ありふれていなければならない物理法則で世界最強 ※完結   作:十二の子

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 未完で終わらせまいと急いているせいで、他の方の2次創作に比べて以上に進行が早い。


17 「迷宮突破のコストパフォーマンス」

―*―

 

 「…懐かしいね。」

 

 雫ちゃん、元気ですか?

 

 「ああ、そうだな」

 

 「まあ、そうねえ…I shall return…か。」

 

 私は今、ハジメくんといっしょに、仲間といっしょに、ホルアドに帰ってきました。

 

 「パパ?香織お姉ちゃん?ヒカリお姉ちゃん?どうしたの?」

 

 「ミュウちゃん?ううん、ただ、前にも来て、いろいろあって、すっごい駆け抜けて来たなあって。」

 

 「ふむ…正妻様と御主人様は、やり直したいとは思わんのか?」

 

 あ、「パパ、正妻、御主人って…」って、光ちゃんに笑われた。むー。

 

 「俺は、ないな。あの時落ちたから、今こうしてここにいる。今さら、やり直そうとは思えない。」

 

 「私は…ま、あの勇者たちがいつか破局に陥るのは読めてたから、泥船に乗りなおす博奕は打てないし、結果として世界の真理の糸口も見つけたし、これで良かったわ。

 

 何より、『あり得たかもしれない未来』なんて、ねえ…マルチバースの自分が考えればいいのよ。」

 

 私は…

 

 「やり直せるのなら、今度は、ハジメくんをちゃんと守りたい。だけど、それはきっと、ハジメくんのためにならないから…

 

 …ハジメくん、今が一番、これが一番、幸せ?」

 

 「ああ。」

 

 私も♪

 

 「あま、甘いですう…」

 

 「香織に独り占めされた…」

 

 「うむ、見せつけられるのもなかなか…」

 

 「ねえ、今の時代って、みんなこんななの…?時代が遠いよお…」

 

 「あの5人を現代人の代表例みたいにしないでミレディ…」

 

 …あの時、ここの宿屋で、ハジメくんがいなくなる夢を見て。

 

 ハジメくんのところに行くのを禁止されてたから泣いたよね、雫ちゃん。

 

 私まで消えて、ごめんなさい。

 

 心配してるよね?今、行きます。

 

 ギギーッ。

 

 「…なーんかピリピリして」

 

 「ひう! パパぁ!」

 

 「「よしよし……」」

 

 大丈夫、ミュウちゃんかわいいから大丈夫。…あと、ハジメくん、何して… 

 

 …えー。

 

 「…おじさんたち、悪いけど、見苦しいから下がってくれる?」

 

 ああ、頑張ってミュウちゃん笑わせようとさせられてたのに、グサッと…

 

 「で、受付さん、フューレンのイルワ支部長からの依頼で、手紙なんだけど…」

 

 「し、支部長からの依頼、ですか?」

 

 「ええ。南雲ハジメ、白崎香織、一石光に。確かめる?」

 

 「は、はい…き、金ランク!?少しお待ちください!」

 

 ズダダダッ!

 

 「お、おい、南雲、白崎さん、一石さん!?どこだ!?って本当に一石さんいるじゃないか!?」

 

 …だれ?

 

 「あ、遠藤君?」

 

 「南雲は?白崎さんは?2人はどこだ!?」

 

 わ、私…?あ、そう言えば遠藤君って、いたような、いなかったような…

 

 「…アレと、アレ。信じられないでしょうけど。」

 

 アレって…

 

 「マジ?マジか、マジだよな…なんか随分と変わったな。雰囲気とか見た目とか。」

 

 …それより、なんで遠藤君、ボロボロ?

 

 いやな予感が…

 

 「ってことは、とりあえず、迷宮を攻略して脱出できたんだよな!なら頼む南雲、白崎さん、一石さん!俺と一緒に迷宮に潜ってくれ! このままだと八重樫さんや重吾たちも死んじまうんだよ!」

 

 「し、雫ちゃんが!?」

 

 「ちょ、ちょっと待ちなさい。落ち着いて、状況を。あとミレ、アレの準備。」

 

 「あ、うん…オーちゃんの迷宮落とすんだね。わかった。」

 

 「お、落ち着いてられるか!団長だって、騎士たちだって、俺のために死んじまったのに!」

 

 「ハ、ハジメくん…

 

 …行こう。」

 

 雫ちゃんたちを、助けに。

 

 「ああ、だが話を聞いてからだ。」

 

 「あなた支部長よね?可及的速やかに、私たちに、勇者パーティー救出の依頼を出しなさい。さもないと依頼が事後になるわよ。

 

 あとついでにミュウちゃんの部屋を。ティオはお守りで。」

 

 「了解じゃ。」

 

 「ユエ、シア、先行して座標を探査。ミレ、道案内してあげて。」

 

 「ん」

 

 「急ぐですう!」

 

 「任せて☆」

 

 「ハジメくん、行くよ!」

 

 「ああっ!」

 

 「ちょ、話についてけねえ…」

 

 「あ、遠藤君?敏捷最下位だからお姫様だっこでよろしく。」

 

 「俺だってこんな奴らについていけねえのに!」

 

 …?遠慮して走ってるよ?

 

―*―

 

 勇者がいることの、戦力パーティーがいることのプレゼンスは計り知れない。

 

 残ったクラスメートには、安心感を。

 

 王国と教会には、クラスメート全てを守る義務を。

 

 帝国には、政治的威圧を。

 

 魔人族には、軍事的威圧を。

 

 そして私には…私には?

 

 …香織を、悲しませたくない。

 

 「ミレディ、この地下?」

 

 「うん…そうだね。90層あるけど。」

 

 「15メートル下がって、最低威力でお願い。重力方向だから間違えないで。」

 

 「もう、ミレディちゃん昔もここで落っことしたし、問題ないって。

 

 …『分解』、重力球生成、維持…」

 

 白熱する、群体マイクロブラックホール…

 

 「全員目と耳をふさいで!」

 

 ホーキング輻射、放てっ!

 

 「…いけえっ!」

 

 ヒュンッ!

 

 …すごいものね…

 

 「あ、下まで抜いちゃったかも…」

 

 「計算誤差かしら…降りる層を間違えないように…ってもう飛び降りてるし。ミレディ、私と、ついでに遠藤君を安全に降ろして。」

 

 「い、いやあ神結晶落っことした時といい、あはは…っと。」

 

 「え、この人飛んでる!?どうなってんの!?」

 

―*―

 

 「久しぶりだね、雫ちゃん。遅くなってごめん。」

 

 「え…?か、お、り…?」

 

 「白崎、香織だよ。」

 

 「香織ぃぃ…やっぱり生きてたぁ…」

 

 「よしよし…」

 

 「え、カオリン!?」

 

 「か、香織が…?」

 

 「鈴ちゃんも恵理ちゃんも、今癒すから。

 

 ハジメくん!」

 

 「任せとけ。

 

 おいそこの赤毛の女。今すぐ去るなら追いはしない。死にたくなければ、香織たちに指一本触れず…

 

 …とっとと失せろ。」

 

 「何だって?」

 

 トン。

 

 「ここは戦場。一瞬一秒が生死を分けるから、判断は迅速にしなさい。それとももう、タダのタンパク質の塊になる覚悟はできてる?」

 

 わー魔人族の表情が消えてる。でも…

 

 「雫ちゃんを、みんなを傷つけたのも、あなた?もとから許したくなかったけど…

 

 敵意を見せたら、もう文句、言えないよね?」

 

 パンパンパン!

 

 「香織、跳弾だけは止めてね。私じゃあなたの弾を避けられないから。」

 

 「大丈夫。こんな半端な気配遮断、丸見えだから。」

 

 「大道芸だもんなあ香織。あ、一石、俺は気にしないぞ?跳弾」

 

 「じゃあ香織、防御を。」

 

 「みんなを守るんだね?あと光ちゃんも。」

 

 確かにハジメくんの兵器だと、跳弾からクラスのみんな逃げられないからね…

 

 ガシャン。

 

 「私にはその大道芸が見えないから、おとなしく…

 

 …マップウェポンで対処させてもらうわっ!」

 

 「『聖絶』!」

 

 ボンボンボンボンボンボンボンボンボンボンボンボンボンボン!!!! 

 

―*―

 

 うっわ、思った以上に跳弾してるわね…それも狙いだけど。

 

 ボンボンボンボンボンボンボンボンボンボンボンボンボンボン!!!! 

 

 「な、なんだいこれは!わっ!」

 

 「ポンポン砲の、秒に数発の40ミリ弾からなる鉄の暴風!いかが!?」

 

 「いや作ったの俺で、魔力もお前のじゃないだろ…っと、いけないいけない、撃ちこぼしだ。」

 

 ドン!

 

 「結果として1分足らずで勝利できたんだから赦して?」

 

 「でも、ちょっと見てて怖かったですう…」

 

 「今のシアなら防御なしでも耐えられる。大丈夫。」

 

 「お前ら迷宮はわけわかんないビームでぶちぬくし、どうなってんだよ…」

 

 失礼な…

 

 「ちくしょう…『落牢』」

 

 さらさら…

 

 「…久しぶりに、『物理法則準拠』『魔法法則排除』。」

 

 生き物が一瞬で石になる?バカも休み休み言いなさい。それたぶんフリーズドライだし。

 

 「き、効かなぐはっ!」

 

 あっけない。

 

 「よそ見は良くないってことも知らないみたいだな?」

 

 「く……はは。仕掛けたときから詰みだった訳だ。」

 

 「こういう時、『何か言い遺すことは?』って聞くのがテンプレなんだろうけど、私が聞いても答えてくれないし、それよりは説明と、落とし前を付けて欲しいかな、かな?」

 

 「あたしがそんなことをすると思うかい?人間族の有利になるかもしれないのに? バカにされたもんだね。」

 

 「なら代わりに説明するわ。魔物は神代魔法産、で、神代魔法攻略と、あわよくば、私が考え…おっと、勇者パーティーの魔人族への裏切りをさせようと。」

 

 「あ、ヴァンちゃんかー。」

 

 「それを何故……まさか」

 

 「お前の想像通りだ」

 

 「……そうかい。なるほどね。あの方と同じなら……化け物じみた強さも頷ける……もう、いいだろ? ひと思いに殺りなよ。あたしは、捕虜になるつもりはないからね……この化け物め。」

 

 「魔法が使えるあなたが、それを言う?」

 

 私は、ゴクとマゴクをスカートの下から取り出した。…魔人族との交渉はウル市の件で難しいし、真理への路は神代魔法でいい。ただの敵に、容赦は出来ない。

 

 「いつか、あたしの仲間があんたらを殺すよ。」

 

 「偽りの神様の幻影を見て、仲間って…哀れ。」

 

 「偽り?あたしらの神様は、ちゃんといるよ。言っても信じないだろうけどね。」

 

 「もういい?」

 

 「あ、うん。」

 

 香織が、銃を抜いた。

 

 「ま、待て香織!」

 

 「…光輝くん?」「あ?」「はあ…」

 

 「彼女はもう戦えないんだ! 殺す必要はない!その2人に毒されるな!」

 

―*―

 

 一瞬、私は、躊躇した。

 

 「捕虜に、そうだ、捕虜にすればいい。無抵抗の人を殺すなんて絶対ダメだ。俺は勇者だ。香織も仲間なんだから、思うところはあるだろうけど、ここは俺に免じて引いてくれ。」

 

 「…ハジメくん、どうする?」

 

 「香織がしたいようにすればいい。」

 

 「そう。でも、捕虜にすべきかどうかはまた…それは勇者が考えればいいことだったわ。」

 

 でも、この人は雫ちゃんたちを傷つけ、ハジメくんとみんなの敵になった。

 

 そうして今、死を望んでいるなら、きっとそう言うことなんだと思う。

 

 ーそれにいつどこで、また、私の大事な人を傷つけるか。

 

 「私は、もう、守れなくてごめんなんて、言いたくない。」

 

 「香織…」

 

 雫ちゃん…ごめんなさい、私の手はもう、真っ赤です。

 

 「それでも、前を向かなきゃだから!」

 

 バン!

 

 「名誉の戦死であれ、ね。」

 

 「やすらかに。」

 

 「ああ。」

 

 「なぜ、なぜ殺したんだ。殺す必要があったのか…」

 

 あったよ。




 マイクロブラックホールからのホーキング輻射(要するに量子力学的な蒸発です)によるエネルギーに指向性を持たせて発射…

 …はい、波動砲(2199版)ですね。もっとも同じ原理の攻撃は他にいくつか見たことあると思いますが。なお1つのマイクロブラックホールはCERNの科学者を喜ばせたり超対称性粒子を叩き出したりするくらいにしか役に立ちませんが、目に見えるほど無数に集められるのならまた別です。

 ところでメルドを光輝が超えた今、魔人族戦の先頭は彼なわけで、つまり魔人族の女を捕虜にしたところで彼が処刑しなくてはならなかった可能性も高くー本当はそれを指摘させようかとも思っていましたがそういう流れになりませんでした。
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