ありふれていなければならない物理法則で世界最強 ※完結   作:十二の子

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 お待ちかねステータスプレート回…と、オリ主の過去。


2 「ナグモ・ヒトツイシのステータスプレートに関する法則」

―*―

 

 ステータスプレート。

 

 王国騎士団長メルド氏曰く、各人のレベルとステータスを、血を垂らすだけで教えてくれるらしい。

 

 「ああ、言っておくが原理とかは聞くなよ?俺にも詳しいことはわからんが、これは神代の『アーティファクト』と言ってな。現代では再現できない、神やその眷属達が地上にいた頃作られたらしい。このステータスプレートは唯一複製できるアーティファクトでな、身分証として使えるためこれだけは一般市民にも流通されているんだ」

 

 …そんなこと言うと解体するわよ?

 

 ステータス、オープン。

 

 …皮肉にもほどがあるじゃない。

 

―*―

 

 天之河君は、各ステータスが100あったらしい。それはつまり、魔力も常人の10倍ということで…神様に祝福されていると言うことだ。はは。

 

 「何だよ南雲。お前非戦闘系の鍛冶職か?そんなんでどうやって戦うんだよ?」

 

 へえ、鍛冶…?

 

 「具体的に、なんなの?」

 

 「錬成師だってさ。ぎゃはは。10人に1人はいるって」

 

 「ふーん、オール10の一般人…まあ、私よりは将来性があるってことね。」

 

 「はあ?ってかそういう一石はどうなんだよ。」

 

 檜山大輔は、そう言いながら、詰め寄ってきた。きっと2大美少女と名高い白崎さんと仲がいい南雲君、そして、そんな南雲君を孤立させていじめるのに障害になっている私が、恨めしいのね。

 

 「個人情報保護法…」

 

 「は?ここは日本じゃないんだし、それくらいいだろ。ほら、見せろよ。」

 

 「…メルド団長。」

 

 「ああ、見てやる。

 

 それと檜山たち、ステータスプレートは確かに勝手に見ていいもんじゃない。いいな?」

 

 そう言って団長は私のプレートを手に取り、落とした。

 

 「…なんだ、これは…?」

 

―*―

 

 一石 光 17歳 女 レベル1

 

 天職:無神論者

 

 筋力:4

 

 体力:8

 

 耐性:8

 

 敏捷:4

 

 魔力:ー

 

 魔耐:∞

 

 技能:物理法則準拠・異法則排除・全否定・言語理解

 

―*―

 

 「…おいおいお前、全否定ってなんだよ…」

 

 「…檜山君には教えないわ。想像は付くけど。」

 

 「何えらそうにしてんだよてめー!魔力ナシって戦えねーってことだろ!まさかの南雲以下とかありえねーし!」

 

 「私は頭脳労働者だから、当たり前でしょ?」

 

 脳筋は前線で好きにしてなさい。何のために専門外の軍事書を読んだと…南雲君に勧められたライトノベルのせいね…

 

 「団長も、他言無用にお願いします。」

 

 「あ、ああ…わかった。」

 

 神エヒトに召喚された勇者一同の中に無神論者がいるなんて、スキャンダル以外のなにものでもないものね。

 

 ところで南雲君は、畑山先生のせいでさらに落ち込んでいた。白崎さん、チャンスよ。

 

―*―

 

 「…ハジメ君、大丈夫かな…?」

 

 「き、きっと彼なら大丈夫よ、ね、香織。」

 

 夕食後、白崎・八重樫ペアの部屋を訪ねてみれば。

 

 白崎さんが、うつむいていた。…予想通り。はあ。

 

 「そんなに、南雲君が心配?」

 

 「心配だよ…一石さんこそ、心配じゃないの?」

 

 「別に?重力加速度も音速もアボガドロ定数も水の融点沸点も金属の電気伝導率も観測できる限り変わらないし、魔法がある以外は正常ね。びっくりするほど代わり映えしないわ。

 

 後は南雲君に頼むこともあるし、落ち込んでもいられないわ。」

 

 物理定数がズレていたら私は役立たずになる。スマホが動いて計測のための正確な時間を教えてくれる間に、全てを確認しなくてはならない。

 

 「…一石さん、強いんだね。」

 

 「…そんなこと、ないわ。

 

 私の話を、聞いてくれる?」

 

 それから、私は、よもや引かれることもあるまい、二人に話をすることにした。

 

 「この、プレパラートについて。」

 

―*―

 

 私の父は、物理学者だった。…とはいっても、地方の中堅大学の特任准教授に過ぎず、まあ雑草だったけど。

 

 それでも、私は父を尊敬していたし、父の話は必ず聞いて、それで、今のようなリケジョに育ってきた。

 

 そんなある日。

 

 父は1枚のプレパラートを、ヨーロッパ出張の帰りに持ち帰ってきた。

 

 「なあに、それ?」

 

 「光、絶対にこれを開けたらいけないよ?

 

 これはね、ある人の脳みそなんだ。」

 

 「のーみそ?しんけーさいぼー?」

 

 「そう神経細胞。

 

 アルバート・アインシュタインの話をこの前したね?このプレパラートは、死後に散逸した彼の脳のスライス標本の、300以上あるうちの一つなんだ。

 

 パパはね、これを、アインシュタインの賢さの秘密を研究している人にもらった。

 

 パパの研究、知ってる?」

 

 「うん、このせかいの、ほーそくが、なんであるのか、だよね?」

 

 「そう。

 

 どうしてリンゴは上ではなく下に落ちるのか?

 

 どうして光の速さは秒速30万キロなのか?

 

 パパは、アインシュタインみたいな人たちが見つけた法則が、どうしてそうだったのか、知りたい。だけどね、それはとっても難しいことだって、思ってたんだ。」

 

 「…?」

 

 「だけどね?

 

 …こういう非科学的なことを言うのはガラじゃないなぁ。

 

 この前、このプレパラートに出会った時に、『頑張りたまえ、真実はいつか必ずわかる日が来る。私が果たせなかった真実を、つかみたまえ。』って、幻聴を聞いたんだよ。」

 

 「ふーん?」

 

 私は子供心に、大きくなったらパパといっしょに、アインシュタインの遺志をついで、パパと世界の真実をつかむことを決意した。

 

―*―

 

 「それからまもなくして、パパとママは、飛行機事故で亡くなったわ。ニュースを見てる間ずっと『パパとママが無事でいますように』って祈ったけど。

 

 それで私は決めた。

 

 神様なんて実在しない。したとしてもそいつは悪神ね。味方になんかならない。

 

 私は必ず、パパの遺志と、このプレパラートの主の遺志をついで、神様でないなら誰がこの世界とあらゆる法則を定め、パパとママの死を運命づけたのか、突き止めて見せる。

 

 だからたちどまってはいられない。」

 

 エヒトが宇宙の法則を超越する存在なら、私の世界の法則の成因を、聞くにたやすい。きっとエヒトも一種の定理だと思うけど。

 

 「白崎さん、ついてきて。」

 

 「え?」

 

 「…今の南雲君には、認めてくれる人が必要よ。」

 

 おゆうぎもスポーツもダンスもへったくそだった私を、無条件に認めてくれた、パパのように。




 …もしかして闇墜ちしないよなこのオリ主。そうなっても独りじゃ何もできないからやがて出てくる魔王に殺されるぞ?

2023/08/18改稿
 
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