黒い仮面のレユニオン構成員=黒い沈黙説(学会追放) 作:イカ墨リゾット
↓
コネクトが認知される
↓
まどマギのブームが再到来する
↓
気持ち良すぎて汚染される
↓
身体は鬱と愉悦を求める
↓
魔法中年おずま☆ローランが執筆される
誰か書いて♡書け(豹変)
「キミは確か……厄星とか呼ばれてれるバウンティハンターだっけ?賞金に目が眩んだなら、覚まさせてあげようか?」
「?友だちにどうして賞金が関係するのかしら。」
スカジが発した友だちという単語を聞いたラップランドは、その意味を理解して爆笑した。
「友だちって、アハ、ローランを何も知らないで友だちって言ってるとか、クフッ、ダメだ面白すぎる!アハハハハッ!!」
ラップランドの馬鹿にしたような笑い声にスカジは若干眉を顰めるが、それはラップランドにとっては図星を突かれているようにしか見えなかった。
目の前の愚鈍な女に笑いが止まらない。ローランの事を何も理解していなクセに友だちと宣うだなんて、下手なジョークよりも全然面白いじゃないか。どうせコイツは、ローランが黒い沈黙だと知って媚を売りに来ただけだ。
「ハァ……何も知らないってのは幸せだね?ローランがどんな人間なのかも理解してないで友だちってさ。特色フィクサーの実力も知らない程の盲目なのかな?それとも媚びを売りに来ただけ?どっちにしろ、キミみたいな木っ端しなんかにローランは興味がないんだよね。邪魔だからさ、さっさと消えてくれないかな。」
ローランの薄っぺらく、故に何ら違和感を覚えない飄々とした態度に勘違いしただけの哀れな女だ。何処で接点があったのかは知らないが、そんな事はどうでもいい。この無知な女に現実を分からせるのは、一体どれ程楽しいのだろうか。
「知らないでしょ?ローランはどうしようもない人殺しで、悪人で、自分で自分の首を絞める程愚かで、脆弱で、だれかが自分を殺してくれる事を救いだと捉えてる、ほんっとうに馬鹿な男だって。ローランが手に掛けた人数を僕が知ってる範囲で教えてあげようか?破滅させた他人の幸せを語ってあげようか?ローランの空っぽを満たす事ができる存在はキミじゃないって、分からせてあげようか。」
「必要ないわ、全部知ってるもの。」
この女が見せたのは、期待していた醜く歪んでいく表情ではなく、目の前の執着の対象が時折見せていた飄々とした表情に何処か似ているものだった。
「これでも結構長いこと一緒にいたのよ?勿論知ってるわ、ローランが私に語ってくれたから。」
「はぁ?何それ。現実が受け入れられなくて気でも狂った?よかったじゃん。ローランと一緒だよ。」
「貴方と一緒にされても困るのだけれど……ええ、今思い返してみればローランとは一緒な事も多かったわね。」
ラップランドは一瞬呆気に取られた顔をして、すぐに眉を顰めた。表情が完全に目の前の女と入れ替わっていた事には気付かなかったが、それほどこの女が言っている事が衝撃的だったのだ。それこそ、女の頭のネジが何本も外れいていると信じたくなる程に。
「他人と共有できるものがあるということは素晴らしい事だってローランは言っていたけど、正にその通りだと思うわ。深海の光を飲み込む暗さも、物悲しくなる冷たさももう感じない。過酷な運命に抗う強さ、正しくあろうと努力する姿、決して自分を見失わない理性、前の二つはローランが私に自覚させてくれたの。そして最後の一つは、私がローランに自覚させるべきこと。」
「全部知ったように喋るヤツって大嫌いなんだよね。ボクがみんなに笑われるだけのピエロになった気がしてさ。」
「彼は何も知らない私に手を差し出してくれたのよ。でも、私が手を差し出す前に彼は行ってしまったの。可笑しいことよね?彼も私も、一人でいる事の本当の辛さを知っている筈なのに。」
視界が真っ赤に染まったように錯覚したかと思えば、ラップランドの両手にはローランの掌に突き刺している剣が握られていた。ローランの傷口を広げないように極めて理性的に剣を引き抜くと、目の前の女に右手の剣の切先を向ける。滴り落ちる血に高まる恍惚感を覚えるが、今はそれよりも怒りが勝っている。
「さっきから、何なのかな?」
「私はローランを返して欲しいのよ。傷口が膿んでしまうわ。」
「お前はローランの何なんだよ。べらべらと気色悪い妄想垂れ流して、気味が悪いんだよね。」
「私はローランの友だちよ。既に言ったと思うのだけど……まぁ、貴方がローランの何だろうと私には関係ないわ。危害を加えている時点で高が知れているもの。」
「トモダチ。トモダチかぁ……現実を直視したくない可哀想なオトモダチ。ローランもこんなのに付き纏われてるなんて大変だね?」
ラップランドから殺意が漏れ出したのを感じ取ったのか、スカジもベルトで肩に掛けていた大剣の柄を手に取り、軽々と片手で構えた。
その様子にラップランドは片眉を吊り上げる。如何にも気に食わないといった表情だ。
「ハッ、使う武器まで一緒にしなきゃ気が済まないとか本当に気色悪いね。今すぐロドスに戻って診てもらった方がいいんじゃないかなぁ?」
「……今ので分かったわ。」
「遂に我慢の限界かい?ほら、みっともなく暴れてごらんよ。情けないキミの姿を見ればローランも完全に見限るだろうしさ。」
「情けないのは、いえ、可哀想なのは……貴方のほうよ。」
ラップランドのすぐ近くで項垂れているローランを見れば、目の焦点が合っておらず、顔全体が青褪めている。首筋は一部抉れていて、溢れ出た血が黒いスーツと白いシャツを染め上げていた。そう言えば、ラップランドの口元にも血が付いている。
一度だけ、ローランが話していた。いつ襲い来るか分からない深海からの追手に警戒しながら二人で歩いていた時。地上の事を語るついでに、何となしげに語っていた事。
今まで数え切れない程の人間を不幸にしてきた。その中でも、とびっきりの絶望に叩き落としてしまった少女がいると。暫くの間、罪悪感から面倒を見ていたと。花の咲いた様な笑顔は狂った様に豹変して、復讐の為に生き続け、目的を失って本当に狂ってしまった、銀髪の、ループス。
「貴方は本当のローランを見た事があるのかしら。」
「それってボクの質問じゃないのかな。寧ろ、ボク以外にいないと思うけど?」
「只管心を押し殺して、それでも葛藤の内に訳が分からなくなって、罪の意識だけを膨れ上がらせていくのが本当のローランだと思っているの?だとしたら、それはとても悲しい事だわ。」
「まるで本当のローランを知っているかのような口振りだね。いい加減言ってる意味が分かんなくなってきたし付き合うのも面倒臭いからさ、早く来なよ。」
「人は必ず何かしらの欠点を一つは持っているわ。それはローランも例外じゃない。彼の唯一と言ってもいい欠点は、自分で自分をより良い存在にする事ができない、これだけよ。全部一人で抑え込んで、誰にも知られる事無く奈落に向かって落ちて行くの。誰かに手を伸ばして欲しい、その手を掴んで離したくない、そんな人なら誰しもが持っていて当たり前の欲望すら抑え込んでしまうの。一人で生きていくのが、とても辛いのよ。」
これ以上この女の話を聞きたくない。
「誰かの命を奪い続ける事でしか生きてゆけないこの世界に、彼は耐える事ができなかった。ローランの根はとても優しいというのは、貴方も理解していた筈よ。」
そんな事はとうに知っている。だから、その優しさに付け入ろうとした。
「だから、ローランは貴方に対して途方も無い罪悪感を抱いていた。きっと、元の幸せを取り戻して欲しくて頑張っていたのね。けど、貴方の狂気は留まる事を知らなかった……知っているかしら?狂気は伝播するのよ。私の仲間もそうだったわ。それはローランも同じ。誰も手を繋いでいないと勝手に落ちていくのに、誰かと手を繋いでいてもその方向に引っ張られ続けるの。自分の意思なんてとうに死んでしまったかのように。」
ボクが狂っていけばいく程、ローランも狂って壊れていった。それが堪らなく嬉しかったんだ。それは、ボクだけをしっかりと見ていてくれる事の証明だったから。
「精神が完全に壊れて廃人に成りかけると、一つの感情を盾にして最後の抵抗を試みるの。貴方は『狂気』で、私は『諦め』。ローランの場合は、『罪悪感』ね。それに縋っていないと、日々を生きるのが本当に苦しくて仕方がないの。もう、その感情を通さないと外の世界を見る事ができないの。聞く事も、感じる事もできないわ。」
狂気は一度呑まれてしまえば楽なのに、ローランは必死に足掻いてた。口の中に流れ込んでくる水を吐き出して酸素を求めるようにもがくその姿は、見ているだけで楽しくて愛おしかった。
「……ローランは罪悪感を感じられずにはいられないの。それが唯一自分をこの世に留めてくれて、いつか自分を救ってくれると信じていたから。勿論、貴方にはとてつもない罪悪感を感じていたでしょうね。直視する事すら憚れる程の、濃密な罪悪感。果たしてそれは、貴方自身を見ていると言っていいのかしら。」
ローランの生き方は歪でしかなかった。罪悪感なんて抱くだけ無駄でしかないのに、宝物みたいに大事に抱えるんだから。ただ重荷にしかならないそれに一体どんな価値を見出していたんだろう?
だから、そんなモノより。
「じゃあ、何だよ。ローランは、ボクを見てないって言いたいのかな……?」
「まぁ、そういう事よ。貴方という存在はローランにとって罪そのものであり、許されざる己の所業を証明するモノ。只管に尽くして、後悔して、懺悔して……それでも許されなかったし、自分でも赦せなかった。そこに貴方という人間が入り込む余地は……ないわ。」
偶にでもよかったから。
「な、何出鱈目言ってんだよ!?そもそも、お前にボクとローランの何が分かるんだよ!!」
冷たくてもよかったから。
「ローランが!ボクを!見ていないって!そんな訳ないだろ!!アイツが全部滅茶苦茶にしたんだよ!?有り得たかもしれないボクの未来を!!そんなアイツが、ローランが!!ボクを見ていない筈がないだろ!!」
痛くてもよかったから。
「朝から晩まで、ずっと一緒だったんだぞ!?光の届かない闇の中でだって、噎せ返る程の血溜まりの中でだって、ずっとずっとずっと………一緒に、いたのかなぁ。いなかったのかなぁ?いたかったのかなぁ?」
ボクだけを見て欲しかった。
「違う違う、違う!!嘘だ、違う、そんなんじゃない!そんな事有り得ない!!何でだよ!!全部ボクが勝手に思い込んでるだけだった!?違う!!ローランだって、ローランだって!!嫌だ!!ボクはそんなんじゃない!!ボクはそんなんじゃないんだよ!!嫌だ、思い出せない、助けて、誰か助けてよ、ローラン、嫌だ、ローラン。あぁ、ああぁ。」
心の底でずっと仕舞い込んでいた真実。とっくに気付いていた筈だったんだ。ローランが見てるのは罪そのもので、向ける感情は罪悪感と憐憫と後悔ばかり。
ボクが見ていたローランは上っ面だけ。
狂えるローランを罪悪感で縛り付けて離したくなかった。
唯一過去のボクを知ってる人。
ボクは過去のローランを知らない人。
お互いにお互いを見てない吐き気のする関係。
壊れ続ける円環を巡り巡っただけの時間。
ボクはローランを赦したかった。
ローランはボクに許されたかった。
ボクが拒否すれば永遠に続くと思った。
ボクは捨てられた?救われた?
答えを出したくなかった。
ローランは何処に行くの?そんな身体で何処に行けるの?
一緒にいようよ。キミは違うの?
お願いだよ。一生に一度のお願い。
何処かに行くなら連れて行ってよ。
何で自分一人で行っちゃうの?
普通の幸せなんかどうでもいいよ。
暗いよ。寂しいよ。灯りが消えちゃったから、道も何も見えないよ。笑ってなきゃ怖いんだよ。過去の罪なんか、全部水に流そうよ。前が見えないでしょ?ボクが一緒にいれば、寂しくないよ?本当だよ?
どうして?
『俺と一緒にいちゃ駄目なんだ。』
なんで?
『人でなしのろくでなし。キミには、俺みたいになって欲しくない。』
別にいいんだよ?
『まだやり直せるんだ。キミは光の元で、誰かと一緒に笑い合うのが一番だ。』
待って。
『キミは俺を殺してもいいし、殺さなくてもいい。それでキミが幸せになれるなら。でも、地獄への道を歩んじゃ駄目だ。もしかしたら俺が、殺してしまうかもしれない。』
嘘だったんだよ。一緒にいたかっただけなんだよ。
『体調には気を付けろよ。あと、髪の手入れは一人でできるか?ははっ……なんてな。』
ねぇ。
『どうか、俺の事を赦さないでくれ。もし赦されたら、俺は。』
許すよ。許すから。
『………ごめんな。』
あっ。
嫌だ。溶けていく。意識が闇に。消えてなくなっちゃう。
怖いよ。助けて。引っ張り上げて。
ローラン。
「ひぐ、いやだ、やだよう。う、ローラン。ねぇ、ローラン。」
「………。」
助けを求めても、その人の精神を壊したのはボクで。
「相当思い詰めていたのね。今までの行いを考えれば自業自得かもしれないけど、ローランはきっと許してくれるわ。けど、ごめんなさい。これだけは許せなかったの。」
「ローランはもう、壊れちゃったの。」
ボクは壊すことしか知らなかった。
ラッピー「ローランはボクだけを見てればいいんだよ!」
スカジ「ローラン貴方の事見てないわよ」(1d100)
ラッピー「お゛っ」(ファンブル)
おい、スッゲェな!!ここにいる奴ら全員狂ってるぜ!!お似合いだな!!
あ、まだバリバリ続くんでお願いします。やっぱ便利屋よな。