黒い仮面のレユニオン構成員=黒い沈黙説(学会追放) 作:イカ墨リゾット
これからの展開を考えていると、どうしても粗い部分があって悩んでました。言い訳はいいから早く書けって?うん。(絶対服従)
実際に経験してみれば分かると思うけど、戦いでひやっとする様な攻撃を躱すと、アドレナリンが滅茶苦茶出て気分が良くなるんだよ。……まぁ、エンケファリンみたいな物さ。
目の前で繰り広げられる、悪友の蹂躙劇を眺めている俺、ローランだ。お、今のは結構な爆発だったな?
相手の何人かを戦闘不能に出来たのは良かったんだけど、あの騎士……ニアールって呼ばれてたっけ?ソイツだけは持っていけなかったな。やっぱり鈍ってるよなぁ……。
これも、三年以上ぬるま湯に浸かってたツケだな。もし師匠がいたら半殺しにされてるよ。
イメージ通りに体が動いてくれないし、気配の察知も難しくなっているな。うわ、改めて見ると致命的じゃないか。
そんな訳で、ここはWに任せっきりになっちゃったんだ。今の俺がとてもじゃ無いけど、あの戦いに混ざれるとは思えないし、全員俺の事を警戒しちゃってるからなぁ。……でも、俺があの中二病チックな名前で呼ばれていた事は知らなさそうだ。自分で隠してたってのもあるけど、他のヤツらに対して知名度が低過ぎないか?ちょっとへこむぞ……。
最後に見た時よりも、Wは強くなっていた。以前よりも多くの爆弾を使いこなし、弱点であった接近戦も改善され、戦闘中に挑発を入れる余裕も忘れていない。正直なところ、今の俺だったら勝てそうに無いかなぁ。アイツの言う事に従うのは癪だけど、あまり反抗しない方が良さそうだ。
そんな事を考えていると、Wが攻撃を止めて、完全に戦闘態勢を解いていた。
変だな。アイツは敵を簡単に逃す様なヤツじゃないし………あー、ロドス・アイランドって言ったっけ?あのドクターとか言うヤツ、どっかで見た気がするな?そう言えば、俺がWと別れたのもアイツがバベルって組織に行ったからだったな。……え、マジかよ。
思考を巡らせている内に、結構深いところまで辿り着いてしまったようだ。そして、持っていた無線機から通信が入った。
「ローランだ。」
『私だ。……どうやら、私の指示やWの援護も出来たようだな。流石は特色と言ったところか。』
「お、じゃあ俺も幹部の仲間入りですかね。後、Wがロドスを逃そうとしているのですが、良いのですか?」
『……Wが勝手に逃がそうとしていたのは知らないが、ロドスは逃がしていい。これは私の命令だ。』
「了解です。……ふぅ、敬語って疲れるなぁ。」
昔だったらタメ口で話せたかもしれないが、今はあまり信用されていない、且つ昔よりも弱くなっているので、あまり強く出られない。タルラのアーツは脅威的だし、挑んだところで溶かされるに決まってる。強いヤツは本当に理不尽だ。有り得ない速度で侵攻してきて、全てを破壊していく。俺みたいな凡人の、その延長線上にいるヤツに太刀打ち出来る相手じゃない。
「その話し方止めてくれるかしら?気色悪いわよ。」
「うわっ。って、いつの間にいたんだよ。……あくまで俺はフィクサーであって、それに昔ほど強くないんだ。幹部に成れたとしても、俺が一番下だしさ。」
「言っておくけど、そんな敬語で話す奴なんて、幹部の中ではスカルシュレッダーくらいよ?ま、安心しなさいな。あなたの雇い主は私だから、あの龍女に好き勝手させないわよ。」
「そんな事言っても、お前勝てるのかよ?」
「……分からないわ。けれど、その時は勿論、あなたにも頑張って貰うから、今の内に昔の勘を取り戻しておいて。」
「………憂鬱だな。」
どうやら、Wはあのタルラに対して、相当な恨みがあるらしい。そして、俺は良い感じにWの手駒に引き込まれたって訳だな。……なんつーヘマしてるんだろう。また情報収集も再開した方が良さそうだな?
この作戦が終わったら、まず最初にパソコンを買いに行こう。Wにも理由として十分に通じる筈だ。ロドスの事も調べておこう。損は無い筈だろうしな?
チェルノボーグから撤退した後の、貰える報酬を何に使うか考えていると、Wにさっさと集合するわよと言われてしまった。うーん、自己紹介とか、またしなくちゃいけないのかな?
「腕は鈍っていても、黒い沈黙さまさまね。ウルサス帝国軍の小隊相手に一人で立ち回って、壊滅。目撃者はこの私だけ。やっぱりあなた化け物よ。」
「だから違うって言ってるだろ?今の俺は、お前よりも弱いかもしれないんだ。」
「実際に戦ったらあなたが勝つに決まってるわよ。て言うか、特色基準で強弱を測らないでくれるかしら?色を貰ってるだけで十分強いのよ。」
そんな事を言われても、全然自信は湧いて来ない。あの赤い霧の戦闘を見たら、誰だってそう思うさ。他の特色だって滅茶苦茶だ。サルカズの傭兵も恐ろしい。戦うのなら、こうしてビクビクしてるくらいが1番なんだ。昔の俺だって、内心怖かったんだぜ?自分は何をしているのか、いつ死ぬのか、よく考えたものだ。
少し前まで人が住んでいたとは思えない、破壊された都市をWと歩く。転がってる死体なんて気にも留めない。殺した分だけ積み上がって、笑ってる。早くお前も、仲間になれよと囁いてくる。別に何も感じないけど、あまり見たくは無いし考えたく無い。さっさと自然に還ってくれ。
暫く歩いていると、レユニオンの部隊員が大勢集まった場所に出て、更に進めば、そこには幹部が勢揃いしている。俺の元上司でもあり、尊敬すべき先輩でもあるスカルシュレッダーもいる。……俺もウルサス人だったらなぁ。
そしてタルラがやって来て、報告が始まる。途中白髪の子供、メフィストがパトリオットに咎められていた事を除けば、随分とスムーズに進んだし、俺も幹部として認められた。スカルシュレッダーは意外そうにしてたっけ。まぁ、ちょっと前まで自分が引き連れていた弱そうなヤツが、幹部になっていたらそう思うよな。実際Wがいなかったらこうはならなかったし、俺もそう思うかな。
因みに、俺は部隊を持っていない。本来幹部になったら、必ずと言って良いぐらい部隊を持つんだけど、俺は一人の方が動きやすいし、Wに雇われの身なので、実質Wの部隊に加わっていると言っても過言では無い。過労死するぐらい利用されそうだ……。
それと、スカルシュレッダーが自身の姉に会う為に龍門に行くらしい。Wも興味を持ったようだ。……積極的に関わって行くとは思わないけど、あまり行きたくないかな。近衛局に出くわして、冷めた目で見られたく無いしな。
Wにパソコンを買いたいと相談すると、何故かWも一緒に来ると言い出した。そこら辺の適当な場所で買うつもりだったんだけど、何でこうなるかなぁ?折角の報酬が……傭兵を雇い主に持つと、碌な目に遭わないみたいだ。みんなも気を付けろよ?
黒い沈黙
かつてカズデルの戦争で活躍した、特色フィクサーの一人。情報戦をメインとしていて、戦場を裏から操っているとされている。滅多に戦場に現れず、その姿を見た者はいないらしい。特色の中でも有名な四人の内一人だが、その評価は散々で、曰く『戦おうとしない臆病者』、『情報収集が上手いだけの雑魚』と、悪い意味で有名。今では他の特色は『アイツは凄かった』と言われているのに対し、黒い沈黙は貶されるどころか、殆ど忘れ去られている。しかし、ほんの一握りの傭兵だけが、口を揃えて『アイツは化け物だ』と言う。けれども、大抵は、もっとマシな嘘は吐けないのかと笑い飛ばされるだけである。