黒い仮面のレユニオン構成員=黒い沈黙説(学会追放) 作:イカ墨リゾット
元々息抜きで書いただけなんですけど、なんでメインより伸びが良いんですか。
コロナの収束を願って初投稿です。
何処までも広がる青い空。ギラギラとアホみたいな熱量を発し続ける太陽。そして……海って言うよりは湖だけど、まぁ透き通る海。
テラで一番のリゾートと言っても過言ではないシエスタ。そんな所に、いつもの真っ黒なスーツで来た事を後悔している俺、ローランだ。
だからと言って、そこら辺の店で半袖半ズボンを買うってのは、あまり乗り気じゃないんだ。さっき買ったサングラスで我慢するとしますかね……どうかなぁ?似合ってそう?
こんなカンカン照りの中で、一人だけ真っ黒のスーツ、そして黒いサングラスまで掛けていれば、これがまぁ目立つんだ。別に俺はお偉いさんのボディガードとかじゃないんだけどな。過去に似たような事はやったけど、かと言って、今俺の隣に居るコイツを守るとか……無いな。
俺が視線を集めている理由はざっと二つある。一つは俺がボディガードみたいな格好してるからだな。で、もう一つが……俺の隣に居るヤツが、世間一般的な人から見れば美人だから……らしい。
えぇ、まぁ確かに……ガワだけは良い、のか?正直コイツの性格を知っている身としては、とてもそうとは思えないんだけど。
Wだ。俺は今Wと一緒にシエスタを歩いている。事の発端は二日前だな。
無事にタルラからW経由で渡された報酬を手に入れた俺は、久しぶりに情報収集を再開しようと思ったんだ。その為にもまずはパソコンが欲しい。携帯だと持ち運びは便利だけど、パソコンには劣るし、天災の事もあって携帯系のネットワークはあまり安定しないんだ。だからパソコンの方を使ってるヤツが多いし、その分情報収集をしやすいってわけさ。ノウハウは知ってるし、あとはパソコン本体と適当な回線があればバッチシだ。だからそれらを調達する為に、Wにちょっと行ってくると言ったんだけど……お察しの通りだよ。
まさかのWが一緒に来たいとか言い始めたんだよなぁ。その所為でせっかくのプライベートタイムが潰れたし、そこら辺の適当な場所で買うつもりだったのに、Wに脅さ……説得されてシエスタまで来る事になったんだ。俺の報酬が……。
で、助手席にWを乗っけた車を俺が運転して、シエスタまでやって来たんだ。雇い主の事が心配だが、W曰く「あの龍女にはちゃんと言ってある」との事。なんか不安だ。こう、いまいち信用出来ない。
今はシエスタで一番大きいショッピングモールに向かってるんだけど、思えばこうして人目の付く場所を、それも誰かと一緒に堂々と歩くだなんて。何年ぶり……そもそもあったっけな?
ヤシの木が生える海岸?沿いの道を歩く。木陰で日光を防げるし、時折り吹き抜ける風が気持ちいい。ビーチではしゃぐヤツラを見て、随分と楽しそうだなと感想を抱く。
昼前だったので、二人で適当な店を選んで腹を満たす。シエスタは感染者に対して、比較的寛容だからこそ出来る事だ。あくまで比較的、だけどね。
それからまた暫く歩いて、ようやくショッピングモールに到着だ。デカい火山がバックにあるから良く映えるな。全部で四階建てで、だいぶ広い。中に入れば冷気が俺達を歓迎してくれる。くくっ、案外素晴らしいじゃないか?
「あら?年甲斐も無くはしゃいでるみたいね。やっぱり初めてだと感じるモノがあるのかしら。」
「そう言うお前は初めてじゃないんだっけ。俺としては、その事について驚きを隠せないかな。あー、一旦解散で良いよな?」
「別に構わないわ。ま、精々楽しみなさい。」
そう言うとWは此方に背を向け、ゆっくりと消えていった。じゃ、こっちも行動開始だ。早いとこ電化製品を売っている所を見つけますかね。モール内の地図は何処にあったかな?
かなり良い性能のノートパソコン3台、その他諸々の必要な機器を買い揃えた俺は、吹き抜けになっているモール中央の三階のベンチに座っていた。Wと決めた集合場所だ。直ぐ近くのカフェで買ったコーヒーを啜っていると、やっとWがその姿を見せた。右手に先程のカフェのモノらしきカップを、左手には紙袋を提げている。
「ちょっと待たせちゃったかしら?」
「そうだな。大体10分と言ったところか。」
「そこは全然って返すところでしょ。まったく、レディの扱いがなってないわね。」
「えぇ?お前女だったのかよ?」
隣に座って来たWに頭を殴られる。けど、此処で反論したら負けな気がして、クールに受け流す事にする。
Wと二人で飲み物を飲んでいると、ふと、一階のところに気になるヤツがいた。身なりからして、バカンスに来た貴族か、はたまたこのシエスタのお偉いさんの娘か……。
「おいW、あの子を見てみろよ。結構良い身なりだけど、お前誰だか知ってるか?」
「ん、何々………あぁ、あいつ?確かこの市の市長さんの娘だったかしら。なんかのパンフレットで見た気がしなくもないわね。」
「そっか……。」
なるほど、市長の娘さんか。だったら近くにボディガードでも……お、いたいた。にしても女か、それもフェリーンの。見た感じだと、武器はかなり大きそうだな。それこそバカでかいクロスボウってところか?
……あ゛あ゛ッ!?バカでかいクロスボウを持ったフェリーンの女ぁ!?
「おい逃げるぞW、アイツはヤバいんだよ……!」
「ねぇ、ちょっと何よ。あの女がどうかしたって言うの?」
「アホみたいに強い狙撃手だ!過去に俺が雇われた部隊で敵として出会してな、俺以外全員死んだし、俺もアイツを仕留め損なったんだよ!」
「……あの黒い沈黙から生還したってこと?それだったらヤバいわね。」
そんな訳で尻尾巻いて逃げ出したんだ。はぁ、たまったもんじゃないよな。ショッピングモールでかつての強敵に出会すとか……ついてないなぁ。
「まだ帰る時間まで結構あるけど、どうしたものかしら。試しに泳いでみる?」
「お互い傷だらけの肌晒したところで虚しいだけだと思うぞ。」
「はぁ、つれないわね。あと言っておくけど、私はあなた程傷だらけじゃ無い自信があるわよ?」
「へーへー、そりゃ何よりで……あーあ、今更だけど、金にもまだ余裕があったし、本当に久しぶりに手入れ用品でも買っておきたかったかな。」
「武器の手入れってこと?」
「うん?……まぁ、お前ならいいか。武器じゃなくて毛並みの手入れだよ。」
「……は?アンタ今毛並みって言った!?」
「そ、そうだけど?………ほら。」
今までずっと伏せておいて、髪に擬態させておいた耳を立てる。ぴょこんという擬音が合いそうだ。
「その耳……ローラン、あなたループスだったのね。じゃあ尻尾は?」
「ズボンの中に仕舞ってあるぞ。出来れば素顔と一緒に種族まで隠したかったしな。お前とはなんだかんだで長い付き合いだし、別にいいかなと。」
「……そう。」
ローラン君
シラクーザ出身のループス人。移動に使った車はWが何処かからパチってきた。
W
今までローラン君の種族的な特徴を見た事が無かったので、勝手にエーギル辺りだと思っていた。
シュバルツ
星6狙撃オペレーター。イフリータ並みに直線に強い。過去にとある部隊を排除する任務を受け、実行するが、1人だけ矢を交わしたり弾いたり、挙げ句の果てに発見されて追跡される始末。命懸けで逃走した。