変態だけど異世界で美少女になったので赤髪少女や巨乳エルフ、その他大勢とたわむれます。 作:ナムヲ
1 いつの間にか黒髪紅眼の美少女になっていた!
目が覚めると、森の中にいた。
……んぁ……、口の中がじゃりじゃりする……。
顔を横に向けて、うつ伏せのまま『ペッペッ』と砂利を吐き出した。
そのままの姿勢なのは、何となく身体が怠かったから。
少しの間そのままで、またもや何となく耳を澄ましてみる。
すると『クエー』や『ピー』といった、鳥の鳴き声が聞こえてしまう。
それと同時に、川のせせらぎの音がしている。
……どこだここ……。
マイナスイオンたっぷりの、この環境。
健康にはいいのだろうが、今はその状況にちょっとだけ驚いていた。
……確か仕事帰りで……スーツのままで……家にいたはずだ。それで、何してたんだっけか……。
思い出せない俺は、まだ意識がハッキリとしていないと思う。
頭を左右に振りながら、怠い身体にムチを入れ、ゆっくりと起き上がる。
今は膝立ちの姿勢。
そのまま、周囲を見渡してみる。
「……完全に森だ、どこだ、ここ……」
そう呟いてみるも、誰もいない。
そして、自分の声に違和感を感じてしまう。
「あー、あー、……声が矢鱈と高くないか?」
……もしかしたら、風邪を引いたかもしれない。
喉を手で押さえて、足に力を入れて立ち上がると。
紺色のスラックスと、縞々模様のパンツが、ちょっとだけずり落ちた。
自身の身体に対して、明らかに大きすぎるスーツのサイズ。
それに、違和感を覚えまくってしまう。
慌ててそれを履き直そうとして、気が付いた。
「……んん? 指が……細くて、白い!? どうなってんだ……」
パンツとスラックスの端を握りながら、スーツの袖を捲る。
白い肌と細い腕が見えてしまった。
すっごいキメ細やかだった。
明らかに、自分の腕や手ではないのだけど、それは思い通りに動いてしまう。
そのまま、顔と髪をペタペタと触ってみる。
「髪は長いな……黒のセミロングか? 顔は……、肌がすっごいモチモチしてる……なんだこれ……」
触れて見ても、なんだかよく分からない俺は、腕を組んで思い出してみる。
……どうしてこうなっているんだ。確か俺は……。
頭をフル回転させている俺は。
少しずつ、ほんの少しずつだけ思い出して来た。
「……そうだ!! 会社の帰りに、いつものように、熱湯にチンコを漬けて……」
そう、トレーニングをしていたはず……。
熱湯と氷水で、チンコを交互に漬けると言うトレーニング。
所謂『チントレ』をしていたんだっけか。
「それでどうなった? 氷水で冷やした瞬間だったか……、いや、まさかチンナーズ・ハイ!? それで、気絶しちゃった?」
ランナーズ・ハイの亜種、チンナーズ・ハイ。
名付けたのは俺で、何度か経験はあった。
全ての身体の感覚がじわじわと、それでもって徐々にマヒしていく感覚。
ちょっと気持ちよくて、ちょっと苦しい奴だった。
「……だがおかしい、俺はそれ位じゃ、気絶なんてしないはずだ……」
自問自答するのだけど、その程度じゃ俺は気絶なんかしない。
毎日やっていたトレーニングだったし、体調も悪くなかった。
だが絶対じゃない、ちょっとだけ不安を覚えた俺は、さらに思い出してみる。
「……確か『んーーーー、んーーーーっ!!』と言っていた後だ、その後、瞼の裏から光が溢れて……、やっぱチンナーズ・ハイじゃねぇか!!」
完全に意識が覚醒した俺は、跳ねるように両足で立ち上がる。
その拍子に、パンツとスラックスが落ちてしまう。
慌てて下を向いた瞬間だった。
……そこには絶望が広がっている。
あるべき物が無いと言う絶望が……。
大事にしてきた長年の相棒が……。
「チンコが……ないっ!!」
下腹部には、自慢のギャランドゥが無い。
その代わりに、白い滑らかな肌のお腹が見える。
それに恐る恐る、触れて見ると、プニプニした肌触り。
もう完全に女性のそれだった。
「アワワ……アワワ……どうしよう……」
慌てた俺は、血眼になって周囲を見渡すが、勿論チンコなんて落ちてない。
まさかと思い、胸に手を当てるが……。
……そこにあるのは、柔らかいお胸の感触。
白シャツの上からでも分かる程の、それなりの大きさ。
それを何となく、モミモミするのだけども……。
そして今頃になって気が付く、俺の性別が変わってしまった事実に。
「……女になってりゅぅぅぅ!!??」
甲高い俺の叫びは、森の中へと消えて行った。
◇
スラックスは首に掛けて、プロデューサー巻きに。
パンツはベルトで縛って、ずり落ちないようにしたままの恰好。
そして、自身の事を思い返しながら、頭を抱えて森の中を歩く。
「俺は……サイキョウ・ミソギ、30歳。 ……ここまでは合っているな」
チンコが無くなってしまった俺は、自分が本当に自分なのか、分からなくなってしまった。
だからこうして、自身の事を口にしながら歩いている。
「社会人歴8年目……、よし、ここまでは大丈夫。出身は……、ジャペェーン!! ……日本だったわ」
……うん、何で英語が出たんだろうか、分からん。
「それで、趣味は……チントレ? うん合ってる」
独り言を呟く俺は不審者なのだろうと思うのだけど、それを咎める者はいない。
そのまま森を歩いていくと。
その途中、進んだ先の木々の隙間にはチンコが生えていた。
「もしかして……俺の!?……違ったか……」
飛びついて握り締めたが、チンコではなくキノコだった……。
とうとうキノコまでチンコに見えてしまう俺は、精神がボロボロで幻覚まで見えてきた。
「ちくしょう……ちくしょう……」
キノコを引っこ抜いて投げ捨てつつ、立ち上がりまた歩く。
裸足だからか、少し足が痛い。
それを我慢して、森を抜けるとド田舎のようで、目の前には草原が広がる。
「結構開けた所に出たな、てかここ何処だよ……チンコ落ちてないかな……」
周囲を見渡してチンコを探すと、遠くに街道が見えた。
そこを歩いていけば近くの家まで辿り付けるだろうと思う。
だがおかしい、ここは日本だと思っていた俺は腕を組み考える。
……どこのド田舎だよ、もしかして……。
脳味噌をフル回転させる。
今の俺の姿とコンクリートで出来た道路などの人工物がない道。
それらを総合して考えた結果。
「……チンコ……?」
……やっぱりチンコだ、チンコしか頭に出てこない。
身体がもうチンコを求めすぎている。
そんな事をしていると、水色のプリプリしているゲル状の生き物が、こちらへと飛び跳ねてくるのが見えた。
もう近くまで来ていて、速度を増して飛び掛かってくる。
咄嗟に手を出して、それを反射的に掴んでしまう。
ちょっと驚いてしまったが、別に痛くもなんともない。
そのまま握ると、その感触は無くした大事なふぐりに近い感触だった。
「プルプルしてて気持ちいいなぁ……ふぐりみたいだぁ……」
両手で掴んだり握ったり引っ張ったりして遊んでみる。
プニプニとしてモチモチした手の中で動く生き物。
シワシワとモサモサがないのが残念だけど、ふぐりに似た感触は中々再現出来ている。
俺は躊躇なくパンツの中へと突っ込んだ。
そしてパンツの中でモミモミと揉みしだく、別に他意はない。
「あぁ……良い……」
揉めば揉むほど、心が段々と落ち着いていくのが分かる。
だからだろう、自身が今までパニックになっていた事に気が付いた。
パニック過ぎてチンコの事しか頭になかった。
だがふと我に返る。
……これ汚くね?。
さっきまで地面を飛び跳ねていた変なゲル状の生き物。
土などは付いて居ないみたいだけど、雑菌とか付いてそうでバッチイとか思う。
「……きったねぇーな!! バッチイ!!」
それを地面へと叩き付けると『パンっ!』と言う音を発生させて粘液だけが残る。
爆ぜる前は粘液が出ないみたいだ。
べとべとにはなってはいないが、一応背広で手を拭いた。
大事なスーツだが手が綺麗になるのだ。
おばあちゃんも許してくれるだろうと思う。
気を取り直してまた、パンツの中に手を突っ込み歩き出す。
すると脳内で声が聞こえた。
『レベルアップしました!ステータスを確認しますか?』
明らかにボリュームを間違えた音量のデカさ。
壮大なファンファーレと共に脳内で響く音にビックリして耳を塞ぎ目を瞑ってしまう。
「な、なんだ?これボリューム壊れてる! ちょっと!! 音デカいよ!!」
『ステータスを確認しますか?』
一定の感覚で繰り返し聞いてくるその声。
恐る恐る目を開けると目の前にゲームで言う所のステータスウィンドウが映っていた。
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ステータス確認 yes/no ×
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……驚きはなかった、チンコがなくなったんだ、これ位の事じゃ驚かない。
チンコがなくなるのだから、ステータス位あってもおかしくはない。
気にせずに、ステータスへと触れて見る。
「これタッチ式? あ、タッチ式だな、便利なステータスだ……」
独り言を呟きながら、片手をパンツの中に突っ込みもう片方の手で『yes』ボタンを押す。
するとウィンドウが変わる。
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サイキョウ・ミソギ Lv30 ×
スキル
・変質操作
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「レベルさん……じゅう……!? 高いの? これ? わっかんねぇなぁ……」
ゲームなら冒険の中盤位だろう。
鋼の剣とか卒業して属性武器とかに切り替わる位のレベルだ。
『もしやチンコの長さ?』とか思ったがそんなに長くない。
そしてスキルが少ない、それはたった一つだけ。
『変質操作』と言うスキルは何なのだろうかと腕を組み無い頭で考える。
……駄目だ!! チンコが無くなってそれどころじゃない!!。
そんな脳内チンコな俺は、このスキルがどういう物なのかを理解出来なかった。
説明を見ても分からないのは単純に、チンコしか考えてないからだろうか。
「…うーん、とりあえず靴無いから足痛いしスマホ無いし……、わかんね」
いつもならスマホで調べるのだけど今は持っていない。
スーツのポケットには何も入っていない。
使い方も分からないのではスキルも無用の長物だった。
パンツに手を入れてまたまた考える、だが答えは出ない。
「まぁ後でいいか」
とりあえずウィンドウ右上にある『×』を押して閉じる。
確認よりも先にここがどこなのかが知りたい俺は歩いていく。
とりあえず家に帰ってチンコを探さなければならないのだ。