GOD EATER BURST~旧型神機使いの日常と苦労~ 作:キョロ
今年もよろしくお願いいたします。
さて、なんとか書ききれましたよ。昨日の夜に。
……うん、結構頑張った、のかな?
まあ普段の投稿と同じくらいの文字数です。
とりあえず今のうちに夏くんに合掌。
では、スタートです。
「きっついな……」
「似合っているよ、夏」
「動きづらいわ」
今日は元旦。というわけでお正月っぽいことをしようということになった。ぽい、ってなんだ。
ただ前回クリスマスでは酷い目にあったので今回はみんなでやろうということになった。二度あることは三度あるとかになったら俺が嫌だ。
そして、それをするにあたり俺たちは着物と袴に着替えていた。
「ゼルダとメリーも似合ってるぞ。可愛い」
「あんがと」
「次言ったら刺殺するわよ」
素直に褒め言葉を口にしたらそれぞれ違う反応が返ってきた。刺殺、ってまた具体的だな。
ゼルダはグラデーションのかかった桃色の着物を着ていた。襟はオレンジ、帯は黄色で、所々に白い花が散らされている。
メリーは真っ赤な着物を着ていた。怖い色にも思えるがそれを描かれた白い鳥や蝶がフォローしていた。なかなか細かく描かれている。
どちらも二人によく似合っている。こういうのってなかなか見れるものじゃないよな。
「みなさん、あけましておめでとうございます」
「あっ、一条さん。今年もよろしくお願いします」
「いえ、こちらこそ」
「早くくたばればいいのに」
「そういうことは言うもんじゃないよ、メリー」
新年早々、罵倒を吐きやがった。着物でお淑やかさが出てるのに台無しである。
せめてそれを着ている間は大人しくしていればいいのに。
ほら、ゼルダだって綺麗な笑顔を浮かべてるんだから、そういう悪い笑顔を浮かべないで。
この二人を見ていると正反対だな、と思ってしまう俺は間違ってないはずだ。
「ゼルダさん、綺麗ですね。よく似合っていますよ」
「あんがと。……言われるとちょっと恥ずかしいな」
「メリーさんも可愛らしいですね。着物も心なしか喜んでいるようです」
「頭大丈夫? あんたが患者になったら?」
頬を右手で掻いて照れたように笑うゼルダ。可愛らしい。
口元を手で押さえ、心底哀れんでいる顔のメリー。何なのこの差は。
一条さんはメリーの視線は無視して立ち振る舞う。この人……できる……!
「……と言うか、ゼルダ。もしかしなくても裏の方?」
「おーう。№6の着物ゼルダだ。裏では姉御って呼ばれてる」
裏に№とかあったりするのか。初耳だわ。ちなみにコートゼルダは№1なんだとか。
でも確かに姉御って呼びたくなる。なんだか頼もしさがあふれてる。
これが姉御肌と言うものなのか。
「ふうん。なんだかコートと似てるわね」
「あ゛あ? 誰があんな奴と一緒だって?」
「もうそのまま一緒だよ」
「あたし、あいつ嫌いなんだよ。妙にクールぶりやがって」
チッと舌打ちをしている着物ゼルダは明らかにイライラしている。
最初に見たときお淑やかだと思った俺が馬鹿だった。お淑やかが投げ飛ばされてる。
……さっき俺が感じた綺麗な笑顔は、綺麗だったのに。
「あー、なんか身体動かしてえな」
「羽根つきなんてどうかしら?」
「板は?」
「神機の剣の側面で代用すればいいわ」
「また随分大きいな」
「羽はどうするんだい?」
「夏で」
「おいさすがにちょっと待て」
ツッコミどころがいろいろと多すぎるんだが。
そしてメリーよ。お前は今年も俺を困らせる気満々だな。
新年早々頭痛がしてきた……。あとで薬飲もう。
「えー。じゃあ、叩いて被ってジャンケンポン」
「どうせ神機の剣がハンマーで盾が帽子だろ」
「えっ、なんで分かったの?」
「お前がやりそうなことなんて目に見えてる」
「いや、普通は分からないと思うのはあたしだけか?」
もしかしてメリーは俺を殺したいだけなのかもしれない。
目が殺る気に満ちていてとても怖い。
殺気に当てられてふるりと震えていると一条さんが「あ」と何かを思い出したように手を叩いた。
一条さんはポケットから何かを取り出して俺たちに渡す。……これは、ポチ袋?
「えっと、一条さん?」
「私から
「あのー、俺たち十八なんですけど……」
「まだ子供じゃないですか。納めておいてください」
「ラッキー。……なんだ、一万fc? 安いわねー」
「何この子すごくムカつく」
確かにまだ成人はしていないけど、十八歳って果たして子供と言うのだろうか。
なんだか腑に落ちないところはあるけどありがたく貰っておくとしよう。
メリーの発言を聞いたところポチ袋の中には一万fc入っているようだが……。
くそう、金欠の俺にはありがたすぎるのにメリーのやつめ!
どーせ俺は人よりも所持金少ないですよーっだ!
「おー、一万か。一人から貰うにしては高い方だな。サンキュー」
「いえいえ、どういたしまして」
「礼なんて言わないわよ」
「元から期待していませんので」
「今年もいろいろとすみません……」
「とっくに慣れてしまいましたよ」
にこにこと笑いながら俺たちに対応する一条さん。一条さんマジいい人。
メリーの扱いにも既に慣れているし、この人本当スゴイな。
俺は今でも振り回されっぱなしだよ。尊敬しちゃうな。
「では私は病室に戻りますね」
「お仕事がんばってください」
今年も病室にはお世話になりそうな予感だ。去年はメリーのせいでよく病室に寄ってたからなあ。
治療の仕方を教えてもらうために病室に寄ることもしばしばあったし。
絶対入り浸りになるんだろうな。ちょっと遠い目になりそうだ。
「さて、暇になったけどどうするの?」
「あん? 別にもう解散でも良くないか? 寝たいし」
「なんで出てきたのよ……」
「そりゃお前、表が着物を着たいって思ったからに決まってるだろ」
「もう決まってるんだ、それ」
「当ったり前よ。来年もまた来るかもな!」
「ああ、来年もこういう件をやるのか……」
その内これが一年を始めるのに必要なことになってくるのかな。慣れって恐ろしいな、本当。
おかしいな、来年のことなのに考えたら既に頭が痛いや。
俺にもう少し休みをください。この環境じゃ俺の寿命が縮まります……。
項垂れているとゼルダがくいくいと引っ張ってきたのでそのまま俺はその場を後にした。
――――――――――
と言うわけでゼルダの部屋にやってきた。
なんかゼルダの部屋って俺にとってはトラウマでしかないんだよな。
しかもまたあの時と同じ三人のみって組み合わせだから更に不安になる。
……俺、今日は大丈夫だよね?
「酷いことはしねえよ。あたしとそいつでお節作ったんだ。あ、表がな」
「……えっ? メリーも作ったの?」
「何その心底不思議だっていう顔。あ、あたしだって出来るわよ!」
いやいやいや。メリーが料理できないってことはとっくの昔に証明済みだよ。
バレンタインデーのあの企画の時、すごい驚いたよなあ。
いくら料理下手でもクッキーは消し炭にしないよ。さすがに火加減くらい分かるよ。
あの時はさすがに呆然とするしかなかったな。
時が経てば案外懐かしいけど、なんでまた作ろうと思ったんだよ。
目の前の机の上に置いてある黒の三段ある重箱に目を向ける。……正直、嫌な予感しかしない。
「じゃじゃーん! どうだ! 表は器用だろう?」
「おお、一段目は綺麗だな」
「“は”って何よ、“は”って」
一段目はゼルダが担当していたようだ。具が一つ一つ綺麗に詰め込まれていて美味しそうだ。
残り二段。担当はメリー。なんでこいつに二段もやらせようと思ったのかが俺には分からない。
ごくりと唾を飲み、思い切って一段とり二段とり、一気に中身を確認する。
……見る勇気がなくて思わず目を閉じた俺は女々しくない。うん、女々しくない。
そのままでいるというのも駄目なので、恐る恐る目を開ける。怖い。
「……」
「な、何よ。リアクションしてくれたっていいじゃない」
「……あー、なんだ、その……。サクヤさんに教わったほうが良いぞ」
「ほう、こりゃまたメリーらしいな」
メリーが担当した重箱に、食べ物は詰まっていなかった。
なんだかよく分からない黒い物体がとにかく詰まっていた。
……これは多分、食材が消し炭になったものだよな?
試しに箸でつまんでみたらボロリと跡形もなく崩れていった。
ああ、なんだかデジャヴだ。
「どうやったらこんなものを生成できるんだよ」
「わっ、悪かったわね!」
「これはこれでメリーの才能じゃないかい?」
うん、まあ才能……なのか? と言うかそれ褒めてねえ。
ゼルダの言いようにメリーもちょっと涙目だ。なんで作ろうと思ったんだ、マジで。
哀れみの目を向けたら手加減なく鳩尾にグーパンを叩き込まれた。
これ、は……! かなり辛いぞ……!
「……!」
「ふんっ、いいザマよ」
「とんだ八つ当たりだな。もう少しお淑やかにいこうぜ?」
「あんたに言われたくないわよ」
「何を言うか。あたしは十分お淑やかだぞ?」
「どっちも、どっちだ……!」
「「黙らっしゃい」」
「ふぐっ!?」
蹲っていた俺の腹と背中に二人の蹴りが入る。
お前ら、着物を着てるくせに本性がとんでもなく凶暴だな。
両方から同時にダメージが入ったのは初めてなのでさすがに立ち上がれない。
思ってたよりもダメージの大きさは深刻だ。
……あれ、なんで俺は元旦からこんなに痛い目に遭わなきゃいけないんだ?
「あー、ちくしょう。イライラする」
「もうお節を全部押し込んじゃいましょうよ」
「じゃあ三段目からいくか」
「何その罰ゲーム」
死亡フラグが建ってる気がするのは気のせいだと思いたい。
メリーに両手を拘束されてゼルダが器用に箸で黒い物体を運ぶ。なんで運べるの。
って、メリーさん、痛い痛い! 全力で手首掴まれたら鬱血しちゃうから!
「召・し・上・が・れ」
「天に召せ」
「なんでいつもこんなのばっかりいいいい!!」
ゆっくりとゼルダの手に持った箸が近づいて来る。
去年も今年も来年も。メリーがいる限り一生厄年だよ……。
この後夏の意識はブラックアウト。
しかし女子二名は尚も黒い物体を詰め込み、夏は泡を吹く羽目になった。
ちなみにゼルダが作った重箱の一段目は女子二名が美味しくいただきました。
こんな小説ではありますが、今年もどうかよろしくお願いいたします。