黒い仮面のレユニオン構成員=黒い沈黙説(学会追放)   作:イカ墨リゾット

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前回から結構間が空いてしまったので初投稿です。ま、多少はね?(人間の屑)


ヤバくなると何かブワッと来るよな。分かるだろ?

大自然を歩くって言われれば聞こえが良いけど、寒いのは苦手だよ。

所々黒い岩が出てるけど、それでも辺り一面真っ白だ。絶景と言えば絶景だけど、それは紙媒体や画面越しに見ているから言えると思うんだよな。いざその場に行ってみると、何らかの別の事に思考を奪われる。寒くてさっきから小刻みに震えてばっかりだ。

 

と、部隊の進行ルートに不満を漏らすレユニオン兵士、それが俺、ローランだ。

 

部隊長からウルサス帝国付近の感染者の救済に行くぞ、と言われたのが3日前。此処までの距離を歩いたのは本当に久しぶりだよ。

ん?あー、一応知らなさそうな君に説明しておくと、俺が追い出された龍門は炎国の主要都市だから、大体その辺りをうろついてるんだ。テラの地図を見た事があるかい?ウルサス帝国と龍門は結構な距離があるんだよ。

 

ふー、にしても寒いな。途中で防寒具を全員で着用したんだが、必要最低限ってところだから完全には寒さを防いでくれないんだ。

それでも靴と手袋だけはしっかりしてるところを見ると、ちゃんとコレを着用するヤツへの思いやりが感じられるな。悴んだ手じゃあ碌に武器を振れないしな。靴に関してもだけど、足先の感覚が有ると無いとじゃ全然違うんだぞ?

 

そんな事を考えてる内に山岳地帯に突入したな。こっからはウルサス帝国軍が監視してる事もあるから、なるべく素早く行動するんだと。精々奇襲を受けないように祈りますかね。

 

周囲を警戒しながら進んでると、後ろのヤツが話し掛けて来た。

話しを聞いてみると、どうやらレユニオンには『スノーデビル小隊』ってのがあるらしい。

なんでも《フロストノヴァ》って言うレユニオンのアーツ部隊幹部が率いる精鋭部隊らしく、主に此処みたいな寒冷地で行動しているらしい。名前からして寒そうなヤツだな。冷気を操るアーツでも使うのかなぁ?

 

もしかしたら会えるかもなって適当に相槌を打ってこの話しを止める。隊長が言うには、そろそろ目的地に着くらしい。くれぐれも気を抜かないようにしなくちゃな。到着して気を抜いた瞬間に襲われたら、目も当てられないからな。勿論それほどの惨状が出来上がると言う意味で。

 

一山越えて、またもう一山を中腹ぐらいまで行くと、そこには村がある。小さくて、寂れた少し貧しい村だ。

幸いにもウルサス帝国軍はいなかったから、部隊長が村人達に事情を説明している間に、さっさと運んできた物資を村に運び込む。お、缶詰。せめて俺もコレが食べたかったよ……。

 

その後はちょっとした炊き出しをして、少しだけ休憩してから村を出る。後ろから感謝の声が聞こえてくるんだけど、ちょっと不思議な気分だな。こんな感じの心の籠った感謝は、今までに何回聞いてきたっけ?

 

心なしか、みんなも明るくなってるな。まぁ、子供は可愛いよ。俺もそれぐらいは分かる。色々な話をせびられたヤツに至っては、仮面越しにも分かるぐらいの笑顔だ。こう、無邪気なところが良いんだろうな。

来た道を少しだけ外れてから戻れば、後はキャンプを張って休むだけ。この分なら、良い運動になりそうだな。多分力は衰えてないけど、持久力は落ちてるからなぁ……。

 

 

 

 

 

物資を運び終えて軽くなった体を揺らしながら、木々に囲まれた山を降りる。足元には雪が積もっていて、踏み外したら麓まで滑っていきそうだ。

寒さで白くなった息を吐きながら、気を研ぎ澄ませて進む。いつ帝国軍に出会すか分からないからな。

 

ふと思ったんだけど、この仮面口の部分に穴が空いていないのに、不思議と苦しくならないんだよな。意外と良いヤツだったりするのかな?俺が昔被ってたヤツもそうだけど、機能まで似てるとはな。

突如湧いた疑問はまた対処するとして、段々と視界が開けて来たな。どうやら、無事に山を下る事が出来たみたいだな?

 

地平線から顔を覗かせた太陽が発する光を、周囲の雪が反射して光り輝く。朝焼けに染まった空は、どこか儚げだ。

何人かが感嘆の声を漏らしてるけど、だからと言って気は抜いちゃいけないんだよなぁ。

 

……今更だけど、まだ日が登ってすらないのに押し掛けるって、相当迷惑だし非常識だよな。改めて考えてみたけど、よく追い返されなかったよな。

ふと、何かが動いているのが見えた。その黒い物体は、俺達から見て右側の、それなりに遠いところで動いてるみたいだ。

 

あぁ、クソッ。俺はアレが何なのか知ってるんだ。部隊長に声を掛けてから、急いで岩陰に身を隠す。

他の面々も部隊長の指示で隠れるところを眺めながら、俺はどうするかを考える。

 

まず、ウルサス帝国軍には国境周辺を巡回する索敵哨戒部隊がいる。主に5人ぐらいで1つの車に乗って、不審な者、もしくは物を見つけたら戦闘哨戒部隊に連絡するんだ。

で、戦闘哨戒部隊って言うのはガッチガチに武装した哨戒部隊で、不審者とかの排除をその場で行う、又はちゃんとした戦闘部隊が来るまで敵の侵攻を防ぐのが役目なんだ。ごっつい車に15人ぐらいで乗ってるんだよ。

索敵哨戒部隊が40〜50ぐらいで、戦闘哨戒部隊が10〜15ぐらいなんだ。で、索敵哨戒部隊はまず最初に戦闘哨戒部隊に連絡を飛ばして、次に国境付近の駐屯地に連絡を飛ばす。戦闘哨戒部隊はそのまま駐屯地に飛ばすんだ。

 

結局何が言いたいのかというと、俺達は戦闘哨戒部隊にぶち当たったって訳だ。……もう見つかってるかな?

 

コレは冗談抜きで本当にヤバい。もし見つかっているとしたら、多分遠距離から一方的に攻撃されるし、かと言って山に引き返しても、生憎と後ろはウルサス帝国だ。囲まれてじわじわと死んでいくのがオチだな。それにさっきの村の連中を巻き込みかねない。

 

せめて接近戦に持ち込めればワンチャンスあるんだけどな。でもこの距離を走って詰めるとなると、腕や足の1本覚悟しなくちゃあいけないんだ。流石にこんな所で自分の鮮血振り撒きたくないぞ。

 

見つからないように注意しながら敵を確認してみると、こっちに向かって来ているのが分かる。

んー、あの速度から考えるに、「ん?何アレ?なんか見えたぞ。」って感じだな。……どうやらギリギリセーフだったみたいだな?制服が真っ白だったのが役立ったらしい。

 

 

 

 

 

暫くの間息を潜めていると、アイツらの車が正面辺りで停止して、中から人が降りて来た。

ざっと12人ってところだな。盾を持った重装が3人、剣や槍を持った前衛が4人、クロスボウを持った狙撃手が3人、術師が2人いるみたいだ。多分車の方にも何人か残ってるな。何か異常があったらすぐに連絡出来る様に、と待機しているんだと思うけど、動きづらいなぁコレ。

 

考えを巡らせる。こうしている間にもヤツらは此方に近づいて来ている。……ちょっと無茶かもしれないけど、生き残る為には頑張って貰わないとな。きっと決死の覚悟で行けば成功するさ。

俺とは違う岩に身を隠した部隊長まで腹這いになって近づいて、俺の考えた作戦を伝える。部隊長の方もこの作戦に納得してくれたようだ。

 

作戦は至って単純、そう、シンプル・イズ・ベストだ。ただ寄って来た帝国軍を殺して、狙撃手に車の逃走を妨害して貰いその隙に接近、中の奴を殺して車を鹵獲、そして逃走だ。

ん?あぁ、安心しろって。俺は車の運転ぐらい出来るんだ。これでもフィクサーだったからな。

 

この作戦で最も重要なのは、如何に最初にやって来るヤツらを早く殺せるかだ。

その為には、より無駄が無く迅速に、効率的に、そして圧倒的にやる必要があるよな。

だから俺はアーツの準備をした。

 

俺の相棒とも言える剣を引き抜いてアーツを纏わせる。黒い靄が俺の剣に纏わり付く。それは、何もかも呑み込みそうな深淵を思わせた。そして俺は、周囲にアーツを解き放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

辺り一面の白。吹き抜ける風。

 

ーーー沈黙が訪れた。

 




ローラン君
使うアーツは沈黙。一定範囲内で発生する音を全て無音にする事が出来る。日常生活でも役立つ時があるらしい。主に急に催しt(ドゴォッ!
……あともう一個使えるらしい。

ウルサス帝国
ウルサス人が治める主要国家の1つ。よく戦争をふっかけている。感染者に対する扱いが酷い。そんなんだからあんな事になるんだよなぁ……。
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