目覚めたら某有名ゲームの悪役だったけど、正直言って困るんだが   作:プルスサウンド

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感想欄とかで色んな情報が入ってくる…ありがたイナリ…(いなりが入ってる)
地味にネタ分かってくれた同類…ウレシイ…ウレシイ…(ニチニチ)




せっかくだから俺はこの装備を選ぶぜ!

 

 

 

 すったもんだの理由の半分は自業自得だったりする。

 

 まず前座として、S.T.A.R.S.のメンバーをご存知だったU.B.C.S.のミハイル隊長におったまげられた。

 

 もちろん「まーた死んだウェスカーさんだと思われてんのか俺はフレッシュ過ぎるゾンビじゃねーんだぞ」と呆れて見せたし、そんなに疑うなら後でDNA検査でも何でも受けてやるよと言って何とか誤魔化した。

(本当に受けるとは言っていない)

 

 次にアリエルと自分の扱いで揉めた。

 これはU.B.C.S.側の事情も関わってくるのだが、彼らは人員不足と追加任務の関係で猫の手だろうが杓子の手だろうが、使えるなら借りたいという切羽詰まった状態になっていた。

 

 最初の任務である「民間人の保護と安全圏への輸送」すら満足に行えていない中で、新たに追加された「ワクチン開発者の確保」という任務。

 

 仕方ないので彼らは「どうすんだオイまず人数が絶対的に足りねぇぞ」と話し合っていた。クライアントにどちらを優先するのか問い合わせても、どっちもやれとか言うクソ返事が返ってくるのだから参考にならないのだ。

 そこにやって来たのが特殊部隊の隊員をしているジルさんと、背中に12歳と雑貨のセットを背負って顔色を変えずに動き回る、我ながらフィジカルお化けな自分だった。

 

 向こうは隊長からして負傷している状態だ。民間人の避難に必要な作業を、ジルさんだけでなく自分にも手伝わせたい。だからこちらも「手伝うから開発者を捕まえたら、念のためにアリエルにワクチン寄越せや」と要求した。

 ここまでは良い。

 

 問題はアリエルを危険視する意見だった。

 ニコライとかいうヤツが「いや、感染が疑わしいなら保護はできないし、むしろ排除した方が他の民間人の安全になる」みたいな意見を出した。というか、疑わしいから撃たせろと言ったところをキレたミハイル隊長に怒鳴られていた。

 疑わしいが感染者とは言い切れない。ワクチンが入手できる可能性もある。ましてや守るべき子どもに対して何を考えているのか、と。

 

 ありがとう人の善性。

 止めてくれなかったら自分の方からヤっていたところだ。

 

 大多数のため、リスク管理の点から言えばニコライ某は正しいのだろうが、自分は正しさより自分の利益ってタイプだからなぁ。

 言いはしないが、こちとら他の民間人が全滅しても、アリエルさえ助かればかまわない。

 

 今回はアリエルが「誰がどう見ても弱者」だったから集団の意見を味方につけられた。部隊に一般的な善性を持つ人物が残っており、弱者優先の意見が根強い中で、むしろニコライ某があの意見を口にしたのは根性があると言えるだろう。

 

 それでもアリエルの害になりうる男に、スコップを握り締める力を緩めることはできなかったが。

 

 

 

 

 

 アリエルの熱は変わらない。咳が増えていた。

 辛うじて意識があるので咳止めとハーブを飲ませるが、あまり効いている気がしない。やらなかったらもっと酷くなっていただろうが、改善の兆しが見えないのは堪えるものがあった。

 

「ハーブはまだありますし、ミハイルさんも使いますか?」

「いや、子どもの薬を奪うほど落ちぶれちゃいないよ。俺らの医療品はきちんとあるし気にするな。そのお嬢さんは俺とカルロスがちゃんと守ってやるから、ジルさんの事は頼んだぞ」

「分かりました……お願いします」

 

 他の民間人と一緒にできないという理由で傭兵用車両の、座り込むミハイルさんの横にアリエルを寝かせた。

 凍らせて使っていたペットボトルの中身はほとんど溶けていた。それが時間の無さを示しているようで嫌な気分になる。

 

「アリエル、この人たちが守ってくれるから安心して待っててくれ」

「……やだ」

「でもおじさん、ちょっと用事があるんだよ。アリエルのためにもなる用事だから、ね?」

「…す、てるの?」

「そんなわけない。絶対に戻ってくるから大丈夫大丈夫。おじさんが帰って来なかった時なんて無いだろ?」

「ん」

「だからお留守番、たのむよ」

「…ん」

 

 不安そうな様子に後ろ髪をむしり取られそうなくらい引かれるが、何とかよしよししてた身体を引き剥がす。つら。

 

 頭が素人の自分はカルロス氏から軽く無線の使い方を教えてもらい、ジルさんと共に物資を整えるように言われて送り出された。

 

 なおニコライ某が出発前に、素人がどうの甘ちゃんがうんたらと文句言って来たが無視した。時間がもったいないので。

 

 

 

 

 

 さて、気を取り直して物資から銃を貰おうにも、何を選ぶべきか全くしらぬいわかんぬい。

 

 ウェスカー氏が扱えた物なら自分でも扱うことはできるだろうが、じゃあこの銃はどういう特性があるのか、みたいな部分はぶっちゃけわけわかめだった。だって銃社会出身じゃねーもんよ。

 

 仕方ないのでジルさんに選んでもらうと、反動はキツいらしいが高威力で丈夫なヤツを渡された。名前は知らん。

 軽くいじってみたところ、リロードや取り回しに少し手間取ったが、彼女の指導が良いのか身体の記憶なのか、すぐに扱えるようになったのは幸いだ。

 

「あ、コレにしよう」

「それ持ってくの?装備じゃなくて駅の備品でしょ」

「マスターキーって大切やぞ」

 

 スコップはスコップで万能だけど、斧なら普通の扉くらいバカスカ開けられるからね。1本は持っておきたい魔法の鍵だよコレは。

 

「ちょっと、まだ持つわけ?」

「コレは小さいから投げる用」

「手斧じゃないのに…呆れた力ね」

 

 そうしてジルさんは銃器を中心に装備し、自分は拳銃とデカい銃と、スコップと大斧と斧と斧と斧と斧を装備した。

 走るのに邪魔にならないし、そんなに重くないから悪くないんだけどなぁ。

 

 

 

 カルロス氏いわく目的地は変電所だ。そこに向かう道すがら、先ほどからばつの悪そうな顔をしていたジルさんがようやっと、といった風に口を開いた。

 

「あの、さっきはずっと疑って、ごめんなさい」

 

 何が理由かは知らないが、疑惑は薄れているらしい。

 ありがたいことだ。

 

「ウェスカーさんってよほど恨みを買ってたんだな。パワハラクソ上司?まさかセクハラ野郎?なら死ぬほど恨まれてもしゃーないしゃーない!」

「そうじゃないけど……今思えばカルロス達のことも決め付けてる部分があった。ミハイル隊長だってあんな怪我してたのに…」

「人間、余裕が無くなるとトゲトゲしくなるもんよ。むしろジルさんはかなり自制できてるし、凄いんじゃないかなぁ」

 

 大人だろうが人間なんだから容赦なく不安になる。その中で自分のように報酬を求めたわけでもないのに、誰かのために行動できる精神は、こうして現実で対面すると恐ろしさすら抱かせるものだった。

 つまり後ろめたいヤツはこの精神に脅威を抱き、そういうのが無い人は敬意を覚えるのだろう。

 

「黄金の精神だっけ?」

「何それ」

「ジルさんみたいな強く正しい精神の人。日本の本で出てた表現だよ。きちんと読んだ訳じゃないから詳細は説明できないが」

「私そんなに強くないわよ。最近は不安で…」

「それでもさっきみたいに、人のために行動できるからねぇ。やっぱ黄金の精神だな」

 

 パカン、パカン、とゾンビの頭を割る。

 T-ウイルスは死者の蘇生ではなく頭をアレして操っているタイプのゾンビで、だからその体には普通の人ほどではないが血流が残っている。おかげでパカン、と割れば温かな血が飛び散った。

 

 ゾンビをどつき回し始めた当初は、手に残る感触に気持ち悪さを感じていたが、ここまで来るともはや慣れてしまう。何も感じないどころか、上手く頭をカチ割って一発退場させると満足すら感じるまでになってしまった。あかん。

 

「良し、消えたわ」

 

 変電所に行くため、ホースを調達して燃える路地を消火する。こういった作業はきちんと知識のある彼女の方が手早かった。自分が覚えてるのはアメリカにわか知識なので。

 実はアリエルと生活している間も、周囲を観察してからおそるおそるやっていた事は多かったりする。

 

「そういえば貴方、お父さんじゃなくておじさんだったのね」

「言ってなかったか。あんまり良くないんだろうけど、両親が居ないから私が面倒見てるんだよ。在宅ワーカーじゃなきゃ無理だったな」

「奥さんは…」

「居ないよ。だからこの街を脱出して、きちんとした施設に預けるつもりだ。良い養護施設を探さないとなぁ」

「じゃあ頑張らないとね」

 

 

 

 変電所の生物兵器はめちゃくちゃキモかったし、ニコライ某はやっぱり危険人物だった。

 

 

 

 


 

・おじさん

解説サイトに書いてあったT-ウイルスの特徴みたいなのは覚えてる。そっちよりストーリー覚えときゃ良かった…。

 

ニコライ某が幼女の害にならないなら、あの態度でも何とも思わなかった人。

あちらが分かりやすい自己中なら、こちらは分かりにくい自己中である。ロリコン犯罪者から財産どころか名前まで奪ってるし。

 

攻撃しなかったのはメタ知識が足りないのもあるが「明らかに加害してきたわけではないUBCS隊員を、協力関係にある他の隊員やジルの前で攻撃するデメリットはデカいな」って理由。

 

でっかいペンチではなく斧で鎖マンを叩き切って解錠してる。

パワーがあるので丸太も装備可能。

どんどん脳筋プレイヤーになっているが自覚はない。

 

 

 

・ジルさん

少し弱ってはいるが「黄金の精神」を持つ女。RE3の最後には「真実に向かおうとする意思」を見せた。

 

実は洋館で裏切り者がタイラントにぬっ殺されたのを見てから、ウェスカーボディに何が起きたのか知らない人。だって暗躍マンの原作と違っておじさん一般人やってたからね。

むしろクソ馬鹿力&アホ持久力してる保護者おじさんと、まだ人間やってた頃のウェスカー隊長(故人)との差異に戸惑っている。

カルロスたちが子どもを庇ったのを見て、少し早めに氷解気味。

 

 

 

・ニコライ某(RE3のすがた)

疑惑の男のDNAのサンプルは後で取るか~!って思ってる。

ガキの世話優先とか甘ちゃんじゃねぇか!判定。

 

美しくないタイプの銭ゲバ。

ロリ化したらめっちゃ「わからせ」されそう。

スラヴ系だしTSポテンシャルは高いはず。

 

 

 

・マスターキー

なお殺生や原罪で得たわけではない。

アメリカの一般的なマスターキー(斧)

 

 

 

 

少年期の犯罪被害と信じてたソ連崩壊で精神をメタメタにされ、身も心もアンブレラの飼い犬になってしまったドM信仰系軍人おばさんと、そのクローンシスターズなネタはダメでしたか……性癖って難しいな!!!

くっそ!!!これはTS大佐を描いて布教しなければァ!!!

 

公式で女幹部だったら心身問わずリョナ系の同人誌もいっぱい出てただろうに、惜しい人だ…(妄言)

 

 

 

 


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