GOD EATER BURST~旧型神機使いの日常と苦労~   作:キョロ

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更新が遅くなり申し訳ありません。
今回はにじふぁんのときから個人的に気に入っていたネタをひとつ。



*04、ネコネコ大作戦

「可愛いと思いません? 可愛いと思いません? というわけで、お願いします!」

 

「……私を巻き込まないでくれるかい? ただでさえツバキくんが怖いんだ」

 

「むぅ。じゃあ、久しぶりに技術屋として動いてみますかー!」

 

 厄介者は動き出す。

 標的はただ一人。しかし、その一人が問題なのだ。

 どうなることやら。サカキは人知れずため息を吐いた。

 

 

――――――――――

 

 

 病室にやってきました。どうも、夏です。

 今日は別に怪我をしたわけじゃないよ? 電話で一条さんに呼び出されたの。

 何があったんだろうね? すぐに来てください、とだけ言われたんだけど。

 なんだかとっても嬉しそうな声だったんだよなあ。

 

「一条さー……メリー?」

 

「あら、あんたも一条に呼ばれたの?」

 

 病室に入ると、きょとんと不思議そうにこちらを見るメリーがいた。

 おかしいな、メリーが入るなんて話は聞いていなかったんだけど。

 それに肝心の一条さんがこの場にはいないんだよね。

 

「一条ったら、何をしているのかしら?」

 

「そんなに苛立たなくても」

 

「呼び出しておいて来ないなんて酷いわ」

 

 むっとした表情のメリーは確実に苛立ちを募らせていた。

 でも一条さんがそういった約束にルーズだとは思えないんだよね。

 そうしてふと、メリーが見かけないラベルの缶を手に取っていることに気付いた。

 

「その缶、なんだ? ……新作?」

 

「知らない。ここに置いてあったの。美味しいわよ」

 

「や、やめろよ。それ一条さんのだろ?」

 

「ふーんだ。約束守らない一条が悪いのよー」

 

 ツンとした態度を取りながら遠慮なく飲んでいくメリーは表情を綻ばせた。

 どうやら新作と思わしき飲み物はなかなか美味しかったらしい。

 ……冷やしカレードリンク飲みたくなってきた。

 

 しばらく待っていても一条さんは現れない。

 やがてメリーが飲み終わり、缶を再び机の上に戻した。

 顔色を見る限り、悪気は全くなさそうである。まったくこいつは。

 

「ん、あれ……?」

 

「今度は何だよ」

 

「なんか、調子が悪いような気がするの」

 

「えぇ? さっきのやつ、変なものでも入ってたんじゃないか?」

 

「一条……!」

 

 恨めしそうに一条さんの名前を呟くメリーだが余裕はなさそうだ。

 とにかく介抱してやらないと。とりあえずメリーを近くにある椅子に座らせよう。

 そう思って近くに置いてあった椅子に手をかけたとき。

 

「きゃうっ!?」

 

 メリーが、ボフンと煙に包まれて姿が見えなくなった。

 え? これどういう展開なの?

 

「め、メリー!? 大丈夫かー!」

 

「煩いです、病室では騒がないようにっ。……って、なんですこれ」

 

「あ、一条さん!」

 

 ここでようやく一条さんが奥から出てきた。って、いたんですか。

 そもそも一条さんがすぐに来てくれたらこんなことには……!!

 俺はざっくりとこうなった経緯を一条さんに説明した。すると満面の笑みで頷かれる。

 

「ああ、それ、私がやりました!」

 

「……は?」

 

「まさか煙が出るなんて思いませんでしたけど」

 

「いやいやっ、問題はそこじゃないですって!」

 

 一条さんは冷静に持っていたカルテを使って煙を晴らしていく。

 それにしても、一条さんが犯人とか、どういうことだ?

 状況がついていけずぼやっとその場に突っ立つしかない。

 

「ほら、いましたよ」

 

「えっ……」

 

 そう言ったにこやかな一条さんの視線の先。

 その黒い髪と同じ色の耳と尻尾を生やした、五歳ほどの少女がそこで寝ていた。

 

 

――――――――――

 

 

「散々ニャ!」

 

「メリー隊長、可愛らしいですっ」

 

「可愛くニャくてもいいニャ」

 

 俺とメリーはエントランスに移動していた。

 ちなみに一条さんは病室でダウンしているはずだ。

 

 はあ、とため息を吐いて俺は反対側に座っている弥生の隣、メリーを見た。

 今のメリーは平均的な五歳児ほどの身長でしかない。随分小さくなった。

 それに加えて、その頭部には猫耳、腰には尻尾がついている。

 まるで生えてきたもののようで、本人曰く感覚があるらしい。

 時々ピクピクと動く猫耳がなんとも愛らしいな。

 

「猫じゃらしとか、反応するんですか?」

 

「や、やめるニャ! あたしで遊ばニャいでニャー!」

 

「……もうただの癒しです」

 

「コラー! 頭(ニャ)でるの禁止ニャ!!」

 

 目の前の光景がとても微笑ましい。俺の頬も緩まるってもんです。

 あ、ちなみに今のメリーは背が小さくなったため、弥生の服を借りている。

 ただ100㎝ちょっとしかないから、ダボダボなんだよなあ。うん、可愛いです。

 

「――夏、リーダーを探しているのだが、知らないだろうか」

 

「おう、ソロ。俺は見てないぞー」

 

「そうか。……なんだ、そのガキは」

 

「ガキじゃニャいニャー!」

 

 目を見開くソロに対し、メリーは「しゃー!」と猛抗議をする。

 だが冗談が分からないソロには効果が無いらしい。はてなマークを浮かべているようだ。

 

「誰だ、部外者を入れたのは。さっさと外に出してこい」

 

「……えっ、まさかお前、気付いてないの?」

 

「はあ? 何がだ。……猫耳? 夏、お前そんな趣味が……!?」

 

「酷い勘違い!!」

 

 なんで俺にそんな冷たい視線を投げかけてくるんですか止めてください死んでしまいます。

 メリーのおかげでとんだとばっちりだよ! 早く戻ってくれー、戦力的な意味でも。

 

「あたしはメリーニャっ」

 

「冗談を言うなよ。ところでこの耳、動くのか。随分凝っているな」

 

「うニャー! 話聞けー!」

 

「ふむ、軽い」

 

「降ろすニャー!」

 

 軽々とメリーを抱き上げたソロはまるで飼い主のように見えなくもない。

 バタバタと暴れるメリーを安定して抱きかかえており、落とす心配もなさそうだ。

 俺だったらすぐ落としそうだなー。俺ってば女子にも腕力負けてるわけだし。

 あまりにも暴れ続けるメリーに苦笑いするソロは優しくメリーを降ろした。

 普段は見せない優しい笑顔を見るに、ソロは絆されているようだ。

 

「夏、責任もって家に帰すんだぞ」

 

「何で俺が連れてきたみたいになってるの」

 

「あたしはメリーだって、ニャんかい言えば分かるのニャ!?」

 

「メリーは確かに身長が低いが、こいつほどではない」

 

 さらっと言われた事実にショックを受けるメリー。それは仕方ないよ。

 身長は、小さい順に弥生、メリー、俺、ゼルダ、ソロ、と言った感じだ。

 ソロの奴が一番高いのだ。そして俺はゼルダより低い。ちょっとヘコむ。

 

「あ、おい。ゼルダが来たぞ」

 

「ああ、すまない。リーダー、次の任務についてなのだが……」

 

「……その可愛い女の子は、誰ですか?」

 

 ソロの話などそっちのけにして、ゼルダはその瞳をきらきらと輝かせる。

 そういえば、ゼルダって可愛いものに目がなかったんだったっけ。

 笑顔のゼルダ。笑顔を引きつらせるメリー。ゼルダの目が、怖い。

 

「可愛いー! 何ですかこの子すごく可愛いです!」

 

「むぎゃー!? あたしよゼルダ抱きつかニャいでー!」

 

 弥生の膝の上に座らされていたメリーがいつの間にかゼルダに抱き上げられた。

 ゼルダの動きが見えなかっただと……!? どういうことだ、何が起こっている!?

 力強く抱きしめられているのかメリーは苦しそうに呻っている。

 

「メリーさん!? か、可愛いです! 何があったんですかどうしたんですか!?」

 

「落ち着いてニャー! 落ち着くんだニャー!」

 

「ふああああ可愛すぎますよやめてください!!」

 

「誰かあの子止めてええええ!!」

 

 ゼルダが完全に暴走モードになってるよー!

 ストッパーになってくれそうなソロは完全に置いてかれて動作停止してるし!

 弥生はといえばゼルダに同意してメリーの頭撫でてるし!

 なあ、教えてくれ。俺はどこからツッコめばいいんだ。

 

「メリーさーん、その後調子はどうですかー。……わあ、カオスですね」

 

「一条さん!! メリーを戻してください!」

 

「えぇー? 面白いし可愛いじゃないですか」

 

「この状況で理解して!! それどころじゃなくなってきたんです!」

 

 必死に一条さんを説得すれば、仕方ないと言う様に重いため息を吐いた。

 何でそんな態度なのかは知らないけど、こっちは一条さんのせいで大変なんですよ!

 そろそろ周囲の目線が痛くなってきたから早く解決したいんです!

 

「でも、今回は試験用ですし」

 

「試験用!? まだ他にも作る気なんですか!?」

 

「まあ落ち着いて下さい。時間制限があるので、もうすぐ戻りますよ」

 

「……え?」

 

 こんな場所でメリーが元の姿に戻ったら、服的な意味でヤバいんじゃないか。

 まずい、それは駄目だ。下手すればメリーが表を歩けなくなる。嫁の貰い手が無くなる。

 パートナーとして、これは解決しなければいけない重要な問題だ!!

 

「ちょっとメリー貰ってくからな!!」

 

「うニャ!? もっと大事に扱いニャさいニャ!」

 

 ゼルダから素早くメリーを取り上げて区画用エレベーターに駆け込む。

 目指すはメリーの部屋。あそこで元の状態に戻るのが理想だ!

 なかなか階に着かなくてそわそわする俺は全く悪くない。

 

「……落ち着きがニャいわよ。ニャつらしくニャいわ」

 

「……俺の名前は?」

 

「ニャつ。……ニャっ!? ニャ、ニャつ。ニャつ!!」

 

「ご馳走様です」

 

 どうしよう、これだけで殺される。

 メリーは悔しかったのか「ニャつ! ニャつ!」と連呼し続けている。

 もうやめて。俺が鼻血出して出血多量で死ねるからもうやめてください。

 

 と、俺が悶絶している間にエレベーターが到着。ダッシュでメリーの部屋へ駆けこむ。

 ロックはメリーに外してもらい、お邪魔する。相変わらず殺風景である。

 ディスプレイに映るウロヴォロスと目が合った気がしてすかさず視線を逸らした。

 こ、こんにちは。如何お過ごしですか、ウロヴォロスさん。

 

「もうすぐ効果が切れるらしいから、そしたら着替えろよな」

 

「ニャつ! ……ん? 分かったニャ」

 

 まだ俺の名前を呼ぼうと奮闘していたらしい。可愛いからやめてください。

 さてそれじゃあメリーを下ろして俺は外で待つとしようか。そう思った時。

 

「……へっ?」

 

 なんだか見覚えのある煙にメリーが包まれた。あっ、なんだかすごく嫌な予感。

 今度は随分早く煙が腫れた。メリーを抱えていた俺は、お腹ら辺に手を添えている。

 重量感が無くなったのはメリーが自分の足で地面についているからだろう。

 つ、つまりだな。俺は下を向いちゃいけないんだ。ラッキースケベとかそんな問題じゃない。

 メリーの殺気が怖いんだよ!!

 

「夏……?」

 

「な、なんでしょうか、メリーさん……?」

 

「今すぐ出て行ってええええ!!」

 

「仰せのままにいいいい!!」

 

 殴られる前に部屋を出る。俺は空気を読めるいい子だから!

 数分後メリーはいつも通りの服装で出てきてくれたけど、しばらく口を聞いてくれなかった。

 どうやら未遂でも許してくれないそうです……見てないのに。

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