彼女は本当に婚約者なのか、何故自分は記憶を失くしたのか…
一週間後、全てを思い出したあなたは…
※ヤンデレと思いきや…?
「あ、目が覚めた?おはよう。今日も良い天気だよ」
「え…私が誰かって?うふふ♪私の事、忘れちゃったの?イヤねぇ」
「…その様子じゃ何も覚えてない?名前は?生年月日は?家族や昔の事は?」
「…ええ、そうよ。ここはあなたのアパートあなたは病気で倒れたの。何となく思い出してきた?でも私の事は思い出せない?」
「ふふっ、しょうがないわね。じゃあ私が教えてあげるわ。私はあなたの婚約者、私とあなたはここで同棲してるの」
「あなたはさっき貧血を起こしちゃったの。何も覚えてないのは、倒れた時に頭を打ったからじゃない?まるでドラマみたいね。フフッ♪」
「…別に謝らなくてもいいわよ。あなたが悪い訳じゃないんだし」
「でも、そうね。最愛の婚約者を忘れてしまった罰として、夕飯は奢ってもらおうかしら?」
「ご馳走さま、美味しかったわ。どう?何か思い出してきた?」
「仕事と住んでいる街については思い出して…じゃあ友達…いいえ、私の事は?」
「…そう。それは残念ね。悩んでも仕方ないわ、ゆっくり思い出せばいいわよ」
「…え?妙に落ち着いてる?フフフ、そうかもしれないわね。あなた、昔から忘れっぽいところあったから、もう慣れたわ」
「でも、これで分かったでしょ?あなたが頼れるのは、私しかいないの。これからは私の言う事だけを聞くのよ。そうすればきっと元に戻るから」
「…どうしたの、急に携帯なんか取り出して…昔の写真を見れば思い出すかもしれない?まぁ、そうかもしれないけど…」
「…!それ動画?貸して…いいから貸しなさい!」
「…こんな動画いつの間に…ほら、返すわ」
「何で消したか?あなたの事だもの、どうせくだらない動画に決まってるわ。そんな物見ても混乱するだけよ」
「何…私を疑うの?」
「そうよ、私はあなたの婚約者よ。その私の言う事を疑うなんてどうかしてるわ」
「これはあなたの為なの。理解してくれるわよね?」
「フフッ、そう…それでいいの」
「あ、それとあなたの勤めている会社だけど、有給を貰っておいたから。一週間はお休みできるわ」
「会社に行けば何か思い出すかもしれない…?今行っても仕事を思い出せずに首になるだけよ。別に焦る事はないわ、ゆっくり思い出していきましょう」
「あ、そうだ!明日、旅行に行きましょうよ。私も有給消化しなきゃならないし」
「ええ、それが良いわ。じゃあ今日は帰って、ゆっくり寝ましょう」
「ねえ、あそこ見て。とても綺麗ね。スマホで写真撮ってくれる?ありがとう…どうしたの?急に黙り込んじゃって」
「…私の写真がない…それがどうしたの?」
「付き合ってるなら、一緒に撮った写真くらいある?自分の写真も一枚もない?…私が消したのよ。何か文句ある?」
「どうして消したって…そんなのどうでもいいじゃない。昔の事なんてどうでもいいわよ。大事なのは今でしょ?」
「写真が撮りたいなら、これから幾らでも撮ればいいでしょ?せっかく旅行に来てるんだから、いっぱい撮りましょう?」
「ほら、そこに立って。私が撮ってあげるから」
「…どうしたの?頭が痛い?と、とりあえず、そこの椅子で休みましょう!」
「…え…今、何て…?そ、そうよ、それは私の名前よ!」
「過去にも…私と話した事がある…?もしかして、昔の事、思い出したの!?」
「思い出した訳じゃない…そう。でも、私と一緒だった事は思い出したのね?いえ、今はそれだけでも充分よ」
「それに、私はあなたが記憶を取り戻さなくても別に構わないわ。また一緒に思い出を作っていけばいいじゃない。私は、あなたと一緒に居られれば、それだけで充分よ」
「あなたも疲れたでしょう?今日はもう帰りましょうか」
「ふあぁ…あら、おはよう。今日は早起きなのね…どうしたの、深刻な顔して」
「それ、私の携帯じゃない!か、返してっ!別に慌ててなんかいないわよ!ただ…いくらあなたでも、人に携帯を見られるのが嫌なだけよ」
「もしかして…中身、見た…?あなたの写真ばかりだった…?」
「べ、別にいいじゃない!婚約者の写真持っていて何が悪いの?」
「一緒に写っている写真が…一枚もない…?」
「ま、間違えて消しちゃったのよ!私、機械オンチだから…」
「…」
「…うるさい」
「うるさい、うるさい!うるさい!!」
「人の気も知らないで!元はと言えば、あなたが悪いのよ!あなたがあんな事言わなきゃ、私は…!」
「…急に怒鳴ったりして、ごめんなさい。ねぇ…一つ聞いていい?」
「昔の事、思い出したい…?」
「別に思い出さなくてもいいじゃない。現にこうして上手くやれてるんだし。過去の事なんか忘れて、また二人でやっていきましょうよ」
「もし仕事を首になっても、少しは蓄えあるから平気よ。だから、昔の事なんてどうでもいいじゃない」
「続きは夜にしましょう。今日は早めに帰ってくるから」
「ただい…ど、どうしたの、玄関で正座なんかして…それに、その大きなバッグは何?旅行に行く訳じゃあるまいし…」
「…出て行く…?」
「ちょっと…急に何言い出すの…冗談…よね?」
「ちょっと待ちなさい!待ってってば!何で…何で急に出て行くなんて言うの!?私達、上手くいっていたじゃない!私の事が信じられないの?」
「それとも何?私の事が嫌いになったの?だったら直すから!ちゃんと、あなたの言う通りにするから!だから出て行くなんて言わないで!」
「グスッ…これじゃ私、何の為に…」
「そうじゃない…それじゃ、どうして急に出て行くなんて…」
「え…き、記憶が…戻った…?」
「本当に…本当に思い出したの!?じゃあ尚更よ!どうして出て行くなんて…」
「これ以上、迷惑を掛けられない…?め、迷惑だなんて思った事ないわ!だって私は、あなたの言葉を信じて…」
「そう…あなたは…」
「1ヶ月ごとに…記憶を失ってしまう病気なの…」
「思い出したのは、1ヶ月前まで?そう…ううん、それだけでも充分」
「お医者さんが言うには
「私を事故から庇って…その時に強く頭を打って、それが原因だって…」
「私達は1年前に付き合い始めたの。その直後に今言った事故に遭ったの。怪我は大した事はなかったから、何の問題もないと思った」
「でもある日、あなたは急に自分が誰なのか忘れてしまった…それだけじゃない、私や家族…あなたが大事に思っている人の事だけ忘れてしまったの」
「それが3ヶ月前…あなたは今までに3度、記憶を失くしてる」
「あなたは記憶を失くした時の為に、写真や日記を付け始めた。でも、私はそれを全部捨ててしまったの」
「どうして…そうよね。あなたにも言われたわ。もし自分が記憶を失くしたら日記を見せて欲しい、そうすれば何が起きたか分かるからって」
「だから捨てたの。日記も…あなたと私の写真も…」
「なぜ…?だってそうじゃない。そんな物見せてどうなるの?」
「自分に何が起きたかを知れば、あなたは納得するかもしれない。でも、思い出した訳じゃない」
「あなたは私と付き合っていた事は信じるでしょう…でも、そこに愛情はない…単なる罪悪感から私と一緒に居てくれるだけ…」
「そんな惨めな思いをするくらいなら…また最初から思い出を作ればいい…そう思ったから、あなたに何が起きたのか必死に隠したの」
「現に、これ以上迷惑を掛けたくないからって、あなたは出て行こうとした」
「記憶を失くす…?何度でもやり直せばいいじゃない…新しい思い出を作ればいいじゃない!」
「だから、出て行くなんて言わないで…お願いだから、私の前から居なくならないで…」
「…本当に?」
「大丈夫。何回でもやり直すから。私、こう見えて根性あるんだから。でも口座の暗証番号だけ教えてくれる?その…手持ちが不安だから…あ!これは忘れてね♪」
「うん、また1ヶ月後に会おうね…」
「あ、目が覚めた?おはよう、今日も良い天気だよ。え…私が誰かって?うふふ♪私の事、忘れちゃったの?」
「私はあなたの…」
元ネタは一週間フレンズです。リアルで二ヶ月程入院してまして、何とか帰ってきたら結構忘れてる事が多くて思い付いた話です。
今日のお友達
岸野 美奈 通販会社に勤めるOL。普段は寡黙なので会社では彼氏無しと思われている。記憶を失う事に関しては、出会った当初に戻れるようなものなので本人は楽しんでいる。ただ子供が生まれたらどうやって二人の子だと理解させるか頭が痛い。イメージキャラは艦これの岸波。