GOD EATER BURST~旧型神機使いの日常と苦労~ 作:キョロ
とりあえず、薄ら笑いでもいいので笑っていただけたらと思って書いてみました。
お楽しみくださいませ。
メリークリスマス。どうも、夏です。
今日は久しぶりにイベントというわけでみんな盛り上がっている。
まあ年末年始なんてイベントの連続だし、こういうところで息抜きしないとな。
そういうわけでサンタ服着用の俺である。何故か緑色のサンタ服着用である。
……なんで緑色、ってなってるかもしれないけど、これは去年貰った物だ。
去年のクリスマスでメリーとゼルダとでプレゼント交換をしたときゼルダから貰ったんだ。
今回のパーティではサンタ服着用が義務らしく、探したときにこれが見つかったのだ。
確実に周りからは浮くことを覚悟してそれを着た……というのがいきさつである。
「ま、実際そうでもないけど」
メリーやソロは黒いサンタ服を着用しているしな。あ、ちなみにソーマも渋々って感じて黒だ。
後は大体赤いサンタ服か……。緑色は俺一人……ん? ゼルダも緑色みたいだな。
机の上には女子陣の準備したクッキーなどのお菓子が並んでいてとても美味しそうだ。
いいな、パーティって感じがしてすごくいいな。
「めりーくりすます! 夏さん、楽しんでますか?」
「お、おう……。ゼルダは?」
「わたしですかー? わたしはお菓子がたくさんあってうれしいのです!」
にこにこと笑顔を振りまき、ひょいとお皿からクッキーを取ったゼルダは幸せそうだ。
一部の人間に言わせるとするならば今のゼルダは天使、なのではないだろうか。
「リーダー! あまりうろうろしないでください」
「だって、お菓子いっぱい……」
「お菓子なら俺が持っていきます。今のあなたは不安要素しかありませんので」
「むぅ、ソロさんの意地悪ー」
「何とでも言ってください」
今のソロはどう見たってゼルダの執事にしか見えないな。
……あれ、気のせいか黒のサンタ服が執事服に見えてきた……おかしいな。
とりあえず今の状況は言うまでもないだろう。ゼルダの人格が入れ替わっています。
説明するとすれば、そうだな……思考能力が著しく幼くなっている。
まあつまり幼子ってことだな、簡単に言ってしまえば。
「ふう、リーダーのあれはどうにも厄介だな」
「仕方ないな。頑張れ保護者」
「誰が保護者だ。俺はリーダーが心配なだけだ」
「もういいよ、お前らくっついちゃえよ」
「俺ごときがリーダーを幸せにできるか。俺はサポートで十分だ」
「ソロさーん! ケーキ食べたいです!」
「分かりました、少し待っていてください。……お前も、変な事を言うなよ」
ソロは俺を一瞥してからゼルダの希望に応えるためにケーキを取りに行った。
なんだろうな、ソロはオカン体質でもあるんだろうか。すごく世話焼きって言うか。
面倒見がいいんだろう。そのうち後輩ができたりしたらいい先輩になりそうだ。
微笑ましい光景を見ながら俺ももう少しお菓子を取ってきてからどこらへんのソファで寛ぐか。
と、そこで辺りを見回すアリサとコウタを見つけた。何してんだ。
「……あ、夏さん。ソーマ知りません?」
「ん? さっきそこの端っこに……いないな」
言われてみれば黒サンタが一人エントランスから消えている。
自室に帰ったんだろうか。
「えー、ソーマのやつ、逃げたのかよ? なかなか似合ってたのになー」
「本人はすごい嫌そうだったが」
「仕方ありませんね。参加してくれただけでもよしとしましょうか」
「ちぇー」
少し残念そうなアリサととても残念そうなコウタ。コウタお前、後でからかう気だったろ。
「問題ないわ、あたしが写真撮っておいたから」
「うおっ!?」
ひょこっと俺の背後から突如出現したメリー。
び、びっくりしたー! いきなり後ろから来るのはよくないと思います!!
にやにやと悪戯っ子の笑みを浮かべているメリーは片手でカメラを弄っている。
どうやらこのお祭り騒ぎを写真として残しているらしい。……あ、ソーマも映ってる。
「静かだと思ったら、写真を撮っていたんですね」
「なあなあ、後で現像したの貰えません?」
「いいわよ、一枚500fcね」
「金とるのかよ……」
ちゃっかりしているけど、恐らく冗談だろう。……冗談だと信じるよ。
とりあえず商談をしているメリーとは後で合流しよう。今はお邪魔だろうから。
冷やしカレードリンク片手にエントランスの端っこに避難する。
ここから見るとみんなの様子が見えてちょっといい気分になれるな。
なんだかんだいつも大変だからなー。こうやって騒いで疲れを取ってほしい。
「よお、夏! 楽しんでるか?」
「あ、タツミさん。赤いサンタ服似合ってますね」
「へへっ、ありがとよ。夏は……緑か? うん、いいと思うぞ」
「あはは……」
いつもと同じくタツミさんはやっぱりかっこいいなー。
俺もタツミさんみたいに頼りがいある男になりたいもんだけど。
……あれ、タツミさんちょっと頬が赤いな。酔ってるのかな?
確かに机の上には缶ビールもいくつか置いてあったし、それもおかしくないか。
「ブレンダンさんたちは?」
「ブレ公は第三部隊の連中に煽られて酒飲み過ぎてダウン。カノンが介抱してるよ」
「何やってるんですか……」
「まあ折角のパーティだしなっ、ふざけたって罰は当たらねえよ」
どうやらタツミさんもパーティを楽しんでいるようだ。
兎にも角にも、ブレンダンさんの明日の仕事に支障がありませんように。
後で医務室で二日酔いに効きそうな薬でも貰ってきてあげようかな。
「お二人とも、メリークリスマス! 楽しんでますかー?」
「おう、先生! 先生も楽しんでいるみたいだな」
「私はお菓子があるだけで楽しめますよー!」
「第一部隊の隊長さんと同じこと言うなあ」
手に持ったバスケットに大量のお菓子を入れた一条さんが笑顔で現れた。
俺と同色のサンタ服を着ているんだけど……なんでこの人は緑にこだわるんだ。
髪も目も緑色だし、普段着ている白衣の下のシャツも緑だし。緑尽くしだ。
この人、そのうち光合成でもするようになるんじゃないだろうか。
「そんなに甘いものとって、糖尿病にならないんですか?」
「これでも医者ですから! ちゃんと意識して制限してますよ……ヒック」
「先生も酔ってるのか?」
「あはは……。ちょっと飲みすぎたかもしれませんね……」
「無理しないほうが良いぜ。先生も仕事あるんだろ?」
「そうですねえ。お菓子持って、今日は帰りまーす」
完全に酔っ払い化してるよ……。
一条さんはいつもふわふわしているけど、今日はふらふらしてる。
何か問題を起こさないうちに自室で休んでもらいた……って寝転がった!?
「一条さーん!? ここエントランスですよー!?」
「おやすみなさい……むにゃむにゃ」
「おやすみなさいじゃないですってええええ!!」
「世話が焼ける先生だな。……んじゃ、俺が部屋に帰してくるか」
「あ、俺がやりますよ?」
「いいっていいって。俺はもう十分楽しんだしな! 夏も楽しめよ?」
タツミさんは一条さんに肩を貸すとそのままエレベーターに乗り込んでいった。
タツミさんもお酒を飲んだはずだけど、足取りは安定している。そんなに飲まなかったのかな。
冷やしカレードリンクを飲もうと煽ってみたが中身はもうなかったらしい。
一滴二滴、と極少量が口の中に入ってきただけだった。買ってくるしかないか。
「Present for you」
「いってえ!?」
後頭部にガツンと一撃。重たい衝撃のせいで首までもが痛くなり蹲る。
足元に視線をやればコロコロと転がる冷やしカレードリンクの缶。投擲しやがった。
投擲した張本人、メリーを睨み付ければご機嫌そうに笑っている。
「お前なあ、やっていいことと悪いことがあるんだぞ!?」
「いいじゃない、あんた頑丈だし」
「そういう問題じゃないからな」
「けち臭いわねえ、減るもんじゃないじゃない」
「俺の細胞が減るんだよ」
自分さえ楽しめればいいってか。さすがメリーだな……。
それにしてもメリーは色気のない恰好をしているな。男物着てるよ。
他の女性陣はスカートなのに、こいつだけズボン。そんなにスカートが嫌か。
「何はともあれ、それはあたしの奢りだから」
「感謝の気持ちが半分くらい削がれた」
「今度初恋ジュース二十本ね」
「好きだな……」
よく見たらメリーが持っている缶は初恋ジュースだ。
なんでそんなものを飲めるんだろうな……。やっぱり味覚崩壊してるんじゃないかな。
どこにあったというのか一口サイズの醤油煎餅を口に放り込むメリー。
「あ、夏もいる?」
「お、おう……。どこにあったんだよ、それ」
「持参したのよ。甘いものばっかで、塩気のあるもの食べたくて」
「それで醤油煎餅持ってくるお前がすごいよ」
訂正。崩壊しているんじゃなくてお年寄り的な味覚を持っているんだな。
メリーは俺の不審な態度をジト目で見つつ、特に何か言ってくることはなかった。
「あー、なんだかんだもうそんな季節なのねえ」
「一年ももうすぐ終わっちゃうんだな」
「肉体労働だから一日自体が短く感じるからかしら?」
ため息を吐きつつ、ボーっと遠くを眺めるメリーはお疲れムードだ。
一応、今日が休暇ってわけじゃないからな。呼び出されれば出撃しなきゃいけない。
お酒を飲んでいるのは一応休暇の面子だ。
「でもお前、クリスマス楽しめてるか?」
「ん? 十分楽しめてるけど」
「醤油煎餅ぼりぼり食ってるとこ見るとクリスマスしてるように見えないんだよ」
「そうかしら……。平常運転してるだけだけど」
こういうパーティでウキウキしているアリサやゼルダと違って反応が淡白だ。
まあそんなタイプじゃないってことくらいとっくに知ってたけどさ。
たまには羽目外すくらい楽しめばいいのにな。
「あたしは自分が盛り上がるより眺めている方が楽しめるのよ」
「そういうもんか?」
「そういうもんよ。ここの人たちは個性が濃いから楽しいわ」
それは褒め言葉なんだろうか……。ちょっと微妙なところである。
俺が微妙な顔をしている事に気付いたらしいメリーが俺の頬を思い切り引っ張った。
「いひゃい!!」
「なんつー変な顔してんのよ。あたしを腹筋崩壊させる気?」
「いってー……。その割には視線が冷たいんだけど」
うぅ、腫れ上がってないよね? サンタ服の代わりに頬が赤くなりそう。
ため息を溢すとケラケラと楽しそうにメリーが笑う。この悪魔め。
恨めし気に睨み付けてもメリーは痛くも痒くもないようだ。
「ふふー、メリーさんのめがねとったりー!」
「えっ、あ、ゼルダ!?」
「コラ、リーダー! 悪戯して回るの止めてください!!」
パッとゼルダが俺とメリーの間に割って入り、眼鏡を取り上げるとトンズラした。
慌てた様子のソロがゼルダを追いかけるが素早いゼルダは捕まらない。
ソロの言葉を受けてエントランスを見回すと、なかなかにカオスになっていた。
ブレンダンさんの顔に落書きしたりアリサのスカートを捲ったり……。
うん、実に子供っぽい悪戯を仕掛けまくっているようだ。
「ちょっと? 眼鏡ないと見えないんだけど」
「しばらく我慢してるしかないだろうな」
「……やられたらやり返す。ば、」
「アウトおおおお!!!」
それ以上は駄目だからな! 言わせねえよ! まったく、油断も隙もない。
結局、パーティはゼルダの悪ふざけでほとんど台無しになってしまった。
その後は片付けに徹することになり、酔った人を帰したりゴミを集めたりと雑用になった。
あ、ちなみにブレンダンさんの落書きは落とされなかったそうです。