ありふれていなければならない物理法則で世界最強 ※完結   作:十二の子

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37 「ならば万象、絶望のみと証明するに足るか?」

―*―

 

 「光ちゃんは、本当に、そう言ったの…?」

 

 「ああ…闇魔法で、記憶力を上げて聞いてたから、一言一句間違いない。

 

 アイツ、自分がオリ主だから、世界を変え過ぎたから、世界のほうを消し去ってチャラにするつもりなんだよ…くそっ、俺が、俺が、もう少し長くいて説得できれば!」

 

 「清水、一石はそんな、説得したくらいで揺らぎはしないぞ。」

 

 「じゃあ南雲!お前どうすんだよ!

 

 アイツは、一石さんは、自分がいちゃいけないと思ってるんだぞ!

 

 そんなこと、あっていいはずないのは、南雲だってわかってるだろ!

 

 アイツはアイツなりに、俺たちのために動いてくれた!少なくとも俺は、アイツのおかげで生きてる!

 

 そんなアイツが、『あるべき幸せを奪った』なんて言って、全部なかったことにして消えようなんて、いいわけないだろ!

 

 俺が生きたいから言ってるんじゃねえぞ、南雲!

 

 お前、本当に、それでいいのかよ!」

 

 「清水、ちょっと、黙ってろ!

 

 いいわけあるか!

 

 俺のところに、あんなステータスで香織を連れてきてくれたのは、誰だと思ってんだ!張っ倒すぞ!」

 

 「私も。

 

 光ちゃんがいなかったら、私は落ちなかったかもしれないけど。

 

 でも、私はこれで良かったと思ってるし、何より、光ちゃんがどう思ってるかなんてどうでもいい、私は、光ちゃんに消えてほしくない!友達だから!」

 

 「…香織にとって友達なら、私もね。

 

 概念魔法なんて持ってないけど、南雲君、私を連れて行って。」

 

 「ん。脳みそが恋人だからって頭でっかち過ぎ。」

 

 「ヒカリさん、恋心をバラされた恨みと賭けの対象にされた恨みは晴らしてやりますから、戻ってきて恋路を応援したことを感謝されればいいんです!」

 

 「妾も一度やらかしてしまったからのう…立場逆転じゃな。」

 

 「先生も、いいですか?

 

 先生は、また一石さんが何かしたら、その時はまた叱ると、約束しました。

 

 悩める生徒に手を差し伸べるためなら、私は、どこにでも行きます。」

 

 「ミレディちゃんも、この世界が書き換えられた本の中っていうのはちょっと納得いかないけど、まだ仕返し足りないし。」

 

 「南雲、アイツにゃ根性が足りないと思ってたんだ。

 

 俺にも殴らせてくれ。」

 

 「鈴も、だって、エリリンが助かったのはヒカリンのおかげでもあるんだから!」

 

 「鈴にそう言われちゃ、俺も、俺の恵理のために、もう一度行かざるを得ないな。勝てる気しないが。」

 

 「光輝くんが行くなら、怖いけど、何度だって死にに行くよ。」

 

 「俺を認めてくれた一石さんを助けに行くんだ。行かないとか、6万の魔物が負ける以上にありえねえ。」

 

 「南雲…

 

 …本当の歴史では、あたしも、南雲の隣にいたかもしれないらしいんだけど。

 

 あたしも、今、そっちのほうも幸せなのかもって思ってる。

 

 だけどあたしは、光っちがそうなる未来を奪ったとしても、これから先の未来はまだ決まってないと思う。

 

 未来は、世界は、あたしたちが創るんでしょ!

 

 行かせて!」

 

 「ああ…

 

 …行くぞ!

 

 目的変更だ!一石の奴をぶん殴って、目を覚まさせて、連れ戻す!」

 

―*―

 

 神域。

 

 極彩色の世界の中に、さっきまではいなかった神の使徒が、0と1の羅列の中から生み出されていく。

 

 無限に生み出される、神の使徒。おまけに加速器からの陽子ビームは露出特異点を超えられない。

 

 そんな中で、まさに無限湧きバグ状態にある使徒の壁を、ハジメたちは吹き飛ばしていく。

 

 ハジメによる概念魔法「我、汝の絶対なる死を望む」は、信じがたいことに、それ自体で疑似的力場を形成した。神の使徒が雲散霧消させられていく。

 

 ユエの「界天龍」が空間そのものごと使徒を喰い荒らす。

 

 シアは方向さえもわからない世界で使徒を足蹴にどこまでも飛び上がり、路を捜していく。

 

 ティオのブレスは軽原子のローソン条件を軽々超え、使徒の身体を構成する原子が核融合を始め、超新星爆発を起こして砕け散る。

 

 ミレディの重力波攻撃は概念魔法でひも状に引き伸ばされ、宇宙ひもとなって使徒をひきつけ吸い込みながらダークマターへと崩壊していく。そのエネルギーが、空間を拡大し、極めて低速のビッグバンを引き起こした。

 

 攪乱に対し、香織の概念魔法「我、望んだ物すべてを癒す」が、世界の均衡を支え、空間の相転移をギリギリ押しとどめていた。

 

 エヒトの私物と化していた神域に、星が、重力のムラが生まれーそれはまさしく、宇宙に星々が創られていく創世の過程だった。極彩色の風景も徐々に晴れ上がって暗黒の星空へと変わっていく。

 

 ついてきた天乃河、坂上、谷口、畑山教諭、清水、園部は、超スペクタクルな光景に口をポカンとするしかない。八重樫雫の刀と天乃河の聖剣が、時折自分たちに吹いてくる脅威ー各種爆発で飛んでくる宇宙的飛来物ーを斬撃ではじく。

 

 そして、ついに、一行は、閉じられ「開けたら閉める!」などと丁寧にも貼ってある扉にたどり着いた。

 

―*―

 

 「やっと来たのね、主人公。」

 

 「…俺か?」

 

 「そう、南雲君。

 

 本来の主人公であるあなたが消えれば、帰納的結論だけど、この世界は消滅し、なかったことになれる。

 

 その瞬間にすべては証明されるし、その瞬間に私も消えて、あなたたちは本来あるべきさやに納まれる。

 

 私は、いるべきではなかったから。

 

 私が消えるために、死んでくれる?」

 

 「断る。

 

 お前、いつか言ってただろ。『あり得たかもしれない未来』なんて、マルチバースの自分が考えればいいって。

 

 平行世界の俺がどう思うか知らんが、この世界の俺にとって、お前が消えてうれしいことなんて一つもねえよ。」

 

 「だけど、残念ながらアイドントシンクソーなの。

 

 じゃあ、どうする?」

 

 「一発殴ってわからせる。お前が造ったこの義手で!」

 

 「それでこそ、南雲君だわっ!

 

 『想像は現実化しうる。世界を証明する私の存在こそが、唯一の世界の真理』!死ね、南雲ハジメッ!己らのために!己らの世界に帰るがいい!」

 

 「「「「概念魔法『我らの朽ち果てない絆をここに』!!!!」」」」




 ※ハジメ、元は「エヒトに裏切った一石は粛清」と思っていたが、エヒトが死んだこと、そして何より一石が曲がりなりにもハジメの幸せのために決断したことを知り、考え直す。

 ※帰納的結論=どんな2次創作でもハジメは最後まで生き残る。つまり一石の判断は、ハジメたちの神殺し・ハーレム物語が世界の存在意義で、彼が死ねば存在意義を失った世界は消滅し、そうならない世界=一石光が存在しない世界だけが残る。

 次回、ドン引きの義手ギミック大公開&決着!
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