってください。
ちなみにハロウィンの時と比べるとランクダウンしてます。差し替えたのでハロウィン絵は見れませんが。

では、スタートです。


季節行事企画番外編 「メリークリスマス!」

「メリークリスマースッ!」

 

 メリーの部屋に入って早々に俺は持っていたクラッカーをメリーに向けて使った。

 パアン、と良い音が鳴り中から色とりどりの綺麗な紙ふぶきが飛び出した。

 

「わっ!? ……なんだ、夏じゃないの。なにやってんのよ」

 

 クラッカーの大きな音に驚いたのかメリーはびくりと身体を震わせた。まさかクラッカーごときでメリーが驚くとは思ってなかったからこっちが驚いたわ。

 でも、何をやってるのかと聞きますか。今日が何の日かはメリーだって分かってるはずなんだけどな。

 

「いやぁ、クリスマスだし非番だったから」

 

「つまり暇なのね」

 

「そうだな」

 

「認めちゃったわよ」

 

 メリーが呆れたようにため息を吐いてきた。呆れるなよ。こういうイベントは俺にとっての大事な息抜きでもあるんだからな。

 必死に訴えたらメリーが「どうでもいい」と返してきた。本当酷いやつ。

 

「で?」

 

「は?」

 

「で、クリスマスって何?」

 

「えっ」

 

「え?」

 

 メリーはそれはそれは不思議そうな顔をして俺に質問してきました。えっ。

 ……なんか気まずいんだけど、この空間。お、俺はここらで失礼させてもらおうかなー……。

 この場から逃げようとしてくるりと百八十度方向を変えるとメリーが俺の右腕を思い切り掴んできた。

 

「何逃げようとしてんのよ」

 

「痛い痛い痛い!! 手、放して!」

 

 必死に懇願すること数分後、ようやくメリーは俺の右腕を解放してくれた。なんですぐ放さなかったんだろうね。楽しんでない、よね?

 未だにヒリヒリと痛む右腕を擦る俺に、メリーはさっきと同じ質問をしてきた。

 

「結局クリスマスってなんなのよ」

 

「本当に知らないのか?」

 

「そうだけど」

 

 落胆する俺。1人首をかしげるメリー。え、ちょ、それってマジ話ですか。それって結構な問題発言だと思いますよ?

 だって、クリスマスなんて誰でも知っているようなものだろう。クリスマスの日にサンタさんがやってきてプレゼントをくれる素敵な日だぞ?

 

「ええー、では。夏君のクリスマス教室ー」

 

「わーどんどんぱふぱふー」

 

 俺がノリでそんなことを言ってみたらメリーも棒読みではあるが乗ってくれた。まさか乗ってくれるとは思わなかった。

 

「クリスマスって言うのはサンタさんが一年間良い子にしてた子供にプレゼントをくれる日だ」

 

「え、まだサンタなんて信じてるの……?」

 

「え、いるだろ。サンタさん」

 

「うわあ」

 

「哀れみの目で見るな。あとサンタさん知ってるならクリスマス知ってるだろ!」

 

「うん」

 

 知ってるのかよ。なんでさっき俺に聞いてきたんだよ。

 でも、なんでサンタさんのこと言ったらそんな目で見られなきゃいけないんだ? サンタさんを信じない人なんてこの世にいるのか? 俺にはそれが信じられない。

 

「待て待て、立ち去ろうとするな。用事があるんだから」

 

「今度は何よ……」

 

「ゼルダからクリスマスパーティーのお誘いがある。というわけで行こう」

 

「何それ唐突」

 

「いやそんなに唐突でもないぞ? 話の流れでわかっただろ」

 

 メリーがまだ何か言いたげに口を開いたが俺はそれを気にせずにメリーの腕をつかんで歩き出した。

 向かったのはゼルダの部屋。ハロウィンの時と違って今回は三人だけでのパーティーだ。

 なんか、全体が絡んでくるとまた俺に悲劇が降りかかる気がしたんだ。クリスマスだからそんなことないかもしれないけどさ。

 

「ゼルダー、連れてきたぞ」

 

「ありがとうございます、夏さん」

 

「これくらいはどうってことないよ」

 

「いつもすみません。……あ、プレゼント持ってきましたか?」

 

「え、そんなもの必要なの?」

 

「持ってきてないなら今持ってきたほうが良いですよ、メリーさん」

 

 メリーはゼルダの言葉を聞くと少しだけ考え込んでそのまま部屋から出て行った。プレゼント取りに行ったのか。俺が言っても聞かないくせに……。

 しばらくしてメリーは大きめの袋を抱えて戻ってきた。一体何が入ってるんだよ。

 ゼルダの部屋にあるテーブルを中心として俺とメリーとゼルダは立った。なんか三人だけって言うのもちょっと寂しいね。

 

「では、プレゼント交換スタートですっ」

 

 ゼルダがテーブルの上に置いておいたラジカセの電源をかちりと入れた。しかしラジカセからは「ザザ、ザザザッ……」と妙な音を立てるだけで音楽は一向に鳴りそうにない。

 ……あんまり考えたくないけど、もしかしてこのラジカセ壊れてる?

 

「ゼルダ、鳴らないんだけど」

 

「おかしいですね……?」

 

「叩けば直るんじゃない?」

 

「拳を握りしめて大きく振りかぶってるけど、それで叩いたらスクラップになるぞ」

 

「むしろそのほうがあたしは楽しい」

 

「周りの人のこと考えようよ! あとそれゼルダのだからね!?」

 

 何を言っても聞かなかったにも関わらず、ゼルダの名前を出すとぴたりとメリーは動きを止めて素直に拳を下ろした。何この差。

 メリーがつまらなそうにため息を吐き、俺は悲しくなってため息を吐いた。

 

「えっと、もう一回やりましょう!」

 

 空気が悪くなったのにゼルダが気付いたらしく大きめの声で俺たちにそう言った。ああ、なんかごめん。

 ゼルダがまたかちりとラジカセの電源を入れると今度は曲が流れだした。あ、トナカイの曲だ。

 ……しかし今度は一体どうしたというのか一度もストップせずに一曲終わってしまった。

 

「これ、手動なの?」

 

「止まるタイミングはランダムなんです」

 

「もう叩いたほうが早いわよ」

 

「だから拳振り上げんな!!」

 

 もうメリーの中ではラジカセを叩くのが決まってるのか!? 待て待て、人の物を壊すのはよくないぞ。

 慌てて今度は俺がラジカセの電源を入れる。流れてきたのは洋楽だった。え、英語分からないんだけど……。

 しかし今度は一番の途中、つまり結構序盤くらいのところで曲は止まってしまった。

 

「何今の。もっと聞きたかった」

 

「洋楽ですね。いい曲です」

 

「あたしもなかなか好きな曲よ」

 

「へえ、メリーが……」

 

「何その目。あたしだって音楽を好きになったっていいじゃないの」

 

 まあプレゼント交換にはいい感じのタイミングで音楽が止まったので早速プレゼントを開けることにした。三人だけだから当たる人は決まってるようなものだけど。

 俺はゼルダのプレゼント、ゼルダはメリーのプレゼント、メリーは俺のプレゼントだった。

 ゼルダからのプレゼントって何が入ってるんだろう。意外と予想できない。

 

「えっと俺のは……、サンタか」

 

「ちょうど男性用だったので夏さんに当たってよかったです」

 

「もうプレゼントが俺前提じゃないか……。まあ嬉しいよ。嬉しいけど……」

 

「けど?」

 

「なんで緑色?」

 

 俺がもらったのはサンタ服だった。正式名称はホーリィサンタという緑色をしたサンタ服だ。

 ……なんで、赤じゃなくて緑? ポピュラーなのは赤だと思うんだけど。まさかゼルダの中では緑の方がポピュラーなのか?

 

「本物のサンタは赤ではなくて緑なんですよ?」

 

「初耳だ」

 

「昔学校で誰かが言ってました」

 

 へ、へえ……。緑よりは赤ー、ってイメージが強かったけど違うんだ……。というかその誰かって誰。気になるんだけど。

 とりあえず少しの間ゼルダの部屋から抜け出して早速着てみた。部屋に戻ったらメリーから「似合ってるわよ」と言われた。あのニヤけ顔は絶対からかってるな。

 メリーの言葉に「ありがと」と適当に返して俺はゼルダに視線を向ける。

 

「ゼルダは?」

 

「私も服みたいです。……電撃PS制式ですか。まだ持ってなかったので嬉しいです!」

 

「喜んでもらえて何よりだわ。あー、夏にいかなくてよかった」

 

「俺も来なくてよかったよ。てか二人とも服は止めろよ」

 

「なんでよ、別にいいじゃない」

 

「俺に女物の服とかきたら困るだろ!? 女子同士でやれよ!」

 

「その時は夏さんが見苦しい女装をすれば済む話だと思います」

 

「嫌だよ! てかゼルダ、見苦しいとか言わないで。事実だろうけど」

 

 ゼルダまでもが俺をいじめにくるという恐ろしい現実。問題です、この現実はどうやったら変えられるでしょうか。答え、不可能です。今日も俺は布団で泣くことにする。

 いつだって世界は理不尽で満ち溢れてるんだよ……。それを毎日体感しなきゃいけないとか、この世界は本当に酷いです。むしろ俺に対するいじめを嗤ってる気さえする。怖い。

 遠い目をしながら悲壮感に浸っている俺を他所に話は進んでいく。俺のことどうでもいいんだね……。

 

「メリーさんは夏さんのですよね? 中身は何ですか?」

 

「……ねえ、夏?」

 

「どうした、メリー。無駄に良い笑顔を浮かべて」

 

「あら、そんな笑顔してるかしら? 褒め言葉として受け取っても?」

 

「まさか。後ろには死神が見えるよ」

 

 メリーが俺を脅したりする時とかにそういう笑顔を浮かべたことはあったが、さすがに死神までは見えなかった気がする。俺の記憶が確かなら、という前提があるが。

 目の前にいるメリーはそれはそれは美しい笑顔を顔に貼り付け、背後に死神を浮かべてらっしゃいます。気のせいと思いたいけど、殺気をがんがんぶつけられてる。

 冷や汗が止まらないんだけど。この状況を打破できるものを生憎俺は持ち合わせていない。 

 

「プレゼントがジャイアントトウモロコシってどういうことかしら?」

 

「いやー、何をプレゼントにしていいか分からなかったから」

 

「ふうん。そんな馬鹿げた理論があたしに通るとは?」

 

「思ってないですすいませんでしたああああ!!」

 

 一息で言わなければならない言葉を言い切り、すぐさま土下座に移行。ここで「えっ、通ると思ってたんだけどなー」とか言った暁には俺がボロ雑巾へと大変身する羽目になる。

 なんでクリスマスの日にそんな目に遭わなくちゃいけないんだ。思わず涙目になった。苦笑するゼルダの声が頭の上から聞こえた。助けてよ。

 

「メリーさん、一応聖夜ですし」

 

「そうね。でもまだ夜じゃないわ」

 

「いや、その、確かにそうですけど」

 

「んー、でもゼルダの言うことはもっともだし……。そうだ」

 

 メリーが何かを閃いたような声を出した。いつも言っている気がするけど、メリーが良いことを閃いた時は俺にとっての悪いことを閃いた時だ。今回は何だろうな。

 すると何を思ったのかメリーは俺の髪を掴んで上に持ち上げた。痛いよっ! 禿るからそういうのだけは本当に勘弁してくれ。

 涙目のままメリーを睨み付けると悪人顔のメリーを目が合った。絶対前世でいいことしてねえよ、こいつ。

 

「ハロウィンの再来、なんてね」

 

「はろうぃん……? また仮装とかしろってか!?」

 

「それだけじゃないわよ。写真を撮って売り出す」

 

「はあ!? 俺は見世物じゃないんだぞ! 冗談はやめてくれ!」

 

「何を言ってるのよ、私は本気よ」

 

 何この人ものすごく怖い。俺から見ればメリーは具現化した悪魔だ。

 メリーは俺が記憶を振り返ってみても大抵言ったことはきちんと実行するやつだ。つまり、俺はこれから悪夢を見なければならない可能性がとても高い。99,9パーセントの確率でやるだろう。

 思わず逃げ出そうとすると背後からゼルダに羽交い絞めにされた。って、何故にゼルダ!?

 

「すいません。たった今無言で脅されました」

 

「え、ちょ……」

 

「もしもし、アリサ? この前のハロウィンの男性用衣装まだある?」

 

「俺の危機が確実に迫ってる!!」

 

 ゼルダを振りほどこうにもさすがバスター使いと言ったところか、なかなか振りほどくことが出来ない。女子に力で負けてる俺ってなんなの。

 メリーの使用している携帯電話の向こうから『ありますよ! 何に使うんですか?』と嬉々として問うているのが聞こえてきた。メリーが答えると『今すぐ届けに行きます』との声。観戦お断り。

 その電話から二分も経たない時間でアリサはやってきた。両腕にたくさんの衣装を抱えて。口元に浮かんでいる笑みはこれから起こることを予想してだろうか。ふざけんな。

 

「それ、どういうのがあるの?」

 

「えっと……。ドラキュラ、執事、剣士、ボーイ、悪魔、魔法使いなどですね」

 

「うわ、この前見なかったものもあるし」

 

「服の山に埋まってて見えなかっただけでしょう? それでどうしますか」

 

「一通り全部着せて全部写真という形で残す。そしてそれを売り出す」

 

「公開処刑とかやめてよ!!」

 

「それは楽しそうですね! 他の人も呼んできていいですか?」

 

「おい待て、アリサ。誰か呼んできたらそれこそ俺が死んでしまうぞ」

 

 今だって目の前にある大量の衣装を見て発狂しそうになってるのにそれ以上のことが起こってたまるか。

 ちなみに俺は今、ゼルダが羽交い絞めにするのが疲れたとかなんとかで両手足を縛られて部屋の隅に転がされています。俺は奴隷かなにかか?

 惨めでもいいからとにかくゼルダの部屋から逃げ出したくて芋虫みたいに動いてみるが全く効果なし。芋虫は一体どうやって進んでるんだ。

 

「ドラキュラ、はとりあえずこの前着てたからいいか」

 

「剣士なんてどうでしょうか。夏さんきっとかっこいいですよ」

 

「でも案外執事という選択も捨てられませんよ、リーダー」

 

 ふふ、俺の関与していないところで俺の死刑内容が決まっていくよ……。

 こうなればあれだ、意識を飛ばして現実逃避をしよう。できれば俺の意識がきちんとここに戻ってきたとき、全てが終わってるといいな……。

 

 

 

 

 

 

 

 数日後、夏の元には数十枚の仮装写真が届いた。

 それを一枚見たところで彼は他のものをすべて見ずにゴミ箱へ捨てたという。

 尚、この公開処刑に携わった者全てに写真は配られていたため、しばらく夏はその関係者から送られる視線に耐えられずに陰でこっそり泣いていたそうな。

 

「楽しかったわねー」

 

「楽しかったですね」

 

「楽しくないっ!!」




「真・ゼルガー部屋」で、この小説のEATER編は残り二話となっております。佳境です。
今年中の更新は正月の分があるので無理ですが、来年も楽しんでいただければ幸いです。

次回の更新は一月一日の予定です。
まだどっちも書いてません。これから頑張らんと。
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