真・恋姫†夢想-革命~三国無双の血を引くもの~ 作:疾風海軍陸戦隊
警邏隊の隊長になったのはよかった。幸いにも隊員たちにはだんだんと信用してもらえている。一人を除いては・・・・
「や・・・やあ、李傕さん。おはよう・・・」
「……おはようございます。何か用ですか?」
「あ、いや。朝の挨拶を・・・・」
「私はこれから見回りがありますので、用がなければこれで・・・・・」
朝早く、俺は隊舎の中を歩いていると李傕に出会って声をかけたのだが、案の定、冷たくされる。まあ、最初は無視されてたから少しは一歩進んだのかな・・・・でも
「今日もダメ・・・・か」
俺はそう言う。ここの隊長となってからは仕事も少しづつだができ、町の治安も少しは改善の兆候が見えだした。むろん隊士たちや町の人の交流も深めているのだが、どうもあの李傕さんだけは俺に心を開いていなかった。だが、仕事はきちんとこなしたり、部下の隊士にも的確に指示をしているし、他の兵や町の人にも慕われている。なのに俺だけ冷たい態度をとるのか?まあ、ずっとこの警邏隊を仕切っていたのだから、急によそ者である俺が警邏隊の隊長になるのを快く思っていないのも無理もない。
無理もないのだが、やっぱりな・・・・・
「はぁ・・・・・嫌われているのかな?俺って・・・・まあ、信用されるっていうのは難しいんだな」
そう言いながら俺は隊長室で各隊の見回りの報告書を見ながらそう呟く。
「昨日は、事件の数は10件。酔っぱらいの喧嘩にひったくりと・・・・前に比べればよくなったが、どうしたものかな・・・・・あ、この東地区はスラム街みたいになってたよな?警備の人員を増やすべきか・・・・いや、まずどこか改善するべきか自分の目で見ないといけないな。うん。そこは大事だな・・・」
と、少しため息交じりに言うと・・・・
コンコン
と、戸を叩く音が聞こえた
「ん?開いているよ?」
俺がそう言うとドアが開き
「隊長。失礼します」
そう言い入ってきたのは樊稠だった。
「ああ、樊稠さん」
「さん付けはおやめください。私はあなたの部下ですので・・・・・」
俺が敬語で話すと樊稠は苦笑してそう言う。
「それで隊長。その様子。また李傕に無視されたのですね?」
「ああ、清々しいくらいにな。まあ、まだ信用されていないってことだろうけど」
「まあ、李傕は少し頑固と言いますか、真面目と言いますか・・・・でも相手には忠義を尽くす人なんで。コツコツ信頼を取ればいいですよ」
「樊稠さ・・・・樊稠。李傕のことよく知っているね?」
「はい。同僚ですので警邏隊が結成された時からずっと働いていたので」
「そうか・・・・」
「それで隊長。私を呼んだ理由なんですが?」
「ああ、そうだった。樊稠。君って確か諜報とか間諜なんかの情報収集が得意だって言っていたよね?」
「は、はい。董卓様のところに入る前は情報屋を営んでいましたので。それ以前に何かを調べるのも好きだったので」
「そうか。なら話が早いな」
そう言うと俺は一枚の書簡を渡した
「あの、隊長?これは」
「うん。実は君にお願いがあるんだ」
「お願い・・・ですか?」
「うん。君のその情報収集力を生かして、警邏隊の諜報機関を作ろうと思っているんだ」
「諜報・・・・機関ですか?」
「うん。この先、情報戦が必要不可欠だと思うんだ。それでその部署を君をその部署の責任者として任せたいと思っているんだよ」
いつの時代でも戦や町の治安維持にも情報は大事だ。警察にも公安警察やアメリカのCIAなんかが代表的だ。そして今この時代でも町の治安維持のために情報を探ることを専門にする部署を作っても問題はないと俺は思っている。情報がなければ実働隊は動くことができないからな。
「私が責任者に・・・・ですがそのことは月様や詠様は承諾されているんですか?」
「うん。以前に詠にそのことを相談したらかまわないって言ってたよ。むしろ作ってくれって言ってた」
「なんと・・・・・それで私がその責任者に・・・私はただの警邏隊士ですよ?」
「身分は関係ないさ。でも情報収集は得意なんだろ?それなら適任かなっと思ってさ」
俺は樊稠にそう言う。彼女の経歴については前に華雄から聞いた。彼女の実力なら適任だし、何より初めて会った第一印象が、なんか忍者っぽかったしな服装もそうだけど
後は彼女が承諾してくれるかだが・・・・・
「で?どうかな?」
俺が訊くと彼女は少し黙ってしまうが彼女は微笑み
「承知しました。この樊稠。命に変えましても任務をこなします。そのためならこの体を使ってでも情報を掴んで見せます」
「いや、そこまでしなくていいよ。後、命は大事にしてくれ」
「え?」
俺の言葉が予想外だったのか樊稠は驚く
「たとえ王族だろうと平民であろうとたった一つの命だ。たとえ密偵出身でもな」
「しかし・・・・自分は密偵。身分では下っ端の身です。そして密偵は主君のため、上官のために死ぬ捨て駒だと、幼いころから教わりました」
「それは・・・・月たちが言ったのか?」
「いいえ・・・・育ての親にです」
「育ての親?」
「自分は孤児です。私を育ててくれた人は密偵の専門家でした。そしてその親から密偵や暗殺のすべてを教わりました。」
「そうか・・・・」
樊稠の言葉を聞いて俺は考える。平和な現代社会とは違いこの時代は身分の差や貧困の差が激しい。そして兵は主君のために命を懸ける。たとえ命と引き換えにしても・・・・・俺はこの時代に来てそう言うことを目のあたりにした時は驚いた。わかってはいたことだったのに現代社会に・・・・平和な世の中で生きてきた俺には衝撃的だったんだ。
だが、それを理由に目を背けちゃいけない。この時代に来たからにはこの時代のやり方で生きていかなきゃいけない。だが・・・・・
「だが、それでも命は大事にしてくれ樊稠さん」
「え?」
「命とは尊い物だ。命あるものに身分なんかは関係ない。たった一つの命だぞ?もったいないじゃないか?」
「ですが・・・わたしはそう言うことをばかりやらされた物で・・・・」
「ならば、今後しなければいいし、する必要もない。この先は俺たちのやり方だ。そして俺は君にお願いする」
「お、お願いですか?」
「ああ・・・・『生きてくれ…生きて生きて生き延びろ』。それが俺の君に対してのお願いだ。君には生きてほしいし、いや、君だけではない。戦に出るみんなにも生きていてほしいんだ。それが難しいことでもな。生きていれば必ず良いことだって起きる。月たちもきっとそれを望んでいる。だから、命を懸けてなんてそんなことは言わないでくれ」
俺は頭を下げてそう言う。俺の言ったことに嘘はない。甘いと言われるかもしれないが、俺は誰にも死んでほしくない。それが難しい道でも、自分はこの信念を貫きたい。だから俺は心の底から彼女にそう言う
「・・・・・・・」
俺の言った言葉に樊稠は目を見開き驚いている。そして
「隊長は強引な方ですね?」
「・・・・え?」
「隊長・・・・頭を上げてください」
「樊稠・・・」
彼女の言葉に俺は頭を上げると樊稠の顔は先ほどの硬くそして氷のように冷たい表情から顔の頬が赤くそして少し柔和な顔だった
「わかりました。絶対とは言い難いですが、隊長の願いとあらば、生きる努力をいたします」
「樊…「雪風です」・・・え?」
「私の真名です。雪の風と書いて雪風。それが私の真名です。この真名、隊長に預けます。よろしくお願いします沖田隊長」
「うん。よろしく雪風」
そう言い俺は手を伸ばす
「あの・・・・それは?」
「ああ、そうかこの時代にはそう言う風習はなかったけな。これは握手っていって、これからもよろしく頼むというか親交の証を示す一種の儀式だよ。だから手を握ってくれ」
「は・・・はい」
樊稠…いや、雪風は顔を少し赤らめ恐る恐る俺の手を握る
「これからもよろしくな。雪風」
「はい。こちらこそよろしくお願いします・・・・隊長」
と、ニッコリ笑ってそう返事をする雪風であった
近代兵器として登場してほしいもの
-
迫撃砲
-
野砲
-
簡易式ロケット砲もしくはミサイル
-
機関銃
-
電探
-
擲弾筒
-
全部出してほしい