ありふれていなければならない物理法則で世界最強 ※完結 作:十二の子
―*―
一石 光 17歳 女 レベル:??? ランク:金
主人格OS
天職:無神論者
筋力:110
体力:250
耐性:360
敏捷:1220
魔力:ー
魔耐:∞
技能:分類整理・再解釈・魔法力場存在否定[+発動停止][+視界内制限標的]・思考最適化[+並列思考処理][+瞬考][+超速演算]・超視力[+精密座標把握]・余剰意識領域活用[+副人格駆動][+他者思考模倣]・言語理解
副人格OS アイン リヒト レベル:ー
天職:追加主体 被操縦者
筋力:110
体力:250
耐性:360
敏捷:1220
魔力:12000
魔耐:ー
技能:常限界突破・余剰意識領域活用[+主人格常駆動]・生成魔法・重力魔法・空間魔法・再生魔法・魂魄魔法
注:この主体OSは不正規にエミュレートされています。ただちにアンインストールしてください。
―*―
「…この、『再解釈』ってたぶん、ステータスプレートの表示がみんなと違っちゃってる説明よね…」
きっとだけど、私の理論や考えに応じて、「分類整理」と「再解釈」が勝手なことをしてるのね…それにしても、見るからにめちゃくちゃなモノが入り込んでるわ…
「ミレディちゃんは呆然だよ…だいたい、タネもしかけもわからないし。」
「仕掛けは予想は付くわ。『余剰意識領域』…若干疑似科学入ってるけど、人間が普段、本来意識に使えるうちの20%しか使ってなくて、残りの80%は無意識として動いている。火事場のバカ力とか走馬灯とか、ピンチの時にいつもよりも能力が出るのは、そういう普段無意識に使われる思考領域が顕在化するからだ…みたいな話があるのよ。
まあ眉唾だから信じなくていいけど。
元々傀儡人形を動かすために使われてた最低限のいろいろは、そこ、無意識領域に定着したわね。」
あえて、わかりやすく「魂」というくくりを持ち出すのなら。
「本来の私の魂に加えて、私の魂の中で使われていない部分に、ソイツの魂っぽいやつが入って、私の魂によって動かされることで魂のふりをしている、といったところ?」
「ヒカリ、操り人形に魂は…」
「でも、まったく何もなかったら、判断することも、選択することもできない。ただの死体になる。中村恵理がゾンビにしたように、最低限、脈絡のある受け答えができるように、それだけのモノは入っていたはずよ。」
「魂には至らない、無以上のナニカ…ってことか。うんうん、ビックリだよ…」
まあそんなところでしょう。
「それとごめんなさい。よくよく考えたらズルよね。」
「まあ、今さらだし取り上げられるわけでもないしいいけど…それに充分に覚悟を見せて危険を払ったし?」
「なら良かった。
まあそれでも、簡単には使うわけにはいかないわね…ステータスプレートからしておっかないこと言ってるし。」
「いくら未満の魂でも、魂を取り込むなんてねえ…」
「…そういうわけだから、面倒は南雲君に押し付けたいんだけど。」
でも、そうはいかなさそうね…
「天乃河、暇じゃないから、帰ってくれる?」
「一石、お前も、エヒトの正体、俺たちが手のひらの上で踊らされていたこと、全部知ってたんだよな?」
「何を今さら?」
「なんでもっと早く教えてくれなかったんだ?」
「南雲君に聞いて。
…でも、予想は付くんじゃない?
あなたが勇者であるべきではないように、彼は勇者であろうとはしない。」
「なんで、なんで俺が勇者でないって」
「雫に、話を聞いたわ。」
彼はいじめから救ったつもりで、そして、何も解決してはいなかった話。
「中村恵理のことも、周辺情報から推測は付いた。実は、なにも解決してないんじゃない?
私は性善説なんて最初から信じてないから、究極には、人は殴られなければ行動を変えないと思ってる。
それであなたは、殴ったの?
そんなことしなくてもって抗弁するなら、私は、あなたの注意の後も雫はいじめられたという反証を以て応えるわ。
あなたがどう考えるかは、私にとって何ら問題じゃない。
私が満足するたった一つの解決手段は、私の考えに沿ってあなたが行動すること。」
「…そんなことできるか!」
なんか言いたそうなミレディを、視線で黙らせるーたぶん、ミレディも性善説なのよね…
「気づいてなさそうだけど…
…あなたの目的は、私たちと一緒に神様を倒すこと、それでこの世界の人々を救うこと。そうよね?」
「ああ」
「いいけど、その神様も、人間よ?」
「は?」
いちいち説明する気も起きない。
「本当に神様なら、世界を創ったなら、まかり間違っても『無神論者』なんて天職の人物を召喚したりしないし、そもそもそんな存在を許すように世界を創らない。
私と私の天職は、一歩ごとに、神を否定するのよ。
本当に神様ならば、とっくに天罰が落ちているでしょう。ある意味エヒトは、私の同類よ。知ったことを邪悪に使っているだけで、やつもまた、積み上げた知識の上にあぐらをかく一人の人間でしょう。
それで、いつかの魔人族と同じように、あなたは最後にはそれを捕虜にしようと言うかもしれない。はっきり言ってそんなやつは邪魔よ。
何より、檜山については自ら知ろうとしなかったあなたが、一方で『なぜ教えてくれなかったんだ』なんて…
…知ろうとすることはそれ自体、知的好奇心を持つ唯一の生物である人類種の責務なのよ?それを放棄したあなたが、今さら、知ってみてから後出しなんて、お笑い沙汰よ。
なんであなたが勇者じゃないか?そんな簡単なことも知ろうとしないなんて…」
南雲君は、全てを知ることも責任を持つこともしょせんできないと知ったうえで、彼に負えるだけのこと、負うべきことに留めていると言うのに…
「…じゃあ言ってみろ。なんでなんだ!」
「あなたの行動には責任が伴わない。
女の子独り救えなくて、何が勇者なの?
彼はすべての、トータス丸ごとの責任なんて背負いきれないから、自分が把握して責任を負える、負いたいと思う、大事な人だけを背負っているの。この世界がどうでもいいのは、どうせ背負いきれないからよ。
そしてあなたは、大事な人はおろか、泣いている女の子独り背負えないときた。」
天乃河がしたことは、中村恵理を変質させたことだけ。
「クラスメートを率いようとしながら、もめ事について把握し、解決する責任を負わない。
女の子を救うことを請け負っておきながら、最後まで状況を知ろうとせず、そして責任を投げ出した。
あなたには、知ろうとする意欲、そしてそこから派生する責任が、決定的に欠けているの。
何かを知ろうと知識を求め、そして知ってしまった分の責任を果たすという、種としての責任。
…で?勇者としての責任は果たさないで檜山は野放しにし中村恵理には火をつけているわ、それらを知ろうとしないで軽々しくいじめの仲裁に戦争参加に捕虜に神殺しに次々背負おうとするわ…」
頭痛くなってきたわ…
「反省して帰りなさい。あなたがあらゆる事実を知り中村恵理への責任を果たさない限り、勇者でもリーダーでもなんでもないわ。誰かに認められることはともかく、何かを果たせることは永劫にありえないでしょう。少なくとも私はそれでしか満足しないし。」
…まだなんか言おうとしてる?
「聞く耳持たないから反論せずに帰りなさい!
あ、あとミレディ、録音した?」
「ヒカリの同胞にバラまけばいいんだよね?ミレディちゃんにまかせなさい♪」
―*―
魔人族の王都侵攻はともかく。
中村恵理の魔法は王宮を内側から腐らせ、無政府状態にしていた。今や中央政府幹部と言える者はリリアーナ姫とメルド団長しかおらず、王家も騎士団も近衛兵も壊滅していた。
一方で畑山教諭の生成した発酵ガスとティオのブレスによって爆破された神山は、奥深くに眠っていた迷宮が露出してしまうほどであり、聖教教会の総本山も、信長の延暦寺焼き討ちすら生ぬるいほど消滅していた。
王都の首都機能は、政教両面で崩壊したと言っていい。
いくらなんでもこれをほっておくわけにはいかなかった。王国が倒れればパワーバランスが崩れて情勢は一気に動きすぎるだろうし、第一、社会科教諭がいながらにして足元の王国が倒れて右往左往するようでは話にならない。
リリアーナを中心に、国の立て直しが急遽図られたーが、この間、十数枚に及ぶ要求書が畑山教諭から送りつけられた(くちさがない者は「まるでGHQのようなやり方だ」と言うかもしれない。なおこの王国改革の必要性を教諭に説いたのは言うまでもなく一石光であった。改革を通して道理が通る国になってくれないと、混乱に乗じた聖教教会原理主義者や野心家が自分たちに迷惑をかける可能性があったからである)。しかし図らずも法治的な改革は、神政政治一歩手前の王国を近代国家に作り替えようとしていた。
神山が吹き飛んだことについては、ごまかしようがなかった。王都住民はほとんどが屋内にいてなおかつ戦争中であったとはいえ、隠しきれるわけがない。これについてはミレディと一石の提案で「神山はイシュタルのミスで自爆した。総本山を加護することすらできない、エヒトとはその程度の存在である」といった論調の世論操作が成されていくことになった。誰がなんと言おうとも神山消滅の事実は覆らないので、笑いものである聖教教会はマイナスからのリスタートの憂き目を見ることとなる。
クラスメート一同はエヒトにまつわる真実を知り絶句させられる。そうして、積極的な解決を望む者と、消極的な停滞を望む者に別れることとなった。
―*―
「園部さん、いる?」
「あ、えっと、光っち?」
「ああ、いたのね。良かった。
2つ、引き受けてくれない?
1つ、先生と他の生徒、つまり留守組の護衛と見張り。
2つ、異変があったら教えてほしい。
私たちは、エヒトに喧嘩を売り過ぎたわ。」
「うん、わかった。
清水とも相談してみる。」
「いいコンビになってきたわね。」
「なっ…」
「冗談だから睨まないで。
そうそう、優先権はさすがにないけど、衛星コンステレーションの送受信機。困ったらこれで見て、伝えて、撃って。」
「…光っち、なんであたしに?」
「一度死にかけたあなたなら、2度目はないことをわかっているから?
…ごめんなさい、説明できないわ。」
「じゃあ友情と信頼の証だって思うことにする。」
「ともだちってこと?」
「そう。…ってすっごいうれしそう!?」
―*―
夜半球での活動制限というサンシャイン6・6・6システムの致命的欠点をどうにかするべく、サブ18基を空間魔法で直接衛星軌道に放り込み。
そうして初めて、ハジメ、香織、ユエ、シア、ティオ、ミレディ、一石は王都へ出発しようとしたその矢先。
「南雲君、香織…
私も、ついて行かせてもらっていいかしら?」
八重樫雫は、彼らのテクニカルを呼び止めた。
「ハジメくん…いい?」
「ああ、任せた。」
ほとんど目だけで会話している。
「…雫ちゃん、とっても、危険だよ?
とっても、辛いよ?
とっても、無謀だよ?」
「それでも、よ。
私は、そうしたいの。」
「そっか…」
天乃河の振る舞いが、そして「知ろうとする志と、知ってしまったことへの責任を」という一石の主張が、さらに何より親友と離れその死地にいられなかったことが、彼女を追い詰めたのだろうか?
彼女の決然とした瞳に、香織はうなずいた。一石がパラボラアンテナをどけて2台目荷台にスペースを確保する。
が。
「だったら、俺たちもついて行くぞ。この世界の事をどうでもいいなんていう奴に雫は任せられない。それに、南雲も一石も何もしないなら、俺がこの世界を救う!そのためには力が必要だ!神代魔法の力が!お前らに付いていけば神代魔法が手に入るんだろ!」
天乃河の言い草に、一石は眉間にしわを寄せた。
「反省して帰りなさいって言ったでしょう!神代魔法の力が欲しいなら南雲君がそうしたように奈落に独りで落っこちて来ればいいじゃない!」
いっぺん死んで頭冷やせ、と言うようなものである。
「…ヒカリ?攻略の証がないと海底遺跡と大樹の迷宮に入ることは…」
うるっさいわねミレディ、と言わんばかりにねめつけ、火砲除く全ての機材を荷台からしまった一石。それを見てハジメは「なんだ観測の必要はないのか」と飛行艇を取り出した。これはロシアの計画機「Beー2500」に近いエクラノプランとしての能力も持つ100メートル級輸送機(!)である。一同愕然。
「もう乗りたい奴全員乗ってけ。自己責任で。」
いちいち問答していたらキリがない、とハジメは両手を打ち合わせ言う。と、坂上龍太郎、谷口鈴が手を挙げー
ーさらに、リリアーナ姫が手を挙げた。またも一同愕然。
「…ひ、姫さん?」
「リ、リリィ?」
「途中で帝国領内を通るのですよね?でしたら、私も、帝国とも話し合わなければならないことが山ほどありますし。」
もう好きにしてくれ…と一石は呆れた。
「ハジメくん、いろいろ迷惑もかけちゃったし…」
「まあ、香織の友人だしいいか…」
とはいえ乗り合いバスではないのだから無秩序に便乗者を増やしたくないと、ハジメはさらなる手が挙がらないうちに乗り込んでいった。
かくて、総勢12名が、機上の人となったのである。
残る迷宮、2つ。
昇華魔法のところで魔法力場理論についての最終回答、そして概念魔法のところで超統一理論とその先が明らかになることでしょう(これ自体が思考実験だから違うかもだけど)。
樹海迷宮にはDDTかBHCでも撒かれるのかな?と思ったけど、下調べの結果、数が多すぎると無意味だそうです…なんだかんだ最後はバ火力か…
どうやらエタらないで済みそうだ。でもユーザー情報で言及するありふれとマギレコのクロスオーバーは予想以上に難しい(特にウワサが最初に出てくるまで)です。いっそマギウス3人だけ転移させるか…でもそれだとこっちと同じになりそうだし…
※私は心理学は全くわかりません。人格をOSなんぞに例えるなとか、自我が何かわかっとらんだろとか言われるとうなずきます、うなずくしかありません。それでもなお感想欄で質問してくださると喜びますが初歩的に論外な回答を返すかもしれません。