GOD EATER BURST~旧型神機使いの日常と苦労~   作:キョロ

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お久しぶりです。
近況報告は活動報告にでも書いておくので興味がある方は覗いて下さい。


時系列は歓迎会後くらいまで戻って初キャラエピです。
他の方がどのようにやっているのかは分かりませんが、とりあえずこんな感じですよと。
原作キャラのキャラエピは改変する気がないので書く予定はありません。
ちなみにこの小説ではオリキャラが六人おります故、キャラエピが連続で投稿される場面もしばしばありますが、ご了承くださいませ。

では、少々前書きが長くなりましたが、スタートです。


雑用(Episode1 ソロ)

「飛鳥」

 

「うっひゃあ!?」

 

 ラウンジでぼんやりとしながらジュースをストローで飲んでいると、突然背後から声をかけられました。気を抜きすぎていたせいか驚いて危うく椅子から落ちるところでした。声の人が僕を支えてくれたおかげでなんとか落ちずに済んだんですけどね。

 僕を支えてくれた人は体勢を立て直してくれると、僕に板チョコを差し出しました。

 

「驚かせてしまってすまない。詫びと言っては何だが、チョコレートでも食べるか」

 

 ええと、確か歓迎会の時に挨拶をしましたよね。そう、第一部隊副隊長で、クレイドルのソロさんでした。うん、あの日に出席していた人の名前はちゃんと憶えられているみたいで何よりです。

 だけど僕に何か用でしょうか。考えて……、そういえば今日はソロさんとの合同任務だったことを思い出しました。そうだそうだ、そういえばヒバリさんに言われてソロさんを待つためにここに来たんでしたっけ。僕としたことがボーっとしすぎて目的までも忘れてしまっていたようです。

 

「今日は付き合ってくれて感謝する。……ブラッドの仕事もあるだろうに」

 

「いえいえ! 最前線で戦う第一部隊の人と共闘できるなんて光栄ですー」

 

「世辞が上手いな。コウタにも同じことを言ったんじゃないか」

 

 世辞!? 世辞のつもりで言ったつもりはまったくなかったんですけど! 次いで「冗談だ」とソロさんが少し肩を竦めて言いました。……もしかして、からかわれたんでしょうか、僕。

 

「……? 冗談、だぞ?」

 

「あ、はあ。その、ちょっと冗談に聞こえなかったもので」

 

「そうか。場を和まそうとしたんだが……冗談は難しいな」

 

「たぶんそこまで考えて冗談を言う人っていないと思いますよ。むしろ考えないほうが良いです」

 

「考えないで発言するのか……!?」

 

 なんでそんなに驚いてるのかちょっと分からないですね。

 黙り込んでしまったソロさんに慌てて任務の話をすると、すぐに自分の世界から戻ってきてくれました。ソロさんはからかったりしないほうがよさそうですね。弄り倒して困ってる姿を見るのもいいですけど、考え込まれる事態になっちゃったら興醒めですし。

 

「今日の討伐対象だが……ヴァジュラだ。すぐに終わるだろう」

 

「え? ヴァジュラってそこそこ強いですよね」

 

 少なくとも二人だけで行く任務とは思えません。そもそも大型アラガミ自体が脅威に当たるんですから、もう少し人員を入れたりとかしてきちんと対策を立てないとこっちがやられてしまうんじゃないでしょうか。ブラッドでヴァジュラに出るときは四人のフルメンバーですし(どうしてもフルで入れない場合もありますが)、それにブリーフィングももっとしっかりしたものでした。

 別にここで戦い続けてきたソロさんの実力を疑っているわけじゃないんですけどね? ……でもそういえば、僕は既に他の第一部隊の人たちと二人きりで何度か任務に出ていたんでした。極東支部っておかしいですよ絶対。エリナちゃんとかエミールはまだ新兵らしいですし、それ以前に僕だってまだ神機使いになってから日も浅いのに! 新兵二人きりで任務とか馬鹿なんじゃないですかね、今更ですけど!

 

「ここは激戦区で人材不足だからな……。むしろ一人で倒すべきだ」

 

「えぇ……。じゃあどうして今日、僕が同行することになったんですか?」

 

「コウタがお前を気に入ったからだ」

 

 「厳密に言うとエリナとエミールが懐いたからでもある」懐いたって言い方には語弊があるような気がするんですが……どうなんでしょうね。エリナちゃんはむすっとしているしエミールは詰め寄ってきますし。どっちも懐いてきているというよりは……、ライバル、みたいな。対抗意識みたいなものを抱かれているような気がします、特にエリナちゃんに。

 僕としてはエリナちゃんとは仲良くなりたいんですけどねー。すぐプイってしちゃうんですよ。そんなところも可愛いんですけどね? ツンツンしてるならデレさせないといけないじゃないですか。なのにデレてくれないんですよ。難攻不落です。

 

「特にコウタは人を見る目がある。そのコウタの気に入りだ、俺も気になったということだ」

 

「はあ、そういうことですか」

 

「今日はよろしく頼む、飛鳥。期待しているぞ」

 

 先輩の期待が重いです。

 

 

――――――――――

 

 

 贖罪の街。黎明の亡都とはまた少し違う、かつて人が住んでいた場所。荒廃したそこに立ち並ぶビル群はまるで墓標のようです。首都、というものだったのでしょうか、ここは。随分とビルが密集しています。こんなところ、息苦しくなかったんですか。

 

「どうした、気が緩んでいるぞ」

 

 ソロさんに声をかけられてハッとなりました。神機使いになってからこうして壁の外に出る機会が増えましたが、その度に見かけるアラガミの爪痕にいつも目を奪われます。まだ神機使いがいなかった頃の惨劇。逃げ惑うしか術のなかった当時。その頃を想像してしまって、身震いしました。

 

「問題ないです」

 

「無理はするな。……ああ、そうだ。そういうときは空を見るといいらしい」

 

「空?」

 

「動物の形をした雲を探せ。そうすれば心が落ち着く。俺を新人の頃連れ回、……指導してくれた人の受け売りだが」

 

 視線を空に滑らせてみますが、生憎今日は快晴でした。からっと乾いた空は青一色に染まりきっていて、白は一点も見えません。「……雲がないときの対処法は聞いていない」残念そうに呟いたソロさんは前方を見据え、構えました。ヴァジュラの鼻先が見えます。鉢合わせですね。

 忘れていたオラクルリザーブを素早く済ませてからスピアに形態を戻し、そのままチャージ。僕のブラッドアーツはチャージグライド系のものではないですけど、先制攻撃としてはこれがちょうどいいでしょう。自分のスピードも相乗させてヴァジュラの右前足を貫きます。勢いが消えないうちに右後ろ足も薙いで重心を崩しました。

 

「やるな。……受けとれ」

 

 その隙に捕喰を済ませたソロさんがアラガミバレットを受け渡してくれました。レベル3のマックス状態。装着していた制御ユニットが展開し、少し身体が軽くなったように感じました。どれを使ったらいいか分からなくて今はジュリウスに勧められたレンジャーを装備していたはずです。スキルに関しては覚えていませんが。

 未だヴァジュラは体勢を立て直せていません。無防備なヴァジュラの顔面に突きを三連、一度引いて溜めて――ブラッドアーツ“残光のテスタメント”を発動し、突きの攻撃力にプラスしてヴァジュラの顔の内側からエネルギーが爆発しました。いい音ですねー、弾けましたよ。そのまま結合崩壊しましたよ。リンクバーストしている状態だと動きやすいし気分爽快だから助かります。

 

「ほう、それが噂の……っと」

 

 繰り出された雷撃をインパルスエッジを用いて相殺し、同時に距離を取ったソロさん。僕はロングブレードを使わないから分かりませんが、インパルスエッジってあんな使い方もできるんですね。

 「次はこちらから行かせてもらう」微笑んだソロさんはインパルスエッジを使用した際に生じる大きな反動をゼロスタンスによって消していました。ロングブレードで連撃を叩き込む際によく使用されるゼロスタンス。体勢を立て直し次の動作に移行するために有効なもの、だそうです。ジュリウスのブラッドアーツがこれから派生した物らしいので、ちょろっと聞いたくらいの知識しか知りません。

 一気に距離を詰めたソロさんの斬撃がヴァジュラを襲う。ソロさんのほうに意識が向いている隙に二度目のオラクルリザーブを済ませて、再び残光のテスタメントの構え。そーれ、お尻(穴はなかったけどたぶんお尻だと思う)にブスッとー。

 

「ガアアアア!!」

 

 体内から爆発したオラクルの輝きは、きっと僕が予想している以上に痛いんでしょう。ヴァジュラは叫び声をあげて体勢を崩しました。

 

「チャンスだ、畳み掛けろ!」

 

「了解でーす」

 

 がぶっと捕喰してソロさんに受け渡す。お互いにリンクバーストマックス状態の方がやりやすいですもんね。僕は後ろ足を、ソロさんは前足に有効打となる一撃を叩き込んでいく。足にダメージを入れておけばアラガミが逃亡を図った時に足のダメージのせいであまり速く離脱できないから有効だってシエルちゃんに教えてもらいました。シエルちゃん知識、ドヤァ。

 でもヴァジュラが体勢を崩すの、ちょっと早すぎじゃないですかね。と思っていると僕の視界の隅に何かが通過していきました。何だろうと思いそちらに少し視線を移してみると、ヴァジュラの前足でした。えっ、斬り飛ばしたって言うんですか、ソロさん。

 

「よし、叩くぞ。後ろ足もできそうなら飛ばせ。……いや、スピアじゃ無理か」

 

「こ、こんな無茶が通るって言うんですか極東は……!?」

 

「何が無茶だ。現に今できたのだから、無茶ではない」

 

「その理屈が既に無茶なんですよ!!」

 

 極東はやっぱり魔窟です。

 

 

――――――――――

 

 

 ヒバリさんに任務の報告が終わった後、ソロさんと少し話がしたいと思って周囲を見回してみましたが、ソロさんの姿はありませんでした。あれ、おかしいですね。だってたった今まで僕の隣で一緒に報告をしていたのに。そんなにすぐに姿を消さなくてもいいじゃないですか。

 

「ソロさんなら、ラウンジにいると思いますよ」

 

「え? ヒバリさん、分かるんですか?」

 

「ソロさんは任務以外の殆どの時間をあちらで過ごされていますので」

 

 さすがオペレータ、なんでも知っているんですね。

 ということでヒバリさんの助言に従ってラウンジに言ってみると、いました。入って右奥にある、テレビが設置されている区画。コーヒーカップを片手に書類とにらめっこをしているソロさんがいました。机に積まれたたくさんの書類を一枚一枚手に取ってじっと見つめ、時々何かを書き加えているようです。

 

「ソロさん」

 

「ん? ……ああ、飛鳥か。先の任務では助かった。ありがとう」

 

「僕のほうこそ。勉強になりました」

 

「勉強? 俺とお前では神機パーツが違うが……」

 

 首を傾げて考え込み始めたソロさんを慌てて止める。僕が勉強になったのは極東の神機使いの思考ですよ、とは言わないで。ここ最近第一部隊の人たちとご一緒したおかげで、本当に本当に、よぉーっく分かりました。極東はメチャクチャだってことが。

 しばらくここで働くということは僕も早くここの空気に溶け込まないといけませんからね。どんな無理難題でもやり遂げられるように頑張っていきませんと。それにしたってもうちょっと極東の支部長は任務の割り振りとか考えてもいいと思いますけどねー……。

 

「時に、例の……ブラッドアーツ、と言ったか?」

 

「ああ、はい。合っていますよ。それがどうかしましたか?」

 

「あれは俺も取得可能だろうか」

 

「う、うーん……? どうなんでしょうかー?」

 

 ブラッドアーツは僕たちブラッドが持つ“血の力”の発現形態の一つである。ラケル博士は確か、そう言っていたような気がします。ということはブラッド以外の神機使いは覚醒しないということではないでしょうか。

 「取得できるならば、俺もより強い力を以て戦闘に貢献したいと考えている」と続けるソロさんの言葉に、返答が詰まりました。できないかもしれません、なんて言えませんでした。でもその場合、僕はなんと返答したらいいんでしょうか。

 

「……僕には分かりません」

 

 結局、曖昧な言葉しか出てきませんでした。

 それでもソロさんは満足したようでした。

 

「そうか。困らせてしまってすまない。詫びに……」

 

「チョコレート、ですか?」

 

「そうだ。食べるか?」

 

 今朝のチョコレートは、そういえば受け取りそこなっていました。

 僕は苦笑いしつつ「ありがとうございます」とお礼を言ってから受け取り、ソロさんの横に座ってチョコレートに齧り付きました。ミルクチョコレートのようで、甘みが口いっぱいに広がって美味しいです。幸せだー、って感じがしますね。

 

「美味いか」

 

「はい、とても!」

 

 ソロさんは一つ頷くと、また書類と格闘し始めました。

 しばらく僕はその様子を眺めながらチョコレートを頬張っていたのでした。

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