ありふれていなければならない物理法則で世界最強 ※完結   作:十二の子

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 そりゃ第一と第二があったら第三がありますよね。


31 「ヒカリ・ヒトツイシの第三法則、及びヒカリ・ヒトツイシの最終予想」

―*―

 

 すべてを終えて、私たちはいよいよ、最後の神代魔法を手に入れられる。

 

 天乃河君が私の望み通りに動いてくれるかは賭けだったけど、結局はそれもうまく行った。

 

 遅ればせながらも、なんとか、私が望むラストへたどり着けそう。

 

 …問題は、私が、その間で寄り道する、その余裕があるかよね…

 

 っ…!

 

 「くっ…」

 

 これは、予想以上の…

 

 ー概念魔法が私が予想する通り、「魔力伝播子(=インフラトン)に関わらず脳の力で世界を解釈し情報次元を書き換える力」だとするのなら、「世界は書き換わらず、昨日と同じように今日は続き、今日と同じように明日が始まる」という無意識の力に拮抗するだけのモノを脳内にインストールしなければならない。

 

 今までと違い、魔法を受け入れてるから、脳みそがアップデートされて対応端末になっちゃってるのよね…

 

 7つに分けてなおファイルが重いわけだわ…

 

 …南雲君も香織もユエも気絶してることだし、私もそうしても…あっ、ミレディが笑いながら見てる…意地張らなきゃ…

 

 …もう、限界…

 

―*―

 

 「香織、どう?」

 

 「…どれだけ神代魔法と概念魔法が反則か、思い知らされたよ…」

 

 地球を知るハジメと、魔法の天才であるユエ。その2人が地球へ帰る概念魔法を「究極の意思」で作り出す間に、一石は、他のメンバーに車座に囲まれながら、香織と話をしあっていた(「これが、神代魔法の力…」などと廚二に陥りかけている天乃河除く)。なお、香織が参加しなかったのは、万が一事故があった時に治療要員がいないとさすがにまずいという配慮である。本妻の余裕?…違うったら違う。

 

 「やはり、基本的には神代魔法は、構成情報を改変するものだったわね。」

 

 「光ちゃんにはそう感じられたの?」

 

 「逆にあなたは?私の考えはいつでも独りよがりだから。」

 

 「…光ちゃんはおかしいって言うかもしれないけど…

 

 生成魔法は無機物に。

 

 重力魔法は星のエネルギーに。

 

 空間魔法は境界に。

 

 再生魔法は時に。

 

 魂魄魔法は生物の持つ非物質に。

 

 昇華魔法は存在するものの情報に。

 

 最後の変成魔法は有機物に。

 

 これで、この世界におけるあらゆる理を自由自在に操ることができるようになったのが、概念魔法。

 

 どう、かな…?」

 

 「ミレディちゃんもその通りだと思う。」

 

 「それで、世界の構成情報すべてでしょ?

 

 あまねく世界すべての情報の操作権がそろった。

 

 後は書き換えるだけ。『この世界の情報はこうで、人間なんかには書き換わらない』という無意識の先入観を極限の意思で打ち破って、ね。

 

 まあ、物事の見え方なんて人それぞれだって、相対性理論にも書いてあるし、香織が思っている通りのこともまた事実よ。」

 

 概念魔法も、また一つの「想像の現実化」に過ぎない。

 

 しかし一石は、世界そのものが想像の現実化に支えられているということを鑑み、あまり語り過ぎはしない。

 

 「また、なんか隠してますぅ…」

 

 「初めに会ったころのように『まだなにか抱えてる』って顔をしとるのう…」

 

 「どうせ後は帰るだけなんだからいいじゃない。

 

 ところで香織は、虚像になんて言われた?」

 

 「あー…」

 

 「え、わ、私…?」

 

 八重樫雫は、じっと見つめられてうろたえた。

 

 「…えっと、独り占めしたくないのかって…ハジメくんを。」

 

 ーひたすら、気まずい。

 

 「ユエにシアにティオにレミアさんに愛ちゃん先生にリリィに…このままだと雫ちゃんまでって。

 

 でも、私の力なら、独り占めできるかもって。」

 

 八重樫が、タラタラ冷や汗を流す。坂上と谷口、修羅場の気配に震える。ミレディはー

 

 ー静かに笑い転げる。

 

 「あ、あの、香織?」

 

 どこからともなく銃を抜き、香織は、まず、銃口を八重樫の額へ突き付けた。

 

 「ひぃっ」

 

 バァン。

 

 「なんちゃって。」

 

 ひょろひょろ、八重樫はへたり込み、シアに至っては地面に染みを作っている。…なぜか嬉しそうに震えているティオは論外。

 

 「私は、そんなことしなくても、ハジメくんの一番なんだから♪」

 

 あ、怖い。ー衆目が一致した。

 

 「それに、そんなことしたら、ハジメくんも悲しむし…私、ハジメくんの幸せが一番だから…」

 

 あ、でもやっぱりかわいい。ー衆目は一致した。

 

―*―

 

 膨大な量のインフラトンが流出し、チェレンコフ光が空間を汚し、その中に内包された情報である、ハジメとユエの想起するものー奈落での日々が映し出されていく。

 

 ハジメは、決意したー必ず、香織たちと、地球に帰る。

 

 ユエは、決意したー必ず、ハジメたちと地球へ行く。

 

 香織は、決意したー必ず、ハジメたちと地球へ帰る。

 

 シアは、決意したー必ず、どこまでもハジメたちについていく。

 

 ティオは、決意したー必ず、いつまでもハジメたちに従う。

 

 雫は、決意したー必ず、今まで見逃してきた幸せを、ハジメたちとつかむと。

 

 坂上は、感動したーこれほどの苦労をしてきたハジメは、「漢」だと。

 

 谷口は、決意したー必ず、中村恵理を連れ戻す。

 

 天乃河は、決意したーもう、2度と、奪わせない、手に入れる。

 

 ミレディは、確信したーこれで、やっと、クソ神をつぶせる。

 

 光が収まり、アーティファクトが、ハジメとユエの手の中に収まる。

 

 一石は、微笑したーこれで終わりではないが、やっと、誰もが幸せになれるエンディング、知を追い求めてきた人類史のゴールが見えてきた。

 

―*―

 

 もはや、私は、地球に戻ることすら容易いかもしれない。

 

 それだけの威力を、この「想像の現実化」は秘めている。なにせ、世界が最初から私の掌の中にあったことを利用する魔法…魔法?だ。

 

 これこそ、事象の地平面を軽々踏み越え、世界を思い通りにする、否、気付かぬうちにしてきた、「真理」。

 

 だけどー

 

 ー情報次元を眺め、私たちと私たちの2世界の存在を確実化させる、外側の観測者。それについて知るという最後のピースを埋めて、初めて、私は真理とその理由と言う人類の叡智の最終目的を達成する。

 

 例え、茶番にして独り相撲だったとしても。

 

 …まだ、帰るのはまだね。

 

 偽神エヒト、必ず、あなたの肩の上に乗せて、はるかな先を見せてもらうわよ。

 

 「…来たわね、ノコノコと…神の使徒。」

 

 「お久しぶりです、イレギュラー。

 

 まずは、返してくださいませんか?我が同胞の疑似魂。」

 

 さてと…

 

 …これは平和的な交渉が始められそうじゃない。

 

 「断るわ。

 

 こんなにぞろぞろ引き連れて、どこへ連れて行こうと言うのか知らないけど、手駒は減らせないもの。」

 

 「…わかりました。

 

 我が主の命令の元、居城への招待の任を果たしに来たのです。」

 

 来たっ…!




 次回、玉座へ。

 そこでも、原作から話が大きく転換します。
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