ありふれていなければならない物理法則で世界最強 ※完結 作:十二の子
※21,2,25追記 20000UAありがとうございます。励みです。
32 「アルヴヘイトによる悪魔の証明」
―*―
衛星コンステレーション「サンシャイン6・6・6+」。
王都大乱において使用され、氷の迷宮でも使用された高エネルギー粒子線攻撃システムのスイッチの1つは、王都、園部優花の下にあった。
だから、一石光は驚かない。
空の玉座の両脇の檻に、園部優花が、他のクラスメートや先生と一緒にいても。
「うう、ごめんなさい、光っち…
…あたし、できなかった…」
「俺もだ…すまん!」
「いいの、悪いのは…
…別に必要不可欠でもないタイミングでビームを使って充電切れにした南雲君だから。」
奥から出てきた金髪紅眼の老人をにらみながら、一石は言った。…充電さえあれば、この正体不明な魔人族の命はなかったと言うのに。
「まあ別にそこまで予定が狂うわけでもなし?」
そう呟きながら、振り返り、口をパクパクさせているユエを見る。
「やぁ、アレーティア。久しぶりだね。相変わらず、君は小さく可愛らしい。」
「…叔父、さま…」
―*―
ついに、現れた、神格。
そう、でも、私の予想が正しければ、これはまだ、序章。
さすがに、ディンリードーユエの叔父を名乗る人物が、魔人側の神格とは思わなかった。そうと知っていれば他に手はあったものを。
だけど、人間族と魔人族の争いが遊戯として成立しているのは、お互いの神格がつながっているからであり、その限りにおいて、この神格アルヴヘイトも、また、エヒトの眷属であると分かり切っていた。
まだ、まだよ。
「地上にわざと降りて戦争を激化させ、使徒たちの言う“イレギュラー”を探そうとしたんだ。その者と協力し、地上からエヒト神に対抗しようとしたのさ。私はアルヴに選ばれた者ということだ。今も、私の中にはアルヴがいて、様々な面で助けて貰っている。一つの体に二つの魂。それが、アルヴであってアルヴでないという言葉の意味だよ。一石光君、使徒の疑似魂魄を取り込んだ君と似ているね。」
え…どこが?
というより、だったらなんで、あなたは南雲君と香織に、撃たれているのかしら?
さあ、出て来なさい…さもないと。
「シア、ティオ、ミレディ!
迷わず、殲滅して!」
私は、ゴクとマゴクを取り出した。
「ハハハハハ、ハジメさん!?香織さん!?何してるんですかいきなりっ!それにヒカリさんも」
「ためらうなと言ったでしょ!」
まずはフリード、あなたから…ビー――ム!!
―*―
使徒と魔物が、電撃の嵐に、質量の投下に、極細波動砲の乱射に狩られていく中。
「…ハジ、メ?かお、り?」
「…もし私だったら…
…私は、大事な人と一か月離れるのも、耐えられなかったのにね!」
「あ」
その一言で、ユエは察したーディンリードがユエを何らかの理由でやむなく封印したとして、300年会いに来ないとはさすがに馬鹿げている。
「それとハジメくん?
…私が『俺のかわいい香織』とか言われても、同じくらい嫉妬してくれるかな?かな?」
「もちろん、俺の許可得ずそんなこと連呼するやつは…
…手足引き千切って肥溜めに沈めてやるぞ、ゴラァ!!」
「ただの嫉妬じゃないですかっ!」
「わーい!」
「か、香織、あなたそれでいいの…?」
「…ん、わかった。もう平気。
ハジメが嫉妬。私に嫉妬。香織じゃなく。嬉しい。」
「あー、まあこればっかりは感情を抑えられなくて……ユエの暗闇での苦しみを知ってたから余計に、な。」
「ん。私こそごめんなさい。無様を見せた。」
今も周囲では『神の使徒』こと戦天使と魔物が消滅させられている超戦場であるにもかかわらず、どこでも甘い空気を出せる連中であるー「これが、リアルハーレムの中心なのね…と約一名は呆れかえった。
「…せっかく、こちら側に傾きかけた精神まで立て直させてしまいよって。次善策に移らねばならんとは……あの御方に面目が立たないではないか。」
水を差すように、崩れかけのオブジェとなったアルヴヘイトが言う。その傷口は修復するそばから崩れ、煙を発していた。劣化ウラン弾の焼夷効果で延焼しつつ、ウランの放射線汚染と魔法による再生で傷口が急速にガン化している。
「面目立て直す前に腫瘍人間になりそうね。」
一石が、杖の宝物庫の放射線源を放り込もうと杖を振りかぶり、小さな銀色のかけらが空を舞いー
カン。
ーかけらは、空中に突然現れた光の柱によって弾き落とされた。
「なんだ、あれは…?」
ハジメが、首をひねりながら、銃弾を撃ち込むーが、それもまた、弾かれる。
そして、一石光は、誰にも聞かれないように小さくつぶやいた。
「来たわね…やっと…エヒト!」
そして、事態は回転していきます。