黒い仮面のレユニオン構成員=黒い沈黙説(学会追放)   作:イカ墨リゾット

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まーた二週間も投稿サボってるよコイツ……(呆れ)

エクシアのオーバーロードとアズリウスのダブルショットを特化3にしたので初投稿です。おお、強い強い。

あっそうだ。MB-EX-8であってましたっけ。あそこ、サポート無しでクリアしました(王者の風格)エイヤもスルトも(お呼びじゃ)ないです。強襲作戦は……ダメみたいですね。前言撤回、やっぱ来て♡(即堕ち)


青の便利屋

背中から感じる圧力で、自身が今横たわっている事が分かる。コンクリートの様な硬い地面ではなく、何かしらの柔らかいモノの上らしい。

目を開けられる様になるまで、もう少しだけ時間がかかる。一体何処の何の上にいるのだろうか?草原?安っぽいホテルのベッド?それとも死体の山?……鼻につく悪臭は感じられないから、流石に死体はないだろう。

じゃあ、本当に何処なんだろうか。記憶を辿ってみよう。Wとチェルノボーグに向かい、そこでロドスとの戦闘に巻き込まれ、スカジと対峙し、そこに横槍が入って……。

 

そこから完全に記憶が途切れている。まさか、気絶したところをロドスに回収された?だとしたら最悪としか言いようがない。彼処のオペレーターは何人も殺して来たんだし、何かしらの痛い目に遭うのは火を見るよりも明らかだ。

ひょっとして、自分は拷問台にでも縛り付けられているんだろうか。だが、手足を拘束する様な物は付けられていない。本当に、此処は何処なんだ?さっさと目を開けよう。そうすれば、取り敢えずは何か分かる。

もう少しの間こうしていたいと訴える意思に勝利し、ゆっくりと目を開ける。見えた光景は灰色で、そこから現在地が室内だと判明し──

 

「……づあぁッ!?」

 

急に景色が回転し、恐らく床である場所に体を打ち付けられる。僅かに揺れる脳に鞭を打ち、より意識を覚醒させる。

 

「……Wかよ。なぁ、何も蹴り起こす事ないだろ?」

 

「此処は私の拠点なのよ?いつまでソファーを占領しているつもりなのかしら。」

 

先程まで寝ていたであろうソファーの、背もたれから顔だけを覗かせているWがいた。

乱れていると予測出来る頭髪を整えようと、左右の腕を動かすが、左の前腕に痛みが走る。裂かれたスーツの下に巻かれた中央が赤く染まった包帯を見て、ローランは若干申し訳なさそうな顔でWを見た。

 

「……もしかしてなんだけど。俺、またお前に迷惑掛けたのか?」

 

「ふーん、分かってるじゃないの。」

 

ジト目のWから送られる視線は実に痛かった。

 

 

 

 

 

「───で、そこで私が閃光弾を投げ入れたワケ。あのままじゃ、どうせロドスの連中を怒り任せに殺し尽くしてたでしょ?それは私にとっても困る事だし、そろそろローランも冷静になるスキルを習得したらどうかしら。」

 

「あー、マジか。……ヤバいな俺。控えめに言って、お前の足引っ張ってるだけじゃねぇか?どうすりゃ良いんだよ……?」

 

Wから事の顛末を聞かされ、ローランは自己嫌悪していた。誰だって相方の迷惑になる様な事ばかりしていたらそうなるだろう。しかも、ローランの場合はその相方がW。……一応、女性だ。サルカズと言えど、気絶した男一人を結構な距離運ばせるなんてクズ野郎もいいところである。

 

負傷した腕を気にしながら、ローランはWから受け取ったミネラルウォーターのペットボトルに口をつけていた。コンクリートの床にカーペットが敷かれた上でローランは胡座をかき、Wはソファーで寛ぎながら爪を磨いていた。こうしてみると、意外と女性らしいところが発見出来るものである。何故かWと目があったので、ローランは即座に目を逸らした。

 

ローランが運ばれて来たのは、Wが時折潜伏する為に使う拠点の一つらしい。どうもリターニアが保有する移動都市、ウォルモンドにある一軒家を買い取ったらしく、ローランとWはその地下室にいるらしかった。チェルノボーグから脱出した後、偶然近くを通りかかった天災トランスポーターが運転するトラックに乗せて貰ったとの事だ。ローランは焦りを覚えた。幾ら何でも迷惑を掛け過ぎている。そろそろ爆弾ベストを着させられて突撃しろと言われてもおかしくない。

 

「で、フロストノヴァはどうなったんだ?ロドスはどうした?」

 

「フロストノヴァはまだチェルノボーグにいるわ。ロドスと近衛局が私の横槍を切欠に撤退してったみたい。……アンタ、爆弾って作れるかしら?」

 

「は?爆弾?……まぁ、そこまで複雑じゃなければ作れるけど。タイマーから作れとか言われたら無理だけどな?でも、一応爆薬の調合とかなら出来るぜ。……おい、何驚いてんだよ。」

 

「フィクサーって何でも出来なきゃやってけないのかしら。……ま、別にいいわ。だったらそれを飲み終わったらテーブルに着いて。アンタの為にトラップとか色々使っちゃったのよ。」

 

ソファーの脇から工具箱を持ち上げたWが嘆いてから、親指で背後のテーブルを指さした。裸電球で照らされたテーブル上には、火薬やカラフルなコード、その他諸々の危険物が置かれている。一瞬、ローランは遠回しに自爆しろと言われているのかと疑ったが、Wの様子から違うと判断すると、残った水を飲み干して急いでWの後を追った。

 

「はい。説明書渡せば分かるでしょ?私はコレを作るから、少しでも揺らしたら……パァン!かもね?」

 

「お前、悪ふざけはマジでやめろよ?いや、流石にお前がやるとは思わないけど……俺さ、ほぼ独学でやってきたんだ。作業台ごと吹き飛ぶのはもう御免だぞ……。」

 

過去の事故を思い出し、背筋に冷や汗が伝うのを感じたローランは、説明書を穴が空く程睨んでから作業を始めた。プラスチック爆弾の形を整え、既に完成済みの信管やコード、タイマーを取り付けていく。

こういうタイプの爆弾はまず暴発しないと理解しているが、怖い物は怖い。目を細めて慎重に指を動かしていく。取り敢えず一つを完成させ、次に取り掛かろうとしたが、Wの方が気になったのでチラッと見てみた。

 

(……え?アレ暴発したら全部俺に来るよな。ヤバくね?)

 

Wは対人地雷の作成途中だった。殆ど作り終えているらしく、現在はセンサーを取り付ける為にコードを繋いでいる様だった。……しかし、そのセンサーの照射先と地雷の爆発する方向が完全にローランを向いているのである。仮に起爆する様な事があれば、何百という鉄球がローランの肉体を破壊するだろう。

見るも無残な肉塊となった未来の自身に戦慄していると、またしてもWと目があった。……本当にやめてほしい。頼むからわざとらしくセンサーを俺に向けないでくれ。

 

火薬のボトルに手を伸ばしながら、ローランは唾を飲み込んで祈ることしか出来なかった。

 

 

 

 

 

「ふぅ、こんなモノかしら。……何身構えちゃってんのよ。もう終わっていいわよ?」

 

「……急に立ち上がんなよ。軽く鳥肌立ったぞ?」

 

「ふふっ、可愛らしく怯えちゃって。……調合の様子を見てたけど、中々良かったと言っておこうかしら。今度源石爆弾の作り方でも教えてあげようかしら。」

 

「源石爆弾……あー、うん。その時はよろしく頼むぜ。」

 

完成品や工具を二人で片付けて、Wが解凍した冷凍ピザを食べ始めた。壁に掛かっている時計の短針はすでに五時を回っており、少し早めの夕食である。

 

「ローラン。暫くしたらあなたは龍門の郊外に向かいなさい。そこでクラウンスレイヤーが率いる部隊に合流して。」

 

「おいおい、また龍門相手にちょっかい掛けんのかよ?二回目ともなると、鼠王が黙ってなさそうなんだけどなぁ……で、Wはどう動くんだ?」

 

「私は一旦チェルノボーグに戻るわ。ちょっと野暮用が出来たの。」

 

「え、俺一人かよ……まぁ、いいか。そうと決まれば早速、武器の手入れなり何なりをしなくちゃな?」

 

「そ・れ・と。ローランはまーだ救急キットの一つも携帯してないの?彼処に置いてあるウエストポーチあげるから、一応持っときなさい。」

 

「……あ、そう言えば俺、基本的に武器以外何も携帯してなかったな。となると、やっぱりこの包帯もWのか。……ありがとう。」

 

おずおずと黒の下地に赤のラインが入ったウエストポーチを持ってきて中身を確認するローラン。中には包帯や消毒液、鎮痛剤等の一般的な物から、長めのピンセットに衣服を断ち切る為の鋏、医療用ホチキスから針と縫合用の糸まで入っていた。ローランはWには足を向けて寝ないと決意した。

 

そこからピザを食べ終え、ローランは武器の点検を、Wは再び爆弾の生産に取り掛かっていた。二人とも声を発さず、ただ黙々と各々の作業を続けていく。

一時間が経過したあたりで、それは鳴った。

 

「……W。お前、何かトランスポーターに運搬を依頼したのか?呼び鈴が鳴ったぞ。」

 

「いえ、何も頼んでいないし、頼まれる様な奴もいないわ。……どうやって此処を突き止めたのかしら。」

 

「居留守を使うか?」

 

「中に引き摺り込んで、情報を搾り取れるだけ搾り取る……駄目ね。仲間がいる可能性を考慮して、目に付いた奴だけ殺して逃げるしかない、か。」

 

武装を終えたWが玄関の直ぐ側に陣取り、先程作り終えたばかりの対人地雷を仕掛ける。ローランは何時でも外に強襲を仕掛けられるように、外から見られないように気を付けながら窓の近くに待機している。

もう一度呼び鈴が鳴った。

 

「……はぁい。一体何の用かしら?手紙ならポストに入れておいて欲しいのだけれど。」

 

『ん?いや、別に僕は郵便の配達員じゃないよ。人探しをしてるんだ……ローランはいるかい?』

 

扉越しに聞こえた声に反応して、Wがローランを怪訝そうな目で見る。ローランも自身が名指しで呼ばれた事に困惑しており、Wに対して首を横に振っている。

誰がローランを尋ねに来たのか。意を決したローランは、ゆっくりと窓から来訪者の姿を確認して──

 

「……W、設置したトラップを解除してくれ。俺の知り合いだ。」

 

ローランに気付いた玄関前に立つ男が、気さくな笑みを浮かべながらローランに手を振っていた。

 

 

 

 

設置した地雷の回収を終えたWが玄関の扉を開けると、そこにいたのはローランと同じくらいの身長の男だった。

ローランと似たような黒いスーツを着てその上からロングコートを羽織っており、どちらにも金の装飾があしらわれている。胸元から伸びる金鎖は、懐中時計を繋ぐ物だろうか。スーツと同じく金の装飾が入った黒い中折れ帽を目深に被り、片手には近未来的なトランクを携えている。何処か怪しげな茶髪の男だ。

 

「久しぶりだね、ローラン。みんなを代表して、君の様子を見に来たよ。」

 

「おう、カズデル以来か?お前も元気そうで何よりだ。」

 

人の良い笑顔で男を出迎えるローランとは対照的に、Wの表情は若干の驚愕に染まっていた。

 

「ねぇローラン。あなた、青の便利屋と知り合いなの?」

 

「青の便利屋?……あ、あー!確かそんな名前だったよなお前。ゴメン、ちょっと忘れかけてた。」

 

「それはちょっと酷くないかい?でも、そうだね。青の便利屋だと一々呼びづらいだろうし、取り敢えずペイルと呼んでよ。」

 

地下室に移動しながらそんな事を話すローランとペイル。Wはローランが特色フィクサーであるが故にペイルと知り合いなのは納得しているが、どうやって拠点を特定したのかが不思議でならなかった。細心の注意を払って地下のインフラ整備用通路を通ったというのに、本当にフィクサーは滅茶苦茶な連中ばかりである。

 

「お前もそろそろ、スカーモールが特色に昇進させてくれるんじゃないか?便利屋内じゃトップだったよな。」

 

「今は紺色がいるし、何よりも青い残響が居座ってるじゃないか。それにだね、僕達便利屋は基本的に道具頼りなんだ。身体能力に物を言わせられるようにならないと、特色に上がるのは無理だね。」

 

そう言ってペイルはトランクをぶらぶらさせる。ローランは顔を顰めたが、それも一瞬だけだった。何事も無かったかのように三人でテーブルに着く。

 

「それで、青の便利屋様は何故こんなところにいらっしゃったのかしら?」

 

「だからペイルって呼んでくれればいいし、ちょっと嫌味ったらしいぞ君……。最初に言った通りさ。ローランの様子を見に来ただけ。君もローランと行動を共にしているのなら、僕の言っている意味が分かるだろ?」

 

Wは、ローランとペイルがそれなりに深い関係である事を察した。ローランの様子を見に来たと言うのは、要するにローランの精神が不安定な状態に陥っていないかどうかの確認に来たのだろう。それと、ペイルの代表で来たという言葉にも引っ掛かる。まさか、ローランは何人もの便利屋と関係があるのだろうか。

 

「……その様子を見る限りじゃ、今は大丈夫そうだね。取り敢えず一安心と言ったところかな。それじゃあローラン。また例のヤツが送られて来てるから、一緒に見ようか。」

 

「またかよ……俺は義体にするつもりは無いって、何回言ったら分かるんだアイツは。」

 

ペイルがテーブルに置いたトランクを開け、中から取り出した数枚の書類をローランに見せる。Wも見るか?とローランに誘われたので、一緒に書類に目を通した。

 

「まずはコレ。ローランの部分的な義体化案だよ。」

 

テーブルに置かれた書類。最初に目に付くのは、なんと言っても丁寧にスケッチされた……恐らく、部分的に義体化したローランだろう。

義体はテラでは然程珍しい物ではない。最近では本来の肉体よりも高性能な義体が登場しており、四肢のいずれかを欠損した傭兵が義体を装着し、以前よりも強くなったという話をローランもWも耳に挟んだ事がある

 

それでも、完成図に描かれている部分的に義体化したローランは、この場の全員が頭上に?を掲げる程見慣れないモノだった。

 

「うーん、顔の部分どうなってるんだろうね?」

 

「これ、注射器か?一体どんなヤベー薬物を俺に注入するつもりなんだよ……。」

 

「もはや面影がスーツぐらいしかないわね……。」

 

最初に目に映り込むのが右腕である。肩部から指先にかけて全て義体に換装されており、指が存在した部分には四本の鋭い爪が装着されている。所々露出しているコードがいかにもな雰囲気を醸し出し、正に義体といった風だ。続いて頭部も義体に換装されているのだが、完全に人の顔ではなくなっている。丁度錆び始めた鉄の様な色合いをしており、至る所に僅かな隙間が空いている。以外と仮面だったりするのかもしれない。だが、そんな淡い期待は直ぐに打ち砕かれた。

 

注射器だ。それなりの大きさを誇る注射器が、右上腕中央と右肩の側面辺りに一つずつ、そして後頭部にもう一つの計三つの注射器が刺さっている。中に封入された液体は橙、青、黄緑とどれも蛍光色に輝いている。

注射器が後頭部に刺さっているところから、どうやら頭部も義体に換装されるらしい。

 

「マジで中身何なんだよこコレ……てか、頭部が異様すぎるわ!」

 

「こんな形で都市でも出歩いたら、まず間違い無く捕まるだろうね。そもそも、頭部の義体化っていうのはまだ不可能なんだよ。……まぁ、アイツと一部の工房なら可能なんだけど。」

 

「私からしたら、あなたの腑抜けた面を拝まなくてよくなるからやってみたら?」

 

相変わらずWの言葉にはキレがある。自身の顔を両手で触って確認するローランを哀れに思いつつ、ペイルは一旦先程の書類をしまい、違う書類をトランクから取り出した。

 

「はい、今回はコレで最後だね。全身を義体化した案みたいだよ……僕も初めて見るけど、何と言うか、こう……度し難いよね。」

 

ペイルの発言に、ローランとWの二人が釣られた様にズイと顔を近付ける。

 

スケッチされていたのは、全身を黒い装備で固めた男だった。黒いコートを身に付けている。一見、脚部や腕部にそれほど義体らしさは見られない。強いて言うならば、左右の前腕に角張った手甲の様な物が装着されているぐらいだろう。

だが、頭部は他とは異なった。耳の部分が集音性に優れていそうな形になっていたり、額よりも少し上の部分に取っ手の様な物が付いている。何処と無くヘルメットに見えるソレは、顔面の中央部から圧倒的な存在感を放っていた。

 

恐らく、ソレはヘルメットでいうならばシールドに相当するのだろうが、普通だったら横向きに付いているところを、何故か縦に一本、一直線に付いていた。しかも、怪しげに紫色の光を放っている。

スケッチされている人物が取っている、左右に手を広げるポーズは実に堂に入っており、今にでも「おやおや」と言い出しそうな──

 

「……その、なんだろうな。さっきのに比べればマシな筈なんだけど、何処か外道染みてるんだよな。」

 

「こっちの尊厳なんか無視してきそうな見た目ね。」

 

「凄い言われようだね。まぁ、僕も上に同じくだけど。……無線機持ってるんだ。感想くれって言ってたし、繋ぐよ。」

 

書類をトランクに仕舞ったペイルが、代わりに無線機を取り出した。

 

「ローランは、誰がコレのスケッチをしたか知ってるの?っていうか、何気に流してたけど頭部の義体化って言ってた!?」

 

「うん?あぁ……Wは、赤の便利屋って知ってるか?」

 

「……名前だけね。恐ろしく強いとか。まさか、赤の便利屋が描いて送ってきたの?」

 

「うん。でだ、ビックリするなよ……ソイツ、脳とかの重要な器官以外、全部義体なんだ。」

 

「はぁ?」

 

ありえないと言いたげな顔をするW。それでも、ローランが嘘を言っている様には見えない。至って真面目な目だ。そんな二人の間に無線機を握った手が突っ込まれる。

 

「どうやら繋がったみたいだな?……あー、もしもし?」

 

『ローランカ!俺ガ考エタ義体案ハドウダッタ?オ前モキット気ニ入ッテクレタダロウ!』

 

「それだけどな……ゴメン、無理。」

 

『アァーッ!?一体何ガ駄目ダト言ウンダ!?コノフォルム!コノ色合イ!コノ実用性!ドレヲ取ッテモ完璧トシカ言エナイダロ!!』

 

無線機越しに聞こえてきたのは、到底人間が出せる声では無かった。AIが発する様な機械的な合成音だ。しかし、無線機で捲し立てる人物はボイスチェンジャーを使っている訳では無い。正真正銘、そのまま出している声である。

 

「あのな、両方とも見た目が怪し過ぎるんだよ。日常に紛れ込んでられるか、こんな物騒なヤツ。」

 

『ム。イヤ、ソウカ……コノ体デイル事ニ慣レテイルカラナ。ソッチノ面ヲアマリ考エテナカッタゾ。クソ、マタ失敗カ……アリガトウローラン。ソレト、元気ガ無クナッタラ何時デモ訪ネテクルトイイ。即座ニ義体ニ換装シテヤロウ!』

 

義体の事になるとハッスルし始める同業者の顔を思い浮かべて、ローランは頬を緩ませる。今頃、その赤いモノアイを暴れに暴れさせているだろう。

 

 

 

 

 

 

 

「……コレが赤の便利屋って、ロボットって言われた方がまだ信じられるわ。本当に元人間なの?」

 

「あぁ、工房の連中と結託して自分の肉体を魔改造したんだとさ。」

 

ローランが紙に描いた赤の便利屋の姿を見て、Wはまたしても驚愕していた。そんなやり取りを続けていると、何時の間にかマグカップでコーヒーを飲んでいたペイルが話し掛けてきた。

 

「ローランは、レユニオンの……幹部だっけ?次は何をするんだい?」

 

「コレって言っていいのかW?……あ、いいのか?じゃあ、言うぜ。なんでも、あの龍門に結構な規模で襲撃をかけるらしい。勿論俺も参加する……ああ、そろそろ向かわなくちゃな?」

 

椅子から立ち上がるローランを尻目に、ペイルは少しの間考える素振りを取ると、あろうことか中身の残っているマグカップをトランクに入れて立ち上がった。

 

「その襲撃、僕も参加出来るかな?ちょっと近衛局に用があるんだ。丁度、関係のある依頼を受けたところでね。」

 

「出来ない事も無いんじゃない?傭兵とかも紛れ込んでるし、クラウンスレイヤーなら青の便利屋も知ってるでしょうしね。多分、実力的に十分OKが出ると思うわ。」

 

Wのその言葉を聞くや否や、ペイルはトランクにアーツを込め始めた。

 

「ローラン、送っていこうか?どうせなら一緒に行こう。」

 

「お、ありがとよ。」

 

準備を終えたローランがペイルの側に立つ。アーツを込め始めたペイルを見て、Wはこれから何が起こるのか予測する事が出来なかった。

天井に当たらないように、ペイルがトランクを頭上に放り投げる。開いた状態で投げられたトランクは、重力に従って落下……しなかった。

 

開いた面を下に向けたまま、空中で静止したのである。その様子をローランは興味深気に眺め、ペイルは帽子の縁に手を当てている。トランクはブルブルと震え始め、それと比例する様に大きくなっていく。

 

ある程度の大きさになった途端、トランクは一気に降下して二人を飲み込んだ。地面に着く直前にパタンと蓋が閉じ、今度は急速に縮んでいった。それこそ、肉眼では完全に見えなくなるぐらいに小さく。いや、既に存在していないのかもしれない。

 

そして残されたのは、呆気に取られたWだけである。Wは考えを改めた。特色の次に来る実力者なのだ。便利屋だって十分に化け物なのだ、と。

 




???「私は⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎。特色フィクサー。『桔梗の黎明』とーーー人は呼びます。」


・青の便利屋(ペイル)
最も特色に近い便利屋。ローランとは仲が良い。トランクに詰まってるモノがモノなので、時々アビサルハンターの襲撃を受ける。

・赤の便利屋
工房と協力し、テラ史上初の全身義体化に成功したロマン狂の変態。ロマンって言ったらやっぱりビームでしょ(暴論)ユーネクテスとメイヤーの二人に会わせてはいけない。
……ヴァーミルの義手とかヴァルカンの義足があるから、そこまで世界観はブッ壊れてない……ハズ。セーフだから(震え声)
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